ishida式の 恩田大川入山 登山
2022年2月7日(月)
新雪と歩き応えで選んだ目的地と時期でしたが、却って雪に翻弄されました…(^^;

こちらの記事でも書いていますが、2011年に購入したスノーシュー「MSR ライトニングアッセント」が経年劣化によりストラップとバインディングが破損したため、モンタニアを通じて販売元へ修理依頼していました。
納期的には長期戦かなと思い心配ましたが、思いのほか早く修理が完了したのでお試しも兼ねて(?)早速雪を楽しむべく次の山行を計画しました。

今回は新雪が期待出来る天候に合わせてそこそこ歩き応えのある山をと考えて、以前にも積雪期に2回行ったことのある「恩田大川入山」を目的地に選びました。
この山は、近隣でポピュラーな登山対象である「大川入山」の西北西に位置し、正規に整備された登山道がないため「積雪のある時期限定の山」とされています。
ルート自体は「大川入山」の北側の登山ルートである「あららぎ高原スキー場」からの登山道をたどり、尾根上の下降点からそのまま尾根伝いに行くだけなので、「プチ冒険ルート」とも言えます。
※「あららぎ高原スキー場」が2018年以降は営業休止しているのは最近になって知りました。

2月の第1週には強い寒気の流入があって各地で大雪となりましたが、南信地域では積雪はあるものの大雪とはなっておらず、週明けに新雪は期待できる代わりにアクセス上の不安はなさそうです。
当日はいつも通り3:00に起床して朝食等を済ませて出発し、今シーズン初めて積雪を考慮してR151バイパス大海経由、R257は津具へのショートカットルートを使わずに設楽大橋から名倉〜稲武へと抜けて平谷の道の駅まで行きました。
設楽大橋から先の登りで凍結路が現れてその後はずっと雪景色となりましたが、前回の津具ルートに比べて距離は長いものの今回は低速車にも遮られず、除雪もしっかりされていてペースダウンが少ないおかげで所要時間はほとんど変わりませんでした。
稲武での気温表示は−8℃、根羽や平谷では−15〜−16℃と、気温はこの冬一番の冷え込み(?)
道の駅で用を済ませ、軽く腹ごしらえして「あららぎ高原スキー場(跡)」を目指します。

寒原峠手前で国道を左折してしっかり除雪された道を進むと、スキー場P3駐車場の入口に数台分の駐車スペースが除雪されていますがその先の道路は全く除雪されていない状態でした。

そそくさと登山の準備を終え、まずはスノーシューをザックに括り付けて歩き出しますが、週末に積もった道路の雪も思ったよりも多いため結局は駐車場からスノーシュー装着で歩き始めました。

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P3駐車場の入り口に数台分のスペース。(左) いきなりスノーシュー歩きになりました。(右)

閉鎖されて寂しいスキー場のセンターハウス脇を抜けてリフトが撤去された初級ゲレンデを進むと、のっけから膝近くまで沈み込んでしまうような新雪の量です。
スキー場が営業しているわけではないのに、何となく習慣で東寄りのゲレンデの端を歩いていましたが、普通に考えればゲレンデ中央寄りの日当たりの良い場所のほうが雪は締まっているよね?
ということで、ゲレンデ中央寄りに移動したら、沈み込みがけっこう軽減されました(^^;
それにしても、週末に積もった新雪が20p以上あるようで、スノーシューの上に乗ってくる雪もそこそこ多くて、ゲレンデを歩いているだけなのになんだか疲れてきたような気が…

まだリフトの支柱が残る中級コースゲレンデの下に真新しい「←大川入山 登山道入口はこちらです」の看板が現れ、そこから横に移動すると記憶にある登山口の標識から登山道に入ります。

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まずはゲレンデを登ります。よく見ると中央奥に目指す山域が見えている(^^)

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 ゲレンデ途中で振り返ると南木曽岳と穂高が見える。

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ゲレンデ上はずっとノートレース。(左) ゲレンデ上部に登山口へ誘導する看板が設置されていました。(右)

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登山道入り口からトレースが判別可能に。(左) 新雪の下はしっかり踏まれていて歩き易い。(右)

