ishida式の 野伏ヶ岳 登山
2022年3月9日(水)
5年振りに行った積雪期限定の山。やっぱり最高に良いですね。

前回2月25日(金)の「大谷嶺(途中撤退)」では下山後にはお決まりの腰痛の悪化に加えて左足母指球の痛みが出てしまい、更にはそれ以前の2月7日「恩田大川入山(途中撤退)」でもそうでしたが翌日以降に筋肉痛(^^;にも見舞われました
登山を再開した今年の11月〜1月期にはそれほど悪くもないなと思っていましたが、実はスノーシューやワカンを装着しての登降が多いと体力不足が露呈するってこと?
母指球については大谷嶺から帰宅後にインソールのチューニングを施して対応しましたが、体力的にはやはり不十分な感じは拭えません。

しかし、ずっと再訪したいと思っている「野伏ヶ岳」については、この冬の大雪の状況や登山日を平日に設定した場合のルートの安全性なども考えると、2017年の登山時のような野伏ヶ岳〜薙刀山への縦走は今のishidaにはやや難易度が高いことが予想されます
野伏ヶ岳以外の目的地(例えば霊仙山で霧氷を楽しむとか)の選定やコロナ蔓延防止対応期間などにも頭を悩ませ、天候の予測などで頭の中がぐるぐるになって予定日を決めかねているうちに急な気温上昇となったり実家の用事も頼まれたりで候補が狭まった結果、登山日は3月9日(水)としました。

ちなみに、これまでは登山届けを各県のWeb申請システムで提出していましたが、今回は初めて「コンパス」を使って登山届けを出してみました。
経由地の設定などで何となくまごつく感じがありましたが、申請ついでに登山保険(ishidaは年掛けで加入済みですが)に加入申し込みできるようにもなっているし、家族にもメール共有できる仕組みなど、県のホームページなどでもお勧めしているだけあってなかなか良いシステムですね。

登山の当日はいつもより早く2:30に起床、買い出しを済ませていつもとは違う西に向けてエブリちゃんを走らせます。
R23バイパスからR1〜岡崎東ICで新東名に乗り、東海環状道〜東海北陸道(瓢ヶ岳PAでトイレ休憩と朝食)〜白鳥ICからR158を北上・県道314経由で石徹白を目指し、概ね予定通りの時間に登山起点の「白山中居神社」に到着することができました。

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ウィングヒルズ白鳥スキー場手前で、未明の空に「小白山」(左)と「野伏ヶ岳」(右)が浮かび上がる。

神社の駐車場に入ると1台だけ駐車車両がありましたが、何だか変な向きに止められているためエブリちゃんを停めるとお邪魔になってしまいそうな感じ…。
川沿いの空き地まで行ってみようと思って坂を下ったら、橋のたもとの空き地の除雪範囲はとっても狭くて車2台分がせいぜいでした。
先行して停まっていた若い人が「少しずらすので隣りにどうぞ」と言ってくれたので、お言葉に甘えて隣りに入らせてもらいました。(ちょうどもう1台後続車が下ってきましたが、停められないのを見て神社のほうへバックして行きました…すみませんねえ)
お隣りの若い方は野伏ヶ岳は初めてだそうで、スキーの準備をして先に登って行かれました。
ishidaも追加の軽い食事を済ませ、そそくさと準備して登山開始します。

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林道は橋を渡って300mくらいまで除雪されていました。(左) 水道施設?除雪はここまで。(右)

石徹白川に架かる橋を渡って右折してしばらくは除雪された道ですが300mほど進んだところに水道施設らしきものがあって除雪区間はここで終了、1.5m程の段差を乗り越えて先へ進みます。
前日辺りに踏まれた下山側の足跡は「スノーシュー」「アイゼン」「登山靴」「スキー」と様々ですが、昼間にはそれなりに気温が上がってシャーベット状になっていたことが判ります

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前回来た時には「目指す野伏ヶ岳が見える」って思ったんだけど、よく見ると実は「小白山」だよね。

