ishida式の籾糠山(もみぬかやま)登山
2007年7月24日(火) 籾糠山へ行って来ました。

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天生湿原へ向かう途中からの北アルプス(左端から立山、薬師岳、裏銀座の山々、槍ヶ岳、穂高連峰)

私の勤務先は7月下旬に夏休みがある(その代りにお盆休みは少ない)ので、人が少ない平日にお出掛けすることにしました。子供たちは部活やら校内夏期講習やらで予定が合わないため、奥さんと2人で天候を見ながらの決行としました。

 

籾糠山(もみぬかやま)は、岐阜県の世界遺産「白川郷の合掌集落」から程近い天生峠(あもうとうげ)が登山口になります。
天生峠から籾糠山までの標高差は約500m程度ですのでハードな登山ではなく、ブナやカツラの原生林と湿原を楽しむ山歩きです。

コース途中の「天生湿原」は岐阜県の天然記念物に指定されている高層湿原で、規模は小さいながらミズバショウやニッコウキスゲなどの群生も見られます。

 

↑というようなことを事前に調査して目的地を決定しました(^^)。「ブナやカツラの巨木と高層湿原」がishidaの琴線に触れたポイントです。
山頂からの眺めも良いらしいし…

 

ちょっとでもお安く行こうという事で、高速道路も「ETC通勤割引」を駆使して(?)走行。

ただし、道中の疲労感を考慮して普通車で。

 

音羽蒲郡IC〜美濃加茂IC 88.6Km 2850円→1450円(通勤割引あり)

※連続して通勤割引を適用するには、美濃加茂ICをETCで通過後、外道でUターンしてETCカードを別のカードに差し替える必要があります。カードを交換しないと美濃加茂から先は通勤割引(半額)が適用されませんので注意

美濃加茂IC〜荘川IC 80.5Km 2400円 →1200円(通勤割引あり)

合計 2650円

 

ちなみに、普通に走ると

音羽蒲郡IC〜荘川IC 169.1Km 4250円→3000円(深夜割引あり)

 

今回は、合計距離が169.1Kmなので、二分割することでフルに通勤割引が生かせる行程となりました。

※二分割できない距離で、例えば210Kmの行程を中途半端に90Km(通勤割引)、30Km、90Km(通勤割引)と分割してしまうとお得感がないので注意しましょう。

 

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国道360号で天生峠へ向かう途中の滝(左)天生峠手前で初めて白山の姿を見る(右)


自宅をAM5時頃出て、近所のセプンイレブンで食料を調達、国道23号線バイパスに向かうとフロントガラスに雨粒が…。天気予報とは裏腹に不安な空模様ですが、長野、岐阜方面は前線の活動の影響はないと信じて進みます。

結果、愛知県内では時折り僅かに雨粒を見ましたが、岐阜県に入ると天気は快晴に。途中特にトラブルもなく天生峠に到着。

 

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AM9時頃天生峠駐車場に到着、準備して出発!今回はおNewの靴のお試し(左)タマガワホトトギス(右)

 

駐車場には他には車は無し、おトイレを済ませてから準備して出発は9:30頃。

こちらでは入山時、環境保全のための協力金として500円を支払います。

 

早速タマガワホトトギスがお出迎えしてくれる道中、快晴の空の下に北アルプスの山々が見渡せる場所があり、気分は上々です。

30分ほど歩くと天生湿原に出ます。途中の樹林は明るく、下生えの植物が豊富なのでかなり昆虫が豊富なようです。早速昆虫撮影のために足が止まります。これがishida式登山…?

湿原ではニッコウキスゲの花期は既に過ぎているため、あまり目立つ花はありません。

 

湿原を過ぎ、今回はカラ谷沿いのコースを取って、沢沿いのブナ・カツラの混交林を行きます。下草が低いため、見通しの良い樹林帯は気持ちよく歩けます。

ただし、足元はぬかるみが非常に多いため、ハイカットの靴がベターです。

周辺は多雪地帯でもあり、沢沿いの道に限らず湿度が高く保たれているようで、植生も亜高山帯のものが見られます。下草はサンカヨウ(既に花期は終わり、巨峰の粒のような青紫の実がなっています。)やカニコウモリ、カラマツソウなどが見られます。

虫も沢山見られ、奥さんへの解説や写真撮影に大忙し(^^;、なかなか歩みが進みません。

 

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ワタスゲも生育する天生湿原(左) 左に茂る大きな葉はミズバショウ(右)

 

登山道を行くと程なくカツラの巨木が2本並んだ間を通過します。

これが、いわゆる「カツラ門」と呼ばれるこのコースのシンボルです。 

 

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カツラ門(左) サンカヨウの実(右)

 

途中、クマ除けの鈴を鳴らしながら登山道の整備をしている方と出会いましたが、協力金もこのように使われているんでしょうね。

協力金に関しては感じ方は人それぞれかもしれませんが、協力したくない人は入山しないで結構と言いたいです。

 

道中は美しい原生林を楽しみつつ、豊富な動植物にもついつい目が行ってしまいます。

なかなかコースタイム通りに進んでいないような気が…やっぱりこれがishida式?