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ishidaの感性を刺激するたおやかなふくらみです。

登山道に入ってすぐに沢を越え、まずはシラカバの多いなだらかな森の中を進んでishidaの感性を刺激するたおやかなふくらみの谷間に突入、そこから先は杉の植林地と広葉樹の2次林の境い目を縫うようにして尾根の上部を目指します。
背後のゲレンデやその向こうにある「三階峰」がだんだん低くなってくると、背後に木の間越しですが中央アルプスや南アルプス、穂高、乗鞍などが見えてきます。
この辺りではまだまだ登山道が凹んで判別し易く、新雪はあってもスノーシューの沈み込みは軽減されるため、傾斜は急ですが体力的にはそれほどきつく感じませんでした。

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このくらいの沈み込みならまだまだ余裕?(左) 尾根のトップまではこのような状態。(右)

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三階峰の背後から中央アルプスや南アルプスが見えてくる。

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しかし、尾根上ではいきなりノートレース。(左) 沈み込みが一気に増えます。(右)

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尾根のトップ付近まで来ると、木々の間からですが中央アルプスがよく見える。

スキー場ゲレンデの背後にある尾根のトップまで来ると雪の状態は一変し、風で移動した新雪でトレースは完全に消えています。
ここから先は雪面の凹みによって登山道が判別できる場所はほぼなくなり、地形的にはルートの不安はないもののどこを歩いても沈み込みが大きい状態が常態化します。

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まだ午前の陽射しで影が長い。(左) これは記憶にある見事なブナの大木。(右)

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風で尾根上に吹き溜まった新雪。

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新雪とはいえ、スノーシューに乗っかると結構重いです…。

西側の斜面から尾根へ吹き上げられた新雪が堆積し、場所によっては膝まで沈むような状況が続いてだんだん疲労が溜まってきて、写真撮影のために立ち止まるのも休憩の一部になってます(^^;
全体としては緩急はあるものの主稜線に出るまではほぼ登り一辺倒のルートなので足を休ませるところがあまりないうえに、スノーシューに乗ってくる雪の重さでいつも以上の疲労感です。
尾根にメリハリが無くてルートが判り辛い小鞍部にいったん出たところでザックを下ろして今日最初の大休止とし、バランスパワーなんかの食糧でエネルギー補給しておきます。

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蛇峠山と治部坂高原スキー場。

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積雪期はルートが判り辛い小鞍部。(左) 今日初めてザックを下ろして大休止。(右)

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小鞍部の先はルートが判り辛いですが、トップを目指して真っ直ぐ登ります。

この小鞍部も含めてこの先は雪のシーズンはルートが判り辛いのですが、とりあえず記憶通りにカラマツ林の中をトップに向けて直登してゆきますが、雪の量が多くてアヘアへ…
この辺りから、何となく背後から人の話し声が聞こえてくるようで、もしかしたら後続の登山者が近付いてきているのでは…「先頭交替すると楽になるな」という期待感と、「ここまで頑張ったのに今更トップを譲るのか?」というアンビバレンツな気持ちも交錯します…(^^;

気持ちとは裏腹に、体力温存のためにゆっくりペースで地道に歩みを進めてゆくと、地図上で1724m標高点があると思われるピークを越えます。
この辺りには雪庇の向こうに大川入山が見える展望地があり、更にその先で森を抜けると開けた鞍部の雪原に出ます。
ここからは今日の登山中で初めて手前に障害物がない状態で中央アルプスが見渡せます。

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視界が開け、左には大川入山。しかし分岐は右奥のピークの向こう…

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治部坂峠のさらに先、地八峠の向こうに遠州灘が光って見える。

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尾根の東側に張り出した雪庇。右奥が蛇峠山。

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森を抜けて鞍部に出ます。恩田大川入山は右奥で、まだまだ遠い…

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今日、初めて障害物なしで中央アルプスが見える。


鞍部のパノラマ写真。(左右にスクロールできます)

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この角度からだと、普段の安定感のある山容とは全く違って見える「大川入山」。

