ishida式の剣岳・立山登山(2)
2008年7月29日(火)〜31日(木) 夏休みを利用して行って来ました。


剣岳・立山登山(1)へ

 

剣沢に一泊後の二日目の行程は、軽装での剣岳山頂の往復の予定です。

早朝に目覚めてひとしきり快晴の星空を眺めた後は、日の出までの間に朝食を済ませます。

行動の早いパーティーはAM4:00〜5:00頃までにヘッドライトを点けて出発していきますが、自分は朝日に染まる剣岳を見たいために出発の準備だけして日の出を待ちます。

(剣沢は谷間の方向のせいで昇ってくる朝日は見えません。)

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AM4:00前、テント村はけっこう盛況に… 

 

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白み始めた快晴の空に剣岳のシルエットが浮かび上がります。

 

徐々に日が射し込んでくる山肌を見ながら、のんびり出発(^^)…

全体的に下りの道を雪渓を横切りながら剣山荘への道をたどります。
剣沢雪渓は、日本三大雪渓(他は「針ノ木」「白馬」)に数えられ、真砂沢ロッジまで数キロに渡って続いています。

今年は雪の量は少なめでしょうか?昔、9月末に来たときは剣沢小屋前から延々大雪渓が続いていたように記憶しています。

40分ほどで剣山荘前に到着。剣岳の往復が目的の小屋泊まりならば、剣山荘のほうが時間的にも有利ですね。

ただし、剣山荘からは剣岳のピークは見えません(^^;

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久々に見る気がするモルゲンロート(^^;

 

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剣沢の池に映る剣岳(左) 雪渓からは後立山連峰の五竜岳。(右)

 

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約40分ほどで剣山荘へ(左) 実は剣山荘から剣岳山頂は見えません。奥のピークは前剣です。(右)

 

剣山荘の向かって左手、小屋の裏で登山道は左右に分かれ、左は黒百合のコル・剣御前小屋方面、右が剣岳への登山道です。

当然ですが右へコースを取ります。

いよいよ、剣岳本体への登りが始まりです。あ、また男性の中心が…(^^;

 

 

剣山荘を後に、登山道は最初のピーク「一服剣」へと高度を上げていきます。

振り返ると、剣山荘、剣御前がどんどん下になっていきます。

左手には、まだ別山尾根のせいで日の当たっていない剣沢の小屋とテント場が見えます。

 

剣沢から見た「どこがピークかわからない」感じとは違い、実際に登山道を登ると「一服剣」はまさに「一服したくなる頃」に現れるピークです

ここまで、雪渓のトラバースと鎖場が一箇所ですから、まだまだ序の口ですね

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真砂沢出会方向には五竜岳、鹿島槍。、爺ヶ岳(左) 右に剣山荘、左上の影の部分に剣沢の小屋とテント場。(右)


「一服剣」のピークからは、真正面に「前剣」のピークが迫ります。

ここからはいよいよ剣岳への核心部となり、例年事故の多いエリアとなります。

道はいったん「武蔵のコル」に下り、前剣への登りにかかります。

先行するガイド登山の団体(?)では、先導するガイドさんが「ここからはカメラ禁止ね。」と指示をしていました。

斜面が急なだけでなく浮石も多いため、なるべく先行する登山者との間隔を広めにとって行きたい場所です。

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一服剣からの剣沢。左は別山、右は剣御前(左) 前剣への登り。圧倒的な存在感があります。(右)

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武蔵のコルから武蔵谷を見下ろす。(左) 谷の奥、剣沢との出会いに真砂沢ロッジが見えます。(右)

 

いわゆる「前剣大岩」周辺の悪場を越えて稜線上に出ると、剣御前の向こうに室堂、天狗平が見えてきます。

さらに振り返ってみると、八ツ峰の岩峰群の向こうに白馬三山も姿を現わしました。

一般的には前剣を越えた先の岩稜群を越え、カニのタテバイ辺りが最もスリリングな場所として有名ですが、実際に落石や滑落での事故が多いのは前剣の大岩前後だそうです。

 

