OLYMPUS OM-D E-M1 (12-40mm/F2.8 PRO)  (その4:交換レンズ編@)

OLYMPUS  M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II

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OLYMPUS E-M1 (12-40mm/F2.8 PRO) (その3:使用編A) の続きです。

マイクロフォーサーズの利点 その2ですが、「35mmフィルム換算での焦点距離が2倍」ということが挙げられます。
本当に利点なのかは疑義もある(^^;かと思いますが、望遠レンズを含むシステムが結果的にコンパクトになるというのは、使ってみて恩恵を感じます。
もちろん、広角系のレンズの場合は逆にデメリットが感じられるのも事実ですが、ishidaの使用する範囲でいうと、超広角は使わないので今のところデメリットを感じていません。

で、上の写真は、「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」というもので、パナソニックの「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3」が発売されるまでは、パナソニック製の「LUMIX G VARIO 100-300mm / F4.0-5.6」と並んで選択可能な中での最も長焦点のM4/3レンズだったものです。
(ケンコートキナーが販売しているマニュアルフォーカスの反射望遠400mmレンズは除く)

35mm換算で150〜600mm相当ということで、αシリーズで使用していた100〜400mmズームと同等の焦点域となりますが、サイズ的にはもちろん大幅に小型です。
フランジバックが短いだけでなくイメージサークル自体も小さいので、レンズ径も小さくなることからシステムとしても全体としてコンパクトになります。

・OLYMPUS  M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II
 レンズ構成= 13群18枚
 最短撮影距離=0.9m(焦点距離75mm)/1.5m(焦点距離75mm以外)
 最大撮影倍率=0.18x(35mm判換算:0.36x)
 フィルター径=φ58mm
 大きさ(最大径×全長)=φ69mm×116.5mm
 質量=423g

レンズの開放F値もF4.8-6.7と暗いのですが、マイクロフォーサーズの場合はEVFかモニターを見て撮影するわけですから、一眼レフと違って「ファインダー像が暗い」ということはありません。
(被写界深度の影響で、マニュアルフォーカス時のピントの山はつかみにくいですが…)

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最短焦点距離75mm時

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最短焦点距離300mm時

マイクロフォーサーズに最適化されているため、マニュアルフォーカス時は先端側にあるフォーカスリングを回転させることによる電子式です。
(操作感自体は悪くないが、やはりメカニカルなほうが操作性は良いでしょうね)
しかし、構造的にはメカニカルな結合もないことが小型化や俊敏なフォーカス移動に有利に働いていると思われます。
手振れ補正も本体側が受け持つため、鏡胴の構造は簡略かつ光学的な制約を受けづらい(設計的な制約を受けない)ので、総合的に見て小型化・コストに有利でしょう。
でも、「設計的な」なんて一般ユーザーには直接関係ない話しだけど、何となく身につまされる気が…

描写性能は、解像感も十分で好印象です。
でも、やはり口径の小さなレンズ+小サイズセンサーの組み合わせからくるマイクロフォーサーズ特有の「コンパクトカメラっぽい描写」ともいえますね。

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桶ヶ谷沼にて ハラビロトンボ 300mm F6.7・1/800 ISO200 何となく背景がごちゃっとして見える。

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中央部を拡大(等倍切り出し後1/2に縮小)

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豊橋港を出航する護衛艦「こんごう」300mm F6.7・1/1600 ISO200

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中央部を拡大(等倍切り出し) MFTの画質的な限界だけでなく、大気の揺らぎの影響も大きいかも…

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曇天の小松基地を飛び立つ飛行教導団のF-15 300mm F6.7・1/1000 ISO200 ちょっと周辺減光を感じる。

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浜松基地でのブルーインパルス 105mm F6.3 1/100 ISO200

飛行機の撮影では、α77+100−400mmズームの組み合わせよりもシステムが小型・軽量であるだけでなく、E-M1のAFシステムのお陰か、思ったよりAFが外れにくいのもうれしい誤算でした。