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風に舞う雪で雪煙が上がる。

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まだ樹林帯の登りが待っています。(左) 積雪でしなだれかかっている木々を抜けて登ります。(右)

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ずっと気温は低めで、日当たりの良い場所だけでつららが見られた。

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この位置から見る1796m標高点ピークも良いね。

鞍部の雪原からはまた急な樹林帯の登りが続き、深い雪や積雪で垂れ下がった枝などにも行く手を阻まれますが、少し傾斜が緩んで森を抜けると南側がやや開けた斜面になり、やっと「大川入山」へ向かう鞍部への下降点です
ここは積雪期にはルートが判り辛い場所で、以前は少し下の木陰に看板があったような記憶ですが、積雪のせいでピンクテープの他にはルートを判別できそうな雰囲気がありませんね。
(そのうえ、素直に尾根をたどると「恩田大川入山」方向へ行きたくなるような地形だし、「恩田大川入山」方面のルートを示すピンクテープのほうが目立っている気がする…)
この時点で既にお昼を回った時刻となり、ここから「恩田大川入山」まで往復するのは困難と判断し、昼食後に14:00をタイムリミットにルート途中にある展望ピークまでカメラだけを持って往復することにします。

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分岐点で昼食にします。(左) この山域の山は全体的に南側が開けている。(右)

分岐から先は登山道が無いといってもこの時期は笹は完全に雪に埋まっており、尾根を大きく外さなければルートも明瞭だしどこでも歩けるため、ピンクテープは特に気にせずに過去の記憶で景色の良かった場所を選んでルートどりします。
「大川入山」も普段の治部坂ルートから見るどっしりとした安定感のある姿がお馴染みですが、この位置から見るとピラミダルかつ双耳峰で全く違う山容ですね。
尾根伝いのルートはこの山域特有の気象のためか全体的に南側が立ち枯れなどで展望が開ける場所が多いため、尾根よりもやや南側を回り込む様に歩きつつ写真撮影に邁進するのがishida式です。

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西寄りから見る大川入山はシャープな山容。

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木々への着雪もどっさり。(下手に突入すると落雪もどっさり)

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雪と木の造形、見飽きません。

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それにしても、大川入山はどちら側から見ても独立峰的な佇まいですね。

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南に派生する尾根の先にある1886mピーク。

どこでも歩けるといってもやはり新雪が深いだけでなく、下手なところを歩くと木々の枝に積もった雪が大量に落ちてきて頭から雪をかぶってしまう羽目になるので、ちょっと面倒ですが枝を避けるようにしてルートをとります。
尾根上の1902m標高点のピーク手前の小鞍部は北側が切れ落ちており、再び遮るもののない状態で中央アルプスが見渡せます。
更にピークに向けて登ってゆくと、今日はこれまでほぼ木の間からしか見えなかった南アルプスの主峰群が初めて見渡せるようになります。

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1902mピーク手前の鞍部から中央アルプス。ちょっと雲が…

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伊那谷を隔てて南アルプスの主峰群、八ヶ岳、蓼科まで見える。

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南アルプス北部の重鎮たち。

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飯田市街と仙丈ケ岳。

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南アルプス南部の重鎮たち。

1902mピークは樹林帯で展望はありませんがすぐ西隣りにほぼ同じ標高の小ピークがあり、そちらが好展望のピークです。
いったん小鞍部へと下り、目の前に立ちはだかる雪の壁を息も絶え絶えに登った先にご褒美の好展望が待っています。

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雪の壁に取り付きます。

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展望ピークからの大川入山。

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振り返って見る1902mピーク。

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大川入山と奥三河・遠州の山々。

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恩田大川入山方向にはまだまだ越えなければいけないピークが…(^^;

展望ピークの先、恩田大川入山へと続く尾根上にはまだ越えなければいけないピークがいくつか控えており、時間的にも今日の行動はここまでということで…
恵那山や御岳、乗鞍、白山、富士見台といったお馴染みの山は、恩田大川入山(長野・岐阜県境)の西面からでないと見渡せませんが、今日はこの展望ピークからの眺めだけで満足して往路を戻ることにします。