前回来た時と同じく初めは林道をジグザグに登りますが、可能な場所では斜面を登る踏み跡に入って直線的にショ−トカットしていきます。
しかし、何となく自分が思っているより南寄りになっている気がしてルートを確認すると、ダイレクト尾根の末端から牧場跡を通らずに小白山川の谷寄りに下るようなルートに入っているようです。
途中で林道に出たところで北寄りに転針して牧場跡に出るつもりでしたが勘違いして行き過ぎてしまい、結局そのままダイレクト尾根末端の凹地まで出てしまいました。
北寄りから牧場跡の平原に出た風景が気に入っていたのと、正面から野伏ヶ岳北東尾根の状態も確認したかったのに…やっぱり、漫然と他人のトレースを辿ってしまうのは良くないですね(^^;

この凹地は雪の無い季節は沼地になっているようですが、ダケカンバやブナの林に囲まれた別天地のような場所ですね。
左手の高まりは南東から野伏ヶ岳の山頂に向かって突き上げる通称「ダイレクト尾根」で、前回来た時には牧場跡地を横切って凹地の向こう側から尾根に取り付いて登りましたね。

明るい林の中を何本かのトレースが尾根上部に向かって伸びていますが、ここは傾斜も緩くて自由にルート取りできるので、ここからスノーシューを装着して風景を楽しみながら気ままに歩きます。

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 林を抜けて凹地の端に出ると、野伏ヶ岳が正面に姿を見せます。


ブナやダケカンバの林を抜けた先の風景のパノラマ。左右にスクロールできます。

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尾根に向かって登ると、丘の向こうから薙刀山が姿を見せる。

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ルート取りの関係で、今日初めて見る白山山系。右から銚子ヶ峰、一の峰、二の峰、三の峰、別山。

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白山へと連なる尾根。右から芦倉山、初河山、丸山、銚子ヶ峰、一の峰、二の峰、三の峰、別山。

ダイレクト尾根の尾根筋まで出ると、南側の広い平原状の台地の向こうに「小白山(こじろやま)」が格好良く見えてきますが、ここもishidaの大好きな風景の一つです。
逆に、尾根上から野伏ヶ岳の山頂方面を見やると、尾根の斜度が山頂手前で変化しているため実際の山頂は高度を上げるにしたがってだんだん見えなくなってしまいます。
「あそこが山頂だな」と思って頑張ると、実はまだ先に急登が待っているということになって、これは初めて登るとけっこう精神的にきついパターンですよね。

尾根上のルートは明瞭ですが前日までの様々なトレースが尾根筋いっぱいに広がって交錯しており、気温の低い午前中はちょっと硬くてスノーシューだと却って凸凹して歩きづらい状態です。
ishidaはあちこちコースを外れて写真撮影するためそのままスノーシューで行きますが、人様が踏んだトレースを辿るだけならアイゼンやチェーンスパイク無しでも全く問題が無い程度でした。

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ダイレクト尾根の南側は広い台地。小白山の姿が格好良くて大好き。


ダイレクト尾根からのパノラマ。まだ辛うじて野伏ヶ岳の山頂が見える。左右にスクロールできます。

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尾根上は前日までのトレースが錯綜して凍結しているためスノーシューだと歩きづらい。

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高度を上げるにしたがって表情を変える「小白山」。

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白山の峰々もだんだんと大きく見え始める。

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南側から見ると、「別山」がとりわけ目立って見えますね。

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高度を上げてゆくと眼下に牧場跡の雪原が広々と見える。

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牧場跡のアップ。後続のトレースが見えました。

ダイレクト尾根の上部では木々も少なくなり、振り返って見ると石徹白川の東岸に北に向かって伸びる白山へと続く峰々だけでなく、足下には牧場跡の広い雪原の全貌も見渡せるようになります。
目指す野伏ヶ岳の山頂はまだまだ先で体力的にもきつくなってくるところですが、こういった風景に癒されながら元気をもらいます。

