OLYMPUS OM-D E-M1 (12-40mm/F2.8 PRO)  (その5:交換レンズ編A)

【 SIGMA APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM

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OLYMPUS OM-D E-M1 (12-40mm/F2.8 PRO)(その4:交換レンズ編@)の続きです。
またしても中古のフォーサーズレンズの登場です。
こちらも絶版となっていますが、前述の「SIGMA Macro 105mm F2.8」よりも更にマニアックなうえに高価格で中古のタマ数が少ないものです。
まずまずお値打ちでしたが、年式相応のゴムリングのヤレ感があることと、プロテクトフィルターをぶつけたらしくねじ山がずれて外せない状態でしたが、それ以外は特に外観にこれといった傷もなく、レンズ内も綺麗な状態でした。

フォーサーズの総合サイト<http://four-thirds.org/jp/fourthirds/macro.html#c=FINISH>にある説明の引用によると、以下のような特徴のレンズです。(色塗りはishidaによる105mmとの差別化ポイント)

--------------------------------------- 以下引用 -----------------------------------------

小型・軽量が魅力のF2.8大口径望遠マクロレンズです。SLD(特殊低分散)ガラスを効果的に使用し、諸収差を良好に補正。あらゆる撮影距離において高画質を実現しています。また、スーパーマルチレイヤーコートにより、フレア・ゴーストの発生を軽減し、良好なカラーバランスを確保。HSM搭載により、フルタイムマニュアルが可能です。(^^;

SIGMA APO Macro 150mm/F2.8 EX DG HSM
焦点距離=150mm(∞)

レンズ構成=12群16枚
最短撮影距離=0.38m
最大撮影倍率=1.0x(35mm判換算:2.0x)
フィルター径=φ72mm
大きさ(最大径×全長)=φ79.6mm×142.4mm
質量=920g

--------------------------------------- 引用ここまで ---------------------------------------

参考に105mmのスペックは
SIGMA Macro 105mm/F2.8 EX DG
 
焦点距離=105mm(∞)
 レンズ構成=10群11枚
 最短撮影距離=0.31m
 最大撮影倍率=x1.0(35mm判換算:x2.0)
 フィルター径=φ58mm
 大きさ(最大径×全長)=φ74mm×102.9mm
 質量=470g

150mmのほうが105mmよりも全長は40mm長く、質量はほぼ倍の(引用には「小型・軽量が魅力の」と書いてありますが)重量級レンズですね。
TAMRONやSIGMAには180mmの望遠マクロがあるもののフォーサーズマウントに対応したものはありませんから、フォーサーズのシステム上可能な最長焦点距離のマクロレンズとなります。

ただ、最短撮影距離について比較すると、105mm:31cmに対して150mm:38cmとなっており、意外に差が少ないのは150mmはもともと主点の位置がレンズ全長の前寄りになっているだけでなく、インナーフォーカスのため近接撮影時には実焦点距離が短くなっているのが大きな原因ではないでしょうか。
等倍でのワーキングディスタンスが稼げる期待をしていたんですが、ちょっと期待外れだったかも??

実機での等倍撮影時のワーキングディスタンス実測値は

105mm:最短撮影距離(全群繰り出し時)、センサー面から310mm、レンズ先端から120mm
150mm:最短撮影距離、センサー面から380mm、レンズ先端から195mm

となりました。
105mmの最短撮影距離では全群繰り出しによってレンズ全長が51mm伸びます(102.9+51=152.9で、150mmの全長142.4より長い)が、150mmはインナーフォーカスのため全長変化はありません。
「最短撮影距離」とは、カメラのセンサー面からの距離ですから、そこから被写体までの距離が60mmの差で、その時のレンズ先端から被写体までの距離が75mmの差でした。
結果的には、焦点距離の差があるわりにはワーキングディスタンスに差が少ない…

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カメラが小さいので、ますます巨大に見えます。(実際、重量920gもあるけど)

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着脱可能な三脚座、AF/MF切り替えスイッチとフォーカスレンジ切り替えスイッチを装備。

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マウントアダプタの長さのお陰で何となく微妙な前後バランスに見える?

