小型三脚ますます×3 増殖中です…
「 Marsace MT-1542 (脚径25mm・4段カーボン三脚)」
コロナ禍で自宅にいることが多くなって、 --------------------
カーボン三脚 Marsace MT-1542
----------------------- 「小型三脚ますます×2
増殖中です…」で紹介したMarsace(マセス、漢字は「馬小路」)という中華メーカーの三脚が思った以上にいい感じだったのに味をしめて、またまた探求心(ではなく単なる物欲)が湧いてきまして… Amazonの密林を彷徨っていると、マーケットプレイスの中国のセラーから出品されているものがハクバが販売する国内正規品より圧倒的に安価なだけでなく、何やら見たことのないタイプ(なのにやけにデジャヴ感がある)も販売しているのを発見しました。 「MT-1542」は、端的に言うと「LeofotoのLS-254Cにセンターポールを付加したもの」という感じの部品構成の製品です。 MT-5を購入したのと同じAmazonのセラーさんからの購入でしたが、とてもフレンドリーな感じで購入のお礼のメールが来て、「この三脚はとってもハイクオリティですよ。それも、今回の販売価格はほとんど工場出荷価格なので超お得なお買い物ですよ〜」的な内容でした。 例によって前置きが長いのがishida式の特徴で…以下、実測を含むスペックです。 総重量:1367g(三脚部のみ) なんだか、ちょっとこのクラスにしてはやや重めの重量で、三脚単体としてはもう200〜300g軽くても良いんではなかろうか…という印象も持ちます。
HORUSBENNU Marsace Leofoto 脚 8層カーボン 10層カーボン 10層カーボン 重量 952g 1367g 751g 縮長 390mm(脚反転時)/445mm 462mm 385mm 全伸高 1348mm(4段+CP使用時) 1490mm(4段+CP使用時) 1185mm(5段) 4段 1107mm 1230mm 941mm 3段 850mm 930mm 720mm 2段 620mm 664mm 522mm 1段(+開脚) 420/313※/140mm※ 427/293※/86mm※ 355/222/50mm ※1段での開脚時はショートセンターポールへの交換が必要。 このクラスとしては圧倒的な軽さの「HORUSBENNU
FX-7439」や1ランクサイズの小さい「Leofoto LS-225C」と比較するのも変ですが、「Marsace
MT-1542」自体は外観の肉抜きなどもかなり凝っている割りには軽量とは言い難いですね。 しかし、肉厚のおかげか重さのおかげ(両方のおかげ?)か、8層カーボンパイプの「HORUSBENNU
FX-7439」、10層カーボンながら脚径22o×5段脚の4「Leofoto LS-225C」と比べれば、Marsace
MT-1542の脚を全伸した際の三脚のたわみは、明らかに小さくなっています。 ということで、とりあえず可搬性をある程度維持しつつ「HORUSBENNU
FX-7439」の剛性不足を補うという目的は達成…(^^; それにしても、トラベラータイプに比べて収納時の外径がスリムなのが特徴の一つですが、実際にはたたみ方次第で大差ないともいえて、ちょっと悩ましいですね。 脚の空転防止シムは一体になっているため、一般的な2枚のシムがバラバラになってしまうものより親切(これもLeofotoと同じ)で、空転防止のリブが一般的な2ヶ所ではなく3ヶ所あるのはこの三脚で初めて見る独自仕様ですね。 脚部のロックナット部には防塵防滴用のゴムパッキンが組み込まれていますが、上からの水の侵入は防止できるが下からの侵入は防げないので、水没させた場合は分解してメンテナンスしたほうが良いと思われます。(しかし、世間的には防塵防滴を謳っていながらグリスのみの対応となっているものが多い中で、ちゃんとゴムパッキンが装着されているのはとても良心的ですね) 脚のゴム足は先に紹介した「MT-5」と同様に、ゴム足をねじって外すと不整地向けのスパイクが現れる方式となっています。 