Canon PowerShot S110  (その1:導入編)

Canon PowerShot S110 (Black)
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コンパクトデジカメはこれまでに MINOLTA DiMAGE A1、A2、X1、PENTAX Optio W10、RICHO Caplio GX100、CX4、SAMSUNG(^^) EX1などを使用しています。
主な用途としては、一眼レフのサブ機、旅行の記録用、登山のお供などですが、特に最近は登山の際も一眼レフを持たないことが多くなったため、「メインカメラ」としての働きも期待しています。
現在のところ、24mm相当のワイドレンズを装備していることからGX100とEX1の出番が多いのですが、どちらも望遠側がもう少し伸びてほしいというのが偽らざる気持ち。
また、GX100のシャッター釦の不具合がだんだんと酷くなってきたのも悩みの種で、次期主力コンパクト機を物色しました。

カメラというものは商品としての優劣というよりも、自分にとっての使いやすさや優先順位をもとにして決めるべきというのがishidaの意見です。
使用目的からすると都会でしか使えない「SNSへのアップロード」とか「スマホとの連携」みたいな要素は、いくら他人が効能を認めても自分には今のところ不必要です。

ishidaの求めるものの優先順位は概ねこんな感じで。
(そこそこ満足できる画質)>ワイド系ズームレンズ>ホールド性・操作性>バリアングル液晶>ファインダー>レンズバリア装備

・画質
レンズ性能、センサー性能の総合力でいえば、同等クラスの撮像素子を搭載しているカメラであれば、ほぼ不満の無い画質と考えます。
ただし、新型なら現状のGX100よりは上を行って欲しい(^^;
世間ではやけに「高感度性能」が重視されているのはちょっと不思議ですが、悪いよりは良いほうがイイ?というくらいの感覚です。
自分的には基本性能でのダイナミックレンジとか階調性とかいった面での優位性を高めていってほしいです。
当然、レンズ性能も「電子補正」とかに頼らない収差の少ないレンズ、画素数を活かせる解像性能を主張してほしい。(あくまで希望)

・焦点距離
これは最低限28mm相当、24mm相当が希望です。
(28mm相当でも、最近流行の「スイングパノラマ」なんかで状況によっては代用も可能かしら?)
望遠側は200mmも要りません(^^;が、100mmくらいは欲しい…
(しかし、200mmを越えるような望遠レンズを装備していながら、グリップもファインダーも無いカメラって使い易いと思いますか?)

・携帯性
基本的にはウェストバッグやカメラケースに入れて携帯し易いのが希望。
コンパクトさもある程度は必要ですが、ホールド性や使い勝手が悪くなるような小型化は本末転倒、ましてや「シャツのポケットに入る」とかいったことは求めていません。
そういった面では、レンズ交換式のカメラや高倍率のネオ一眼的なものは「サイズの大きさや携帯性の悪さ」と「ファインダーを使って撮影できる」ことのメリットを天秤にかける必要があります。
とはいえ、OVFなりEVFの仕様や画質にメリットがないと選択肢に入りにくいですね。
収納性に関しては四角くてレンズバリアのあるカメラのほうが有利といえます。
ただし、個人的には「鏡胴やマウント部の出っ張りがあるカメラは、同じ厚さのグリップを設けても携帯性は変わらん」と思います。

・ホールド性・操作性
携帯電話なんかもそうですが、ファッション性重視のデザインや都会的なシュチエーションでの使い勝手しか考えられていないものが多いというのが最近の傾向と思います。
ishidaの場合は主目的の登山で使う際、グローブをはめていてもしっかりグリップでき、的確に操作できるようなメリハリのあるボタンやレバーのデザインが嬉しいんです。
(ボタンやつまみを大きくしろという意味ではなくて、起伏や配置でメリハリをつける方向が良いデザインだと思う。)
操作性の良いカメラっていうのは、サッとカメラケースから取り出し、ブラインドタッチで電源ONして構えられるんです。
メーカーには(特にハイエンドに属するカメラには)是非とも積極的にグリップを装備したデザインを進めて欲しいな。
あとは、メニューに入っての選択・操作ではなくて、専用ボタンで「フラッシュモード」や「AF・MF・マクロ切り替え」などができるのが嬉しい。

…などと、色々と自分勝手な御託を並べた後で、結局は「コストパフォーマンス」の要素も考慮に入れて選ばれたのがこれです。

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特徴は
ちょっと大きめの撮像素子 1/1.7型 1200漫画素 CMOSセンサー
・24〜120mm/F2.0〜5.9/光学手ブレ補正ズームレンズ
・小型のボディ
・46漫画素・マルチタッチパネル液晶ディスプレイ
・Wi-Fi装備
・鏡胴周りのコントローラリングによるダイヤル操作

