FUJIFILM XQ1  (その2:使用編)

FUJIFILM XQ1 (Black)

----- FUJIFILM XQ1(その1:導入編)はこちら -----

2012年末から主力で使用している「Canon Powershot S110」を基準として、優劣をつけるというのは本意ではありませんが、不満だった点が改善さるか?とか、期待通りの性能を発揮するかどうかというのが興味の対象です。
まずは実際に使用してみた感想も含めた覚え書きとしてまとめておきたいと思います。

XQ1の特徴をおさらいすると
・撮像素子
 ちょっと大きめの2/3型サイズ
 ランダム配置に近い画素配列によってローパスフィルターを廃したX-TransU構造
 画素の一部に位相差画素を組み込んだ像面位相差AFを搭載
・レンズ
 焦点距離25〜100mm(135換算)F1.8-4.9のレンズ(実焦点距離は6.4〜25.6mm)
 F1.8なのは28mm相当くらいまで?その先は35mm/F3.9、50mm/F4.2、70mm/F4.9程度のようです。
・ISO感度
 設定可能なのはISO100〜12800
 基本感度100〜3200、AUTO時の上限の設定も可能。
・USB給電によるボディ内充電に対応
 AC/USBアダプタとマイクロUSBケーブルが付属。
 ただし電池単体で充電する充電器は同梱されない。
・フラッシュポップアップは手動式
・レンズ周りにコントロールリングを装備
 ただしクリック感のないタイプ
・流行の特殊効果「何とかフィルター」といった類の機能も搭載
 実際には特にこのカメラに限ったものではなく、興味もないのでよく判らないです(^^;
 Canonのカメラにはないパノラマ撮影モードがあるのは密かに嬉しいカモ。
・FUJIFILM得意のフィルムシミュレーションモードを選択可能
 昔、風景撮影で好んで使っていたリバーサルフィルムVelviaのモードがお気に入りです。

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ライバルのS120とバーチャル対決(?)。

特に、センサーサイズが大きい(画素数はS110と同じ)ということは1画素当たりの面積が大きいというだけでなく、同じ画角なら実焦点距離が長いということです。
以前、ミノルタのDiMAGE−7なんかを使っていたときでも、一眼レフとまではいかないものの、割りといい感じのボケ感は感じられました。
開放F値が小さいレンズであることから、焦点距離のわりにはそれなりのボケ(というより表現の幅)が期待できそうですね。

世間一般で流布している話として、「画素サイズが大きいのでノイズが少なくダイナミックレンジも広い」とか「センサーサイズが大きい方がよくボケる」といったことが言われています。
画素サイズと画質の関係は、間に回路や画像処理が入るため、同世代のカメラであれば概ね当てはまりますが、旧世代のカメラと比較すると一概に当てはまらないことも多々あります。
ボケに関しても、レンズの焦点距離とF値との関係性が大きいので一概にその通りとは言い難い点もあります。
(例えば、マイクロフォーサーズ機と暗いキットレンズの組み合わせでは期待ほどボケないとか(^^;)

今回のXQ1の場合の気になるポイントとして
@開放F1.8(ほぼワイド端のみですが)を活かせるレンズ性能なのか
Aローパスフィルターレスからくる高周波部分の解像性能(コンパクトカメラなので過大な期待はしませんが…)
Bダイナミックレンジの広さや低輝度時の表現や低ノイズ(これもコンパクトカメラなので過大な要求はしませんが…)
といったところにも着目しつつ、使い勝手や好みの範疇も含めて見ていきたいと思います。
FUJIFILMとしても、サイズだけでなく性能や機能面で当然S110をベンチマークにしていると思うので、とりあえずishida式でも撮り比べてみました。
世間では「X20に比べてXQ1ではローパスレスのメリットが活かせていない」だの「S120に比べてレンズ性能が低い」みたいな評判も見受けましたので、興味の湧くところですね。
S110では液晶モニタのドット数にハンデがあるためそのまま比べるのは失礼ですが、XQ1の液晶画面は高精細で発色も良くて、実際以上にXQ1のほうが綺麗に見える気もします。

その@レンズ性能の印象(定量的な評価じゃなくて、あくまでも印象です(^^;)

