Panasonic G8  (その2:使用編)

Panasonic G8 (DMC-G8M 12-60mm F2.8-5.6キット Black)

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各種機能について

@タッチパッドAF
タッチパッドAFによるAFエリアの移動は便利で、「相対位置」と「絶対位置」の移動方法が選択可能。
自分はタッチパネルの無い「GF1」や「FZ1000」では、十字キーの左ボタン→下ボタンと操作してAFエリア移動を行っていました。
なぜそんな一手間かかるやり方にしているかというと、「フォーカスポイントのダイレクト移動」を有効にすると、もともと十字キーに割り当てられている「ISO」「WB」「Fn3」といった機能が無効になってしまうからです。
G8の場合はタッチパッドAFを有効にすることで、前述の「十字キーによるAFエリアのダイレクト移動を有効にすると、キーに割り当てられた機能が使えない」といった残念な仕様に縛られることなく、本来のボタン機能との両立が図れます。
実際、ファインダーを覗きながら十字キーでAFエリアを移動させるのってとっても煩雑でやりにくいのが、G8などのタッチパッドAFの場合はファインダーを覗いたまま操作できるだけでなく、斜めの移動も可能なので操作自体も遥かにやりやすいと思います。
ファインダーに接眼している状態で前述の「十字キーの左ボタン→下ボタン」操作でのAFフレーム移動を行う場合はキーによる移動とタッチパッドAF、接眼していない場合は十字キーによる「相対移動」とタッチによる「絶対位置移動」の併用となります。
(手袋をしているとタッチ操作が出来ないため、十字キーでの移動手段があるのは助かる)
タッチパッドAFを有効にしていると、鼻が当たって意図せずAFフレームが移動してしまうのが玉に瑕ですが、ishida式ではそれを逆手に取って手袋をしたままで鼻の頭でタッチパッドAFを操作するという裏技も習得済みです(^^;。
とはいえ、本業の生き物撮影の際に意図せずAFフレーム位置が変わってしまう(拡大ポイントも移動する)のも困るので、やっぱり痛し痒し?

A手持ちのレンズによるAFと手ブレ補正
動画画質や処理速度への悪影響とコントラストAFに関する技術的優位性からか、頑なに位相差AF搭載を拒む(?)Panasonic製MFTカメラですので、位相差AFを前提にした旧フォーサーズレンズ装着時のAF動作には制約があります。
ボディとレンズ間の電気的な情報はほぼ完全な上位互換性があるので、Pansonicが他機種で公開している互換表などを見ると実際には多くのレンズではAF-Cや動画関連の機能以外は動作しますが、たとえ動作してもAFは不安定なうえに低速で実用性はないようです。
(過去に聞いた話しだと、MFTはコントラストAFに特化した規格のため、FTに比べて信号端子と通信インターフェースを追加しているとのこと。)
対して、E-M1は「FTとMFTを統合する」という大義名分があったため、当時としては奢った「コントラストAF+位相差画素内蔵センサーAF(限定条件下のみ)」といったシステムも搭載しており、そこそこ互換性が確保されているのも売りでした。
でも、自分が持っているSIGMA製の105mmマクロと150mmマクロの場合、どちらも旧世代のレンズなのでE-M1との組み合わせでも動作はとっても緩慢だし、そもそもほとんどMFでしか使用してないけど。

実際に、G8に上記フォーサーズレンズを取り付けてみると、AFでも時々(^^;ピンが来る程度です。
逆に、OLYMPUS製のマイクロフォーサーズレンズを装着した場合、当たり前ですが特に何の制約も違和感もなくAF、手ブレ補正とも動作します。
これは、Panasonic製レンズでのレンズ内ISとの協調によるDUAL IS2(レンズによって対応の有無あり)は動作しなくても、G8が搭載するボディ内ISの動作もそこそこの性能を発揮している証しでしょう。
ただし、ボディ内手ブレ補正の性能的にはOLYMPUSのほうが一日の長があって、EM-1に対してファインダーを覗いた時の像の揺れが「ぴたっと止まる」感は1ランク落ちると感じるし、普通に室内でブツ撮りした際などの歩留まりも明確に差を感じます
OLYMPUSのボディとレンズを組み合わせた場合と、PanasonicのボディにOLYMPUSのレンズを組み合わせた場合では仕様に現れない部分でのマッチングがあるかもしれないので、この比較はちょっとフェアじゃないのかもしれませんが…
ちなみに、40−150mm F2.8 PROレンズでフォーカスモードをAF-Cにしたときは、G8のほうがずっと機敏にフォーカスし続けるように感じるのは、E-M1の場合はAF-Cのときには位相差AFとなり、位相差画素の配置の制約を受けるからかしら?

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この組み合わせでは自慢の「DUAL IS2」は機能せず、ボディ内のISのみで補正。

G8のフォーカス関連の美点と不満点は

○コントラスト方式とは思えない、そこそこ俊敏なAF速度。
○測距点の多さ、移動や大きさの自由度が大きい。
×夕陽などのハイライトに弱く、測距点の近傍にハイライトがあるだけでAF不能になることがある。
×測距エリアを小さくしても、手前が大きくデフォーカスしていると背景に引かれやすい。
○タッチパッドAFを有効にしていれば、直感的に測距点の斜め移動も可能で操作性良好
×でも、タッチパッドAFを有効にしていると、鼻が当たっただけで測距点がずれてしまう(^^;
○マニュアルフォーカス時に拡大枠が表示されるが、E-M1みたいに全画面表示にならずフレーミングがずれにくい。(全画面表示も選択可能)
×しかし、画像の拡大のしかたや見え具合いにはやや不満あり。