【 SIGMA Macro 105mm F2.8 EX DG

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最初に「マイクロフォーサーズの利点」として挙げた「同じ画角なら実焦点距離が短いので被写界深度が深い」と述べて「M.ZUIKO 60mm/F2.8 Macro」に走ったishidaですが、自己矛盾でしょうか(^^;
実際に使用してみた描写性には満足ですが、60mmの場合はどうしても等倍撮影時のワーキングディスタンスが短めとなってしまいます。
昆虫撮影の場合のワーキングディスタンスを稼ぐためには、前にも述べた「レンズが同じ焦点距離なら、画面上で同じ大きさに撮る為にはより遠くから撮れる」という理屈で、α77時代に使っていた100mmのようなもう少し長焦点のマクロレンズが欲しいところです…って、実際にはマイクロフォーサーズにはそんな選択肢はありませんよね(^^;

で、候補に挙がったのがこのレンズです。
これは「フォーサーズ規格」のレンズですが、既に生産・販売が終了しており、カメラのキタムラのネット中古サイトで見付けて購入してみました。
旧規格とはいえ互換性が保たれており、マウントアダプタ経由でマイクロフォーサーズボディと接続可能で、E-M1との組み合わせなら、位相差AFが利用可能です。(このレンズはコントラストAFには非対応)
フードとレンズキャップは欠品でしたが、外観・レンズ内部とも程度は上々です。

【 FOTGA 43-M43 マウントアダプター 】
マウントアダプターは、純正品ではなく「FOTGA」の43-M43用電子接点付きをAmazonで購入。
Amazon日本倉庫からの発送でしたが、Amazonの箱の中から出てきたのは中国発送の袋に製品の元箱が入ったままの状態でした。
そのうえ、そもそも中国から出荷された時点で元箱がつぶれてるし、ビニール袋に入った製品がとくに緩衝材もなく箱の中で遊んでいました。
そのような残念な状態でも、レンズ情報は正常に伝わっているようで動作自体は問題ありません。
しかし、製品自体は(商品写真ではアルミ製みたいにも見えるが、よく見たら「素材:ブロンズは、バヨネットマウント&プラスチックボディを作りました」と拙い日本語の説明に書いてあったけど)プラスチック製のボディに金属マウントという構成で、取り付けも回転方向のガタ(フランジ側ではなくロックピン穴の精度?)が大きめなうえに剛性感がなくて頼りない感じです。
何故かアダプタ下面に三脚穴があるけど、そもそも樹脂の筐体なので頼りなさ過ぎ…
マウント部の仕上げや材質にもやや不安が残る仕上げですし、そもそも、この位置ではレンズやボディとの関係で、直接三脚に取り付けは無理なんでは?

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「高精度」って言われても、箱も残念な状態(^^;です。(左) 内面のテカリも感じる…(右)

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造りは値段なりでチープだが、機能上は問題なし。

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とても使う気にならない三脚ねじ穴。

レンズの話しに戻ると、このレンズ自体はもともとシグマのデジタル一眼レフ用ラインナップにあったもののマウントとソフトウェアをフォーサーズ用に変更したものです。
(シグマはフォーサーズ規格への賛同メーカーなので「なんちゃって」ではありません。)
しかし、35mmフルサイズにも対応したレンズをそのままフォーサーズマウント対応としただけですから、レンズ自体も大柄で、重量も470g(前述の75−300mmより重い)もあります。
このレンズをマイクロフォーサーズで使うメリットはワーキングディスタンスと撮影倍率だけですね。

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm/F2.8 Macro
 レンズ構成=10群13枚
 最短撮影距離=0.19m
 最大撮影倍率=x1.0 (35mm判換算:x2.0)
 フィルター径=φ46mm
 大きさ(最大径×全長)=φ56mm×82mm
 質量=185g

