OLYMPUS OM-D E-M1 (12-40mm/F2.8 PROキット) (その7:交換レンズ編C・他)
【 TAMRON 90mm F2.8 Di Macro
VC USD Model F004 Canonマウント】 前回のOLYMPUS OM-D E-M1 (12-40mm/F2.8
PRO)(その6:交換レンズ編B・他)の続きです。 焦点距離的には「SIGMA Macro 105mm F2.8(フォーサーズ)」と「M
ZUIKO 60mm/F2.8
Macro」の中間的な位置で、135フォーマットとしては焦点距離100mmクラスは中望遠領域ですが、MFTフォーマットとしては立派な望遠マクロの領域になります。 このレンズ、いわゆる「タムキュー」と呼ばれてマニュアルフォーカスのフィルム用としても親しまれていたベストセラーレンズの系譜にあたります。 ここまで、昆虫撮影ではけっこう主力で使っているフォーサーズマウントの「SIGMA Macro
105mm F2.8」の写り自体は良好ですが、レンズ側のAF/MF切り替えとフォーカスリングの切り替え(実際にはほぼMFでしか使わないけど)、耐逆光性、八角形の光芒ボケ、絞り駆動のレスポンスの悪さや騒音ははっきり言って旧世代の趣きです。 そこで登場するのが他社のレンズマウントをMFTに対応させる「マウントアダプター」というものです。 そんな中で、新型の登場以降価格下落した(2016年8月に購入時\39361)当レンズに加え、e-bayで探したAndoerの新製品っぽいEF-MFTアダプタを選択・購入して失敗…しばらくレンズ共々お蔵入りとなっていました。 レンズ鏡胴はスリークでシンプル、左サイドに各種スイッチが配置されている以外はこれといって主張のない無難なデザインですが、前モデルから継承されている金帯は賛否あるかしら(^^; ・TAMRON 90mm
F2.8 Di Macro VC USD Model
F004 ・SIGMA Macro 105mm/F2.8 EX
DG 実機での等倍撮影時のワーキングディスタンス実測値は SIGMA
105mm:最短撮影距離(全群繰り出し)時、センサー面から310mm、レンズ先端から120mm となって、実際のワーキングディスタンスは大差がなく、レンズ先端からのワーキングディスタンスは全長が伸びない分有利なことが判ります。 【 Commlite
AEF-MFT(AF) マウントアダプター 】 レンズと前後して海外通販で購入したAndoerのマウントアダプタで本レンズが動作しなかった(実際には写真は撮れるがレンズ・ボディとも手ブレ補正が動作しない)ため意気消沈、2年ほど間をおいて気を取り直し、AmazonのレビューなどでTAMRONや最新のSIGMAなどがそこそこまともに動きそうな評判の「Commlite
AEF-MFT(AF)」を購入してみました。 恐る恐る取り付け、およよ?レンズ側のマウントがきつくてロックできない…(嫌な予感)、ギュッとやったらはまりました。 カメラ側の電源をONしてみると、AFは(一応)動作しました…というか、MFTと互換なはずのFTマウントのSIGMA
Macro105mmよりもはるかに高速で静かです(^^) ちなみに、「Panasonic
G8」にこのレンズとアダプタを装着してみると、いったんジャスピンから大きく外れてから戻るようなAF時のオーバーシュートがかなり大きく、近距離なら合焦しますが遠距離では合焦していないのに合焦したかのような表示になってしまいます。 ここからはレンズ側の話しですが、肝心のMFの操作感については超音波モータ駆動特有の「間接的にレンズ群を動かしている」感があって、遠>近>遠のようにピント微調整しようとすると、何となく違和感がある気がするかなあ。 レンズの全長が伸びたせいで、いつもカメラの保護のために使っているLowe
Proのボディカバーがちょっとキチキチになってしまいましたが、携帯性としてはそれほど悪化せずにすみそう。 その他、追加の試写結果も掲載します。 【 外部フラッシュ OLYMPUS FL-600R / Godox TT-6850
】 純正のフラッシュは本体とマクロレンズ「M ZUIKO 60mm F2.8
Macro」を購入した当初に「FL-600R」を併せて購入しました。 また、型式はFL-600Rですが、実はガイドナンバー50 (ISO200)/36
