Panasonic G9 PRO  (その3:使用編@)

Panasonic G9 PRO (ボディ Black)
Panasonic G9 PRO  (その2:画質編@)の続きです

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Panasonic製のG9ボディに対して、手持ちのPanasonic製レンズは少なくて…

Panasonic G9を導入したのが2018年の10月末、ishida本業の昆虫撮影には間に合わず、2018年は夏以降から更なる心身の停滞もあって、レンズを追加したにもかかわらず夕陽の撮影以外の本格的な運用は2019年の春からという体たらく…。
それでも、春になってからは少しづつ昆虫撮影に出掛ける機会も増やしながら慣らし運転を継続中です。

Panasonic純正のレンズの手持ちがほとんどなくてご自慢の「空間認識AF」が体験できないのはご愛嬌ですが、使い込んでいくうちに使い勝手やレスポンスの良さは感じられます。
それでも、レンズがPanasonic製ではないからなのか、それとも特有の癖なのか判然としない気になるポイントは出てきています。

1.高輝度に弱く、背景に引かれがちなAF

これは、コントラストAFの最大の弱点なんでしょうか?G8と比べて悪くはないが、良くもなっていない印象です。
特に画面内に夕陽などの高輝度の被写体が入ると、フォーカスポイントを少しずらしても全く合焦しないか、あさってな位置で合焦と判断してしまうことが多々あります。

また、フォーカスポイントを大きくしたり多点を選択すると背景に合焦してしまう癖はまだ頻繁にみられ、逆に小さくしすぎると合焦が難しくなってしまいます。

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あくまでもイメージですが、この時も背景の波に合焦している…。

2.グリップ性とシャッターボタン・前ダイヤルの配置

大型のボディ・グリップからくる基本的なホールド性の良さは、グリップの天地が短いOLYMPUS E-M1に比べても上々の感触ですが、少し気になる点が出てきました。
正しいセオリー通り、ファインダーを覗きながら左手でレンズを支えて構える撮り方では特に気にならないのですが、マクロ撮影などでレンズをやや下向きに構えた際に親指周りの支えが効かなくなるため、グリップをしっかり握るだけではカメラ全体のお辞儀が抑え切れず、もともと前寄りにあるシャッターボタンに人差し指が届きづらく、さらには親指を使って操作するボタンやダイヤル類にもアクセス困難になってしまいます。
(特にジョイスティックやAFモードレバー、AF/AE LOCKボタン、Fn1ボタン)
それなりに重量のあるマクロレンズ「TAMRON 90mm Macro+マウントコンバータ」を使用し、腕を水平に伸ばし気味(左手でレンズを支えられない)で、背面液晶を使ってライブビュー撮影をする際に顕著です。

シャッターボタンが抑揚のないデザインで、指で探っても感触が判りづらいのと、前ダイヤルがシャッターボタンより後ろにある配置なのも操作性の面ではやや劣る気がします。
自分の場合、特に縦に構えると、シャッターと前ダイヤルの位置がよく判らなくなっちゃう。

店頭で各社カメラのシャッターボタンを確認した印象では、同じような電源スイッチ同軸構成のN社はシャッターボタンの抑揚は「やや判別しやすい」レベル、S社はボタン周りが突出していて判り易いが人差し指が窮屈(どちらも前ダイヤルがシャッターボタンの前側に付いているのは好感触)、C社はダイヤル配置がG9とよく似ているがシャッターボタンは独立配置で自然に指が導かれるようなグリップ形状ですが握り方に自由度が少ない印象…。

ついでにカタログでやネット情報で確認すると、Panasonicの新型「S1/S1R」は、電源スイッチは独立、前ダイヤルがN社・S社と同じようにシャッターの前側(グリップ側)に配置されてる(^^;…「改善した」ってこと?

