Panasonic FZ1000  (その2:画質編)

Panasonic FZ1000 (Black)

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購入以降2ヶ月ほど使ってみて、カメラとしての使い勝手の良さと、コンパクトカメラと呼ぶには憚られるほどにサイズが大きいことからくる取り回しの悪さは実感しています。

今回は「画質編」とかいうと随分偉そうですが、「レンズの収差が云々」とか「高感度のノイズが何とか」といった話題は脇に置いておいて、「ishidaにとって満足いく写りかどうか」というところを中心に書いておこうと思います。
また、どこかしら弱点があるのはカメラとしては当たり前なので、その弱点を解った上で使いこなすのがishida式です(どうにも許せない弱点がある場合は代役を立てる必要性の判断も…(^^;)。

逆光に弱いとか、絞り開放時の画質に難があるといった弱点は良くある事ですから、そこは使いこなしでなんとかなりますよね。
逆に、広角での撮影が主なのにワイド端での歪曲が大きいとか、集合写真をよく撮るのに周辺の画質が悪いといったものは、用途とカメラの選択が合っていないことになります。

まずは、いろいろ撮影した中で、ポイントとなりそうなものをピックアップしていきます。

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新所原駅を通過する貨物列車。400mm相当 F4.0 1/3200 ISO125 -1.7EV

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恩田大川入山から見た富士見台。400mm相当 F5.6 1/1600 ISO-125

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中央上付近の等倍切り出し。雪原のトレースや登山者も見えます。

望遠撮影時の画質は、ある意味このカメラの一番の売りでしょう。
豆粒センサー機には1200mmとか、最近発表になった機種では2000mmなんていうとんでもない焦点距離のカメラも出てきていますが、画質は推して知るべし。
ishidaとしても、このカメラに期待するところの多くは「望遠側の撮影領域拡張」でした。
「価格なんとか」などで上がっているものや、個人のHPなどの作例から見ても、レンズ枚数が多いのにもかかわらず「(レンズの解像力かどうかは不明だが)高い解像感」と「ヌケの良い」画質が期待できそうでした。 
実際、出てきた絵を見る限り、期待に違わない写りといえます。

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渥美半島の堀切海岸。71mm相当 F3.7 1/1600 ISO-125
もはや電話機でも順光なら綺麗に写るのは当たり前の時代なので、見た目は普通?

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渥美半島の日出海岸からの太平洋。69mm相当 F8.0 1/2500 ISO-125
冬の低い太陽光下、逆光という悪条件でも耐力ありそう。

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夕陽と空の空気感が出ています。294mm相当 F5.0 1/5000 ISO-125 -1.3EV
焦点距離にもよると思うが、フレアとかゴーストには意外に強い?

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渥美半島上空を流れる雪雲と鉄塔。84mm相当 F3.8 1/13000 ISO-125 -0.7EV

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鉄塔と電線の等倍切り出し。ジャギーは発生しているが、パープルフリンジや偽色は抑えられています。

実際に使ってみると、「焦点距離25〜400mm、大口径F2.8〜4.0」とのスペックに偽りはないとは思いますが、開放F値の焦点距離による変化は、25mm/F2.8 26mm/F2.9 30mm/F3.0 40mm/F3.2 57mm/F3.5 170mm/F4.0といった具合で、F2.8なのは本当にワイド端だけ…(^^; 
それに、撮影画像のExifデータではF2.9って出てるけど…(^^;;;;;;;;;;;;
他社とのスペック競争もあるとは思うけど、本当にこれでいいんでしょうかね?
その代わり、どの焦点距離でも絞り開放から画質は良好に見えます。(カタログスペック至上の無理やり開放F値にこだわって絞り開放時の画質ががっかりな機種もあるので、それよりは良心的?)