 

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ミドリシジミの一種(左) ヒロバカゲロウの一種(中) まるで蝶のような蛾、イカリモンガ(右)

 

カラ谷の名の通り伏流水となって枯れていた沢が瀬音を響かせるようになり、何回か沢を渡ると木平湿原への分岐を過ぎ、尾根に向かう本格的な登りが待っています。

ちょっと急な登りを登り切ると尾根に出て道は緩やかになり、周囲はモミ・ツガなどが目に付くようになります。ダケカンバも混じり、亜高山帯上部の雰囲気です。

小ピークを越え、再度急な登りを登りきったところで籾糠山の山頂に出ます。

山頂では、これまでほとんど眺望のなかったのがウソのように視界が開けました。

天生峠を9:30に出発して、山頂には12:30着ということで、ほぼ3時間の行程でした。よく考えると、途中で一回も大休止を取らなかったのですが、立ち止まったりしゃがんでいる時間はかなりあったのでこんなもんでしょうか?

 

山頂手前の登りにかかる手前で、クマの足跡発見。

昨日は雨で、バスツアーの団体が登ったとのことなので、足跡は雨が上がった後の昨夜付けられたものと思われます。登山靴の足跡の上にクマの足跡が重なっています。

つまり、我々は今、クマの生活圏の真っ只中に足を踏み入れているということですね。

 

左前足の足跡(中央右)に左後ろ足の足跡(中央左)が重なっている
やっぱりクマ除けの鈴が必要でしたね…

 

教訓:野生動物をなめてはいけません!


籾糠山の山頂はあまり広くなく、混雑時には満員になってしまうそうです。
北東方向は御岳から乗鞍、穂高連峰と槍ヶ岳、裏銀座の山々から薬師岳、立山と剣岳、後立山連峰までが大パノラマで見渡せます。時間的に遅いため靄が出てしまっていますが、見通しがよければ南アルプスまで見えるようです。

白山の展望も期待していたのですが、そちら方向はすぐ隣りの「猿ヶ馬場山(さるがばんばやま)」の方が標高が高くて視界を遮ってしまっているのでした。

 

籾糠山頂からのパノラマ写真(約180度)も作ってみました。こちらをどうぞ。

 

スクロールしてご覧下さい。画面左が西、右が東です。

 

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立山を見ながらエネルギー補給の奥さん(左) 山頂には先客が100万匹、黒い点は全てトンボ(右)

 

山頂でひとしきりエネルギーならぬオニギリー補給と抜群の眺めを(貸し切り状態で)楽しみました。

下山コースは向こうに見える小高い部分にある木平(きだいら)湿原を回るコースをとります。

 

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緩やかに登ると背後に籾糠山のピークが見えます(左) 立ち枯れ木に密生したツルアジサイ(右)

 

山頂から、往路を来たコースを下り分岐まで戻ります。

そこから木平湿原のある山に向かって登ります。周りは背丈ほどのササですが、木が密生していないため明るく、しばらくすると背後に籾糠山の山頂が見えます。

道が平坦になると、周囲の木が少なくなり、逆にダケカンバの巨木が目立つようになります。雪と風衝によるものか立ち枯れた木も目立ち、独特の景観です。
また、台地状の尾根にもかかわらず、普通は沢筋などでよく見られるツルアジサイが多く見られます。

木平湿原は可愛らしいこじんまりとした湿原です。湿原にはモウセンゴケが目立ちます。

 

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湿原の中のこんもり盛り上がった部分はモウセンゴケの丘(左) お猿ではなくイノシシの足跡発見(右)


木平湿原からの下りでは、イノシシの足跡も発見。湿原の近くからカラ谷分岐まで、ずっと続いていました。

この下りはそこそこ急で(4本足のイノシシも滑った痕があった)距離も長いため、下山ルートとしたほうが良いようですね。足場はしっかりしているため、歩きにくくはないです。

また、この下山路はブナの占有する林が多く、静かな雰囲気です。

カラ谷分岐から天生湿原まで戻り、往路とは反対周りで湿原を廻って戻りました。

13:30に山頂を出て、16:20に駐車場へ戻りましたので、復路は約3時間弱でしたが、やっぱり大休止はとりませんでしたね…途中遊んでばかりでしたが(^^;。

 

天生峠から籾糠山を廻る山域は、美しい広葉樹の林と亜高山帯の雰囲気を併せ持ち、山頂の展望もよい気持ちの良いトレッキングコースというイメージでした。

昆虫などの生き物も豊富で、ishida式にも嬉しい土地柄でしたね。

 

ちなみに、国道360号線は山岳路のため、ミズバショウの咲く季節は時間帯通行規制(冬季は閉鎖)があるそうなので、その季節に訪れる際はご注意を。

 

下山して、時間的にはちょうどよい時間となってしまったので白川郷の観光は次回のお楽しみとして帰路につきます。

荘川ICから美濃加茂IC、美濃加茂ICから音羽ICと、通勤割引時間帯の走行での帰宅となりました。