(ishida式の趣味に特化した…) マクロ撮影の薀蓄 

【 ishida式のマクロ撮影の機材と使いこなしD 】

新機材(^^;「100mm F2.8 2x Ultra Macro APO Canon EFマウント用」を導入しました。

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またまた新機材の導入。留まるところを知らない探求心(単なる物欲)です…(^^;

これまでのマクロ撮影機材とishida式のテクニック等について、第1回は機材についてが主体、第2回でマクロ機材の使いこなしのテクニック、第3回第4回では単なる新機材の紹介(導入の言い訳?)を述べてきました。

第5回では我ながら物欲優先でこらえ性が無いなあという気もしますが、LAOWA製ののマクロレンズを新たに導入したので
紹介します。

-------------------------------- 導入のきっかけ(言い訳?) --------------------------------

LAOWA(ラオワ:中国名では「老蛙」と書く)とは、中国の新興レンズメーカー「Venus Optics」のブランドで、色々と個性的なレンズを製品化して注目を浴びています。
当初からマイクロフォーサーズ用のレンズのラインナップも多数あって、光学性能の高さは一部のプロの間でも評価されているようです

ishidaは「デジカメWatch」の記事等でしか知らなかったのですが、製品の中ではちょっと変わったマクロレンズも色々とラインナップしています。

今回導入決定した「100mm F2.8 2x Ultra Macro APO」は、一般的な中望遠マクロの焦点域に属するレンズですが、「2x」の名前の通り単体で等倍を越える「撮影倍率2倍」を達成しています。
ただしLAOWAのレンズは全て「マニュアルフォーカス」が基本で、電子接点や自動絞りに対応したレンズも少なく、このレンズも対応マウントのうちでCanonEFマウント用だけが電子接点を持ち、レンズ側の電子制御での絞りが動作します。
他ではNikon F用とPentax K用は電子接点は持たないもののレンズ側の絞りリングでの設定と絞り連動レバーで昔のMFレンズ的に本体側駆動による自動絞りが動作可能らしい。
(いわゆるAモードで「絞り優先開放測光」的な使用ということですね。P/Sモード用に絞りにAポジションはないらしい?)
他は全てレンズ側の絞りリングの設定による「絞り込み測光」で、電子接点も持っていないためメニューから「レンズなしレリーズ」を許可する必要があるとのこと。
絞り込み測光っていうことは、小絞りに設定して撮影準備すると絞り羽根も実際に絞り込まれてしまうため「一眼レフの場合はファインダーが暗くなる」「被写界深度が深くなって、ピントの山が掴みにくくなる」といった弊害が出てしまいます。
無限遠近くや三脚撮影なら「絞り開放でピント合わせしておき、希望の絞り値にして撮影」という2段階のステップでのピント合わせも可能ですが、そんな面倒なことはishidaには無理です…
ishidaとしては、せっかく明るいレンズを絞り込み測光で使用するのは上記のように面倒なうえにもったいないし、ミラーレスの場合はファインダーは暗くなりませんが、光量が下がればEVFの画像が悪くなるのが必至だし、そもそも絞り込まれてピントの山が掴みにくい状態はマクロのマニュアルフォーカス撮影では絶対に避けたい状況です。
実際、α77で使っていたAマウントのマクロレンズをマウントコンバータ(絞り連動なし)経由でE-M1に取り付けて使用した際に、小絞りでのピント合わせの困難さを実体験しました。

また、F値の情報がレンズから来ないっていうことは、フラッシュのTTL調光にも不都合が…という意味かとも思いましたが、プリ発光で露出を決めるシステムなら概ね問題なしですかね。
(このレンズは距離エンコーダは装備していないので、何らかの影響があるシステムもある?)

LAOWAのHPなどで確認すると、各マウントの対応は以下のようになっているようです。
(※一部推定が入っています)

マウント

絞り制御

絞り羽根枚数

電子接点

絞りリング

Canon EF
(自動絞り)

自動
(レンズ内モータ)

9


(Exif対応有)

Canon EF
(手動絞り)

手動

13

Canon R

手動

13

Nikon F

自動
(本体駆動)

7

Nikon Z

手動

13

SONY E

手動

13

Pentax K

自動
(本体駆動)

