ishida式の恵那山登山 2008Part3(^^)
2008年11月22日(土) 雪の予報にたまらず、恵那山へ。

今週後半は急激な冷え込みなうえ、週末には気圧の谷が通過との予報です。

金曜日の夜、Yahooの天気予報をチェック、「雨雪判別」では2000mクラスの山地では明らかに雪と思われます。

当初は奥さんと二人で富士山の見える山に軽いスノーハイクにでも行こうかと思ったのですが、前回の「山伏(やんぶし)」への道中のこともあり「朝早いのは勘弁して」とのお言葉。

しかし頭の中には既に「新雪」が刷り込まれてしまって我慢がならず、「一人なら恵那山クラスもOKだな。広河原からなら高速も使わず経済的だし…富士山も見えるし。」などという勝手なこじつけ(?)を展開して目的地を変更しました。

 

さすがに標高もあるため、普段の25Lザックでは防寒着が入らないので無駄に大きいザックに詰め替え。

夜中に玄関を出ると、久し振りに見るシーイング抜群の星空に快晴の山を確信!いそいそと荷物を積み込んでAM4:00には車中の人に。

途中はガソリン給油と食料の買出しをして、奥三河から南信州へと走ります。

国道の温度表示では、根羽村では0℃、平谷村で−2℃を表示。

平谷の道の駅周辺では池ノ平山の上部はうっすら白く見え、路肩でも昨夜の雨(?)が凍っているのが見えます。

さらに、治部坂峠への登りにかかるとすぐに路肩に雪が現れました。

こういうことを想定して、ちゃんとエブリちゃんにスタッドレスタイヤを履かせておいて正解!(実は夏も履きっぱなしだった…)

とはいえ、治部坂峠もその先の寒原峠も雪を踏むことはありませんでした。

峠を下り、阿智村でR256に入ると、昼神温泉の背後の山がオレンジ色に紅葉し、山頂部がちょっとだけ白くなっているのが未明の空の下でも見えます。

そして、行く手の方向には雪を被った山の姿が…わくわく(^^)。

国道から園原に向けて左折すると、橋のつなぎ目の鉄板が凍っていてすごく滑ります。
さらに園原IC手前では緩くカーブした橋のつなぎ目の上をハンドルをまっすぐにして通過、アクセルをONした途端に意図せぬ四輪ドリフト状態に(^^;

想定の範囲内なので、とっ散らかることなく車線内で収束。でも、常春の渥美半島(の付け根)の人間なのでもうちょっと気を付けねば…。

最後の人家を過ぎて林道に入ると、そこはもうしっかり積雪がありました。

 

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昼神温泉のバス停から日の出前の山(左) 林道に入るといきなり積雪(右)

林道の轍を見ると、先行した車が2台ほどある様子です。

AM6:35にゲート前の駐車場に到着すると、やはり車が2台停まっています。

車中で朝食をとっていると、隣の車の方が着替えをして出発していかれました。

自分も準備を済ませて7:05に出発します。

ちょうど朝日が昇り始め、周囲の山の山頂が真っ白く輝いています。

 

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霧氷帯と積雪で二段階に染まる上部(左) 対岸のダケカンバ林(右)


林道も積雪と氷で覆われており、駐車場から全く土を踏むことなく登山口までたどり着きました。

足跡は先行した単独の方の分しかないようで、もう一台のミニバンの方はまだお休み中だったのかな?
橋を渡り、雑木林と植林地の境界付近の登山道をジグザグに登ると、落葉のため前回とはうって変わって明るく見晴らしの良い状態です。
背後に神坂峠側の山が、やはり上部に白い帽子を被ったように見えてきて結構楽しめます。前回とは全く違って好印象(^^)

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背後に神坂峠側(鳥越峠の東側の尾根)の山が真っ白く見えます。

尾根筋に出ると、神坂峠ルートの尾根も白いベールをまとった姿が見えてきます。
カラマツ林の中、ちょうど霧氷帯の高度に達したところで樹冠の氷に朝日が当たり始めて、真っ白に輝いています。

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樹冠に朝日が射し、霧氷が真っ白く輝いています。

新雪が5cmほど積もっているものの、先行する方のしっかりしたトレースのお陰であまり気をつかうことなく進めます。
写真撮影を楽しみながら登って看板ピークに着くと、先行の方が休憩していました。
挨拶をして顔を見ると、実はけっこう高齢の方でした。
トレースのお礼方々、よくよく聞くと恵那山は初めてとのことだったので、ここからは自分が先行することにします。
前回は木の葉が茂ってよく見えなかった山頂部も、葉を落としたダケカンバの向こうに綺麗に見えます。おお、真っ白(^^)。

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看板ピーク先の尾根から山頂部が見えました。(左) 振り返ると南アルプス(右)

調子に乗って写真撮影に励んでいると、先行したつもりがいつの間にか追いつかれていたりして…。
景色のよさに二人で「今日は大当たりですね。」などと話しながら、ふと脇の林を見るとニホンザルがアンニュイな表情で日向ぼっこしていました。
確かに、登ってくる途中でなにやらサルらしい呟き声が聞こえていました。
特にこちらが騒がなければ気にしない様子で、じっと朝日の温もりを味わっている様です。