B操作系について
Panasonicについては、10年前にマイクロフォーサーズ規格の「G1」、「GF1」が登場して以来、ずっと「GF1」を登山のお供などに使用してきました。
メニューや機能についてはかなり一貫した使い勝手の良さがあって、「GF1」の仕上げや質感、操作感の良さも相まって、ずっとお気に入りです。
(OLYMPUSのメニューの訳の分からなさと両極端な印象です(^^;)
だだし、操作系のボタンのデザインを含めた操作性、外観デザイン(しばしば女子供向けの軟派なデザインに大きく振れる)などついては一貫性が無い印象があります。
G8について言うと、GFシリーズとは明確に差別化した外観はGシリーズ中最も写真の道具っぽいと思うのですが、やはり前回も書いた通り十字キーなどの周辺も含めたデザイン思想に難があります。
配置自体は悪くないと思うのですが、ファインダーを覗いたままのブラインドタッチではボタンの存在自体が判り辛く、平板で押し辛いスイッチの感触にイライラします。
FZ1000なら(素手で触れば)それなりにボタンの感触で見分けがつくのに、G8の場合は全てのボタンにこれといった抑揚が無く、センターボタンの位置さえ分かり辛くて困ります。

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G8は平板でボタンの存在自体が判り辛い。(左) ボタンの存在や種別が分かり易いFZ1000。(右)

C電池の持ちについてはすごく悪い!
電池の持ちについては不満でいっぱい。
KAKAKUの掲示板などでもそういう意見が多く見られ、それに対して「それは使い方次第」とか「使い方の工夫が足りない」といった擁護意見も見られるんですが、FZ1000は特に何も考えずに使ってもものすごく電池の持ちが良く感じるのに比べ、G8は撮影しなくてもどんどん減っていくため、沖縄でも一日持ち歩いていれば、ほとんど撮影枚数に関係なく電池切れしてしまう有様。
省エネの設定を駆使して(使い勝手を犠牲にして)やっと一日持たせることができるレベルです。
そもそも、電源OFFでも電池の消費が大きいようで、使用しなくても電池がどんどん減っているように感じるのは気のせいでしょうか?
撮影に出掛けた後で満充電状態で保管、翌週見るとバーが減っている…っていう印象があるんだけど。

設計的な欠点に対して、ユーザーの立場で大枚はたいて純正のバッテリーグリップを購入するのも不愉快な感じなので、社外品の激安バッテリーグリップを購入してみました。
純正品の1/6程度の価格(^^;;;;;;;で、互換バッテリーも2個添付されています。

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で、少しでも長く撮影できるように「バッテリーグリップ(社外品(^^;)」っていうのがいつものishida式?

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こんな感じで、グリップと互換電池2個が同梱、\5580でした。

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純正品とは瓜二つ。でも、ゴムの質感とかは違う…

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外観は本当にそっくり…(外観だけ?)

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ボディ側のへんてこな位置の三脚穴は改善されます。(それでも、光軸中心には来ない)

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防塵防滴を謳っているが、電池蓋のほうにはパッキンがありませんでした(^^;。

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右上の電池マークの下に「BG」の表示が出ています。
メニューでBG優先にして、この表示が消えたらボディ側のバッテリーに切り替わっている。

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見た目そっくりなだけあって、握り心地やフィッティングは悪くないです。

実際に使用してみると、形状や機能的には純正と同じようだし、ボタンやダイヤル、塗装の質感は違和感無く、グリップも意外にもちゃんとした剛性感があります。
とはいうものの、前後ダイヤルはスカスカで節度感はないし、シャッターボタンは逆にクリック感が強いうえにクリック感とレリーズが深さが違うという塩梅で、詰めの甘さは明瞭です。(別のブランドで販売されているものも、レビューを見ると似たりよったりなので製造元は同じと思われます)
また、横位置に構えた場合にシャッターボタンに小指の付け根がかかってしまい、右手だけでカメラを支えて持つような場合に意図せずシャッターを(シャッター半押しまで)押してしまうことがあるので、普段はグリップ側のスイッチをOFFにしたほうが良さそう。(純正の場合はどうか不明)
それに、説明では防塵防滴のように書いてあるが、電池蓋にもパッキンは無いので誇大広告か付け忘れか?ダイヤルの節度感の無さもOリングが省略されているんじゃないの?
返品すべきかどうか判断に苦しむなあ…とかいいながら使っています。

D「Commlite AEF-MFT(AF) マウントアダプター」との相性
E-M1とCanon EFマウントレンズ→MFT変換用マウントアダプター「Commlite AEF-MFT(AF) マウントアダプター」を介しての「TAMRON 90mm F2.8 Di Macro VC USD Model F004」の使用感については以前レポートしましたが、Panasonic G8との相性については、使い込んでいなかったためあまり評価できていませんでした。
結果的には前述の通りで、AF-Sでは昔ながらのコントラストAF的に大きくオーバーシュートしてから合焦する動きとなり、Panasonicお得意の空間認識AFは働かないようです。
動作自体は緩慢ではありませんが、うまく合焦できなかった場合でも、さも合焦したかのような表示になることもしばしばあります。
AF-Cではほぼ使用不可能なほど迷いまくり、静止した被写体ならば(運がよければ)合焦することもある程度の動作しかしませんでした。
DMFやMF操作では、測距点の拡大機能は発動しますので、コントラストAF非対応のフォーサーズレンズを使用するよりは快適っていうレベルでしょうか?

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レンズ鏡胴が太いため、ボディ単体にレンズを装着すると、レンズのほうがボディ下面より突出。

------- ここまで書いておいて急転直下、兄貴分のG9に変身(^^; -------