7

L Mount

手動

13

発売当初のCanon EF(自動絞り)、Nikon F、SONY Eの3タイプが基本で、最近になってCanon EF(手動絞り)、Canon R、Nikon Z、Pentax K、L Mountが追加になりました。
新規追加されたマウントは、Pentax KはNikon Fがベース、その他はSONY Eをベースにしてフランジバックを調整しているものと思われます。
Canon EFにわざわざ手動絞りバージョンを追加しているのは、主に動画用途で「絞り羽根枚数」と無段階(クリックレス)絞りリングとするのが目的のようです。
このレンズをCanon Rボディで自動絞りを使用したい場合は、Canon EF用レンズにEF→Rマウントコンバータを使用するように推奨されています。
個人的には手動絞りタイプの「絞り羽根枚数が13枚」というのは魅力ですが、ishida式では静止画撮影の使い勝手としてはSONYのボディでもCanon EF(自動絞り)のレンズをマウントコンバータを介して使ったほうが使い勝手は良いのではないかと思います。
もともとマニュアルフォーカス専用レンズなのでAF関係の機能は無く、距離エンコーダも非搭載、Exifデータの対応と電子絞りの利用だけとなりますが、前述の理由で電子絞りは必須と思うので(^^)

あ、ishida式の定番で、また前置きが長い…(^^;;;;;;;;

2019年の発売開始当初からこのレンズの尖ったスペックと描写の良さの評価を見てかなり興味をそそられていましたが、被る焦点距離のレンズを持っているのも事実です。
また、ishida式ではボディはマイクロフォーサーズになりますが、Canon EFマウントの交換レンズを「Commlite EF-MFT」マウントコンバータを介してMFTボディで使用することについては、既にTAMRON(90mmマクロ)、SIGMA(100-400mm)、Canon純正(180mmマクロ)の各レンズを「E-M1」「G9」「E-M1U」で使用した実績がありましたが、LAOWAのサイトで「マウントコンバータには非対応です」的な文言を見てちょっと心配な気持ちも湧いていました。
しかし、コロナ禍で色々な情報収集だけは盛んに行っていた中、ishidaが普段は見ないYoutubeでPanasonicのボディ(G8)にマウントコンバータ「Commlite EF-MFT」を介して使用しているレビューを見付けました。
実はPanasonicとOlympusではレンズ−ボディ間の通信仕様がちょっと違うようで、G9+TAMRON 90mmやSIGMA100-400mmでの通信エラーが高頻度で発生する実績もあって若干心配(実際にOlympusボディでは通信エラーは未発生)とか、同じマウントコンバータを2個持っていますが、それぞれのボディに対する相性がある(FWのVer.違いが原因?)というのも何となく不安を感じるのも事実です。
しかし、もともとMF専用のこのレンズはAF関連の情報はやり取りせず、レンズ側が発信するデータ量・要求値が低いと思われるので、このレンズに関してそんなに心配ないなと判断しました。
(人から言われるのは嫌いですが、「自己責任」というスタンスですね。)

何となく割り切れたような(^^;感じで気持ちがどんどん傾いていった結果、このレンズ「100mm F2.8 2x Ultra Macro APO Canon EFマウント用」の購入決定です。

--------------------------------- 直販サイトでの注文 ---------------------------------

店頭販売などで実際に現物を見たことはなく、Kakaku.comでの国内の正規販売品は概ね5.9福沢さん程度の値付けでした。
LAOWAの本家Webサイトからの直販での価格はマウントに関係なくUS$449(送料無料)となっており、オプションの三脚座が同時購入で+US$30という値付けです。
直販サイトの決済画面では「クーポンコード」を入力する欄があり、値引きクーポンなどの付与があったりするようなので、かなり以前からクーポンサイトなどで検索してチェックしていたところ、5月中に適用可能な10%OFFのクーポンを見付けました。
チャンス!と思ってチャレンジしてみましたが、USのサイトだからなのか?何度やってもクーポンコードが取得できず、適用できませんでした…。

結局、「初夏を迎える今が買い時でしょう」という気持ちもあって、クーポン値引きは諦めて購入に進むことにしました。
直販サイトでのお支払いはPayPalのみのようで換算レート的にちょっと上乗せ(5月4日の為替レート終値が109.33円/US$に対してPayPal換算レートは114.26円/US$だった)になりますが、注文時のレートでは三脚座(+$30)とセットでの決済額が合計¥54731となりました。