お気に入りのRICHO Caplio GX100との比較
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厚み、幅ともS110のほうがコンパクト。しかし、実は高さはダイヤルも含めるとGX100の方が僅かに低いことも判明。
GXは幅で14mmほど、厚みで13mm(オートレンズキャップ含む)大きい。
こうやって比較してみると、GXのほうはずいぶん有機的な形状をしているなと感心。
グリップ性や操作性のために各ボタン・ダイヤルの形状や抑揚が上手くデザインされていると思う。
GXの場合、ケースなどからの出し入れ時や別の操作時にモードダイヤルが勝手に回ってしまうことは皆無だったのも、比べてみれば操作性と誤動作防止のためのデザインの工夫のお陰ですね。
だいたい、ファインダーを覗きながら操作する必要のある一眼レフでもないし、こういうカメラは咄嗟の操作でモードダイヤルをくりくり回すことってないですよね?

GXと比べてしまうと、S110は「まるで携帯電話のような設計思想」でデザインされたようにしか見えなくなってきた…(^^;もちろんハードウェア的には凄く良く出来ているのは言うまでもありません。

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ダイヤル、シャッター、ズームレバーなどの配置。(左) 電池蓋はスライドして開くタイプで操作しやすい。(右)

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背面のボタン配置。ダイヤル周囲のボタンは押し易い。親指をかける部分は硬質樹脂製?でグリップ感は悪い。

ホールド性・操作性という観点でいうと、S110の場合は「小型化」を優先して犠牲になっている点も多く見受けられます。
例えば「ON/OFF」ボタンは位置を確認しながらでないと操作しにくい配置なだけでなく、フラットで感触も判り辛くて良くない気が…
(そもそも、グローブをはめていては「ON/OFF」ボタンは押しにくいことこの上ないです。)
ただ、使っていて気が付いたんだけど、電源OFF状態から「再生」ボタンを押して再生モードで起動させた状態でシャッターを半押しすると撮影可能状態になるので、起動時にはこちらのほうがグローブをはめていても押し易くて使えそう。
GX100でも、再生モードで起動したあと、もう一度再生ボタンを押すことで撮影モードに移行しますが、最初の再生モードの起動が「長押し」なうえに、起動に時間が掛かります。
(そもそもGX100の場合は「POWER」ボタンは押し易いので、そんなことする必要は無いんですけどね。)
S110の場合も、電源OFFする場合はやはり「ON/OFF」ボタンしかないですね…

また、このシリーズ自慢の「コントローラリング」もボディが小さくてしっかりグリップしにくい割りにクリックが強すぎて操作しにくい気がします。
(逆にクリックが弱いと勝手に設定が変わってしまいそうなので、ある意味適切なクリック力か?MF機能を割り当てるとクリックで画像が揺れすぎ〜)
小型のボディと操作性を両立させる良いアイデアなのは判りますが…コストとの兼ね合いもあるが、もうちょっと形状も工夫が要るなという感じ。
他社もレンズ周りのリングによる操作を真似しているくらいだが、右手側のホールドが悪いのに、加えて左手をこんなせせこましい場所で使わせる操作性ってコンパクトカメラとしてどうよ?という疑問を持ってしまいます。
(コンパクト機なんだから、わざわざ左手を使わせずに「しっかりしたグリップ」と前か後ろに「ダイヤル」があるほうが操作性が良くなるんじゃないの?というのが一応(
元)カメラのプロ、技術者の端くれであるishidaの見解。)

ホールド性を重視した有機的なグリップ形状は「おしゃれじゃない」というイメージがあるのか、懐古調のデザインのものやファッション性を重視したと思われるカメラはどちらかというとグリップを控えめにしたり無くしてしまう傾向にあります。
反動で、パナソニック(GF1→GX1、G3→G5)やオリンパス(XZ−1→XZ−2、E−PL3→E−PL5)などのように、グリップを復活させる動きも出て来てはいますが、全体としてはグリップの無いデザインがコンパクト機の主流なのは変わりません。
何よりも、S95→S100へのモデルチェンジでは(小さくて格好も悪いながらも)グリップを新たに設けておいて、S110になって廃止されてしまったのは明らかに逆行です。
ブラックボディの場合、正面カバーの塗装が紙やすりのように「ザラザラ」なのは滑り止め効果を狙ったのかもしれませんが、効果が無いばかりか安っぽい仕上げに見え、更に汚れがとっても付着し易くて良くないぞ。(ホールド性を表面仕上げだけで賄おうという考え方は明らかに間違いだし)

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フラットでざらざらなカバーの仕上げでグリップさせるつもり?(左) 右側面。ボディの薄さが判る。(右)