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純正レンズではこんな焦点距離のマクロ撮影はないですけど(^^; さらにフラッシュを取り付けると重量増。

もっと重いレンズも控えているので、グリップ部に取り付ける「CaseLogic ハンドストラップ DHS-101」を購入し、もともと取り付けていたアルカスイス互換プレート「MENGS DP60」を介して取り付けました。
(ストラップに標準添付される三脚ネジを使用するアタッチメントは未使用)
とりあえず重いレンズでのグリップ疲れは改善、Peakdesign製のストラップ「Leash」との併用や電池蓋やメディアスロットとの干渉も問題無しです。

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3.ファインダーの視認性

スペック上はファインダー倍率やEVFの画素数は(発売当時)最高水準でしたが、アイポイントが近めなのと糸巻き型の歪曲が目立つのも確かです。
歪曲自体は実際の撮影中はそれほど気になりませんが、EOS RやNikon Zシリーズの広大でクリアなファインダーを見てしまうと、数値的なスペック以上の差があって格下感は否めません。
なんだかピントの山も掴みづらくて、被写体によってはジャギーも見えてしまうのはやや不自然感が伴います。
ここは単なる技術者のこだわりのなさなのか、スペースよりもコストの制約なのか?(技術の差じゃないよね…)

4.手ブレ補正効果

純正レンズでの比較が出来なくて申し訳ないんですが、数値的にはボディ単体で「シャッター速度6.5段相当」を標榜するG9に対して、「4段相当」のスペックであるE-M1のほうが数値的には劣っています。
しかし、同じ「TAMRON 90mm Macro」をレンズ側の手ブレ補正OFFで使用しても、ファインダー上での見えだけでなく、実際のマクロ撮影での歩留まりはE-M1のほうが優勢なように感じる。
逆に、OLYMPUS 40-150mm/F2.8 PROを使用した場合は同等、SIGMA 100-400mm/F5-6.3使用時はG9のほうが歩留まりが良いように感じるので、近距離と望遠側など、それぞれ狙いと得意分野が異なるのかも。
でも、マクロ撮影時には明らかにG9のほうが「劣っている」と感じてしまうのはishidaの主な用途からいって残念。 

もちろん、G8+純正G VARIO 12-60mm/F3.5-5.6というDual I.S.2が有効な組み合わせでもE-M1+12-40mm/F2.8 PROには手ブレ補正の歩留まりで圧倒的に負けていたと思うので、それを思うとG9はかなり追い付いて来ているという印象はあります。

5.電池の消費が(期待よりも)早い

G8使用時の最大の不満の一つが「電池の消耗が早い」ことだったのに対し、G9は電池がより大容量のものを採用しているぶん、もっと長持ちを期待してしまいます。
G9のスペック上の静止画撮影可能枚数は、「BLF-19」(1860mAh)使用時、380枚(モニター使用時)/360枚(ファインダー使用時)/890枚(省電力ファインダー・1秒設定)となっています。
G8のスペック上の静止画撮影可能枚数は、「BLC-12」(1200mAh)使用時、330枚(モニター使用時)/320枚(ファインダー使用時)/800枚(省電力ファインダー・3秒設定)なので、電池容量の差を考えると実際にはG9のほうが大食らいなのが判ります。
E-M1の場合は、「BLN-1」(1220mAh)使用時に350枚(CIPA基準にて)との記載です。

実際にはスペック的には大きな差は現れていませんが、実際にフィールドへ出て使った感覚では、「E-M1で電池交換無しで済ませられるレベルの撮影でもG9だとちょっと心配になるレベル」という印象でした。
「省電力ファインダー」設定はフィールドでの撮影レスポンスが落ちるので出来るだけ設定したくないんですが、状況に応じて試してみようかと思います…

実際に「省電力ファインダー」設定を試してみると、体感的には「一回のフィールドでの撮影は概ね電池交換せずに済ませられる」と感じるくらいに長持ちしました。
ただ、起動は早いというもののやはりレスポンスの面では少し待たされる感があります。
特にG9の場合、まずモニター復帰(ライブビュー表示)時に、画像とともにまず日付が表示された後で撮影情報が表示されるというのが待たされ感につながるようです。(ishidaは絞り値をすぐに確認したいので)
世代的に古いはずのE-M1のスリープ復帰と比べてもちょっとレスポンスで負けてる気がする…