2021年5月4日夜にサイトで注文を確定したところ、PayPalの決済確認メールは瞬時に届きましたが、LAOWAのシステムからの応答などは一切なく、ちょっと不安な気持ち…
注文は夜だったので翌営業日に処理されるかなと思いましたが翌日にも特にメールなどもなく、販売サイトでもオーダーNo.から注文を確認する仕組みがないようです。
注文確定時のサイト画面のキャプチャでオーダーNo.などの情報は判っているので、LAOWAのお問い合わせ窓口にメールで確認してみました。
しかし、驚いたことに翌朝に香港からの郵便小包が届きました。え、注文の品…?
朝飯後にメールを確認すると、ちょっと素っ気ない感じでしたが「注文は承って、すでに発送済みです。追跡番号はこれです。」という内容の返信メールが昨日の夕方発信で届いていました。
メールで確認するよりも早くて、中1日(実際には夜注文で翌々日朝到着)で届いちゃうって…。
オプション(有料)で追跡サービス付きの配送を選ぶことが可能でしたが、今回はその選択をしていないのにサービスでFedexを使ってくれたんですかね。
今回は香港倉庫からの出荷でしたが、以前のeBayでのお買い物時に中国から発送した商品では、DHL配送でも日本国内の代行業者が入って中3日かかったのを思うと驚異的な速さです。
電子的な決済と受発注システムのスピード感に驚き、日本の企業は大丈夫か…あ、また脱線(^^;

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香港から飛行機に乗ってやって来ました〜(^^)

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「Commlite EF-MFT」を介して「Panasonic G9」に取り付け。ボディとのバランス的に細長く見える…

--------------------------------- 第一種接近遭遇 ---------------------------------

購入にあたっての訴求ポイント。

◎…他のレンズでは味わえない単体での撮影倍率2倍のスペック。
◎…(Canon EF用は)電子接点・電子絞り制御、Exifデータ対応。
◎…(Canon EF用は)9枚絞り羽根構成。
◎…各収差が良好に補正された光学性能。「TIPA WORLD AWARDS 2020」受賞。
◎…高解像かつまろやかなボケなどの好ましい描写との評価。
〇…全金属外装でそこそこ高級感あり。
〇…機械的に結合したマニュアルフォーカス(電子フォーカスは嫌い)
○…フォーカシングの操作性が良く、バックラッシュも無い。
○…LAOWA純正の狭枠UVフィルターが標準装備。
○…専用三脚座あり。(かつ、開閉式のリング構造なのも○)樹脂製だけど…(^^;
△…フォーカスリングの回転角が∞〜最短距離まで120°くらいと狭く、無限遠付近は合わせ難い。
△…むき出しのフォーカシング機構、グリス過多(?)
△…絞り動作のレスポンスがやや鈍い気がする。
△…何となくレンズキャップやブランドロゴが格好良くない(^^;

公称スペックと実測値。

・サイズ
 外径72mm × 長さ125mm(実測はフランジ面からフィルター先端※まで130mm)
・重量
 635g(フィルター※含む実測)
 ※LAOWA直販サイトで購入すると、狭枠の UVフィルターが装着されている。
・フィルター径
 Φ67mm
・レンズフード
 バヨネット式(同梱)
・撮影距離(実測)
 ボディのΦマークから 1:1(等倍)=270mm、2:1(2倍)=235mm
 ワーキングディスタンス(レンズ先端から) 1:1(等倍)=105mm、2:1(2倍)=70mm
 ※
参考:TAMRON 90mm1:1(等倍)時
  ボディのΦマークから 約300mm、レンズ先端から139mm

同梱のフードはあまり評判が良くないようですが、そもそも近接撮影では邪魔だし、遠距離撮影時には前玉がかなり奥にあって鏡筒がフードの役目をするので装着していません。

等倍と2倍のワーキングディスタンスの差が少なく見えるのは鏡胴の先端からの距離だからで、実際の前玉の位置は等倍では鏡胴のもっと奥のほうにあります。

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1:1(等倍)位置での撮影距離とワーキングディスタンス。

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2:1(2倍)位置での撮影距離とワーキングディスタンス。

オプションの三脚座は専用品で、日本国内の正規代理店(サイトロン)で販売開始した際には先着100セットに無料で提供されていたものです。
メーカー直販サイトではレンズの購入時のみオプションで追加できるようになっていますが、お値段的にも$30とリーズナブルと思っていたら、実は樹脂製でした(^^;
もちろん、このクラスのレンズ重量であれば強度的には問題なさそうですが…
固定ねじを緩めて蝶番でオープンする構造のため、レンズをカメラに装着したまま三脚座だけを着脱可能なのはいいですね。
三脚との接続部は1/4ネジのみでアルカスイス互換にはなっていないので、別途薄型の汎用シュープレートをセットする予定です。

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三脚座を使用して三脚にセットした状態。

ちなみに、上の写真ではとりたてて不自然には見えませんが、前述のようにこのレンズはCanon EFマウント用のみ「絞りリング」が装備されていません。
他のマウント用の場合は上の写真で三脚座がセットされている位置に絞りリングがあるため、その前側の「被写界深度指標」のある付近にセットするようになっているようです。(特に位置決め用の段差のようなものはなく、どこにでもセット可能にできています。)
ところで、被写界深度目盛りがやけに広く見えるけど、ちゃんと目安になってない気がする…(^^;

