大宮子丑会恒例の富士登山でしたが、富士山の世界遺産登録も決まってマイカー規制期間も延長される今年は登山適期が短くなってしまいました。 (もともと海の日〜お盆休み期間はマイカー規制のため富士登山は自粛していましたが、今年の富士宮口五合目までの富士山スカイラインは7月第二週〜8月下旬までの平日を含んでの終日マイカー規制となっています。)
富士登山第1回の6/30(日)は(例によって?)腰痛のためお休み、7/7(日)が最初の富士登山となりましたが、体調不安のため「高所順応」を第一目的として参加しました。 結果として体力的・体調的には問題は出ませんでしたが、肝心の富士山のご機嫌が思わしくなく、激しい風に加えて新七合目以降はガスによる視界不良(低温高湿で眼鏡も曇るし)となり、元祖七合目で撤退を決めました。
で、今年は回数の少なくなる富士登山以外に計画していた他の山域への登山第一弾(?)が「立山登山」というわけです。 2008年に単独テント泊での剣岳・立山縦走、2009年の同時期に山岳部仲間のK氏、TT氏との小屋泊縦走ともに好印象だった立山でもあり、自身としては4回目の室堂入りになります。
7/13(土)夕方に当日が休日のメンバーと、仕事を終えたメンバーが集合し、蒲郡を出発して荘川にて前泊、翌7/14(日)に富山を目指します。
7/13の激しい雨は上がったものの、梅雨末期の前線が停滞したままの日本海側の天候は不順なままの予報であり、登山日を7/15(月)として室堂入りを遅らせる作戦となっていました。 しかし、お寿司屋さん組(^^;とは別行動宣言していたishidaは、それなりに雨が上がる気配も感じていたので最寄の富山地鉄の駅で降ろしてもらうことにしました。
ナビが示した「下堀駅」に寄ってもらい、登山装備で線路をまたいで駅舎に入って時刻表を見て「???」…下堀から立山行きの表示が見当たりません。 ちょうど駅に来た娘さんに尋ねると、「ここの路線から立山に直行する電車は無いと思いますよ。」とのこと。よく聞くと、富山地鉄は途中で路線が分かれてるんだって。知らんかった(^^; ここからだと時間的には富山駅方面に行く電車でいったん富山駅に出て、再度立山行きの電車に乗り換えたほうが良いそうです。 でも、富山行きってさっき見送った電車だよね(^^;次は一時間くらい後でないと来そうもない(^^;;;;; でなければ、バスと路面電車を乗り継いで富山駅に向かう(これって難しそう)のが手っ取り早いんだそうです。 どうしようか迷いましたが、娘さんの「私もこれからそのルートで富山駅へ行きますよ。」とのお言葉に甘え、同行させてもらうことにしました(^^) こういうときに限って日差しがきつい駅前のバス停で一緒にバスを待つ間にお話しすると、リクルートスーツっぽい装いのその娘さんは就職活動中の大学生だとのことです。やはり就活中のウチの長女と同世代で、他人事と思えんなあ…。 一緒にバスと路面電車(これって良いよね)を乗り継ぎ、超久し振りに訪れる富山駅(新幹線乗り入れのため工事中)に到着です。 道案内までしてくれた真面目で感じの良い娘さんの就職活動がうまくいくよう祈りつつ、富山地鉄の窓口前でお別れしました。
発車の時間まで間があったので、駅のカフェで軽い昼食をとったあと、各駅停車の電車に揺られて立山駅を目指します。
懐かしさ漂う鄙びた佇まいの「上堀駅」。(左) 富山駅から富山地鉄立山線に乗り換え。(右)
ちょっと回り道になりましたが、楽しい出会いとのんびりしたローカル列車の旅も良いものですね。 それにしても、田園地帯を走る富山地鉄立山線、ローカルな感じの木造駅舎やかわいいホームしかない駅の続く地方色濃厚な路線です。
なんだか子供時代の豊橋鉄道渥美線の駅もこんな感じっだったなと懐かしさを覚えました〜。
(ただし、ちゃんと乗車券はタッチ式が導されています。ホームにリーダーがある渥美線と、電車の中にある富山地鉄、どっちが便利かな?) 30年近く前、薬師岳に登るために「有峰口駅」まで乗ったときにはもっとローカルな気がしたけど、列車から見る「有峰口」の駅の風景は昔の記憶と大きく変わらない感じでした(^^)。