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開けた尾根は前回以上に明るい印象(左) 木の上にニホンザルが日向ぼっこ(右)


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真っ白く着氷したダケカンバ(左) しかし、強い西風でどんどん落氷していきます(右)

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笹原の中の木が、まるで砂糖菓子のクリスマスツリーみたい。(笹にはほとんど着氷していない)


写真撮影のため、単独行の方には一時先行してもらいましたが、再び追い付いた後はishidaが先行して進みます。
樹林帯の中に入ると雪の量も次第に増えてきて、登山道では10cmくらいあります。
氷点下の気温に加えて、尾根では風も強くなってきたため体感温度は−10℃?
汗は出ずに鼻水が垂れます(^^;
そういえばぜんぜん水分補給していないことに気が付き、ハイドレーションのポカリスエットを吸ったらシャーベットが出てきました(^^;;;;;

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高度を上げていくと、南アルプスの北の端まで見えてきます。白いのは風に舞う氷です。

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中央が1716標高点の尾根。右端がヘブンス園原、中央やや上が林道とヘブンス展望台の分岐。

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真っ白く着氷したカラマツ(左) 厳冬期には雪庇の発達する地点から県境尾根(右)

途中、左側が急な笹原の斜面になっているところは冬季に雪庇が発達するとのこと。
もう既にここだけは東側に雪が吹き溜まっています。
県境尾根までは、更にここからもうひと登りします。

 

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けっこう吹き溜まっています(左) 真っ白な霧氷で枯れ木に花が咲いたよう(右)

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黒井沢コースの1992ピークと背後に恩田大川入山(左) 県境分岐に到達(右)

県境分岐への登りから見る黒井沢コースの1992mピークはこれまでの印象よりも尖って見えます。
背後には三階山、恩田大川入山など、東に続く山々が見えます。よく見ると、三階山の左の肩には治部坂峠の東側にある蛇峠山(アンテナがある)も見えています。
更に樹林帯の中を登ると県境分岐の看板前に出ます。
ここからいよいよ山頂に続く主稜線に入ります。
この先からはずっと樹林帯の中を進みますが、周囲の針葉樹は霧氷が成長してプチモンスター化しています。

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白骨化した立ち枯れ木も周辺の白に埋もれています(左) この先は樹林の中を行きます(右)

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恩田大川入山の右に大川入山が姿を現します(左) この辺りで靴の甲が埋まるくらい(右)

稜線を行くと、東側の視界が開ける場所から大川入山が望めました。
稜線での雪の量は、ちょうど靴の甲が埋まるくらいの厚みですから、積雪は10cmくらいでしょうか?途中にはクラスト層はありません。

木々は下枝までびっしりと氷で覆われていますから積雪ではなく、霧氷の発達(いわゆる「樹氷」)によるものであることが判ります。

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下枝までびっしり着氷しています(左) 三角点手前の笹原(右)

いったん緩く下った後の最後の登りを過ぎて平坦になると、三角点広場は目の前です。
広場の雪原には人っ子一人おらず、今日の先客はウサギだけですね。
 

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ウサギの足跡しかない三角点広場

ちょっとのんびりしてセルフポートレート撮影したり、ヤグラに登ったりして遊んでいると途中ご一緒した単独行の方が到着。
写真撮影などしていると、さらに若いカップルが登ってみえました。

恵那山ファンとしては、ここまで来て「恵那山って展望の悪い山だったね。」なんていう印象のまま帰られるのも寂しいので、三人の方には避難小屋と小屋裏の大岩からの展望も解説しておきます。

 

 

看板の前でカップルのお二人の写真も撮ってあげて、避難小屋に向かいます
小屋前の広場にもウサギの足跡(それも、何故かちゃんと玄関前まで行って戻っている)しかありませんね。

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避難小屋に到着(左) 小屋裏の大岩へ(右)

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大岩からの南アルプス南部(左から荒川岳、赤石岳、聖岳、富士山、上河内岳、茶臼岳)

ここでお約束の(?)大岩の上からの展望パノラマ作成しました。

ここで11:30頃ですが、腹ごしらえの前に大岩に登って景色を楽しみます。
雲一つ無い快晴の空の下には、雪を戴いた南アルプスから八ヶ岳まで見えます。
その後、小屋の前で風を避けながらのんびりと昼食の準備にかかります。
小屋で休んでいたカップルが出てきたので、おせっかいにも大岩の展望を楽しむようにお勧めしておきます。今日ここまで来て、この展望を楽しまずに帰るのは、とってももったいないですよね!
帰られる際にはご丁寧にお礼まで言われてしまいました。とんでもない、単なるお節介ですから(^^)
(しかし、ご高齢の単独行の方はここまで来ずに帰ってしまったようです。残念。)