(ISO100)のような表記は紛らわしくて良くないと思っていて、普通に言うとガイドナンバーは36です。 そこで、またまたよく考えずに「ボディも増やすし、もっと大型のフラッシュもあってもいいかもね」という発想になってしまうのがいつものishidaの悪い癖です。 で、お値段もガイドナンバー60クラスでも純正品のFL-600Rの定価に比べて半分以下です。 外観的にはちょっと樹脂のシボが細かくて、高級感は無いが安っぽいというほどでもない微妙な雰囲気ですが、ボタンやスイッチ類は操作性含めて問題ありません。 発光部には定石通りにワイドパネルとキャッチライトパネルが内蔵されており、バウンスには0度/45度/60度/75度/90度の位置にクリックストップはあるが純正のようなロックボタンはありません。 実際にこれまで使用しているのはE-M1だけですが、今のところ困ったことは無し。 ちなみに、オートズーム時のレンズの焦点距離はカメラからのレンズ情報を元に制御されているようですが、TAMRON 90mm
Macro+Commlite
AEF-MFTでは「67mm」と表示されています。これは単にズームレンジのゾーニングがステップごとになっているためか?ズーム機能のマニュアル設定でも12mm→14mm→17mm→25mm→35mm→42mm→52mm→67mm→100mmにしか設定できません。 ------- その8
へ続く -------
Model
F004とは、「Di VC
USD」と名前にあるように、Di(デジタル対応コーティング)、VC(レンズ内手ブレ補正)、USD(超音波モータ駆動AF)等の現代的な仕様を全て装備した最初のモデルになります。
AFモデルとしては4世代目、Di対応2世代目、VCとインナーフォーカス初代に当たるこのモデルは意外に短命で、現在は新型の「F017」に置き換わっています。
新型モデルはAF速度の向上やシフトブレ対応などの改良が図られているとのことです。
希望としては「100mm越えの焦点距離のMFTマウントレンズを商品化して〜!」というのが切なる願い。
現状はそんなレンズは存在していませんから、代用手段としてこのレンズをE-M1で使用したいと思っても、そもそも最近のTAMRONにはC社とN社対応レンズしかありません…(^^;
ミラーレス構造をとっているMFTの場合、光学的に自由度の高いショートフランジバック構成をとっていることから、一眼レフとのフランジバックの差分を補いつついマウント形状を変換すれば、一眼レフのレンズは物理的に装着が可能です。
実際、FTレンズとMFTボディは電気的にもMFTが上位互換となっているので、電子情報や電磁絞りの駆動も含めて(コントラストAFが可能かどうかなどに制約はあるけど)実用的に使用可能です。
しかし、他社製マウントレンズと組み合わせるマウントアダプターの場合は、FT→MFTのように完全な互換性は望むべくもないのが現状で、単なる物理変換で電磁絞り非対応であったりもします。
電磁絞り対応のものは、最近ではフルサイズαが人気となっていることもあり、制御的によく似ていて互換の取り易いといわれるC社EFマウント→S社Eマウントのような変換が盛り上がってきており、逆にC→MFTに変換するタイプはほとんどアップデートされていないのが現状です。
それに、C→MFT変換の場合はC(EF)→S(E)変換に比べて互換性に難があったり、機能的な制約が出たり、最悪は相性問題でまともに動作しないのが当たり前となっています。
C(EF)→MFTマウントアダプタメーカとしては著名なKIPONのHPなどで見ても、特にTAMRONは動かないものが多いようですし、最近はFWのアップデートもされていないようです。
しかし、このほど新たにマウントアダプタを調達(^^;して息を吹き返しました。
わりとスリークな外見。しかし、実はSIGMA 105mmより全長が長い(^^;
レンズ単体の写真で見ると、旧ミノルタ製のMacro
100mm
F2.8(N)みたいにスリムで小型に感じたが、実物はやはりレンズ内にブレ補正を内蔵したことにより、鏡胴はかなり太めでした。
実際にE-M1に取り付けてみた感じは「思ったよりもデカイ!」。
それに、SIGMA
Macro 105mmの収納サイズよりも太くて長い事が発覚(スペック見てれば当たり前)。
レンズ構成=11群14枚
最短撮影距離=0.31m
最大撮影倍率=x1.0(MFTでの35mm判換算:x2.0)
フィルター径=φ58mm
大きさ(最大径×全長)=φ76.4mm×114.5mm
質量=550g
絞り羽根=9枚
簡易防滴構造
レンズ構成=10群11枚
最短撮影距離=0.3m
最大撮影倍率=x1.0(MFTでの35mm判換算:x2.0)
フィルター径=φ58mm
大きさ(最大径×全長)=φ74mm×102.9mm(等倍時152mm)
質量=470g
絞り羽根=8枚
TAMRON 90mm F2.8 Macro
保護フィルター装着。インナーフォーカスのため、フォーカシングで全長変化なし。
SIGMA 105mm Macro
F2.8装着時。最遠(最短)位置。一番太い場所でもTAMRONよりスリム。
SIGMA 105mm Macro
F2.8装着時。全群繰り出しで最短撮影位置では50mmほど伸びる。
