マダラアシナガヤセバエ

双翅目 マルズヤセバエ科 体長約12mm 

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葉の上で前脚を振り振りしています。これはメス。

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極端に足の長い体形です。こちらはオス。

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交尾中のペア。オス(上)のほうがかなり大きい。

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このペアもオスの方がかなり大きい。

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このペアは雄雌の体格差が少ない。(頭の大きさが同じくらい)

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沖縄本島でよく見る「マルズヤセバエ科の一種」と思われるもの。前胸部が細長い。

------------------- 2023.09 分類についての記載を修正 ----------------

八重山諸島では人家近くの藪から森の中まで、非常に広い範囲で極めて普通に見られるスリムでやや大型のハエです。
実際の生息範囲は沖縄本島以南とされているようですが、過去のishida式の遠征では沖縄本島では見たことがなくて、逆によく似た姿の「マルズヤセバエ科の一種」と思われるものを多く見掛けます。
ただし、両者を比較すると一見した姿やイメージは似ていても頭部や胸部の形・前胸部の長さなど意外にプロポーションが違っているため、明らかに別属のようです(^^;
(ネット上では沖縄本島産の本種と同じものらしき画像がちらほらでてきますので、ishidaが見たことがないだけで南西諸島に広く分布しているのは事実のようです。)

本種は極端に長い脚が明るい黄褐色と黒の縞模様になっていることからの命名だと思われますが、各脚の跗節が白くて目立つ前脚を振り振りして同種間で何らかのコミュニケーションをとっているように見えます。

本種の交尾中のペアを見ると、オスが前脚を揃えてメスの後頚部辺りに載せているのがとてもお行儀よく(^^)見えます
また、個体間での体格差がかなりあるようで、撮影したものでも交尾中のペアではオスの方がかなり大きいケースと雌雄の差のないケースが混在しています。

本土にはサイズや模様がよく似ていて、全体に黒っぽくて前脚のみ跗節が白い「マエジロアシナガヤセバエ」と、本種に非常によく似た近縁種が生息しており、ネット上ではそれらを本種と見誤った投稿が多数出てきます。
実際には触角の色(本種は触角と触髭が黄色い)や中・後脚腿節の色帯などが異なるため、知っていれば見分けは容易と思います。
また、受け売りで恐縮ですが「みんなで作る双翅目図鑑」によると、本種の学名については自分も持っている書籍などで書かれている「Gymnonerius sp.」は誤りで、「Mimegralla albimana」が正解のようです。

また、本種と同じように名前に「ヤセバエ」と付き、里山の樹液などでよく見られる「ホシアシナガヤセバエ」や「モンキアシナガヤセバエ」については、実は異なる「ナガズヤセバエ科」に属しているということで、更にややこしい…(^^;