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絞りリングが無いため、何となくのっぺりして実際より細長く見える。

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マウントアダプタ経由でも、スリークな外観で特に違和感はないかな。

全体的に外径は細くて細長い印象のレンズですが、実際に外径は小さくて長さは同クラスのものの中でも長いほうになり、さらにマイクロフォーサーズ機に装着するとマウントコンバータ分全長が伸びて細長さが助長されます。
撮影倍率を優先した構成となっているため全長は長いですが、オートフォーカス機構や手振れ補正機構などを内蔵していないため鏡銅はほとんどマウント径そのままの太さとなっています。
しかし、撮影倍率2倍を達成するための繰り出し量を確保するカム機構であったり、そもそも最短撮影距離での前玉の位置でレンズの全長が決まっているために、同クラスの他社製品に比べて絶対的な全長も長めとなっています。
ただし、このレンズの運用時の全長130mm(フィルター含む)は、これまで常用してきた「TAMRON 90mm F2.8 Di Macro VC USD Model F004」の運用時の全長123mm(フィルター含む)に対しては、びっくりするほどの差ではありませんでしたね。

このレンズの仕様として特徴的なところは、前述の「撮影倍率2倍」ということで、フォーカシングでのレンズ群移動についてはかなり凝った構造になっています。
また、解説で「インナーフォーカスのため全長が変化しない」といった説明がされているのを見掛けますがこれは「全長が変化しない」という外見からの誤解だと思います。
(インナーフォーカスの厳密な定義ってあるのかしら?という疑問も感じますが…)
実際にはレンズ全群を繰り出しながら、フローティング機構で前群と後群を別々に移動させているようです。(最近のレンズではフローティング機構自体は既に珍しくないですけど)

レンズの全長が変化しないように見えるのはフード状になった鏡胴の先端が伸びないためで、前玉は非常に大きく移動しています。
何となく記憶を辿って「デジカメWatch」の特集記事を検索したら、LAOWAの工場訪問の記事の中にこのレンズのフォーカシングカムの写真が掲載されていました。
それを見ると前群の移動用と後群の移動用の2本のカム溝が見え、前群は大きく動き後群は小さく動くカム傾斜になっています。

また、日本製の製品では考えられないですが、この鏡胴の内側を見ると内部に切られたカム溝と直動キー溝がほとんどそのまま見えます。(保護フィルターが無いと機構に直接触れる…(^^;)
そのうえ、溝とフォロワに塗られたグリスが内壁に付着して触れるくらいなため、ホコリや砂の付着・機構への混入を防止するためにフィルター枠に標準装着されたUVフィルター無しでの使用は極力避けなければいけませんね…(^^;
さらには、半月ほど使っているうちに、フォーカスリングの後端にもグリスがじわじわ染み出して来ました…(^^;;;;;;;

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無限遠〜1:1〜2:1にフォーカシング。全長は変わりません。

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無限遠(左)と最近接位置(右)での前玉の移動。前玉も後玉も動いているのでインナーフォーカスではないよね。

-------------------------------- ファーストインプレッション --------------------------------

描写性については、マイクロフォーサーズでの使用だと35mmフルサイズフォーマットの中央部しか使用していないため歪曲収差・周辺減光・倍率色収差については有利となり、拡大率が2倍になることから解像力・軸上色収差・回折の影響についてはより厳しい条件ということでバイアスをかけてください。上記が判断できるような作例は無いですけど…(^^;

まず最初に一番戸惑ったのは、「フォーカスリングの回転方向が今までのマクロレンズと逆」というのが、想像以上に戸惑うということでした。レンズのせいではありませんが…(^^;
ズームレンズでもズーミングの回転方向が違うと戸惑うことが意外に多かったのですが、フォーカスについては実は初体験だった…?