当時のSIGMA独特の外観デザインは105mm同様に古臭いですが、絞り羽根は105mmの8枚構成に対して9枚構成とグレードアップしており、ほぼ円形に近い開口になります。

AF用のモータは、シグマがHSM(Hiper Sonic Motor)と呼ぶ、いわゆる超音波モータを使用しており、AF/MFの切り替えなくマニュアルフォーカスに移行可能です。
Canonなどでお馴染みの超音波モータ駆動というと高速なAFが連想されますが、このレンズとE-M1との組み合わせでは「像面位相差AFが可能」とはいっても、フォーカシングの速度は非常にゆっくりです。
スイッチの位置はAFのままで、まずは手動で大まかにフォーカシングしておき、被写体を確認してからAFでピント合わせしたり、AF後に微調整したり出来るのは便利。
ただ、前述のようにいつでもフォーカスリングを回してピント合わせ出来るのはうれしいですが、実際にはフォーカスリングとフォーカスレンズ群は直結ではないようで、ピントリングの回転量とフォーカス表示窓内の指標の回転量は同じだけ変化しません。
動作自体も遠くで重いものを間接的に動かしている感があって、小刻みな微調整は大変し辛い感触です。
このレンズを使った後で105mmマクロを使ったらマニュアルフォーカスの微調整がすごくやり易く感じた。

FW Ver.4で表示が改善されたピーキング表示を活用することで、最近衰えてきた視力も補ってくれるのは助かりますね。(フォーサーズレンズを使用する場合はピントリングを回すと自動的に拡大表示になるといった機能は使えませんが、ishidaの場合はマイクロフォーサーズレンズの場合も拡大表示への自動切換えは切っていますので平気です。)

105mmマクロのほうは、絞り駆動の遅さが際立ちましたが、本レンズはかなり俊敏に動作して好感触です。
(音は結構うるさいかも…)

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バヨネット式レンズフードも付属していますが、装着すると更に長大(^^;なのでオミット。

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「ハゼノキ」 F2.8・1/320・-0.7EV・ISO320 (左) 「ヒロハフウリンホオズキ」 F4.5・1/320・-0.3EV・ISO640 (右)

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遠州灘を行く輸送船と漁船。F4.5・1/8000・-0.3EV・ISO200

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ヒメバチの一種。 F5.0・1/320・+0.3EV・ISO1000

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車検受けたてのマイカー。F2.8・1/400・-0.3EV・ISO200

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「ヤマトフキバッタ」 F7.1・1/320・-0.7EV・ISO200

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「ヤマジハエトリ」 F7.1・1/320・±0EV・ISO200

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上の写真の等倍切り出し。

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「キゴシハナアブ」 F6.3・1/320・±0EV・ISO400

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上の写真の等倍切り出し。ちょっと手振れ入ってるかも。

マクロ域では、ワーキングディスタンスが大きく取れる(離れて撮れる)ことから、むやみにパースが付かずスムーズなボケの変化が心地良い描写に感じられます。(短焦点のマクロでは同じ大きさに撮るためには接近して撮影する必要があるため、被写体の前後の距離差で逆にボケの変化が大きくなりがち。)
もちろん望遠系のレンズですから、背景を整理して主被写体を切り取る描写はお手のものです。

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「ハラビロカマキリ」 F4.0・1/1000・-1.0EV・ISO200

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上の写真の等倍切り出し。

ただし、想像していたような「カリカリにシャープな解像感」ということはなく、解像力は高いがやや軟らかめな描写に感じます。

やはり短焦点のレンズとは違って望遠系のマクロレンズは扱いが難しいんですが、超望遠的な使い方も出来て楽しいですね。
といっても、長焦点なうえに重量も重くて、E-M1の強力な手振れ補正の助けがあってこそ…です。

------- その6 へ続く -------