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石徹白川の谷を隔てて東側の峰々。一番南寄りの「大日ヶ岳」はフレームに入り切りません(^^;

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何だか南の空がどんより?小白山北峰の後ろに1609m標高点のある小白山南峰が見えてくる。

景色が良くなると写真撮影に忙しくてペースが落ちるのがishida式の登山の常ですが、今日は体力的にもきつくなってきてますますペースが下がっている気が…「ゆっくりでも登ればそのうち山頂だよね」って自分に言い聞かせてダイレクト尾根上部の急斜面を登ります。
急斜面を登り切って後ろを振り返ると、後続の単独行の人が登って来るのが見えてきました。
そういえば、駐車場でお隣りさんだった先発のスキーの若い男性とは途中で下って来るのと会うかなと思っていましたがまだ見掛けていません。
ダイレクト尾根に取り付いた時点でも尾根の先に姿は見えなかったので、かなり先行しているのか、既に薙刀山か推高谷などの別ルートに滑り込んでいってしまったんでしょうか?

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左端に後続の方が登ってきていますね。中央奥の雪原が凹地。

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いよいよダイレクト尾根上部、北東尾根の合流点が近付いてきました。

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よく似たアングルが多いですが、小白山の山頂部は高度を上げるにしたがって表情を変えます。

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野伏ヶ岳南東斜面はほとんど木の生えていない広大な雪原。

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遠くにあるとはいえ、高度が上がれば白山も表情が変わります。(じゃなくても前景が変わる度に撮影してますね。)

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野伏ヶ岳の南東斜面は素晴らしい雪原ですが、地形的には雪崩の巣窟?

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ダイレクト尾根トップ付近まで来れば、別山の左側に御前峰・大汝峰など白山の主峰も見えてきます。

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ダイレクト尾根と北東尾根の分岐点。北西斜面側からの雪の移動で雪庇状の段差が出来ている。

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尾根分岐の段差手前でダイレクト尾根側を振り返る。

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雪庇上のシュカブラと南東斜面、小白山。

ダイレクト尾根の上部に達すると、広い雪原の広がる東斜面の上端が北東尾根との分岐点です
分岐点手前からは左手(南)側に雪庇が張り出すようになってきましたが、北東尾根との分岐付近では北西斜面側からの雪の移動が激しいようで、尾根上の分岐まで北東尾根の雪庇が被るような感じで段差が出来ています。
ここまでが最後の急傾斜で、雪庇の段差を越えればあとは山頂までははっきりした抑揚のないくらいのなだらかな斜面が続きます。
傾斜が緩んで広くてなだらかな山頂部の向こうから西側の山々が姿を現してくると、360度の絶景の山頂に到達です。

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山頂に到達っ!これまで見えなかった西の展望が開けます。

山頂からは本当に遮るもののない展望が開け、これまで見えていた白山や南に連なる山々、隣りの小白山だけでなく、南には奥美濃や越美国境の山々、両白山地の名だたる山々が勢揃いです。
以前に登ったことがある「荒島岳」や「経ヶ岳」「能郷白山」なんかも、次の機会にこうして別の山から見るのはまた格別です。
山頂から南に延びる稜線には、この時期のこの山の名物といっても良いくらいの特徴的な雪庇が壮絶な形状を見せています。
ダイレクト尾根に出てからずっと南に見えている小白山も、大量の雪が尾根と谷を覆い尽くしていて、山頂の形も本来の地形とは全く違う様相を呈しているくらいの雪の量です。
雪の少ない三遠南信の山に慣れているishidaとしては、こういった雪の造形が1600m程度の山で見られるのが羨ましいです。(雪が多くて登山口へのアクセスは大変ですが…)

でも、調子に乗って写真撮影にいそしんでいたら、せっかく貸し切りの状態だったのにまたまた前回に引き続いて山頂の360度パノラマ写真を撮り忘れた…(^^;;;;;;;;;