ところがロックナットを外して内部確認していたところ、最下段の脚の空転防止シムを外してみてびっくり、シムの取付穴の加工で内側のカーボン層が剥離しているのを発見。 この三脚の特徴である、異形のセンターポールですが、重量は雲台ベースとウェイトフックまで含めて144gと軽量で、3箇所がえぐれた異形断面だからといって強度や重量的な不安はなく、固定はサイドノブのみですが逆にコレット部の接触面が大きいためか、とてもがっちりしている印象です。 開脚してローアングルにする際にはショートセンターポール(付属)に付け替えが必要ですが、 この製品で最も特徴的な三脚本体のトライアングル部は、前述のようにセンターポールを設置するために中央に穴が開いているため、絶対的な強度については雲台ベースと一体化したLeofoto
LSシリーズには劣ると思います。 雲台ベースには雲台をロックするための虫ねじが3箇所あり、雲台取り付けねじも1/4と3/8がバネで切り替わるギミック(こういうところもLeofotoそっくり)も装備しています。 付属するキャリングケースは一部カーボン柄をあしらった機能的かつ格好良いデザインなだけでなく、持ち手やショルダーストラップ、ベルクロ付きのベルトホルダーまでがフラットに組付けられており、突出が小さいだけでなくパイピングや金具、Dリングなどが無いためすっきりしていてとても良い。 全体としての満足度は高いですが、LeofotoのLSシリーズと同様に「収納時の外径は小さいが、全長はトラベラータイプより長くなる」といった弱点はあるものの、脚の伸縮率は高いことで全伸時の高さは有利ともいえ、使用用途に応じて選択する必要があるのはやはり痛し痒し。 下記、おさらいです。 ◎そこそこ低価格(購入時は三脚単体で2万円台前半)で高品質、高級感を感じる外観 余談ですが、HAKUBAにしろMarsace本家のHPにしても情報量が極端に少ないのですが、検索してみるとMarsaceの三脚や雲台を紹介しているHPが少数ながら見付かりました。 ---------- この先、さらに増殖しない保障はありません…(^^; ----------
普及サイズの最大脚径25mmの「MT-1542」と脚径28mmの「MT-2542」があり、センターポールを装備しているのにもかかわらず、LeofotoのLSシリーズ的な外観と収納時の外径を維持しているように見える不思議な製品です。
どちらも価格は驚くような差はなかったのですが、Marsaceの三脚って何故か全体に重めなので、脚径29oクラスの「MT-2542」ではなく「HORUSUBENNU
FX-7439」と同等クラスの「MT-1542」を選択し、全伸時の剛性にやや不満のあった「FX-7439」の置き換えも狙ってやろう(?)という算段としました。
で、コロナの影響にもめげずに最短で届いた「Marsace
MT-1542」ですが、収納状態はスリムです。
展開すると、ちゃんとセンターポールが装備されています。
3方向がえぐれた異形のセンターポールです。ロックノブは引き出して角度を変えられるラチェット機構付き。
前に紹介したテーブルトップ三脚「Marsace
MT-5」の記事の説明でも同じことを書いていますが、「Leofoto」は、米国の高級三脚メーカー「RRS」を非常に意識した製品を販売しており、本製品は更にRRSやLeofotoをコピーしつつ部分的にはオリジナリティを出そうとしているように見えます。
最大の特徴は、センターポールを排して外径のコンパクト化と高剛性を達成した「Leofoto
LS-254C」(実際にはLeofotoも前述の「RRS」のFIXED
APEXシステムのコピー)の中央部に脚の逃げを設けた異形のセンターポールを組み込んでしまいましたという構造です。
脚三本を束ねた程度の外径寸法(Φ79.3o)の中央部に、通常なら丸パイプで形成するセンターポールではなく、脚の形状を逃げた形状のセンターポールを配しています。
とは言っても、せっかくセンターポールを無くして「高剛性」も目指したはずのものなのに中央部にセンターポール用の穴を空けてしまうのもちょっと本末転倒かもしれませんね(^^;
