写真の道具の蘊蓄の一環として、なんちゃって三脚マニア?
「三脚関連ってどんだけ?…そのB」
-------------------- 「やや大型の部類の三脚」
----------------------- 中・小型の三脚でも使い方次第という面もあるものの、高さや絶対的な剛性などを求め始めたらキリがないというのは当然ですが、やはり物欲にキリがないのか、コロナ禍で鬱屈した心の出口が見えないのか?気が付いたらAmazonやら海外からやらの荷物が次々と着弾…(^^; ここで登場する三脚の主要諸元
緒元 Leofoto ARTCISE ARTCISE 重量 1400g(三脚のみ) 1683g(三脚のみ) 1913g 縮長 480mm(脚のみ) 580mm(脚のみ) 580mm(脚のみ) 4段 1305mm(三脚のみ) 1620mm(三脚のみ) 1584mm(三脚のみ) 3段 990mm(三脚のみ) 1285mm(三脚のみ) 1204mm(三脚のみ) 2段 703mm(三脚のみ) 925mm(三脚のみ) 852mm(三脚のみ) 1段 449mm(三脚のみ) 550mm(三脚のみ) 535mm(三脚のみ) 脚径 32/28/25/22mm 32.5/29/25.5/22mm 34.5/31/28/25o 脚材質 カーボン(10層)4段 カーボン(8層)4段 カーボン(8層)4段 ------------
「Leofoto LS-324C(カーボン三脚)+LH-40(ボール雲台)」
------------ これは先日紹介したばかりのものですが、先にやってきたぱちもん(?)との差は歴然、カタログ比較した仕様や数値ははっきり言って瓜二つの「Cavix
W-324C」を、お値段激安につられて購入したものの脚の剛性感や雲台の動きの残念さが引っ掛かって、無駄な散財… ここ数年で名の売れてきた「Leofoto」は、「BENRO」や「SIRUI」といった先行の中華メーカーを抜き去る勢いでシェアを広げているイメージです。 高級三脚の「RRS(Really Right
Stuff)」製品を真似た商品ですが、巷にこの「センターポールレス」構造の製品を流行らせたのはそこそこ高品質で価格は大幅に安い戦略で成功したLeofotoでしょう。 ちなみに「Cavix
W324C」だって、見た目はお値段以上の高級感があるし、それなりに工作精度も高くて、4段目の脚を使用しなければ流石に太いカーボンパイプを使用しているだけにアルミ三脚よりはるかに高剛性だし、雲台も動きは不均一だが固定力はちゃんとあるので(値段の差なりの性能差は歴然ですが)三脚として「使えないやつ」というほどダメな子ではありません…。 -------------
「ARTCISE AS80C(カーボン三脚)+MB-52(ボール雲台)」
-------------- Amazonで見付けた「ARTCISE」というブランド自体が聞き慣れないのですが、商品説明だけ見ると高さも稼げて重量もそこそこ軽いし、仕上げもなんだか良さそうな雰囲気(に見える)製品でした 2020年2月に三脚単体を注文し、翌日に割引クーポンが付いてやや買い時を誤ってしまいましたが、2020年11月現在は価格も下がったうえにさらに割引クーポンで17900円で購入可能…(^^;;;;; 実際にお家にやってきたときには、パッケージにテープと配送票が直接貼られた状態で届いてちょっとびっくりでしたが、実際の商品は安かろう悪かろうといった粗悪品ではなく(傷や構造的にちょっと残念な点もありましたが)、はっきり言ってお値段以上の機能・性能といえると思います。 説明書の社名は「ARTCISE Technology
Co.,Ltd.」保証書の記載では連絡先は「INNOLEL@outlook.com」となっていますので、OEMではなくて同じ製造元でサブブランドのような扱いなんでしょうかね。 この三脚の特徴は「ハーフボウル式のレベリング機構内蔵」「背が高い」の2点だと思います。 背の高さについては、三脚単独での縮長が580mmとやや長めなぶん全伸長が1620mmもあって、身長168pのishidaのアイレベルを優に超えています。 脚は8層カーボンパイプで、太さが32.5-29-25.5-22mmとなっており見た目も上々なのですが、最新の三脚の10層カーボンに比べると仕様の面ではややコストダウン感を感じるものの、実際にパイプ自体の剛性で差があるのかどうかは判りません。 ロックナットの操作性や脚の伸縮の感触はとても良好で、伸縮時に脚付け根から空気が吸排気する「シュポ〜」という音も気持ち良いです。 ちょっと残念感があるのは、開脚した際のストッパー当たりの感触に剛性感がなく、これは小型の三脚のようなストッパー部の構造にあるようです。 また、仕上げや製造品質は全体的に良いと感じるものの、ストッパ−ノブや三脚本体には製造過程で付いたような小さな打痕や傷などが見られ、近年は飛躍的に良くなっている中華製品の品質を思うと、この製品の場合は一世代前の中華製品っぽい品質管理の甘さを感じます。 雲台は同じブランドの激安52mm径のボール雲台「ARTCISE