前剣のピークに立つと、眼前に剣岳の主峰がそびえ立ち、右には八ツ峰の尾根が谷底に雪渓を抱き、左には文蔵尾根が切り立った断崖を見せています

 

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前剣への登りから見下ろす一服剣と剣沢カール。

 

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悪場の登りを通過して一服するグループ。左手には室堂・天狗平。左奥は薬師岳。


ここから先、平蔵の頭から平蔵のコル、カニのタテバイと続くルートでは、さすがに手足を多用することになるため、カメラバッグはザックの中にしまいます。

前剣から見る平蔵の頭周辺は、それほどのコースに見えませんが、実は平蔵のコルまでの間はほとんどが鎖場で、登山・下山コースも一部を除いて別々になっています。

ちょうどこの辺りからは、早朝に出発したパーティーが下山してくるのに出会いましたが、下山ルートが別々になっているお陰で行き違うのに苦労してしまうことは殆どありませんでした。

この前後では、ほとんど垂直な壁を登降する部分も多く、登りと下りが別ルートになっていても一人づつしか通過できない部分などでは、登山者が多い時期にはかなりの渋滞が発生するようです。

 

何だかんだいって、GX-100はポーチに入れて携帯しているので、前のグループの通過を待つ間を利用して写真を撮っていますね(^^)…安全第一で。


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平蔵の頭に向って岩峰群を越えていきます。左下は鉄橋。(左) 先行グループに被写体になってもらいました。(右)

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中央左寄り辺りが「カニのタテバイ」。(左) さらに一方通行の鎖場が続きます。(右)

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前剣のピークで憩う登山者たち。別山の向こうには立山が見えてきました。

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中央の登山者は下山ルートを来る人たち。(左) この部分で登りは右側へ。(右)

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さらに壁を下ります。(左) へつるように回り込みます。(右)

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今越えたのはこの壁。中央登って左、また登りは下山路(左) 平蔵のコルから平蔵谷。剣沢雪渓から続く雪渓。(右)

平蔵のコルに着くと、先行するガイド登山のグループは小休止を取る(かなり頻繁に休憩をいれているようです)とのことだったので、ここからは先行します

いよいよお待ちかねの「カニのタテバイ」の始まりです。

最初の踏み出しが登りにくいのですが、ちゃんと岩に鉄筋が埋め込んであるので、そこを足掛かりにして登り始めます。

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ここが有名な「カニのタテバイ」です。登り専用。

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「カニのタテバイ」上部から見た平蔵の頭の岩峰群。ものすごい高度感があります。

急な岩場を右・上・右と方向に回り込み、いったん岩の割れ目に入ると一息つけます。

振り返ると、平蔵の頭の岩峰群が屹立している様子はまるで針の山です。

剣岳は、立山曼荼羅では「針山地獄」として描かれているのも頷けます。

さらにカニのタテバイ上部を左方向に回りこんでいくと、大勢の下山者が並んでいます。

下山ルートの「カニのヨコバイ」の入り口で渋滞がおきているようです。

ここから先は、山頂に向けて岩のゴロゴロした斜面をたどりますが、浮石などは少なく、足場もしっかりしてきます。

左に早月尾根への分岐が現れ、かなり下の鞍部に早月小屋も望まれます。

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カニのヨコバイ上部で順番待ちの列(左) さらに上部では傾斜も緩くなります。(右)

いよいよ剣岳の山頂に到着です。

山頂は思ったよりも広く、登山者で一杯になってしまうこともない様子で一安心。

東の方向にはチンネ・八ツ峰の岩峰群、北には三ノ窓、小窓尾根が延び、峨々とした様相を見せています。

最高の眺めで、うぅーん、来て良かったと実感。

天候は最高で、遠く南アルプスと富士山、後立山連峰の向こうには北信五嶽か?
西には白山、南には立山の向こうに槍の穂先も切先を見せています。

山頂には先に登頂した登山者たちのほかに、作業服に長靴(かワークブーツ)姿の男性が二人。
他の方と話しているのを聞くと、山頂に祠を建てるための作業準備に来ているようで、実はネパールから地元の建設会社に研修に来ている方だそうです。
(その後、下山中に白装束で榊を担いだ神職の方ともすれ違いました。)