そういえば先発したスキーの若い男性は結局見掛けませんでしたが、ダイレクト尾根と北東尾根の分岐付近から東斜面に向かって滑り降りた真新しいスキーのシュプールがあったので、かなり先行して山頂に到達して滑り降りてしまったんでしょうかね。若いって羨ましい…(^^;

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高温続きのためかやや丸まっていますが、南の尾根には壮絶な印象の雪庇。

南から西にかけてのパノラマです。ちょこっとスクロールできます。

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北に目を転じると、白山と薙刀山が重なって見えています。

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山頂直下では雪庇にクラックが入って脱落しています。

山頂直下から南へ続く尾根の雪庇には大きくクラックが入って脱落しかかっていますが、雪庇の下に大量に吹き溜まった雪で辛うじて支えられているような状態です。
ダイレクト尾根から山頂南東斜面を見た際にも雪庇の下の斜面には大量の雪が溜まった状態で、上からの重みでしわ状に堆積してクラックも入っているのが判りました。
ishidaの知識・経験では未知数ですが、この先は気温の上昇とともに融雪が進むと全層雪崩やブロック雪崩の危険性も感じますね。

そんなこんなでのんびり写真を撮っていると、さきほどダイレクト尾根のすぐ下を登ってきていたのが見えていた単独の男性が山頂に到着しましたが、平日に登山しているだけあってやっぱりishidaより先輩な年齢の方でした。
高山市から見えたというその方はかなり山慣れた感じで、ソーシャルディスタンスを保ちつつ(?)近隣の山などの情報交換もさせていただきました。
C社製のレンズ交換式のカメラをお持ちだったので、ついでにカメラを託してishidaの記念写真も撮ってもらいました(^^)

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大野盆地ですね。拡大してみたら「越前大野城」も見えています。

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以前登った「荒島岳」。「大野富士」とも呼ばれるだけあって秀麗な山容ですね。

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後続の男性が到着しました。

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普段のishidaにしては珍しく、カメラを託して写真を撮ってもらいました。

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東には御岳、乗鞍、北アルプスも遠望できます。

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西の経ヶ岳(越前経ヶ岳)、赤兎山、大長山。

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ここから見ると見下ろす感じの薙刀山は抑揚が無く見える。

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誰にも踏まれていない山頂北面のシュカブラ。

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天候悪化の兆しではないが、ハロも見えた。

北に続く尾根と薙刀山には雪庇が発達しており、トレースも完全に消えた状態となっているうえに薙刀山山頂直下では堆積した雪にクラックも見えるので、とりあえず今日のオプションとして考えていた薙刀山への縦走は体力的に見ても難しいと判断して早々に諦めました。
今日のバリエーションルートとして考えていた、野伏ヶ岳の北東尾根を下って牧場跡の北端付近に出てから牧場跡の雪原を長く楽しむルートで帰ろうと思います

山頂で昼食をとる先輩にお礼を言って山頂をお暇し、ishidaは尾根分岐付近まで下って風を避ける位置で昼食タイムとしました。

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尾根の分岐に向けて下ります。山頂直下の斜面のシュカブラ。

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またまたシュカブラと小白山。

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尾根分岐付近でも南側の雪庇が一部脱落。

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ちょっと下ったら山頂はもう見えません。

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分岐の下まで来たら、さらに後続の方が登ってきました。

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分岐付近から斜面の下部と牧場跡の平原を見下ろす。

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野伏ヶ岳南面の広い雪の斜面。木が生えてないのは雪崩頻発地形だから?

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昼食中に通過していった後続の若いカップル。若いって羨ましい×2…(^^)

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同じアングルが多いですが…小白山も午後の陽射しに変わってきました。

尾根分岐のちょっと下の南斜面側に入って昼食をとります。(今日は時間の余裕もあるのでスノーシューも脱ぎ、ちゃんとバーナーでお湯を沸かしてのんびり)
昼食前後には何人かが山頂に向かって登っていきましたが、先発のスキーの人やishidaを含めて今日は7人が山頂に到達したようです。