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恩田大川入山からの焼山と立ち枯れ木 59mm相当 F3.6 1/1600 ISO-125

P1020736_1.jpg - 166,987Bytes
中央右寄りの拡大(約1/2サイズに縮小) 木肌の描写、背景との分離も良好。

P1020823.JPG - 210,680Bytes
恩田大川入山付近から1886mピークの尾根。211mm相当 F4.5 1/1600 ISO-125 -0.3EV

P1030041.JPG - 137,797Bytes
大川入山付近から霧氷の尾根の向こうに南アルプス。47mm相当 F6.3 1/2000 ISO-125 +0.3EV

P1030133.JPG - 213,219Bytes
大川入山の斜面から南の奥三河の山を望む。77mm相当 F5.6 1/2000 ISO-125
逆光で明暗のきつい条件ですが、目で見たのに近い好ましい描写です。

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大川入山の尾根から見る南アルプス赤石岳と聖岳。245mm相当 F5.0 1/2000 ISO-125 -0.3EV
ただ大きく写るだけではなく、山のディテールや立体感が表現されていますよね。

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大川入山から霧氷越しに見る茶臼山。122mm相当 F5.0 1/2000 ISO-125

センサーサイズを考えれば、とりあえずあからさまな描写の弱点は見当たりません。
例えば、S110の場合は「コンパクトなボディ」「使い易いズームレンジ」「解像感の高い描写」がお気に入りのポイントでしたが、「逆光時のフレア」「明暗差のきつい被写体の描写」が弱点で、使い勝手上も「速度が遅く、コントラストの低い被写体に弱いAF」「低温時の電池警告」「電動ポップアップ式のフラッシュ」「グリップし難いボディ形状」という使い勝手上の不満もあったのですが、FZ1000の場合は「ボディサイズが大きい」以外には大きな弱点が見当たりません。

ただし、時々気になるのが「周辺減光」のような謎の描写です。
絞り開放ではなくても発生しているし、気にしだすと中望遠で撮った上の「大川入山から霧氷越しに見る茶臼山」の画像でも左上の隅に見えるような気もします。
青空を写した時くらいにしか発生しないので大きな問題には感じないものの、気にし始めると気になる…(^^; シェーディングか電子的な歪曲補正の影響かしら?

P1020257.JPG - 99,462Bytes P1030067.JPG - 103,953Bytes
25mm相当 F5.6 1/400 ISO-125 -0.3EV(右) 25mm相当 F4.5 1/2000 ISO-125 +0.3EV
どちらも、画面の上側両隅にケラレのような描写が見えます。絞り開放ではないので、周辺減光かどうか?

ちょっと気になるので、不本意ながらわざと確認のための撮影をしてみるとワイド側の25〜35mm付近では絞り開放から最小絞りまでの範囲で周辺光量落ちが目立ちます。
それに電子的な補正が加わった際に、少々不自然な感じになることがあるように見えます。

P1030210.JPG - 56,244Bytes P1030208.JPG - 56,769Bytes
25mm相当 F2.8 (左) 25mm相当 F8.0 (右) 補正されているとは思うが、ワイド端での周辺光量落ちは目立つ。

P1020703.jpg - 212,581Bytes
25mm相当 F2.8 1/800 ISO-125 +1.0EV

P1020703_1.jpg - 172,388Bytes
これも不本意な粗探しですが、画面左上の隅の拡大。像の流れとかは特に気になりません。
画面の外側に向かってパープルフリンジ様のものが見えるのは、球面収差かコマ収差のため?

画質と関係ありませんが、機能上はシーンモードの中から選択すると「パノラマ撮影」が可能ですが、繋ぎ目が不自然になってしまうことが多々あります。
これは、XQ1でのパノラマ撮影よりも明らかな失敗が多い印象です。

P1020661.JPG - 107,558Bytes
明暗差が大きかったせいか繋ぎ目もおかしいし、フレアも規則的に合成されています。

P1030120.JPG - 119,909Bytes
空を横切る規則的な明暗のピッチが発生しています。

暗所での撮影はしていませんが、作例ができたらおいおいアップします。
下は、試しに「すばる」と「ラブジョイ彗星」を撮影してみたもので、PhotoPaint13で暗部を持ち上げてありますが、このサイズのカメラでもよく映るのでびっくりです。

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すばる(上)とラブジョイ彗星(下) 2015.01.17 22:37 180mm相当 F4.0 2秒 ISO-1600 PP13で暗部補正

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