Canon PowerShot S110  (その2:使用編)

Canon PowerShot S110 (Black)
Canon PowerShot S110(その1:導入編)の続きです

2012年の年末にご購入後、スキーや登山で使用しているS110ですが、使用感や気付いたことなど。

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後付けグリップのお陰でホールド性は大幅改善。ただしゴムの材質のせいで汚れが着き易い。

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グリップの張り出しは控えめですが、エッジの立った形状は持ち易い。
(本当はもっと右端に着けたかったが、ボディの意味のない変曲のためこの位置に)


・電池の消耗が早い。(電池残量不足警告が出るのが早い)

これは消費電流が多いというよりも、バッテリー警告のレベルの問題のように感じます。
Wi-Fiの仕様との関連があるかとも思いましたが、世間の評価ではWi-Fi非搭載の前任機S100でも同じのようです。
電池の電圧レベルが低下するとかなり早い段階で警告が出てしまいます。
特にスキー場などの低温環境(仕様外の気温ですが)では満充電状態の電池に交換してもダメで、レストハウスなどに入ると復活して満充電表示になることもしばしば。
これは電池側の問題ではなく、カメラ側の判断の閾値が高すぎるのが原因と思います。
電池の容量がとりたてて小さいわけでもないし、いくら低温では電池性能が低下するといってもこれまで持っていたカメラでは経験の無いほどのレベルです。
電源投入時、フラッシュチャージ、電動ズーム作動時、シャッター半押し時などに検知タイミングがあるものと思われますが、特に突入電流の大きいフラッシュとズーム作動時の電圧低下で警告が頻発するようです。
配線や回路構成的にも電圧降下が大きいんでしょうか??(でも、そんな理由なら世代を重ねて改良されるはずですね)
スキーや冬場の登山などで持ち歩く場合にも、金属製の外装と相まってカメラ自体が冷えやすいのも難点かもしれません。
そのままカメラバッグに入れて持ち歩くのではなく、断熱性のあるケースに入れてウェストバッグに入れたほうが冷え難くて長持ちします。
冬の登山で同行したすがぴさんのSONY製デジカメは、ソフトケースに入れたまま首から提げて携行していても全く不都合なく使えているのに比べ、自分のS110は上着のポケットで温めていてもほとんど半死半生という大きな差が現れていました。

・HDR撮影には三脚が必須?

取扱説明書では「三脚を使用して撮影することをお勧め」していますが、合成自体は画像のズレを補正しないようなので手持ちでの撮影はほぼ不可能です。
これは他社のカメラでも同じかしら?(少なくともSONY α77も同じです。)
単なる逆光の風景などに使用すると、平板すぎるうえに意図的な露出補正も出来ないようなので、使うシーンをよく考える必要がありそうで、まだマスターできていません(^^;。

・やや白飛びしやすく感じるわりに暗部が粘らない描写に感じる

正確に表現するのが難しいですが、逆光の風景などでは空や雲のディテールが飛びやすいわりには山陰の描写は粘ってくれない気がします。(暗部が真っ黒けというほどではないので、これはメーカーの表現の仕方によるもの?)

・液晶モニター上で露出補正が連続的に反映されないなど、謎の仕様

元々自分はカメラ任せのPモードやAUTOモードでほとんど撮らない人ですが、露出補正は多用します。前回にも述べた「露出補正がそのまま液晶表示に反映されない?」という件については、何となく振る舞いというか仕様が判ってきた気がします。
どうしてそうしたかというメーカーの思想は理解できませんが、露出補正のインジケータが表示されている状態でしか画面に補正状態が反映されないようです。
自分のように前面のファンクションリングに露出補正を割り当てていると、リングを操作したときにインジケータが表示され、ワンテンポ遅れて画像の明るさに補正状態が反映されます。
ここまでは良いんですが…
操作して3秒ほどでインジケータが消えると、何故か画像に補正が反映されていない状態に戻ってしまいます。更にシャッターを半押しして測光させると再び反映された画像になります。
なんでこんな残念な仕様にしちゃってるんでしょう??
では、コントローラリングへの露出補正機能の割り当てをやめ、元々専用機能として割り当てのある背面のコントローラホイール上側の「+/-」ボタンでの操作をしてみるとどうかというと…
スイッチの操作で画面上にはインジケータ(リング操作時と違って、この方が見易いけど今度は絞りなどの情報は表示されない)が表示されたままとなり、露出補正操作に対して画像の明るさも反映されたままになりました(^^;

しかし…その状態ではまるでAEロックされたかのようにモニタの明るさが固定された状態となってしまい、フレーミングを変えてもAEの状態が反映されません。シャッターを半押しすることでAEが働き、本来の露出が反映された画像が表示されます。(やっぱり「連続的」に露出補正が反映された表示にならない。)
「+/-」ボタンを再押ししてインジケータを消すと、今度は露出補正の反映されていない画像が表示され、シャッターの半押しで反映されるという動きになります。
今までのカメラでは経験のないトホホ感を感じるけど…使いこなしで何とかするしかないのか?