とりあえずお腹も満たしてのんびりしてから撤収し、今日のバリエーションとして考えていた北東尾根側へのルートに向かいます。
尾根の分岐からは少し下ってしまっているため東斜面の最上部をトラバースして北東尾根側へ移動することにして実際に斜面に入ると、うねりもあってダイレクト尾根側から見た以上に急傾斜になっていますがスノーシューのグリップもしっかり効かせてクリアです。
ここはスノーシューかアイゼンかちょっと迷うシーンで、先の尾根が全く踏まれていない深雪と思われることからishidaはスノーシューを選択しましたが、斜面の雪も表面がやや緩み始めていることから結果的にはスノーシューで正解だったかな?(サラサラの雪の下に硬めのクラスト層がある場所もあったので、アイゼン+ワカンが一番安心だったかも…アイゼンは持参したが、ワカンは車に置いてきちゃったんですけど(^^;)

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昼食後、北東尾根に向かいます。(左) 東斜面は真っ直ぐ下の台地まで1枚バーンです。(右)

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ダイレクト尾根最上部からドロップインした真新しいシュプールは先発した若いスキーの人のものかしら。

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あちらの尾根に移ります。こうやって見ると北東尾根はメチャ急傾斜に見える…。

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今日出会った6人目の人がダイレクト尾根最上部へ向かうのを東斜面側から見上げる。

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途中で斜面がうねっているので、実は後半がけっこう急傾斜だった。

北東尾根側に乗り移ると北方向の景観が開け、ダイレクト尾根を歩くだけでは見ることができない薙刀山のシャープな姿も楽しめます。
でも、尾根の下部を見やると、事前に地形図などで確認して想像していたよりも急傾斜が続くように見えるのがちょっと心配な気もしますね…。

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北東尾根側に乗り移ると、期待通りの景色で大喜び。

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この位置から見る薙刀山はシャープな山容ですね。

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野伏ヶ岳から薙刀山への尾根には雪庇もうねうね。

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薙刀山山頂直下もクラックと雪庇ブロックの堆積がすごい。

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北東尾根からダイレクト尾根側を見る。

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北側の鞍部から吹き抜ける北西風でシュカブラが発達。

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北西風に乗って小雪庇から雪が舞います。

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下の平原を見下ろす。左に延びる尾根がぐっと急になっている?(実はもっと左寄りに進めばよかった(^^;)

北東尾根に入ると野伏ヶ岳北側の鞍部を回り込んで来る北西風が強まり、サラサラの粉雪が雪面を流れてゆき、雪庇から尾を引いて飛んでいます。
日当たりの良いダイレクト尾根側の斜面とは全く違う様相で、やっぱりルートが違えば景色も雪の状況も違っていて楽しいですね。

しかし、やっぱり北東尾根が下部に向かって急傾斜になっているように見えるのが何となく不安要素に感じて、途中から東斜面側にトラバースしながら下るルートに変更しました。
(下ってからもう一度地形図で確認すると、実際には尾根が北寄りに曲がっている通りにたどれば予定通りに台地の北端辺りに下れたのに、南寄りに派生する小尾根に騙されて急傾斜に見えただけみたいです。地形とルートの確認はきっちりしないとダメですね…)

カール状の東斜面の内側、北東尾根側斜面は遠目に見るとデブリが多数あるように見えましたが、実際には尾根の小雪庇から落ちる雪の塊りがロールケーキを形成して転がり落ちた痕でした。
(もちろん、柔らかいとはいえ背後からロールケーキの直撃を受けるのも危ないので、上部の状況や斜面の位置関係を確認しながら谷底へと向かいました。)

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結局東斜面の谷底へ。ロールケーキがいっぱい…

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ロールケーキ帯をなるべく避け、スキーのシュプールに合わせるように谷筋へ入りました。

