タカサゴキララマダニ

鋏角亜門 クモ網 ダニ亜網 ダニ目 マダニ科 約9mm

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まるでつぶれた柿の種が歩いている様でした

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スケールは0.5mm刻みです

自宅の庭で発見した「巨大ダニ」です。
種類ははっきりしませんが、平たくて革質の外皮をもっているところは「マダニ」の仲間の「カタダニ」と呼ばれるグループのように見えます。
カタダニの仲間には1cmほどになる種もあるとのことで、主として哺乳類や鳥類などに寄生して吸血する種類のようです。

前肢を広げてポーズをつけている仕草は、取り付く相手を探しているように見えます。
(人の気配を感じるとこのポーズをとっていたことから、威嚇かもしくは取り付く態勢のように感じました)
見つけたときは、吸血性なのか植物食なのかもはっきりしないため、何となく手に取って見る勇気はありませんでしたが、頑丈そうな肢にしっかりした爪があるように見えますので吸血性であるように感じました。

大きさが判るようにと思ってスケールを当ててみましたが、鋏角の先から体の後端までが約9mm程もありました。

その後一度も出会っていませんが、詳しい正体は一体何なのでしょうか…気になります。

---------------------------- 2007.10 追記----------------------------

2007年の夏にまた出会いました(^^)
今回出会ったのは、夜、自宅でパソコンをいじっていた私の膝の上でした。
当日は、昼間は湖西連峰で山歩きをしていたため、体に付いてきたのかもしれません。
今回の個体はちょっとだけ小さく、全長7mmでした。
やはり、コイツは「カタダニ」と呼ばれるグループに属する大型の吸血性ダニのようですが、これにやられたらどうなっちゃうんでしょう…。
チビッコのマダニに喰い付かれただけでも2週間程度は痛痒さが続き、痕は1ヶ月ほど残りました。

---------------------------- 2021.06 追記----------------------------

その後は山地などで時々出会いますが、本種の場合は「タカサゴキララマダニ」というものであることは判りました。
また、本種の場合は成虫は大型のため人への寄生は難しい(気付かれやすい)ものの、卵塊から孵化した幼虫が大量に寄生することがあるようです。
2005〜2007年当時にはネットで調べてもヒットしなかったのですが、2013年に初めてマダニ類による感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」が取り沙汰されるようになってきたためか、2021年現在ではマダニによる被害に言及される記事で登場しているのを多く見られます。
特に「SFTS」以外にも「日本紅斑熱」「ライム病」といった重篤な感染症を引き起こす可能性を持っているとのことです。

全てのマダニが病原体を持っているわけではなく、マダニに吸血されること=重篤な症状が出るということではありませんが、ishidaも2015年の東北遠征時に八幡平周辺を歩いて帰宅後に「ツツガムシ」によると思われるダニ咬病により、40℃の高熱と起き上がれないくらいの激しい悪寒・目眩に見舞われたことがあります。(直接の確認できませんでしたが、地域性や潜伏期間、咬傷部の状況などからツツガムシが加害虫と推定しました)
強めの抗生物質の投与で寛解しましたが、ダニ類への対策の大切さを痛感しました。
(といいつつ、2019年、2021年にもマダニの吸血を許しているishidaです…)
ツツガムシ病の症例は東日本に多いといいつつ九州も含めて全国的に症例はあり、「STFS」の症例は主に西日本ですが、最近は東海地方では2021年に浜松市でも静岡県で初めての感染例が報告されています。

ishidaの場合、2021年の春は自宅の裏山の木を伐採・枝打ちの作業をしている際に(もちろん長靴、長袖に革手袋もしていましたが)マダニ(キチマダニ?)に取り付かれたようで、夜の入浴時に腰で吸血しているのを発見しました…。
その後、新城の林道を歩いている際には大型の「タカサゴキララマダニ」や小型のマダニ類が植物の葉上に複数見られましたが、とりあえずスパッツと忌避剤の効果か(?)結果的に寄生はありませんでした。

この時に見た「タカサゴキララマダニ」は、明らかに外見の違う2形がありましたが、これは革質の「背板」で体全体が覆われているのがオス、従来から見掛ける「背板」が頭部の後ろの胴体1/3程度を覆っているだけのものがメスだとのことです。

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下に合成した等倍のスケールで体長7mmほどです。

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口器(鋏角)は長く伸びていて、触肢が両側からガードする構造のようです。

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2021年5月に見たこの個体は背面全体が「背板」に覆われて折り、これがオスだそうです。

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頭部も形が違う(?)

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同時に見たこちらはメス。