フォーカス調整については、機械的に結合しているため超音波モータ駆動のレンズなどと比べてもずっとダイレクト感があってバックラッシュも感じられないのが良いです。
ただし、前述のように「フォーカスリングの回転角が120°程度」と狭く、その半分以上を50cm〜25p(最短撮影距離)の範囲が占めており、遠景のピント調整範囲がけっこう微妙です。
操作力量は「重すぎず・軽すぎず…希望よりやや重め」といった感触ですが、グリスの粘度に依存した負荷トルクだと思うので、耐久性や温度変化による変化はまだわかりません。
前述の「デジカメWatch」の記事で見る限りでは、カム機構はアルミ削り出しでの製造と思われるので、部品としては工作精度や耐久性、温度変化に対する耐性もあるのではないかと期待します。

以下、早速持ち出しての高倍率や描写性のチェックも兼ねて使用した作例も交えてのインプレッションを書き連ねています。
条件は「Panasonic G9 PRO + 本レンズ」にてサイズ:L(5084×3888 Pixel)画質:S-Fine、Jpg撮って出しをCorel Photo Paint X3で加工しています。

さすがに等倍を超える撮影倍率になるとフラッシュ発光がほぼ必須になりますが、ワーキングディスタンスが短いためライティングについては従来以上に気を使う必要があります。
また、被写界深度を稼ぐためには絞りもより絞り込んでやる必要がありますが、流石にF13辺りからは回折の影響を受けるようで、拡大率の高いMFTフォーマットということもあって若干緩い解像感になってしまいます。

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等倍撮影での「イノコヅチカメノコハムシ」。Panasonic G9 F8 1/60sec フラッシュ発光 ISO200

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2倍撮影での「イノコヅチカメノコハムシ」。Panasonic G9 F13 1/60sec フラッシュ発光 ISO200。

いつも被写体になってもらうお馴染みの「カワトンボ」は、解像力(この場合は解像感といったほうが適切)のチェックにちょうど良いです。
イメージ的には「TAMRON90mm」の描写に近く感じますが、解像感は同等に高いが気持ちコントラストが低いように見える?
ishidaは「レンズの色乗り」については鈍感なので良く判りませんが、何となくあっさりした色合いにも感じました。

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いつもの「カワトンボ」は描写のチェックの常連。Panasonic G9 F5 1/800sec フラッシュ非発光 ISO200。

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カワトンボの前面を700×700Pixelで等倍切り出し。

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透過光で「ウリハダカエデ」の若葉を見上げて撮影。Panasonic G9 F3.2 1/1000sec フラッシュ非発光 ISO200。

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中央上寄りを700×1200Pixelで等倍切り出し。

花などを撮影しても、ボケ感は非常にまろやかで好ましい感じです。

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林床に咲く「ワチガイソウ」。F4.5 1/250sec フラッシュ非発光 ISO800。

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林床に咲く「オカタツナミソウ」。F5 1/250sec フラッシュ非発光 ISO800。

Canon EF用は前述のように9枚羽根構成のため、試写してみた限り一般的な撮影条件では絞りの変化による玉ボケについてはうるささは感じません。

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絞りを変化させて撮影したカシの若葉。

ただし、ishida式で玉ボケ描写に一番厳しい条件だと思っている「ハッチョウトンボと背景の水面の反射」というシチュエーションでは「TAMRON 90mm」に比べるとF4やF5.6でも角が立っていて9枚羽根構成から期待する「円形絞り」とは言い難い印象です。(実はメーカーでもこのレンズに対しては特に「円形絞り」とは呼称していないようです)
また、Canon 180mm マクロ同様に背景の点光源との距離が近いと玉ボケに顕著な縁取りが現れますが、一般的に言われる非球面レンズを用いて解像度優先の設計をすると、トレードオフで玉ボケに「玉ねぎや年輪」が現れるという現象と思われ、このレンズに限った話ではないし設計の優先度が違うといえばその通りだと思います。
8枚羽構成の「SIGMA 105mm(FT用)」や「Canon 180mm」辺りだとあまりにカクカクで、条件によっては使い方にちょっと工夫しないといけませんが、夜景とかを撮るわけでもないのでマクロ領域でまで「玉ボケの質」にこだわることもないよね…という割り切りは必要ですね。
焦点距離的にもトンボの撮影向きではないのですが、実はトンボ撮影時の玉ボケの形に限って言うと自分の保有するレンズでは「OLYMPUS 40-150mm F2.8 PRO+MC-20」で「80-300mm F5.6相当」として使用するのが一番綺麗だったりする…(^^;

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MFTだと絞り開放でも口径食は目立ちません。このくらい近いと被写界深度は浅い。

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F4に絞ると擬似円形ながら玉ボケにやや角ばったエッジが出はじめる。被写界深度的にはもう少し絞りたい。

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被写界深度としてはこのくらい欲しいが、背景の水面の反射や植物との距離が近くてややうるさくなります。

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実際に撮影時の絞り羽根の様子を撮影(^^)、F5.6だとほぼ直線的です。

------- ishida式のマクロ撮影の機材と使いこなし、まだまだ続くらしい -------