意匠やデザインは前の記事の「MT−5」と同様に、LeofotoとRRSの良いとこ取りに見えてしまうのがちょっと残念ですが、「MT-1542」は工作精度や質感も良く、脚取り付け部の意匠もとても手が込んでいて高級感さえ感じます。
確かに自分の注文後にいったん品切れになり、次の入荷分は値上がりしていた(^^)
縮長:462mm(三脚座まで)
高さ:427o(一段)〜664o(二段)〜930mm(三段)〜1230o(四段)〜1490o(四段+センターポール)
脚径:25o(一段目)21o(二段目)17o(三段目)13o(四段目)
以下、三脚単体での手持ちのものとの三脚単体での比較です。
FX-7439
MT-1542
LS-225C
25/22/19/16mm
25/21/17/13mm
22/19/16/13mm
ただ、ネットで調べた「SIRUI
N-1204」と比べると概ね同等かちょっと軽いくらい、センターポールが無くて、縮長が20o短い「Leofoto
LS-254C」は930gと超軽量です。
日本の東レ製のカーボンパイプを使用しているLeofotoに対し、Marsaceの場合は「日本製カーボンパイプ」とだけ謳っていますが、パイプの肉厚が厚くて重量も重いようです。
Marsaceの場合「10層カーボンでパイプの肉厚が1.3mmあります」的に自慢しているが、そのせいで各段のパイプ径の段落ちが4o(同じ10層カーボンでもLeofotoは段落ち3o)あります。
試しに2段目以降のパイプを抜いて重さを測ってみると、8層カーボンパイプのFX-7439に比べて1本当たり100gくらい重いんですけど…(重そうに見えたセンターポール部はわずか144gでした)
実際のパイプの強度については直接比較できませんが…日本製のカーボンパイプと謳っていますが、少なくとも肉厚と重量の面ではやや見劣り感がありますね。
結局、剛性と重量はバーターっていうことなのかしら?(LeofotoのLS-254Cとは比べてないですが…)
価格(^^;、強度、重量、高さ、収納性は全て相反する要素なので、やはり「全てを満足するような三脚は無い」ということを再認識(?)できました。
異形断面のセンターポールのお陰でスリムでスリークな外観ですが、トラベラータイプのような収納は不可。
以前紹介した「Leofoto LH-30R」と組み合わせるとベストマッチ?
脚取り付け部やセンターポールのロックノブも複雑に肉抜きされていて格好良い。
MT-1542は縮長が長いが、トラベラータイプに比べてスリムです。
MT-1542(左)と脚を反転した状態のFX-7439(右)。外形の差異は大きい。
しかし、FX-7439も脚を反転させなければそこそこスリム…(^^; 長さは同等。
MT-1542(左)と脚を反転刺せない状態のFX-7439(右)。外形の差異は脚の突出分の違い程度。
センターコラムの構造の違いで全長に占める脚の割合が大きいため、伸縮率はMT-1542のほうがかなり有利となっており、全伸高にはけっこうな差があります。
FX-7439との比較では、全伸時は三脚本体だけの差でMT-1542のほうが120oほど背が高い。
お約束の3段階開脚
3段階の開脚が可能ですが、ローアングルにする場合はショートセンターポールへの交換が必要。
ボールポイントの六角レンチ(左)が付属で高級感あり。ショートセンターコラム(中)と雲台ベース(右)
ロックナットも回転角90°程度(ひと捻り)でロック・アンロック可能なタイプで、操作感も明確です。
個人的にはこのような方式がLeofotoのような差し替えの手間が無くて良いが、何となく紛失の不安とか、砂や泥が付いた場合に処置し易いかどうかは悩むところですね。
普通に考えれば、使い勝手的にはその都度付け外ししないタイプ(ゴム部分を回して引っ込めるとスパイクが出てくるタイプ)が一番使い易い気はします。
ロックナットの操作感は良いが、25-21-17-13oと、各パイプの段落ちが4oもある。
ゴム部分を外すとスパイクが現れる。レンチを差し込む穴があるということは、さらに取り外し可能?