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北東尾根側は遠目にはデブリの巣に見える。

急傾斜の斜面を下って傾斜が緩んでくると緊張感も緩んで足取りも軽く…といきたいところですが、今度は雪も緩んできてしまい、スノーシューに乗っかる雪の重さで足取りは軽くはならず…(^^;
午前中のうちにここをスキーで滑れば気持ちよさそうですね…(^^)
結局、今日ここを滑り降りたシュプールは1本のみで、それ以外は前日かそれ以前のもののでも1〜2本しかないようですが、ダイレクト尾根を登っている時には前日辺りに尾根沿いをスキーで下った痕は多数ありました。
山スキー経験のないishidaが言うのも変ですが、せっかくスキーで登ったのに、この広大なバーンを滑らずに登りと同じダイレクト尾根を下るルートへ向かう人が大多数なのは何故なんでしょう??(前回来た時には土曜日だったこともあって、多数のスキーヤーが色んな方向に滑ったり登ったりしていたけど、写真で確認してみると、やはり東斜面を滑った痕は少ないようだった)
もちろん、上部が急斜面になった地形や木の生えていない斜面が続いている点などから雪崩頻発地形に見えるので、季節・雪の状況によっては安易に立ち入らない方が良いのは言うまでもありません。

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傾斜が緩くなった先がもこもこした台地になっているのは山体崩壊による岩屑雪崩のデブリ帯でしょうか。

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斜面の下部まで到達する長旅をしたロールケーキ。

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スキーのシュプールは最短で下山する右寄りのルートに流れています。

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振り返って見上げる北東尾根側の雪が舞う小雪庇とロールケーキ崩落痕。

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冬本番は雪崩の巣窟になりそうな地形ですが、今のところはデブリが堆積したような痕跡は見えない?

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ロールケーキの発生は雪庇からの雪の落下が原因なのがよく判る。

※ここでishidaの勝手な薀蓄
野伏ヶ岳東斜面の形状や下部の複雑に小さなコブが折り重なったような地形と牧場跡の平らな地形、南東斜面とその下部の平原状の地形などは、山体崩壊による岩屑雪崩とその堆積、以降の浸食などによって形成された地形だと思われます

いくつものコブや丘陵が折り重なっているのは「フローマウンド」と呼ばれる雪崩のデブリのようにして形成される山体崩壊地特有の地形の特徴と一致します。

近隣では越前経ヶ岳なども同様の山体崩壊で形成された「外輪山」や「火口」と呼ばれるスプーンカット状の地形、更に麓には多数のフローマウンドや大岩が見られます。
特に有名なのは東北の「鳥海山」の山体崩壊(この場合は火山噴火も含む?)によって流下した岩屑雪崩が日本海まで達して形成されたフローマウンドが多数の島(現在はその後の地震で隆起して陸化)を形作ったのが名勝「象潟の九十九島」となって、奥の細道で芭蕉の句にも詠まれています。

野伏ヶ岳東側の台地の場合、現在は東の石徹白川、南の小白山谷、北の推高谷によって三方向が浸食された舌状台地になっており、結果的に台地上の平原が牧場の適地として利用されていたものが「和田山牧場跡」ですね。

スキーのシュプールは全て右に向かって最短距離で牧場跡の平原に抜けてゆくように付いていますがishidaは牧場跡の雪原の風景も楽しみたいので、スキーのシュプールからそれて左寄り(北寄り)に向かって牧場跡の平原に降り立ちました。
誰の足跡も残っていない牧場跡の
広い雪原を歩き回り、さっき登った野伏ヶ岳の眺めやゆったりと蛇行する小川が織り成す雪面の凹凸の景観も楽しみます。
基本的にこのエリアは野伏ヶ岳への登山目的の経由地として訪れる人が大半ですが、単純にこの周辺をスノーシューで散策するだけでも楽しめるような素晴らしい景観ですよね。

上から見下ろした時には昼近くになってからは平原の北寄りに向かうようなトレースが新たに付いていたので「薙刀山方面に向かった人がいるんだな」と思いましたが、平原の北側に降り立ってみると結局は平原の北に向かったトレースはありませんでした。
実際には東斜面をスキーで下った人が下山したトレースだったようで、昨日今日のうちで平原の北端から推高谷経由で薙刀山に向かった人がいたというわけではないようです。

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牧場跡の平原に出ました。川の流れている場所が窪んでいる。

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牧場跡の雪原を蛇行する小川によって出来た雪の造形。積雪は3m近い?