列車は「本宮駅」を過ぎ、更に勾配とカーブがきつくなって速度も落ちる最後の区間を走り切って「立山駅」に到着です。 富山平野を走っている間は雲は多くとも晴れ間が広がったりもしていましたが、山間部に入って立山駅が近付くと時折り雨は落ちてくる状況です。 でも、駅構内の移動だけなので特に支障なく窓口へ移動でき、JAF割引で切符を往復分購入して次のケーブルカーに乗ります。
後続隊に電話すると、まだ富山市内とのことだったのでとりあえず立山駅の天候を連絡しておきます。 やや不順な天気予報と当日の不安定な天候もあってか、ケーブルカーも空いていました(^^) 美女平に着き、バス待ちの間に周辺散策しようかなと外に出たとたんに激しい土砂降りに(^^;;;;
結局、早めのケーブルカーに乗った意味はなくなってしまい、後発のケーブルカーで上がってきた人たちとともに室堂行きの高原バスに乗り込みます。 天候が悪いため「滝見台」からも「称名滝」は見えず、素通りです。 バスでの移動中には視界は悪いものの雨が降ってくることもなく「室堂ターミナル」に到着しました。
ケーブルカーで「美女平駅」に到着。凄い傾斜ですな。(左) 室堂バスターミナルに到着。ガスガス…(右)
外に出てもガスで真っ白なので、とりあえずカッパの上着だけ着用して歩き始めます。 「みくりが池」もガスが流れて幻想的ですが、周囲の状況を見ると今年は例年になく残雪が多いようで、時折りガスの切れ間に見える雷鳥沢方面や立山本体の斜面にもかなりの雪が見える状況です。
ガスの切れ間にみくりが池。
ガスの向こうに立山の斜面もちらり。(左) 規模の大きな「雷鳥荘」。(右)
「血の池」を右手に見ながら尾根を行くと、地獄谷方向からの風に乗って流れてくる火山性ガスの強い硫黄の匂いでむせてしまいそう(^^; バスターミナルから約30分ほど歩いたところで、ガスの向こうに目指す「雷鳥荘」が見えてきました。 暖房の効いたロビーで受付後に後続隊に電話すると、バスターミナルに着いたとのことだったので、荷物を置いて(サポートは必要ないけど(^^;)写真を撮りながらぶらぶらお迎えに向かいます。 途中で後続隊と合流、一緒に雷鳥荘に入りました。
周辺は火山性ガスのためハイマツや下草が枯れています。
コバイケイソウの群落。(左) ガスが切れた谷間に「血の池」。(右)
後続隊と合流、今回は総勢8名です。
正面奥が真砂岳。前回(2009年)はここの斜面の「大走り」ルートを下りました。
地獄谷の向こうにうっすらと夕空。(左) 雷鳥荘に到着っ!(右)
今回も名ツアコンのK氏が8名で個室を2部屋予約しておいてくれたのですが、建物も設備も「山小屋」ではなく「旅館」的な造りの宿で、廊下や隣室の音も聞こえず、たいへん快適に過ごせそうです。 (個人的に「テント泊派」のishida式は「山小屋泊」って好きじゃないんですが、ここってスキーの宿みたいで良いですね〜) 晩御飯のついでに(久し振りに)一杯やって、これまた施設の整ったお風呂にも入ってのんびり…そういえば今日は登山してなくて、ずっとのんびりかしら? 外は時折り激しい雨と風ですが、建物内部は暑くも寒くもなくて快適♪ でも、食事の後も調子に乗って飲んでたら、就寝後も目が冴えちゃって、ぐっすり眠れず…(^^;
翌7/15(月)は、風はおさまってきていますが外はガス。天候の回復が見込めそうかどうか微妙です。 朝風呂&バイキング形式の朝食後、とりあえずバスターミナルまで戻って食料調達&情報収集することにしました。 でも、室堂ターミナルに向かう道すがら、だんだんガスが切れてくる気配は気のせいか、単なる雲の流れの状況変化か??
室堂ターミナルへ戻る途中で雷鳥荘が見えました。
血の池の上でライチョウにも会えました。
雲の高度が上がって、みくりが池周辺もすっきり見えました。
みくりが池の周縁部も雪に埋まっています。(左) みくりが池の向こうに室堂山荘。(右)
みくりが池周辺には登山道もないため、常に清冽な水を湛えています。
その後、ターミナル上階の「旧雄山神社社殿」の見学や食料調達をしているうちに雲の切れ間から青空 が覗き始めました。 外に出てみると、別山尾根や浄土山なども姿を現し始めました(^^) 急に気持ちも上向きになって、いざ出発〜!