TAMRON
90mm:最短撮影距離時、センサー面から約300mm、レンズ先端から139mm
後述のマクロのフラッシュ撮影でも、レンズ先端が伸びないほうが有利ですね。
しかし、M.ZUIKO
60mm
Macro同様に前玉がレンズ先端直近にあるので、保護フィルターの装着は(好きじゃないけど)必須だと思います。
ただし、既にこのモデルもアップデートはされていない様子で、Webでの通販のタマ数も徐々に減ってきているような印象です。
海外サイトなどではやけに安く売られているのですが、ちょっと心配なので国内で正規流通しているもの(「焦点工房」が正規代理店)を選択しました。
届いたものには、ちゃんと焦点工房の保証書が入っていましたよ。
Commliteのアダプタは既にFT-MFTモデルで体験済みですが、見た目の質感もなかなか悪くないです。
当たり前ですが、MFTボディにC社EFマウントレンズが取り付け可能。レンズ側は何だかとてもきつめでした。
逆に、ボディ側はややルーズ感があるのはFT-MFTで経験済みだが、それよりはガタは少ない感じ。
コントラストAFに正式対応していないSIGMA
Macro105mmと、発売時期も仕様もずっと新しいTAMRON(F004)とを比べてはかわいそうかもしれませんが、そもそも互換性に保証の無いマウントアダプタ経由にもかかわらず、予想以上に動作が良いのに驚きです。
手ブレ補正については、ボディ側の補正が強力なためあまり期待もしていませんでしたが、初めは動いているのかどうかも分かりませんでした。
ボディ側の設定で「レンズ側手ブレ補正優先」としてやると、作動しているのは分かりましたがボディ側の「ピタッ」と止まる様な強力な補正感はなく、何となく効いている程度の感触です。
とりあえず、ボディ側だけでの手ブレ補正で十分だし、いわゆるレンズとボディの協調制御はできないのでレンズ側のVCをOFFにして使用すれば良いかな?
試写してみると、電磁絞りのレスポンスは十分に高側で快適だし、明るい状況ならAFもそこそこの速度と確度で合焦します。
ただし、C-AF(コンティニュアスAF)自体は動作しますが、ピント位置の検出動作はコントラストAFになっているようなので、動く被写体に対してはあまり実用的な感じじゃないです。
それと、、驚いたことにAF後にDMF動作でレンズ側のピントを操作するとピーキングも発動しました。
カメラ側をMFに切り替え(自分はファンクションレバーの機能をAF/MF切り替えに設定)した場合の、AEL/AFLボタンによる親指AFも発動できて感激。
レンズ側のVCはOFF、AF/MF切り替えはAFのままでボディ側の上記ファンクションレバーを使用してAF/MFを切り替える操作で普通のM.ZUIKOレンズと同様の感覚で使えるのは、SIGMA
105mmでのフォーカス切り替えの煩雑さに比べれば違和感が無くてよろしい。(VCの装備は無駄だけど)
フォーカスポイントの自動拡大などの機能は設定で切ってあるから発動しないのか、この組み合わせだから発動しないのかは不明ですが、もともと使っていないので問題なし。
これなら、安心して次のレンズも…ってあるかしら?
AFCもほとんどまともに動かないようなので、コントラスト検出による空間認識AFが自慢のPanasonic機との相性はあまりよくないようです。
DMF時にピントリングを回すと拡大表示になる機能はMFTレンズ同様に働きました。
(これがフリクションで結合している超音波モータ駆動特有のことなのか、フォーカス方式がインナーフォーカスだからなのかは不明ですが…)
それも、SIGMAの105mmに比べて良くない…という程度で、SIGMAの150mmよりは操作感はずっと良好です。
マクロレンズはMFで使用することが大半のishidaにとっても、AFで使用しても特に切り替えなくフォーカス微調整できる超音波モータ駆動のシステムの操作性は気に入っています。
逆に、MFTネイティブなレンズは大半がフォーカス機構がフォーカスリングに直結されていない「電子フォーカス駆動」のため、PROレンズといえどもフォーカス微調整の感触が悪いのを思えばこのレンズのほうがずいぶん良好とも言えます。
自宅で試写してみた「ミスジハエトリ」。E-M1+TAMRON 90mm Macro
F9.0・1/160・フラッシュ・ISO800
屋外の明るい環境下ではAF速度もけっこう俊敏で、実用的に感じました。
マクロレンズなら当たり前ですが、ピンの来ているところはシャープかつその先のまろやかなボケ具合いも良く、背景のボケも硬さを感じない印象です。
E-M1+TAMRON 90mm Macro F3.5・1/640・-1.3補正・ISO200
E-M1+TAMRON 90mm Macro F4.0・1/640・-1.0補正・ISO200