開放F1.8といっても、ほぼワイド端だけの話なのは前述の通りです。
しかもレンズシャッターの弱点がそのまま出て、絞り開放でのシャッター速度は最高で1/1000秒ですから、晴天時の屋外では開放で撮影することはほぼ不可能(^^;
導入編でも述べたように、NDフィルターも装備しておらず、AモードやSモードで連動範囲外なのにいかにも連動しているように見える画像の表示が感覚的に合いません。
Pモードにしてみると、プログラム線図は積極的に開放寄りを使うようにできていますので、深く考えずにPモードで使うのが良いのかもしれません。
(カメラが色々勝手に考えてくれるAUTOモードやSR+モードもありますが、意図通りかどうか何がなんだか良く判らないので「奥さん使用モード」と解釈しておいた方が無難かしら?)
あ、また前置きが長い…パソコンのモニターで見比べてみた結果では
・中央、周辺部ともXQ1の方が高解像・高コントラストに見える。
画面全体について平坦度は高く、電子補正による崩れも少ないのではないかしら?
解像感の高さがお気に入りのS110よりも全域にわたって画面上の解像力は高く、周辺の流れも少なく見えます。
ただ、等倍で見るとXQ1のほうがエッジ強調が強めなのが少し苦になるかしら。
個人的な印象では、このズームレンジやサイズ(お値段も)から考えると、センサーとの組み合わせでは非常に良い光学性能なのではないでしょうか?
作例はあげていませんが、マクロモード最近接距離での撮影では圧倒的にXQ1の方がシャープです。

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こちらはXQ1での画像。同じアングルでS110でも撮影しました。どちらも広角端でF2.8に設定。

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中央上寄りの部分を等倍で切り出し。XQ1:25mm相当、F2.8(左) S110:24mm相当、F2.8 (右)

そのAローパスフィルターレス構造の効果の程は?
・XQ1は絞り開放でも細線のエッジや細かい縞模様も明らかにカリッとして再現性が高く見えます。
巷のテスト結果にあるように、同じセンサーを使っていて、より口径の大きい(というより上等な?)レンズを装備したX20に比べれば解像性能が劣るのは当然でしょうが…。
実際、センサーサイズが大きいことはレンズの解像度が同じ(限界空間周波数画同じ)ならば、センサー上の解像度には余裕が大きくなるはずです。
更にローパスフィルターが無いことで、シャープエッジの再現性が高くなるなら、センサーが吐き出す画像の解像感はより上がるはず。
結果としてS110よりも高解像な出力結果となっていますが、S110でもレンズ自体の解像力(特に中央付近)は高いので、ローパスフィルターの影響で実際のコントラスト再現性が下がっているように見えます。
※訂正です。最近、S110のお気に入りポイントだったはずの解像感がいまひとつのように感じていたのと、次項でもおかしいなと思ったISO感度が高い件で、よくよく考えたらDレンジ補正を400%に設定しているのに気づきました(^^;
あまりダイナミックレンジの拡大を感じられないため、いつだったか効果を最大にしてみたのを戻し忘れていた模様です。
同じISO100で撮影してみると、確かにXQ1同等の解像力と自然な諧調を感じさせます。
逆に、XQ1はエッジ強調とノイズ除去が過剰で細部のディテールが消えてしまい、塗り絵チックで平板な表現となっているイメージでしょうか。

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ちょっと条件が揃っていませんが(^^; XQ1:28mm相当、F3.6、ISO100(左) S110:28mm相当、F2.8、ISO320 (右)

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XQ1はやや塗り絵チックだが波板の壁や電線などの細線、木の葉なども解像している。(左)
S110も同等の解像力だが、ローパスの影響か細部はぼやけている。鉄塔の描写は秀逸ですね。(右)

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天候が違うので印象は違いますが、S110のISO100で再度撮影。S110:28mm相当、F2.8、ISO100 (左)
いまひとつモヤっとしていたのは感度アップかDレンジ補正でディテールがつぶれていたためのようです。(右)

