OLYMPUS OM-D E-M1  (その8:交換レンズ編D)

 

【 M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO ×1.4テレコンバーターキット 】

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前回の OLYMPUS OM-D E-M1 (12-40mm/F2.8 PRO)(その7:交換レンズ編C) の続きです。

2017年7月に「Panasonic G8(12-60mmレンズキット)」と一緒に注文したレンズですが、自分の中では世間の評判通りに素晴らしいレンズだなと思った反面、2018年沖縄遠征で持参したものの、思ったより使用頻度が低かったのでした。
それというのも、MFTフォーマットは135フォーマット換算で焦点距離2倍相当の画角となり、「サンニッパ(いわゆる300mm/F2.8)相当のレンズ」などとも言われることがありますが、世間的なAPS-Cフォーマット(135換算では1.5倍相当)に比べれば1.3倍程度にすぎませんし、あくまでも40-150mmの焦点距離のレンズに過ぎません。
望遠域の撮影ということになると、どうしても同時に持参した「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」のほうが付けっぱなしでも不自由しない程度のコンパクトさもあって、出番が多かったのでした。

それでも、ミラーレス専用規格の元祖といっても良いMFTですから、この「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」自体もショートフランジバックを生かした設計的自由度を最大限に生かした写りの良いレンズとの評価は変わりません。

このレンズ、「PRO」と名付けられているシリーズの望遠側をカバーすべくラインナップされたもので、Panasonicの場合は135換算での70-210mm相当を狙って「35-100mm・F2.8」をラインナップしてきたのに対して、より長焦点側に振ったMFTらしいレンズといえます。
しかし、噂には聞いていた(?)とおり、とにかく焦点距離から想像する以上の、MFTレンズとは思えないくらい「大きくて重い」レンズでした。

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写真は付属のフード、レンズキャップを装着、三脚座→デコレーションリングに交換、プロテクトフィルターを装着。

 ■レンズ構成=10群16枚
 ■最短撮影距離=0.7m(全焦点距離)
 ■最大撮影倍率=0.21x(35mm判換算:0.42x)
 ■フィルター径=φ72mm
 ■大きさ(最大径×全長)=φ79.4mm×160mm
 ■質量=760g(三脚座除く)/ 880g(三脚座あり)

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サイズ感はAPS-Cの普及版「75-300mm F5.6」的なイメージ。

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伸縮式のフードが付属。スライド式のため、便利な反面かなり外径が太くなる。

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インナーズームのため全長は伸縮しません。しかし、フードまで着けると長大(^^;

外観デザインは非常に高級感があって、基本的に鏡胴の外装は金属製のようです。
ズーム方式も珍しい「インナーズーム」方式をとっているため、防滴にも有利なうえにズーミングによる全長変化がないためバランスが大きく変わることはありません。
また、よくある「望遠側にズームするとなんだか情けない姿…」みたいなことがない反面、広角端の40mmでも長大な全長のままで、収納性や携帯性はよくありません。
その代わりといっては何ですが、標準で付いてくるフードは伸縮式になっているため、わりと便利です。

三脚座も標準で付いてくるのですが、360度回転可能なのは良いものの、取り外しのためにはレンズをボディから取り外す必要があるのは使い勝手をスポイルしているような気がする。
それに、三脚座は通常の三脚ネジ穴が空いているだけなので、アルカスイスタイプの三脚に取り付けるためにはクイックシュープレートを取り付けてやる必要があるのも今時のものとしてはやや不満。
そのうえ、三脚座を取り外した状態では鏡胴外周に抜け止めのピンが突出しているため、何だか持ち辛いような気もするし、外見もなんだかだらしなく見える気が…
また、それを隠すためのデコレーションリングがオプション設定となっていますが、樹脂製なうえに表面の質感が違っていて、思いのほか高価(定価2700円)なのと併せて不満を感じるところです。

出来れば、リングを残して三脚座だけが外れる構造にしてくれると嬉しいところです。(社外品が現れるとなお良い(^^;)

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三脚座を外して軽快に撮りたい場合はこれで。(軽快…ではないけど)

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金属のレンズ外装に対して、デコレーションリングは樹脂製のため質感が合わず、雰囲気も安っぽい。

ズーミングのトルクは滑らかで適度な重さがあり、フォーカスは電子式(メカニカルな結合なし)ですが、PROレンズの場合はフォーカスリングを手前に引いてワンタッチでマニュアルフォーカスに切り替えることが可能なだけでなく、距離目盛に対する絶対位置対応となっているため、マニュアルフォーカスの使い勝手や操作感は良好です。

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レンズ先端にあるフォーカスリングを手前に引くと距離目盛が現れてマニュアルフォーカスに切り替わる。