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1902mピークの木々と南アルプス深南部の山々。不動岳、丸盆岳、黒法師岳。

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隣りの1886mピークの尾根。西風による雪の移動が激しいのが判る。

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展望ピークから雪の壁を下ります。(左) 大川入山の西尾根。(右)

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最後にもう一度1796m標高点ピーク。帰路では遠くに三河湾が光って見えた(^^)

ザックをデポしておいた大川入山分岐まで戻り、荷物を撤収してそそくさと下山にかかります。
それにしても、後続の登山者がいると思ったのに結局は誰も追い付いてきていませんが、早々に途中撤退したのか?それともishidaの単なる空耳か気の迷い?山の神の悪戯だったんでしょうか??

下山時間は大川入山分岐から登山口までを2時間と見込んで、とりあえずペースアップします。
でも、昼食でエネルギー補給して多少は元気にはなったものの、やっぱり疲れと深雪のため思ったほどはペースが上がりません。
それに、登りの途中でもバイトバルブで時々シャーベットになっていたハイドレーションの飲み物がエルボー部分で凍結してしまったようで、吸っても出てこなくなってしまいました(^^;;;;;;;
ザック内のボトルにはまだ別に飲料水も持っているので問題はないですが…
(もちろんチューブは保温カバー付きで、飲んだ後もチューブ内の飲料を吹き戻していたんですが、今日の低温続きのせいで、デポしておいた間に下向きになっているエルボー部に下がってきた飲み物の凍結が進んでしまったみたいですね…)

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登山口はまだまだ遠い。(左) 往路での自分の足跡が半分埋まっています。(右)

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ここではトレースが完全に埋まっている。(左) 歩幅が合いませんが、これでも体力的には楽ちんに。(右)

登りと下りの歩幅が違うので意外に歩き易くは感じませんが、体力的には楽になってどんどん下りますが、場所によっては風による雪の移動で足跡が完全に埋まってしまっているところもあります。
ルートは迷うようなことはないので問題ありませんが、やはりこれは今日の低温とサラサラの新雪の為せる業ですね。

結局、最後まで後続の登山者の足跡なども見られず、やっぱりishidaの疑心暗鬼(?)が原因だったのかも…(^^;;;;;;;;;;;;
(でも、今シーズンは平日を選んで登山している中でも、誰にも会わなかったのは初めて。)

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ゲレンデ背後の尾根から南アルプスの尾根を見下ろす。

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ゲレンデから南アルプスにさよなら。実はゲレンデからも結構よく見えたのね…(^^)

今日は時間的には予定よりも遅くなったので(本当は疲れをとるため帰宅前に入浴してストレッチしたいところですが)奥さんのケアのため温泉には寄らずに真っ直ぐ帰ることにします。
帰路も国道を稲武経由で帰りましたが、峠の気温は−2〜−3℃程度でアイスバーンは無く、今回もスローな車にはほとんど引っ掛かることなく帰ることが出来たため、途中で晩御飯を食べたあとでの帰宅時間は概ね予定通りでした。

----------------------------------- 本日の行程 ---------------------------------------

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ルートマップ(クリックするとちょっと拡大します)

自宅 3:35 〜 買物・R151・R257・R153稲武経由 〜 5:56 平谷 6:15 〜 6:34 駐車場 (126Km) 

駐車場 7:10 --- 7:50 登山口 --- 8:50 尾根トップ --- 9:30 ブナ --- 10:15 小鞍部 10:25 --

--10:55 展望地 --- 11:14 展望コル --- 11:30 2Km看板 --- 12:20 大川入山分岐(昼食)

 大川入山分岐 12:50 --- 13:30 1902mピーク --- 13:45 展望ピーク 13:56 --

-- 14:17 大川入山分岐 14:22 --- 14:36 2Km看板 --- 14:38 展望コル --- 14:49 展望地 --

-- 15:01 小鞍部 --- 15:28 尾根トップ --- 15:57 登山口 --- 16:20 駐車場

駐車場 16:40 〜R257・R153稲武経由 〜 19:06 CoCo壱番屋 19:36 〜 19:44 自宅 (251Km)