そのBダイナミックレンジや階調性は?
・XQ1のほうが暗部から高輝度部まで広い階調性を感じる。
絵造りの思想もあると思うが、S110はセンサーサイズの割りにダイナミックレンジが狭いと感じていたが…
XQ1は逆光や空を入れた構図でも目で見た感じにより近い印象に写ります。
直接関係無いけど、S110って基本感度がISO320(!?)なので、NDフィルターを活用しないとオーバー傾向になりやすいのね※訂正:Dレンジ補正が400%に設定されていたためでした。Dレンジ補正OFFやAUTOであれば、ちゃんとISO80〜設定可能でした。でも、前から不思議だったけど、400%に設定されていたわりにダイナミックレンジの拡大を感じないのは何故??
・面積の小さい部分やシャドウ部分ではXQ1のほうが平板で塗り絵チックに見える。
画像処理によるノイズ除去が過剰なのか、NR標準設定同士の比較でもXQ1のほうが平板に見え、逆にS110のほうがコントラストは低いが素直に見える。
・夜景の撮影でもXQ1のほうが見た目に近い感じで写る。
明るさだけでなく、画面中央・周辺とも点光源の写りも違和感がない。
・XQ1のほうがヌケが良く、色乗りも濃く見えるが、全体に暖色寄りの傾向がある。
ほぼ全てにおいてS110のほうがくすんだ色あいに見えるが、光源の偏りがある場合にはXQ1より自然に見えるケースも多くてホワイトバランス制御ではS110が優等生らしさを感じます。

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萌えるセイヨウカナメモチ。XQ1:60mm相当、F4.5(左) S110:60mm相当、F2.8 (右) 実際の印象はXQ1が近い。

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XQ1:F1.8・1/8秒・ISO800

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上の写真の中央左端の等倍切り出し。(左) 中央右寄りの等倍切り出し。(右)

XQ1でもS110同様に露出補正をする際のインジケータが表示されますが、数字が小さくて老眼の症状が現れてきたishidaにはちょっと見辛いとかいう些細な不満はありますが、全体としては満足度が高い印象です。
特にワイド端での写りの良さや暗部の表現が感覚的に好印象です。

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25mm相当・F2.8・1/15秒・ISO800(左)  25mm相当・F2.5・1/850・ISO100(右) 周辺まできれいに解像します。

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34mm相当・F5・1/550秒・ISO100(左)  100mm相当・F4.9・1/300・ISO100(右)

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25mm相当・F2.5・1/550秒・ISO100(左)  25mm相当・F2.5・1/550秒・ISO100(右)

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25mm相当・F4.5・1/1000秒・ISO100 マクロ領域でもカリカリに結像するイメージです。

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25mm相当・F3.2・1/1600秒・ISO100 ピント部切り出し、50%に縮小。

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25mm相当・F2.2・1/850秒・ISO100 ボケも汚くなくて四隅の画像の流れなども感じません。

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25mm相当・F2.8・1/1600秒・ISO100 明暗差のある構図も自然です。
(明暗差のあるシーンだと自動的にDレンジ補正のためISOアップしてしまうので、ISOを固定して撮影。)

最近の風潮に合わせたUSB充電は、「カメラに入れないと充電できない」っていうのは前回も述べましたが不便と思うし、予備電池の使用を前提としているishida式には稼働性に問題ありです。
でも、メーカーが遅れて販売開始した充電器は、NP-48専用なうえに売価が5000円近くします。
で、Amazonで調べてみるとリチウムイオン電池用の「汎用品」が売られていました。

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汎用充電器と互換電池。ちょっと品の無いデザインですが、電極が移動式で多くのタイプにフィットします。

電極をスライドさせて電池の電極に合わせて位置を調整可能、バネで電池の後端を保持する部材が付いていてサイズも色々なものに対応可能です。
収納式のコンセント付きで、AC100〜240V入力に対応、電池の+/−も自動判定するお利巧さんです。
信頼性とかどうかなとは思いますが、回路的には世間一般でスマホやタブレットを充電するためのアダプタと同じですからそんなに心配も要らないかなと…(^^;
おまけでUSBコネクタの電源出力も装備していて便利だし、サイズもかなりコンパクト(約54×98×22mm)で良いですね。

試しにCanonやOLYMPUSの電池でも試しましたが、当然のこと充電は可能でした。