キットレンズの「12-40mm F2.8 PRO」も同様ですが、一般的な電子フォーカス方式と違って、距離目盛に対応して絶対位置が(電気的に)決まっています。
オートフォーカスに切り替えても、リングの絶対位置が変わらなければ、再びマニュアルフォーカスに切り替えればフォーカスリングの位置にピント位置が移動するため、フォーカスメモリー的にも使えます。
回転範囲は90°程度しかないんですが、適度なトルク感があって初めは機械的な結合かと思った(^^;くらい操作性に違和感はありません。
ただ、リングのスライドにロック機構などはないため、意図せずにアニュアルフォーカスに切り替わってしまって、オートフォーカスが効かない??といったことが起き易いため、ファームウエアVer.4ではフォーカスリングによるフォーカス切り替えを無効にする機能が追加されています…ちょっと本末転倒かも。
自分はマニュアルフォーカスも多用するので、リングによるフォーカス切り替え機能は生かしています。
E-M1の場合はファンクションレバーをフォーカスモード切替的に使えるので、リングによるフォーカス切り替え機能を無効にしても良いのかもしれませんが、レバーの無いボディの場合はFnボタンとかにAF/MF切り替えを割り当てないといけないので、ちょっと使いづらそうですね。(PRO以外のレンズでは必然的にそうなってしまうけど)

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テレコンバーターキットには「MC-14」(倍率1.4倍)が付属。中央が突出した専用キャップ。

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レンズ側に突出した構造のため「40-150mm F2.8 PRO」「300mm F4 PRO」以外には取り付け不可。

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テレコンバータを取り付けると、56-210mm F4.0(135換算で112-420mm相当の画角)に変身。

「テレコンバータキット」なので×1.4倍のテレコンバータ「MC-14」も付属していて、これを取り付けると「56-210mm F4.0(135換算で112-420mmの画角)」に変身します。
世間的には「ほとんど画質劣化を感じない」くらいに言われていますが、もちろん実際には装着によって解像感は若干落ちます。
そうは言ってもさすがに専用品だけあって十分なシャープさで、トンボなどの撮影に使っても十分なワーキングディスタンスを稼げることと相まって使いやすく感じます。
テレコンとしてはコンパクトな部類に入ると思いますが、メス側のマウント(レンズがはまる側)からレンズが突出しているため、装着時にはテレコン側のレンズがメインのレンズ側に入り込むような構造になっていてちょっとドキドキしますが、テレコン側のレンズ周囲はゴムで覆われていますので、ちょっとだけ安心。
でも、この構造のお陰で、中央部の突出したテレコン専用のボディキャップでないと装着不能です。

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + OLYMPUS E-M1   150mm F2.8・1/320 ISO-400 デジタルズーム×2 

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M.ZUIKO 75-300mm F4.8-6.7 U + Panasonic G8  300mm F7.1・1/200 ISO-1600

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + MC-14 + OLYMPUS E-M1   140mm F4.0
・1/25 ISO-400

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + OLYMPUS E-M1   15
0mm F2.8・1/500 ISO-200 デジタルズーム×2

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   150mm F5.6・1/1000 ISO-200

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   62mm F8.0・1/8000 (-0.33EV) ISO-200

オリンパスのMFTネイティブなレンズ群の例に漏れず、このレンズも耐逆光性は高いと思いますが、望遠側で太陽などの強いハイライトが入るとさすがに下のようにゴーストは発生します。
(実際にはセンサー面反射のようにも見えるが?Panasonic G8のほうが発生しやすい感じもある?)
それでも、ヌケの良い高コントラストな画像は、さすが「PRO」と銘打っているだけあると感じます。

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   150mm F7.1・1/8000 (-0.33EV) ISO-200

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   130mm F4.0・1/1000 (-2EV) ISO-200

ワイド端が40mmと画角的には中望遠(135換算で80mm)だが、奥行き感のある構図も可能で、使い勝手の良好なズーム域だと思うし、以下の作例のように、絞ればパンフォーカス的、開ければそれなりのボケ描写も可能です。

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   40mm F10・1/100 (-0.33EV) ISO-400

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   40mm F2.8・1/640 (-0.33EV) ISO-200

後ボケの描写は、焦点域や被写体によって輪郭がやや硬めに感じるので、背景の整理が必要な感じ。

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   130mm F2.8・1/3200 (-0.33EV) ISO-200

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   130mm F2.8・1/1000 ISO-200

MFTフォーマットの利点を生かして、望遠ズームとしては異例の近接撮影が可能です。
マクロレンズ的な使い方が可能なだけでなく、最短撮影距離(0.7m)での描写もシャープです。

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   150mm F4.0・1/1300 (-0.33EV) ISO-200

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ピント位置を等倍切り出し。

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   115mm F2.8・1/2500 (-0.33EV) ISO-200

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + Panasonic G8   82mm F2.8・1/5000 (-1.33EV) ISO-200

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + MC-14 + Panasonic G8   190mm F6.3・1/400 (-1.33EV) ISO-200

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M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO + MC-14 + Panasonic G8   210mm F5.6・1/500 (-1.33EV) ISO-320

------- その9 へ続く…ことなくこちらへ(^^; -------