MB-52」を組み合わせています。(全く同じで、ブランドのみ「INNOREL」となっているものも同程度の価格で販売されています。) この雲台は、サイズのわりには1万円を切った価格を達成するためか「フリクションメモリー機構」を装備しておらず、ボールの動作力量調整はメインノブだけで行う必要があり、そのためかボールのフリーに状態から完全にロックまでノブの1回転くらいの幅があって、固定力はしっかりしてるものの操作としてはややまだるっこさを感じます。 質感的にもマッチングは良くて動きにも安っぽさは感じませんが、切削加工痕が見える個所などはこちらも「タクト優先」の製造工程になっている感は見受けられます。 ------------- 「INNOREL ST344C(カーボン三脚)」
-------------- -------------- 「ARTCISE HS80C(カーボン三脚)」
--------------- ------------------- ST344Cに不具合が見つかって返品、HS80Cに入れ替えました
--------------------- これもクーポン適用でお安くなったタイミングに購入した「大型」と言ってよいクラスの三脚です。 実はもう少し高さを稼ぎつつ頑丈さも…という気持ちもあったのですが、頑丈さは達成出来ましたが、三脚単体での高さは前述の「ARTCISE AS80C」とほぼ同等です。 ST344Cの脚パイプ内部の回り止めリブの剥離が見付かり、返品するのにあたって、そのまま再度同じものを購入するか悩みましたが、さらにお得感の感じられる(が、全く同じものに見える)「ARTCISE
HS80C」を購入することにしました。(いつもながら「お得感」に弱いishidaです) 基本の全長は「ARTCISE
AS80C」と同等で、センターコラム部は75mm径のハーフボウルアダプタが一体で構成されたものですが、前述のようにセンターポールユニットが装着できるシステム三脚的構成のため、さらに収納サイズは大きめです。 脚径は1ランク太い34.5-31-28-25mmの8層カーボンパイプを使用(実際に数えることはできません)しており、このパイプ径のものであることを考えると固定ベース取り付け状態で1913g(実測)という重量はサイズのわりにかなり軽量な製品であるといえます。 ただ、「ARTCISE
AS80C」のところでも書いたように、製造工程で付いたと思われるスレ傷などは見受けられ、工程管理や品質管理の甘さはまだまだ改善の余地ありという印象は変わりません。 脚のロック・アンロックの感触は良いとして、伸縮には引っ掛かりや硬さがあってスムーズに動かない個所もあって、「ARTCISE
AS80C」とはちょっと印象が違う… 開脚ストッパーは引き出して解除、ロック時は押し込むという一般的な機構で、ストッパーノブが三脚本体と脚によって圧縮される方向に力が加わるため、当たり面は平面とまではされていませんが「カコン」という剛性を感じさせる操作感です。 ------------------------ ST344C用センターポールユニット ------------------------ 実は返品する前にST344C用のセンターポールユニットも注文してしまっていました。 下のように、ポール下端のフックとアダプタ固定用のナットを取り外し、ボウル部分の中央の穴の上からセンターポールを通してセットします。 それと、センターポールユニットを組み込んだまま脚を畳むと、フック部の外周が直接カーボンパイプに接触してしまいます。 実際にはこの他、かなり古いけど重量が7sくらいある大型のアルミ三脚や天体用の木製架台なども所有していますが、これらの紹介はオミット…(^^; ---------- 流石にこれ以上は続くことがないことを願う…(^^; ----------
自分でもびっくり(^^;の三脚関連、前々回 前回に引き続きのそのBです。
LS-324C+LH-40
AS80C+MB-52
HS80C
1899g(雲台込み)
2207g(雲台込み)
(三脚+固定パン)
565mm(雲台込み)
670mm(雲台込み)
1390mm(雲台込み)
1710mm(雲台込み)
1075mm(雲台込み)
1375mm(雲台込み)
788mm(雲台込み)
1015mm(雲台込み)
534mm(雲台込み)
640mm(雲台込み)
やはり「見た目の仕様」では三脚の性能は判らないなという比較ができて勉強になりました。(勉強のために三脚を買っているわけではないハズ…)
今ではLeofotoをコピーした製品まで現れて、もうこれは社会現象の一種というと大袈裟?