SIGMA Macro 105mm/F2.8 EX DG
 レンズ構成=10群11枚
 最短撮影距離=0.31m
 最大撮影倍率=x1.0(35mm判換算:x2.0)
 フィルター径=φ58mm
 大きさ(最大径×全長)=φ74mm×102.9mm
 質量=470g

単体で撮影倍率1:1に対応していますが、前にも書いたように「APS-Cサイズのα77+100mmマクロ×1.4倍クロップ」と同じような撮影結果となります。

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マウントアダプタも相まって重量級。

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全群繰り出しで、等倍時は更に長大になります。 

ちょっとリサーチ不足だった点もありますが、このレンズは基本設計が古くて、絞り羽根も8枚構成のため背景に点光源があると、絞り込んだ際には8角形の玉ボケが現れます。
描写自体は非常に良いのですが、いわゆる円形絞りに慣れきっていたため、初めは違和感があったのも事実ですし、当時のSIGMA独特の外観デザイン、ジージーうるさいフォーカスモータの音など含めて何となく「古臭いレンズ」感は否めませんね。

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ショウジョウトンボ 絞りF9.0 1/250 ISO 320 (左) 絞り開放 F2.8 1/1600 ISO 200(右)

使用し始めてしばらくは気が付きませんでしたが、被写体や光線の具合によって逆光時に内面反射の影響っぽいかなり盛大なフレアが出ることが判りました。
これはレンズ側だけの問題ではなく、安物のマウントアダプタの内面反射の影響も大きいようです。
特に、曇天の空や木洩れ日などが画面内にあるときに顕著ですが、画面内に光源が入っていなくても、前玉に直射光が入っているとカブリの原因になりやすいようです。これは逆にフルサイズ向けのイメージサークルを持っていることが災いしているのかもしれません。
このレンズはマクロレンズによくあるタイプの前玉が奥まっている構成なので鏡胴がフードのような役目もしてくれるのですが、そこで防ぎきれない角度での強い入射光があるとゴーストになるようです。
それを考えると、前玉が前面に出ている「M.ZUIKO 60mm/F2.8 Macro」の耐逆光性の高さは特筆もの?

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ボケの中のシルエットはセンサー面反射? F4.5 1/200 ISO 1600 (左) 少し角度変更。F4.5 1/200 ISO 1000(右)

操作性についても、キャノンやニコンなどの方式を踏襲しているのか、レンズ側に「AF/MF切り替えスイッチ」が付いています。
このレンズは更に、タムロンが採用していたのと同じような「フォーカスクラッチ機構」を持たせたフォーカスリングを採用しています。
無駄に幅広い(とishidaは感じる)フォーカスリングを、手前に引くとフォーカス移動機構と連結し、前にずらすと連結が外れ、オートフォーカス時にフォーカスリングが回転しません。
ただし、この機構と「AF/MF切り替えスイッチ」は連動していないため、切り替えには2アクション必要となってしまうのはイマイチですね。(ishidaはほとんどMFで使用ですが、AF時にもスイッチしか操作しないため、フォーカスリングはくるくる回転)
また、E-M1の場合は(特別なレンズ以外は)基本的にカメラ側でAF/MFを切り替えするように出来ていますので、ishidaはファンクションレバーでAF/MFを切り替えするように設定しています。
しかし、このレンズを装着した場合は、カメラ側のレバー操作よりもレンズ側の「AF/MF切り替えスイッチ」が優先されるようです。
レンズ側には手振れ補正機構は搭載していませんが、レンズの焦点距離情報はボディに送信されるので、E-M1の強力な手振れ補正が快適に使用できます。

もう一点気になるのが、絞り駆動はレンズ内のモータによって作動するのですが、動作速度が遅いうえに音も「ジジ〜ガチャン」という感じでうるさいのはちょっとがっかり。
沖縄で「バーバートカゲ」を撮影しようとしたら、このうるさい絞り駆動音のせいで何回チャレンジしても毎回のように逃げられてしまいました。

------- その5 へ続く -------