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前面のコントローラーリングで露出補正(左) 背面のコントローラホイールで露出補正(右)

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前面のコントローラーリングで-1EV露出補正(左) 背面のコントローラホイールで-1EV露出補正(右)

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撮影した画像は同じ(左・右)

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撮影後のライブビュー画像。インジケータ非表示では補正が反映されていない。(左) 補正が反映されたまま。(右)

ファンクションリングとの操作性との関係で整理されていないせい(というか、弊害)にも感じます。

・解像感は良好で描写性は高い

レンズ性能、センサー性能、画像処理の総合力は高い印象です。
特に風景撮影ではワイド端(24mm相当)からテレ端(120mm相当)まで、高いシャープさを感じます。
実焦点距離 5.2(W)-26.0mm(T)[35mm換算 24(W)-120mm(T)]

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SS 1/640  F7.1 ISO 80 -0.33EV補正 焦点距離 26mm(120mm相当)

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中央左寄りの等倍切り出し。三ノ沢岳と宝剣岳。

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SS 1/2000  F4.0 ISO 80 -0.33EV補正 焦点距離 5.2mm(24mm相当)
画面内に直接太陽が入らなければヌケの良い高コントラストな描写です。

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SS 1/320 F5.0 ISO 125 -0.67EV補正 焦点距離 8.64mm(40mm相当)

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SS 1/15  F 2.8 ISO 250 -1.0EV補正 焦点距離 5.2mm(24mm相当) ワイド端での収差を感じさせないのは流石?

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画面左上の等倍切り出し。(左) 画面右中央付近の等倍切り出し。(右)

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画面右中央やや下寄り付近の等倍切り出し。

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倍率は低くてもこのくらいは全然大丈夫。SS 1/400  F 5.9 ISO 160 +0.67EV補正 焦点距離 26mm(120mm相当)

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SS 1/2000  F 3.2 ISO 80 -0.33EV補正 焦点距離 5.2mm(24mm相当)

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SS 1/1250  F 5.9 ISO 100 -0.33EV補正 焦点距離 26mm(120mm相当)

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中央部付近の等倍切り出し。下中央に向かって自分たちの刻んだトレースがちゃんと見えて嬉しい(^^;

・オートフォーカスは低コントラストの被写体に対して弱い

しばしば「なんでこれにピントが来ないの?」と思うことが多い。
明るさも十分でそれなりにコントラストのある被写体でもコントラスト検出できないケースが多く感じます。逆に、明るすぎると弱いのかも?(試してみたら、薄暗くてもダメだけど(^^;)
一眼レフではAFに関して評価の高い会社なのに、一眼レフとは方式が違うとはいえ更に上位機のG1XにしてもAF性能のイマイチさを言われているようですから、もっと頑張って欲しいものですね。(技術者の端くれであるishidaとしては何となく状況が判らないでもありませんが、ユーザーとしての意見です(^^;)

------------------------- 余談ですが ------------------------------

正直、画質や動作のレスポンスは満足、やっぱり操作性に難があるな…そんな気持ちの中、ニコンから2013年3月下旬に発売予定とアナウンスのあった「Coolpix P330」が結構魅力的に感じました。
(更に余談だけど、一眼レフ分野の事実上トップの座にあるニコンですが、Coolpix Aなんかも含めてコンパクトクラスではキャノン同様に後追い製品ばかりですねえ。)
前任機のP310までは、ハイクラスのコンパクトを標榜しながら1/2.3型サイズのセンサー、安っぽい仕上げでがっかり感のあったシリーズですが、センサーを1/1.7型にスケールアップしつつ外形サイズもほぼそのまま、ズームレンジはS110と同等になって生まれ変わりました。
フラッシュやグリップ、操作部などのS110の不満を解消できそうな造りに目を惹かれる昨今、発売になったものを店頭でチェックしました。
しかし、P310でもイマイチだった外装の仕上げの安っぽさ、操作系のメリハリのない軽さはいかがなもんか?とか、そもそもカメラ動作レスポンスの低さが感じられてややガッカリ感あり…