雄ねじ側の上部にゴムパッキン装備。回り止めのシムは一体で、内径のリブは3本あるのは初めて見た。
な、なんじゃこれ!?
パイプ内側のカーボン層を貫通する前に押し込みすぎて、穴あけ時に最後の一押しで剥離が発生しているようです。
剥離しているのは最下段のパイプのみですが、3本とも同じ状態で、他の段のパイプにも内側にバリが出ていました。
こういうところはたぶん工程的に良くなくて、ゆっくり穴あけするか、バックアップ材を入れて穴あけしないとだめでしょ…
ただ、縮めるときにやや引っ掛かりがあって操作感はあまり良くありません。
センターポール下端のウェイトフックは小型で回転・取り外し可能だが、外さなくてもポールは抜ける。
センターポールを引き抜くときには、通常のトラベラータイプの三脚のように「ウェイトフックを取り外してから引き抜く」という操作は必要なく、ストッパー兼傷つき防止用のゴムリングを外してやればそのまま引き抜くことができます。(開脚してローアングルにする際にショートセンターポールにウェイトフックを取り付ける必要はないですよね)
でも、ゴムリングを無くさないように注意が必要で、さらには脚を折りたたんでいる状態でセンターポールを引き抜くような操作をすると、脚のストッパーとして機能しているゴムリングが意図せず引っこ抜けてしまうので要注意。
しかし、開脚ストッパーの当たり面も面接触ですし、一般的な「センターコラムの外に脚取り付け部が飛び出している」ような構造の安価なトラベラー三脚に比べると圧倒的に高剛性であり、脚取り付け部のぐらつきも非常に少ない印象です。
開脚ロックレバーも、引っ張って解除状態にし、最大開脚するとロック位置にバネで戻る機構(これがもうお約束?)になっています。
雲台ベースやセンターコラム部、脚の取り付け部などの肉抜きはかなり凝ったデザインで、アルマイトの仕上げも含めて高級感が感じられます。
ストッパーノブはお約束通り、ストッパー面が平面同士で当たります。右の写真のねじ穴はアクセサリーポート。
左がLeofoto LS-225C、右がMarsace
MT-1542ですが、センターポールの有無以外はよく似ている…
センターポール用の穴はあるが、構造的には剛性ありそう?
センターポールの固定はサイドノブだけ。裏側からみると容赦のない(?)肉抜きですね。
全体に持ち手の凹凸がなく、カーボン柄をあしらったデザインも格好良いケース。
ストラップも造り付けでフラット、D環やフックなども無くてよろしい。
◎脚部及び開脚ロック部の剛性が高く、操作感も良い
〇アルミ削り出しの肉抜き部は意匠が凝っていてデザイン性が高く感じる
〇三脚側の雲台固定ねじは1/4と3/8がバネで出退するタイプ(Leofotoとそっくり)で便利
〇付属のケースはスリムで出っ張りがなく、デザイン性も高い
〇ローアングル用のショートセンターコラムが付属、付属の6角レンチはボールポイント付き
〇センターコラム周囲2箇所に3/8ねじのアクセサリー用のポートあり。
△ロックナットを含めた脚の仕様のせいで重量が重くなっていると思う
△全体の意匠やデザインが他メーカーの真似っ子に見える(^^;
×脚の可動部のグリスがネバネバ感がある(グリスが手に付くと松脂のように粘るし、ほこりや砂を拾いやすい)
×カーボンパイプの穴開け加工の工程や仕上げに難あり(パイプ内層の剥離あり)
「台湾のメーカー」と紹介している記事が散見されますが、少なくとも現物のパッケージ等には住所は広東省シンセン市で、「Made
in China」ってなってるんですけど…