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とうとう念願の(?)剣岳山頂に立つ。上半身は3000m越え(^^)。

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八ツ峰の岩峰群と長次郎谷の雪渓。後は白馬三山と唐松岳、五竜岳。

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針ノ木岳の向こうに見える富士山。(左) 真砂岳、立山とその向こうに槍ヶ岳。(右)

山頂からの景色を十二分に堪能してから下山にかかります。

最後の急登の入り口で、登って来る「ヘルメットの一団」と出会いました。

(先頭のリーダーはヘルメットは無しで、ザイルを担いでいます。)

本格的な装備の一団だなと思ってよく見ると、実はガイド登山の高齢者の一団でした。

ゆっくり行くように声を掛けて通過を待ちますが、皆さんかなり辛そうです。


山頂からのガレ場を過ぎ、「ヘルメット軍団」をやり過ごしてから急斜面を下ると、いきなり「カニのヨコバイ」の入り口です。

亀の頭の形(^^)をした岩と、手前の一枚岩の間の空間に入っていきます。
一枚岩の角を回り込むように最初の一歩を踏み出しますが、足場の先が見えないため体を大きく岩から離すようにして、ここは鎖も頼りにしたほうが安心です。
いったん岩を回り込んでしまえば、あとは高度感さえ気にならなければ容易に通過できます。
そこからは梯子と鎖場を通過すると武蔵のコルのトイレの横に出ます。
カニのタテバイを横目に見ながら、武蔵の頭の岩峰群を越えていきます。

登山ルートと下山ルートが要所要所で分離されていて、全体的には下山ルートの方がやさしいルート取りがされているようです。(下山の方が難しいですからね。)

下山中に単独行の方に写真を頼まれ、ついでに自分も撮ってもらいました。

聞くと、埼玉からみえたishidaより十歳年上の学校の先生だそうです。

やはり剣沢でテント二泊だそうで、若い頃は剣岳周辺の岩場を登りまくっていたそうです。

おお、すげー。

 

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カニのタテバイを過ぎ、山頂手前の岩場を登る「ヘルメット軍団」(左) いよいよカニのヨコバイ入り口(右)

 

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カニのヨコバイの核心部。(左) ヨコバイの下部は梯子と鎖場で終わりです。(右)

 

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平蔵のコルから針峰群を越えて前剣へ。(左) 平蔵谷を登るパーティが見えました。(右)

 

前剣のガレ場を慎重に下り、一服剣に向かって僅かに登り返します。

なんだか帰りは足取りが軽いように感じますが、多分ほとんどが下りだからでしょうね(^^;

途中、猛烈に便意を催したので、最後の雪渓から剣山荘に向かって一目散(^^;;;;

 

剣山荘は新築されたばかりのようで、非常に新しくて清潔です。

有料(¥100)でトイレを借りられるとのことで、玄関の受け付けで聞くと、トイレは小屋の中とのこと。

靴を脱ぐのは面倒かもしれませんが、お陰でとっても清潔で快適なおトイレでした。

ここらでお昼過ぎですが、とりあえず山頂でも軽く食事をしたので剣沢まで戻ることにしました。

 

テントに戻り、軽い食事の後はのんびりとテント内の整理や物干し(?)に精を出します。

テント二泊としたお陰で、なんとも余裕のある山行ですね。

(普通はここで撤収〜室堂に戻って下山といった感じでしょうか?)

剣岳の途中で会った「埼玉の先生」や、別山乗越で会った「高槻のお父さん(お子さんを連れて一服剣まで行ったそうです)」などとも山や写真、子供の教育(^^)などについてお話もしました。

 

午後には再び巻いてきたガスで剣の山頂は隠されたままでしたが、夕方には雲が切れて姿を見せました。

登ってから見るその姿は、一段と威圧感を増したようでもありました。

 

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時間に余裕があるので物干し。(左) 夕刻、雲に隠れていた剣岳が再び圧倒的な存在感で姿を現わす。(右)

 

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