「RRS」の真似っ子ながら、お値段以上の品質感と性能を備えて人気が出ている「Leofoto」の中堅クラスです。
Leofotoをまんまコピーした製品と思われる「Cavix W324C」と並んで。
センターポールがない構造のため、サイズ感からすると背が低い印象です。
eBayなんかで出ているかなと思い調べましたが意外にもほとんど出品はなく、出ていたものもAmazonよりも販売価格はかなり高かったのでした。
でも、eBayでよく見かける「INNOREL」というブランドで全く同じ雲台もあったりしました。
箱にそのままテープ貼り・伝票貼りでびっくり。(左) 中華製品は青がお好き?質感は良い。(右)
センターポールレスですが、ギミックのためやや嵩張る。
ハーフボウルによる素早い水平出しが可能というとどちらかというと動画撮影寄りの機能のようにも感じますが、風景撮影などでも重宝する機能ですよね。
ただし、三脚の本体側には水準器が付いているのに、ボウルアダプタのベース側には何も無いのはやや片手落ちな気がするが…動画用のフリュード雲台なんかは雲台側に水準器があるのが当たり前だからでしょうかね。
センターポールの代わりに65mm径のハーフボウルアダプタを組み込んだ構造です。
これは固定ベース組付け状態。
ハーフボウル部は直接彫り込まれている。
ボウルアダプタ(左) 固定ベース(中) 固定ノブ(右)
ボウルアダプタを組み込んだ状態。
4段目の脚を伸ばさない状態でも1280mmの高さがあり、その状態であればほとんどねじれを感じないほどの「びくともしない」剛性感があります。
逆に個々のパイプ長もそこそこ長いので、10層カーボンでコンパクトな「Leofoto
LS-324」などに比べると全伸した状態でのしなり感は感じますが、3段まで使用して同等の全伸高とした場合は「ARTCISE
AS80C」のほうが(当たり前かもしれませんが)しなりが小さい印象です。
脚やロックナットの質感も上々です。
8層カーボン、脚径は32.5-29-25.5-22mmです。
特に購入前に気になっていた開脚ロック部の造りはやや簡易的(切削加工のタクト優先?)で、ロック部材と3段階の当たり面は平面で受けるようになっておらず、面積も三脚のサイズにしては小さめに感じます。(特に開脚2段階目がリブのように薄い)。
ロックノブが三脚のストッパーを剪断する方向に力がかかり、当たり部もほぼ点当たりのようになっているため、かっちりとした剛性感がないだけでなく実際の強度にも不安を感じるレベルで、開脚した状態で上から体重をかけるような使い方は(普通はしないけど)避けたほうが無難かも…
開脚ロック部の構造が剛性感をスポイルしているのはやや残念。
ボール雲台としては最大クラスのボール径52mmの「ARTCISE MB-52」
この状態で付属のケースに収容可能。
ishidaの現在のシステムとしては最望遠・最重量な組み合わせ。
外観がそっくりな「ARTCISE HS80C」(ややこしい)と「INNOREL
ST344C」は姉妹製品と思うのですが何故か「INNOREL ST344C:10層カーボンパイプ」と「ARTCISE
HS80C:8層カーボンパイプ」というふうに、公称の仕様が異なり、お値段も6000円ほど違います。
ST344Cのほうが35999円にクーポンが付いて30000円ポッキリとなったタイミングで購入しましたが、HS80Cのほうも負けずに27900円(マジックアームとスマホクリップ付き)にクーポン付与で24900円という何とも難しい状況が続きます。
実際に本当にカーボンパイプの仕様が10層と8層という違いだとしても、強度に価格なりの差があるかどうかは検証できないのが最大の難点ですね。
(ST344Cのほうだけオプションでセンターポールも取り付け可能とされていますが、実質全く同じ形状のHS80Cも同じユニットが装着可能だと思われます→後述)
Amazonでの値付けは¥27900となっていますが、普段も頻繁に¥3000オフのクーポンが付いており、たまたま購入時には¥4000オフのクーポンが付いていましたので、AS80C購入時と大差ない感じ…(^^;
ちなみに現在はAS80Cはもっとお安い値付けになっています…(^^;;;;;;;;;;;;
「INNOREL ST344C」(左)と「ARTCISE
AS80C」(右)セットした高さはほぼ同じ。
HS344C(左)とAS80C(右) 全伸高も両者同等です(^^;
「ARTCISE AS80C」(上)に比べて、長さは同等だが外径は格段に大きい「ARTCISE
HS80C」(下)
カーボンパイプの表面も何となく「AS80C」よりも艶が無くてくすんだ感じに見えるし、ブランドロゴのステッカーも何となく安っぽく感じるのは気のせい?
