トゲヒシバッタ
直翅(バッタ)目 ヒシバッタ科 体長18mm前後
前胸背板は全体に平板で、中央稜線はあまり盛り上がらない。
背面は明るい緑で体側が濃褐色の個体。
全体が褐色の個体。
翅は前胸背板後端を越えず、メスの産卵管は長い。
本種は北海道南部から本州・四国・九州・薩南諸島にかけて生息し、主に湿地の周辺の湿った草地で見られます。 このグループは前胸背板が腹端を越えて長く伸びており、翅を左右から覆う鞘のような構造になっています。 本種は「ハネナガヒシバッタ」に比べるとやや大型ですが、翅端は前胸背板後端を越えず、背面もやや平坦かつ平滑で中央稜線は目立ちません。
成虫で越冬するため秋〜晩春にかけて田んぼやその周辺の湿地などで成虫を見掛けます。
同属の「オキナワトゲヒシバッタ」や「ナガレトゲヒシバッタ」が南西諸島に生息していますが、分布は重なっていないため混同されることはありませんね。
(実際には八重山諸島にはよく似た複数種が生息しているようですが…)
これらの長く伸びた前胸背板と背面のトゲとの組み合わせで捕食者に対する防御となっていることは容易に想像できます。
特に本種の場合はこちらにある記事によれば特にカエルに対しては相手を識別して「偽死」的な行動をとり、腿節を体に対して直角方向に固定することで「マキビシ」状の体勢になって飲み込まれることを防ぐということが知られているそうです。
前述の通り前胸部側面に目立つ側角があって、名前の由来となっています。
「ハネナガヒシバッタ」は背面に白帯のある個体が多いのですが、本種の場合はそのような個体は見たことが無く、体全体が褐色のものと背面が明るい色で側面は濃褐色のものの2タイプの体色のものがいるようです。