のんびりとお湯を沸かしながらお食事にします。
気温は氷点下ですが、小屋の前は陽射しのお陰でまるで春のようなポカポカ感です。
食事が終わったところで、一眼レフを持った単独行の男性が現れたので、再びお節介にも大岩の展望をお勧め。
更にもう一度自分も登って、お節介の山座同定も(^^)
その方も「山頂の展望が悪いとか言ってそのまま帰るのは登山者として怠慢。山の楽しみがわかってないですね。」と同意見。
そのうえ、関東出身だが現在は大阪に赴任されているというその方の持参のカメラはα700だったので、更に話が盛り上がり(^^)
ついでに「恵那山の最高地点」も解説しておきます。お節介を通り越して有難迷惑だったかしら(^^;;;;;;;;;

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暖かい陽射しの小屋前で昼食。(左) 光線が変わったので、もう一回大岩で写真撮影(右)

身も心も満腹したところで、最高地点の神明社まで往復に出かけます。
木立の中に入ると、足元の雪の上を見慣れない昆虫が歩いています。
おおこれは、本で読んだことのある「クモガタガガンボ」の一種だな!
「クモガタガガンボ」類は、雪の上だけで活動する翅の無いガガンボの一種で、ほぼ氷点下の気温下でのみ活動する不思議な昆虫です。
本州では山岳地帯でのみ見られるとのことですが、生態は謎に包まれているようです。

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雪の上でのみ活動するクモガタガガンボの一種(左) 神明社から御岳(右)

神明社からは御岳、乗鞍岳、穂高連峰も見えます。
ここから前宮分岐方面や恵那山の南面も見えますが、強い西風によって形成された霧氷が「エビの尻尾」と呼んでも構わないくらいに成長しています。
そして、大岩の上からでは不明瞭に見えた南側の遥か彼方の輝きが海だということがはっきり確認できました。
それも、帰ってからカシミールで再確認すると伊勢湾と知多半島かなと思っていたのが、実は三河湾と渥美半島のようでした。ishida家も見えそうな勢いですね(^^)
渥美半島のさらに向こうには遠州灘(太平洋)らしき輝きも見えました。
もう少し早い時間に来ていたら、もっとはっきり見えたと思われるとちょっと残念…。

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風下に成長した霧氷(左) これならエビの尻尾と呼んでも良いでしょうね(右)

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南側の近景は焼山、左側遥か彼方に海が見えます。

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神明社前から西を見る。南側、西側は特に霧氷の発達が顕著?

今回の絶景のお礼に、神明社ではしっかりお礼と(自分としては)大枚のお賽銭を収めて帰ります。
ここからは一路下山…のつもりが、再び途中の展望ポイントで道草。
「あれ?先に人が入った踏み跡が?」と思ったら、先程の方でした。
中央アルプスや富士見台方面はここからが最もよく見えますね。
しかし、標高の低い辺りではカラマツやダケカンバの霧氷はほとんど落ちてしまった様に見えます。

 

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中央左よりの崩壊地が神坂峠コースの「姥ナギ」

 

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右の山頂方面から伸びる広河原コースの尾根(左) 逆光に映える林床のササ(右)


ここから先は避難小屋、三角点広場を過ぎてどんどん下ります。
下りながら見る風景は、朝とはうって変わってダケカンバの霧氷はすべて落ちてしまった後でした。自然の美しさって儚いですね。

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見覚えのあるダケカンバ達も、普段の姿に戻っています。

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真っ白だったカラマツ林も茶色に(左) 看板ピークまで戻りました(右)

 

とは言っても、看板ピーク付近でも一度緩んだ雪が日陰に入ってクラスト化してきている様だったので、相変わらず気温は0℃近辺のようです。
看板ピークを過ぎて更に下ると、場所によっては雪が消えて土の上を歩く場所が現れてきました。
登った時は雪景色でわくわくしていたためそれほど長く感じませんでしたが、下りは気ばかり急いてしまってかえって長く感じます。

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やっと登山口まで戻りました(左) 駐車場に待つエブリちゃん(右)

広河原登山口に到着です。
あと25分ほど歩けばエブリちゃんの待つ駐車場にたどり着きます。
朝は凍結していた林道も雪はほとんど消えていました。
駐車場にはエブリちゃんのほかにはカメラの方と思われる車と、最初から止まっているミニバンの三台だけが残っています。
はて?雰囲気ではあと何人か入山しているはずですが??
帰り支度を済ませて林道を下っていくと理由が判りました。
林道の日陰になっている部分には上に向かう数人の足跡が残っています。
雪のため林道を進むのを諦めて、下から歩いてきた人たちがいたんですね…
しかし、その先にはそれらしき車はありませんでしたから、タクシーで林道の入り口まで来たのかもしれませんね。

----------------------この日の行程----------------------

7:05駐車場発〜7:30広河原登山口〜8:55看板ピーク〜10:25県境分岐〜11:05山頂(三角点広場)11:2011:25避難小屋・大岩(昼食)12:5012:55神明社(最高地点)13:0513:20三角点広場〜13:35県境分岐14:35看板ピーク14:4015:20広河原登山口15:50駐車場

今回は新雪で足元がおぼつかない(?)うえに、写真撮影に時間がかかっていたようで、思った以上に時間がかかっていました。