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シュルンドに落ち込まないよう注意。北には薙刀山。

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牧場跡から野伏ヶ岳の東斜面を見上げる。

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牧場跡の雪原は午後の陽射しで緩んで、てらてら光ってます。

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この風景、大好きです。

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わざわざ人が歩かない場所まで寄り道して撮るのもishida式。

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平らな雪原と小川、たおやかな丘が織りなす風景が良いね。

ここが一番真っ平らな場所ですね。左右にスクロールできます。

真っ平というよりも周囲より窪んだ凹地や池となっているところも多い平原ですが、遠回りして小川の流れる経路に沿って歩き回り、蛇行する小川によって形作られた雪の造形や景色を堪能しました。

ここから振り返って見る野伏ヶ岳は、ピラミダルな三角錐が際立って見えて格好良いですが、山との距離が近いうちはやっぱり本物の山頂は見えていません。
更に雄大な風景を楽しむために周囲の小高い丘に登ると(既にお疲れ気味のishidaは、もうちょっとした傾斜でも息が上がっちゃいますが)丘の上からは更に素敵な風景が眺められます。
真っ直ぐ下山していってしまう人がほとんどですが、こういった寄り道もishida式…です(^^)

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平原から小高い丘に登って絶景を楽しむ。野伏ヶ岳の山頂、やっと見えました。

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野伏ヶ岳のアップ。左寄りが山頂ですが、近い位置からだと尾根分岐が山頂のように見えます。

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南の小白山も格好良いです。1609m標高点のある南峰はこちらからは見えません。

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牧場跡から見る薙刀山はなだらかでたおやかな山容です。

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丘の陰でテント泊している人たちもいました。後ろは大日ヶ岳。


いよいよ牧場跡の東端、絶景ともお別れです。左右にスクロールできます

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台地の東端でこのステキな風景ともお別れ。

牧場跡の台地の端まで来ると、いよいよこの絶景ともお別れです。
登りで通ろうと思っていた北寄りルートでショートカットを下り、そのまま車を停めた橋の袂の駐車場まで戻りました。(お隣りさんはもちろん既に出発した後でした(^^;)

今日は概ね予定通りの下山時間でしたが、帰宅までの道のりを考えて温泉も晩御飯も省略することにし、奥さんのケアのため真っ直ぐ帰宅します。
平日のためか特に渋滞なども無く、トイレ休憩込みでちょうど3時間で帰宅できました。(高速道路のお陰でこの山域が近くなって有り難いです)

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主の帰りを待って一人佇むエブリちゃん。(左) 白山中居神社前を流れる朝日添川(宮川)。(右)

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自宅 2:50 〜 買物・R23バイパス 〜 岡崎東IC(3:34) 〜新東名〜東海環状道〜東海北陸道〜 瓢ヶ岳PA 〜 白鳥IC(5:21) 〜R158/K314〜 5:50 白山中居神社(橋前駐車場) (201Km) 

駐車場 6:30 --- 7:55 凹地(スノーシュー装着) 8:10 --- 8:30 ダイレクト尾根 --

-- 10:10 尾根分岐 --- 10:30 野伏ヶ岳山頂 11:00 --- 11:23 昼食(尾根分岐下) 12:05 --

-- 北東尾根・東斜面経由 -- 13:30 牧場跡北 --- 14:30 牧場跡東端 --- 15:21 駐車場 

駐車場 15:45 〜K314/R158〜 白鳥IC(16:21) 〜東海北陸道〜東海環状道〜五斗蒔PA〜新東名〜 岡崎東IC(17:59) 〜R23/R1バイパス〜 18:42 自宅 (200Km 総走行距離401Km) 

平均燃費:16:4Km/l  高速料金 往路:2390円(深夜割引) 復路:3410円(朝夕割引対象未確定)