バスターミナルを出ると、どんどん雲が流れて青空が広がりました。
立山キタ〜!!。富士ノ折立、大汝山、雄山の山頂まで姿を現しました。
豊富な残雪を踏んで、いざ立山へ。
背後には大日岳・奥大日岳。
青空の下、雪を踏んで歩くのは気持ち良いですね。(左) 前日までの雨で雪面も緩んで歩き易い。(右)
室堂山荘前を過ぎ、豊富な残雪を踏みながら第一目標の「一ノ越」を目指します。 ちなみに、国の重要文化財に指定されている室堂山荘の旧室堂小屋は、現存する日本最古の山小屋で、1700年代に建築された建物です。 (文化財指定後の解体修理の際に15世紀の礎石跡や平安時代の遺物が出土している云々…の記憶から、現地では「室町時代くらいの建物が残っている」みたいなウソの説明をしてしまいましたので訂正します。)
途中の登山道も七割くらいは雪渓のトラバースになっている印象ですが、傾斜も緩いし昨日の雨で融雪が進んでシャーベット状になっているため歩き辛いところはありません。
雷鳥沢方面と剣御前、別山。
室堂平の向こうに大日岳と奥大日岳が端正な姿を見せています。(右端には雷鳥荘も見える。)
目指す立山の山頂には雄山神社の社務所と本殿がくっきり見えて登高意欲も上がります…って天候次第で上下する現金なモチベーションですね(^^; 立山から尾根続きの別山だけでなく、背後には過ぎてきた室堂とその背後の大日岳・奥大日岳が端正な佇まいを見せてくれています。
浄土山直下の雪渓を越えます。(左) もう少しで右手の鞍部に「一ノ越」が見える。(右)
緩い傾斜ながらも順調に高度を上げてゆき、大きな「一ノ越山荘」のある鞍部「一ノ越」に到着です。 強い西風が吹き抜けるため、風を避けて休憩&エネルギー補給しましょう。 一ノ越からは北アルプス南部の山々が望め、野口五郎の右肩に槍と穂高が顔を出しています。 それにしても風が強い(^^;のと、北側に停滞する前線に沿って湿った風が吹き込んでくる梅雨末期の気圧配置のお陰で雲の湧き出しも増え、すぐに見えなくなってしまいました。
一ノ越に着くと、槍ヶ岳がお出迎え。
一ノ越から先は、いよいよ今回のコースの最大の難所(?)である急な岩場の登りに取り付きます。 単に急なだけでなく、岩とザレがミックスした歩きづらい急登が続きます。 尾根の西寄りを歩く場所では左手から強い風も吹き付けてきて注意が必要ですね。
でも、急登なだけに短時間に高度を稼げるので、一ノ越山荘の屋根がどんどん小さくなってゆくのがなんだかいい気分。
一ノ越を過ぎると今回一番の難所。急な岩ザレの道が続きます。(右・左)
二ノ越の祠を過ぎるとやや傾斜が緩みますが、まだまだ油断禁物。 それでも、背後の浄土山や竜王岳が同じ目線の高さになり、左手にはこれまでたどって来た登山道が見下ろせる雄大な景色を楽しみつつ進みます。
二ノ越からはやや傾斜も緩み、来し方を見下ろしながら頑張ります。
室堂山荘、みくりが池とみくりが池山荘、みどりが池、血の池。背後には地獄谷です。
三ノ越ぎると目前にお山神社の社務所も望めて傾斜も更に緩み、足下も硬い岩場で安定してきます。 最後のひと登りで「雄山山頂の三角点」前に到着です。 でも、周囲はガスで真っ白…(^^;;;;;
三ノ越を過ぎると足場のしっかりした岩場になり、山頂まではあと少し。
雄山の三角点(最高地点ではありません)にタッチ。(右・左)
本当の雄山山頂(最高地点)は雄山神社の社殿のあるところなので、祈祷料(500円)を納めて神域の中に入ります。 メンバー全員で神主さんに安全祈願のお祓いをしてもらいました。 今月の山開き以降天候が良いのは初めてで、今日、今年初めて本殿でのお祓いを行ったそうです。 これはメンバー(の一部)の日頃の行いのお陰でしょうか(^^)
社務所の休憩所でカップラーメンをいただいてエネルギー充填後に下山にかかります。
残念ながら、山頂ではガス。(左) 巨大なカップヌードルはK先生持参(^^)、普通サイズは500円です。(右)
一ノ越に下ります。(左) 気の迷いか?K先生の頭の上に「緑色の小人」が立ってるように見えた気がスル…(右)
最も危険な急斜面の岩場を無事(?)通過して、一ノ越まで下山。
一部デポしてあった荷物も回収して室堂バスターミナルへと向かいます。
下山中に振り返ると、さっきまで雲隠れしていた雄山の山頂も顔を出して、お別れをしてくれているようですね。
室堂が近付いてきたとき、先の雪渓をトラバースしてくる重装備の一団が見えてきました。 旗を見ると、「剱岳 点の記」の木村監督が再びメガホンをとって撮影中の「春を背負って」の撮影隊の方たちでした。 既に10回以上のロケを行っているそうで、50Kg近くありそうな装備の大半は撮影機材で、「私物は(手振りで)この位しかないんですよね。」と話してくれました。
雲が増えてきましたが、結局天候の悪化は無くて一安心。
さっきまでガスに隠れていた雄山の山頂も顔を出しましたね。
雄山にさよなら?。(左) 「春を背負って」の撮影隊の方たちとすれ違いました。(右)
バスターミナルまで戻り、すぐ次発のバスに乗り込み、ケーブルカーにもすぐに乗ることが出来て、思ったよりもスピーディに立山駅に到着することが出来ました。
バスターミナルから見る雪の大谷(もう小谷)。(左) バスから見た大谷(小谷)の壁面。(右)
バスから見た弥陀ヶ原と背後の鍬崎山。
帰路は新港に寄り道した後に東海北陸道を南下、関SAで晩御飯を食べた後も大きなロスも無く帰宅することが出来ました。
今回は大人数の8人での立山登山でしたが、ツアーコンダクターK氏の綿密な計画のお陰で大きな遅滞無く行動でき、いつもながら感謝です(^^)。 |