といったところも含めて「INNOREL
ST344C」と「ARTCISE
HS80C」では、脚を全伸して全体をねじった際のしなり感も(先に返品してしまったので直接比較はできませんが)特に差は感じず、印刷されたロゴ、貼ってあるシールとキャリングバッグのロゴバッジ以外に違いが見られません。
アルミパーツやゴム部品、脚の内部なども含めて、全く同じ部品を使って、同じ工場で造られているものなんではないでしょうか?
連絡先もINNORELになっているし、わざわざブランドを分けている理由は何なんでしょう?
分解してみると、パイプの内側の洗浄が不十分なのか、製造工程で付いたカスのようなものが付着しているため動きが阻害されているようです。
回り止めシムと内壁のリブの幅に差がありすぎて、脚を伸ばしてロックした状態で上から順にロックナットを緩めてゆくと、下の脚をねじった際にシムとリブの幅の差分で空転するのがちょっと気分悪いかも。
昔の回り止め構造の無い三脚の場合は必ず「緩めるときは下から、締めるときは上から」という作法が必要でしたが、そこまではいかないものの、このような現象を見ると最近のインナージャッドパイプの三脚でも空転止め機構に無理な力をかけないためにも同じ作法を守ったほうが良いのかな?とも思います。
「ARTCISE AS80C」の脚(上)と「INNOREL ST344C」の脚(下)
「ARTCISE HS80C」の脚。
HS344C(左)とAS80C(右) 脚のカーボン繊維のパターンも微妙に違うが、8層か10層かの検証は不能ですね。
複雑に肉抜きされたボウル部は一体構成。こちらは「INNOREL HS344C」
こちらは「ARTCISE HS80C」
平面当たりとまではいきませんが、剛性感あります。
開脚ストッパ部は、荷重がかかるとノブが圧縮される方向に力がかかる設計。
ボウルアダプタ(左) 固定アダプタ(右) 固定用ノブ(中)
固定用のノブは三又形状でウェイトフックとして機能する。脚とのクリアランスが微妙です(^^;
ボウルアダプタを取り付けた状態。締付けネジ部と脚の干渉に注意。
ボウルアダプタや固定パンを固定するノブのネジ部は真鍮製、ノブと固定部材間にも真鍮部品がかむようになっており、直接アルミ同士がこすれることもないので操作感は上々です。
しかし、ウェイトフックを兼ねる三又形状のノブ部は操作性は良いものの、傾けた際や脚を畳む際には脚と干渉しないように注意が必要ですね(^^;
一般的な大型のシステム三脚は、三脚の中央が空洞になっていて、ボウルアダプタとセンターポールユニットを交換するのが一般的ですが、この三脚の場合はボウルが一体のためボウルの中央に差し込んで固定する構造になっており、この三脚専用品になりますが、当初の予想通り「INNOREL
ST344C」と「ARTCISE
HS80C」は全く同じ形状のため問題なく取り付けが可能でした。
ナットロック式の三脚ってセッティングした後で高さを変更するのはとても面倒なので、このようにセンターポールが使用可能なのも助かるかなと思いましたが、そうするとボウルアダプタによるレベリング機能は使えないし、組み換えはシステム三脚より面倒で、ちょっと本末転倒な観もありますかねえ…(^^;
その後に下側から固定用ナットを通して締め込んで固定します。
固定用ナットの内側にはポールの外周と接触してスライドするスリーブが設けられていますが、スライドさせるためにある程度クリアランスがあるため、上部のポールロックナットをしっかり締めても、力を入れるとクリアランス分のガタはあります。
一般的なセンターポール内蔵の三脚でも、センターナット式のものの場合はこのようなガタが出易いですが、通常はフリクション調整ナットを締め込むことで解消されます。
このユニットの場合はそのような構造がなく、ナットのコレット部だけで固定するしかないためこのようになってしまうようです。
スリーブを取り出し、ナットとの接触面側にクリアランスを少し詰めるようにテフロンテープを貼ってやることで多少ましになりましたが、クリアランスが小さくなることでフリクションも大きくなってしまいました。
この辺の塩梅はちょっと難しいですね。
パイプ自体の外径は31mmあり、強度的には十分に見えますがガタはあります。
気分的にちょっと嫌だというだけではなく、カーボンの場合は傷の部分からファイバーの破断が発生しやすいので良くないですね。
こういったところには普通であれば軟質の樹脂部品なりゴムパッキンを装着すべきところなのに、ちょっと配慮が足りない気がします。
他の三脚用も含めて、こういったゴム部品の補修用に購入していたシリコン製のOリングの中からちょうど良さそうなものを選んで装着してみました…これもishida式(^^)