E-M1+TAMRON 90mm Macro F6.5・1/400・-0.7補正・ISO200
サイズや価格の割りに全方向バウンス可能・レンズ焦点距離による照射角調整搭載なのが良いですが、発光部の造りはややお手軽感が漂い、Xeバルブと反射鏡が非常に小さいように見えます。
そのため、近接時には必ず内蔵のワイドパネルを使用するように指示されています。
実際に60mmマクロで近接撮影をすると、(ワイドパネルありでも)びっくりするくらい影の出方がきつくなります。確かに、小さな発光部に加えて60mmで等倍近くの撮影ともなると被写体との距離も非常に接近してしまうので致し方ないかな、とも思いますが…。
仕方なくHAKUBA
クリップオンストロボディフューザー 2WAY M
DSD-CL2Mを併用したり、発光部にかぶせるタイプのディフューザーを併用してマクロ撮影を楽しんでいました。
SONY
α77時代に、韓国のG-marketで購入したこのディフューザー、Amazonなどでよく見掛ける「輪ゴムでポン」みたいな物よりもしっかりしていてけっこう重宝。ただし、マジックテープ装着は一長一短あり。
本物のガイドナンバー50クラスに比べると光量は圧倒的に少ないので、結婚式場のような天井の高い場所では上向き天井バウンスなどにはやや力不足でしょう。
純正品のFL-600R(左) きつい影を軽減するためのディフューザー(右)
シューのロックはワンタッチ式。(左) 上下方向のバウンス操作にはロックボタンを使用。(右)
最近では中華製品のレベルが上ってきているのはこれまでもよく述べてきていますが、電子部品についてはいかがなものか?という懸念点も多いうえに、フラッシュのサードパーティ品っていうのがほとんどC社とN社対応ばかりで、MFT規格に準拠したものはなかなか無いんですね。
その中で、新興メーカーながら最近ではプロ用製品までラインナップしている「Godox」っていうメーカーにはMFT規格準拠品が見付かりました。
GNo.60、マニュアル/TTL調光だけでなく、オート/マニュアルズーム、ハイスピードシンクロや後膜シンクロ、ワイヤレス発光などなど、機能的にも純正に劣りません。(純正にあるLEDライトだけは未装備)
そのうえ、ほとんどおまけ的な価格で電波式のワイヤレスコマンダーがセットになったキットまでも売られています。
2017年11月購入当時の価格は、RCコマンダー「X1T-O」と、カラーフィルター、クリーニングクロスと手袋などがおまけで付いたセットが\15999でした。(2015年7月に購入したFL-600Rは¥25116)
Godox TT-685O(末尾のOは「OLYMPUS向け」っていう意味ね) 流石にでかい!
OLYMPUS FL-600R(左) Godox
TT685O(右) 高さの差がマクロ時には効く。
OLYMPUS FL-600R(左) Godox
TT685O(右) 発光部の大きさもマクロ時には効く〜。
液晶画面の表示。電源スイッチはスライドタイプだが、カメラのスイッチOFFで自動的にスリープする。
シュー部分はFL-600Rの樹脂製に対して金属製。(左) ロックはオーソドックスなナット式。(右)
電池は単3電池4本仕様。電池蓋は下にスライドして横に開く方式。
液晶表示含めた操作性も分かりやすいかな?
これは使い勝手が良い反面でクリックストップの力が弱く、ディフューザーなどを取り付けた際にお辞儀してしまうこともあるのはちょっと残念です。(単体で使うぶんには問題ないですよ)
ホットシューのベース部は純正が樹脂なのに対してしっかりした金属製を採用、シューへのロックはオーソドックスなナット式ですが、特に操作性に難はなし。
メインスイッチがスライド式なのも「非発光にしたい」という時などに操作性が明快でいいなと思います。
(これは、SONYでスリープ復帰後に必ずフラッシュがONになってしまうことが不満な仕様だったのが念頭にあるからそう感じるだけかな?)
もちろんフラッシュのメインスイッチがONの状態でカメラがスリープに入ったりカメラのメインスイッチを切ったりすればフラッシュも自動的にスリープ状態に入りますし、カメラが起動すれば連動してフラッシュも起動します。
(ほとんどTTLオートでしか使ってないですが…露出的にも特に不都合を感じません)
チャージも早いし、エネループを使用した場合の発光回数も(絶対的な発光回数は分からないですが)マクロでは発光量が結果的に少ないためもあって十分な印象です。
発光量が増えるディフューザーやバウンスを多用しても、カメラの電池交換よりもフラッシュの電池交換の回数はずっと少ないです。
2018年の沖縄遠征でも余裕の発光量も相まって大活躍してくれました。
試しに撮影した画像のExifデータを確認したら、ちゃんと焦点距離は「90mm」と認識していました。