6.センサーへのゴミ付着はE-M1より目立つ気がする

これはもう単に「気がする」といったレベルの話ですが、実際に使い始めて半年ほどですでにセンサーのゴミが気になるようになってしまいました。
翻って、E-M1では2015年に導入して以来一度もセンサーのゴミを意識したことはありません。
もちろん、ishidaの用途の大半はF5.6以上に絞り込んで撮影するマクロ撮影が多いため、センサー面にゴミがあるとすぐ気が付いてしまうんです。
価○コムの口コミなどでゴミについての質問に対して、M4/3以外の機種で「センサー面のゴミは一度も体験したことはない」という回答の人達もいて驚きですが、ずいぶん幸せな人たちだな…逆に、ゴミがあっても写り込まないような撮り方(カメラ任せのPモードで小絞りを使うことがほとんどないとか)しかしないのかもしれません。
実際、特にishidaがα77を使用していたときには、写真の整理は常にソフトによるゴミ除去とセットだったことはいうまでもありません。
(それも、当時はほとんど100mmマクロを付けっぱなしで、レンズ交換ってほとんどしなかった記憶なのに…)
α77でも「静電気防止処理とAS機構を利用したセンサー振動機構によりゴミの付着を抑制・除去する」といったことを謳っていましたが、AS機構でセンサーユニット全体を揺らすという方式ではどう考えても期待薄…

G9とE-M1、どちらの機種もローパスフィルターは無く、同等のSSWフィルターを装備していると思われるため、ゴミ付着の起きやすさ・ゴミ除去の効果の差があるのではなく、E-M1の場合は大きなゴミはセンサ前面にあるSSWフィルターの振動によってふるい落とされ、フィルターとセンサー間の距離が大きければ小さなゴミは写り込まない、G9の場合も大きなゴミは同じようにふるい落とされるが、同じような小さなゴミでも目立ちやすい、つまりG9の場合はフィルターとセンサー間の距離(E-M1より近い?)の関係で結像しやすいということなのかもしれませんね。

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2019.4.28撮影の画像。赤丸部にゴミが写り込んでいる。 TAMRON 90mm Macro 1/80秒 F10

画像上で気になるゴミはα77の頃に使用していたクリーニングキットを使って除去することが出来ましたが、G9って電源OFFの状態ではセンサーがブラブラしていてちょっと怖かった(^^;;;;;;

7.画質は満足感あり

これまで文句ばっかり言っててすみませんが、これはこの機種最高の満足ポイントです。
これは使用開始した当初から感じていますが、解像感が高いだけでなくG8とは絵造りの方向性が違います。
センサー性能もワンランク上(GHシリーズと同等)のものを使用しているとのことです。

もちろん、撮影距離やハンドリングなどの条件等を無視し、135サイズのフルフレーム機でこのくらいの画角で撮影すればもっと高画質・高解像なのは物理法則からすれば当たり前です。
でも、いわゆるフルサイズ機でこの撮影倍率で撮影しようと思ったら、180mmのマクロレンズが必要だし、もっと絞り込まないと被写界深度も稼げないし、手ブレが心配なら三脚も必要になったり…そうなると、とにかく重厚長大なシステムサイズになってしまいます。

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Panasonic G9+TAMRON 90mm F2.8 F8.0 1/200 ISO500 

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トンボの胴体部を700×700pixelで等倍切り出し。

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Panasonic G9+TAMRON 90mm F2.8 F4.0 1/200 ISO1250 

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トンボの胴体部を700×700pixelで等倍切り出し。光線の条件も悪くて、ISO1250だと微毛は消え気味ですね。

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Panasonic G9+TAMRON 90mm F2.8 F7.1 1/200 ISO200  700×700pixelで等倍切り出し。
物理現象である複眼の偽解像と輝点の偽色はこういうシーンでは不可避っぽい。

恒例にしようと思っていた「沖縄遠征」ですが、2019年シーズンは飯の種のほうの業務多忙でまだ未実施…。
業務の一段落を見て、いよいよG9が活躍する本番が近付いていますので、乞うご期待(?)

------- その4へ続く(予定) -------