内蔵フラッシュはフラッシュが発光するモードになると電動でせり上がってきます。
これも、どうせポップアップ式なら普段は強制発光モードにしておき、「必要なときにマニュアルでポップアップ=発光、収納=発光禁止」という使い方のほうが嬉しいです。(GX100やEX−1はそういう使い方が可能です。)
これも初心者に優しい「何でも自動的に判断する」機能を持たせた弊害かしら?カメラの性格上、すべて否定するわけではありませんけど。
でも、「女の子持ち」しかできない形状なのに、左手の人差し指がホールドしている場所からフラッシュがせり上がってきて、カメラに「電源入れ直しせよ」ってしかられてしまうこともしばしば…

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発光モードになると電動でせり出すフラッシュ。

期待度が高いので辛口なことを書いてしまっていますが、カメラとしては良い製品だと思います。
反面、兄貴分のG15の仕様が「G12のレンズが24mmスタートになった」というものになって登場してたらそっちにしたのに…とも思います。
(バリアングル液晶の装備や機能・操作面ではG12の不満点は「28mmスタートのレンズだけ」とも言えたので。)
実際に登場したG15は(G1Xとの差別化のためもあって)やはり他社の動向を追っかけた「レンズの明るさ優先」で、逆にバリアングル液晶を廃止して小型化(とコストダウン?)を図ったものでした。
一眼レフでは他社をリードするC社も、コンパクト機やミラーレス機では発信力・先進性のないフォロワーと言わざるを得ませんね。

気に入った点
・小型軽量ボディに大きめの撮像素子・本格的な撮影機能を実装。
・換算24〜120mmの風景撮影に向いたレンズ焦点域。
・レンズバリアの装備。
・そこそこ短い起動時間とそこそこ早いズーム速度。
・ワイド端ではそこそこ明るいF2.0のレンズ。(望遠側はそれなりに暗いけど)
・ボタンやダイヤルによる設定、メニュー設定の豊富さ。
 (ISO AUTO時の感度上限や上がり方の設定もできたりするのは流石にCANONだなと思わせる。)
・ズームレバー、背面のコントローラーホイールやボタンなどの操作性や感触は節度感があって良い。
(コンパクトカメラの場合は、シャッターボタンとズームレバーが同軸にあるデザインが操作性として良いというのがishidaの持論です。)
・実用的なAF速度。
・表示画素数約46万ドットの液晶表示は屋外でも見易い。
・静電式タッチパネルによるタッチシャッター対応、再生画像のスクロールや選択、拡大・移動などの操作は軽快。
 (機能としてはコントローラーホイール操作でも可能だが、操作性ははるかに良い。)
・コストパフォーマンスが良好。
・「ナンとかカンとかINSIDE」とか「FULL HD」とか書いてないところ(^^;

ちょっとイマイチと感じる点(全くダメなら買っていないので、気に入らない程度?)
・自慢の(?)コントローラーリングの操作性・操作感・デザインが小型でフラットなボディにマッチしてない。
・安っぽくてデザイン性の感じられない外観。
(好みの問題もありますが、特に前面カバーの仕上げやペコペコの質感、のっぺらぼうの鏡筒前面などは格好悪い印象…)
・マクロモードでの倍率が低い。
(接近できるのはW端だけ。これじゃカメラの影が映っちゃう。)
・コントローラーリングやコントローラーホイールを使用するMF時の操作性がいまひとつ。
(ピントは掴み難いが、ちゃんと拡大表示してくれるのは良い。GX100やEX1の意味の無い拡大よりは遥かに良いね。)
・タッチパネルとコントローラーリングの操作性が売りだが、個人的には整理できていない印象。
 特にタッチでメニュー項目から選択するのはチマチマしていて操作しにくい。
・フィルターが装着できない。
・自分としてはWi-Fiよりは前任機(S100)のGPS装備の方が嬉しい。
・SONY製裏面照射型CMOSを使用した各社のデジカメの機能に比べてやや見劣りする?
(スイングパノラマも出来れば使うのに)
・モードによって電動で昇降するフラッシュ。
 強制発光するために必ず設定操作2ステップ+解除操作2ステップ必要、その都度電動で昇降するのも鬱陶しい。
(どうせポップアップするなら、上級機の場合はGX100やEX−1みたいに機械式のポップアップで強制発光・発光禁止を使い分けるほうが良いぞ。)
・リモコンに対応していない。
・露出補正したときのライブビューへの反映が遅い。
・シャッター半押しでそれまでのライブビュー状態と明るさが変わる。
 常にライブビューに露出が反映されるのは普通だと思うんだけど、これってどういう仕様?

これは許容範囲外という点
・ホールド性の良くないボディ形状。
(登山やスキーのお供に使うには許容できないレベルなので、Flip×bac‐G3グリップを後付けで装着。)

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今回は最初から予備電池は「互換品」を購入。(左) グリップの悪さに閉口して購入した後付けグリップ。(右)

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貼り付けた結果、スキーでも登山でも使い勝手は改善。

使ってみての画質やその他、気付いたことは --Canon Powershot S110(その2:使用編)-- にて。