ishida式の空木岳登山
2012年10月20日(土) アルプスと名の付く山域は久し振り?18年振りに「空木岳」へ。

今シーズンは夏の暑さが際立ちましたが、天候不順も手伝って計画倒れに終わった企画もあり登山のほうはやや低調でした。
高山帯の紅葉シーズンも終わりに近付いてきた昨今ですが、今回は紅葉には期待せず、登り甲斐のある山を楽しもうと思っていました。
週末も忙しくて、金曜の夜も10時過ぎまで会社にいました(ToT)が、急いで帰って山の支度。
少しでも寝ておこうという思いも空しく、寝付けないまま土曜の午前3時には出発の準備、軽食を済ませます。
東名高速音羽蒲郡ICから、中央道駒ヶ根IC、林道を走って空木岳登山口を目指します。
林道を行くと、歩いている登山者を発見。登山口まではかなりあるはずなので、乗っけていってあげることにします。
東京から来たその方、林道の未舗装部分の手前で駐車してきたそうです。
その人を登山道入り口で下ろし、自分は更に奥の駐車場へ。軽い朝食を済ませて支度します。


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林道最終ゲート前の駐車場へ。(左) 伊那谷にかかる低い雲の間から朝日が顔を出します。(右)

 

空気は肌寒いですが、明るくなってきた空の下、林道を少し下って登山口から本日の登山開始です。
でも、登り始めたらすぐに暑くなってしまい、ヤッケを脱ぎます(^^;

やや急な斜面を暫く進むと林道奥駐車場に直接つながる分岐の表示があり、帰りに使えるかなと思いましたが、見たところほとんど踏まれていない様子なので暗くなったら通るのは止めたほうがよさそう。
更に進むと前方が開け、林道終点の広場に飛び出します。


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林道を15分ほど戻って登山口に到着。(左) 林道終点付近では紅葉はまだこれから。(左)

 

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色付き始めた森は明るくて気持ち良い。(左) 色付き始めたホオノキ。(右)

 

道なりに進んでゆくと、登山ポストのある遊歩道入り口があります。
なだらかな道を大きくジグザグに登ると、周囲は紅葉の始まった雑木林が明るくて好印象です。
時々大きな音を立ててドングリが落ちてきて驚かされます(^^;


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遊歩道で唯一(?)のビューポイントから鋸岳、甲斐駒、仙丈、北岳、間ノ岳。

 

タカウチバで池山を経由する道を分け、緩やかに高度を上げながら駐車場から伸びる沢の源頭部に近付くと、旧池山小屋(水場)の看板を見ます。
18年前には、こちらに小屋があったような記憶が…
更に進むと水音も消えて、水場と池山小屋がある、池山から続く尾根との広い鞍部に辿りつきます。

 

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標高1700m付近ではカラマツの色付きも進んでいます。(左) 朝日に輝くサルオガセのベール。(右)

 

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沢の源頭部が近付く。(左) 池山とのなだらかな鞍部。(右)

 

ここから遊歩道コースと登山道コースが分岐しますが、とりあえず登山道へ。
しっとりしたシラビソの道を緩やかに進んだ後、尾根への斜面を一気に登ります。
行く手が開けてくると、明るい笹原の尾根上に飛び出し、遊歩道コースと合流します。

 

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池山小屋の周囲は笹原。(左) 緩やかな登山コースの前半。(中) カニコウモリの茂る斜面。(右)

 

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この先を登ったら尾根上の合流点です。(左) 尾根に出るとカバノキも色付き始め。(右)

 

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根の上がったコメツガ。(左) シラビソとコメツガの混交した森が続きます。(右)

 

ここからはほぼ尾根上を進みますが、両側は急斜面で所々は大きく崩壊しています。
その代わり、谷の向こう側には主稜側の木曽駒・宝剣岳が木の間越しに見えてきます。
木曜日に荒れた天候だったことで、金曜朝に豊橋から見る聖岳は真っ白でしたが、中央アルプスの主稜線も雪を纏っています。
更に進むと、このコース一番の難所である「大地獄」「小地獄」に差し掛かります。(どっちが大・小か判りませんが)


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岩峰間に掛かる橋。(左) 階段の先に鎖場が続きます。(中) 地獄を越えました。一瞬、千畳敷が見えた。(右)

 

ここは以前とコースが付け替えられているようで、18年前の記憶と違っています。
ワイヤーや桟道の掛けられた岩場を難なく(^^;通過、最後の鎖場を越えると視界が開けました。
(でも、ちょうどガスがかかってしまい、宝剣や千畳敷方面はうっすらとしか見えませんでした。)
地獄を通過すると、尾根の南側をトラバースするようになり、地図の登山道表示とは違ってヨナ沢の頭は通過しないようです。

ヤマレコのレポートでも、GPSログの編集の結果か、単純に解説本などのルート情報をそのまま載せているせいか?この付近のルート情報が違っているものが多いように見えます。

こちらのログが正しいと思います。

 

一枚岩の沢のトラバース(足場アリ)やいくつもの桟道を越えると、南に派生する尾根(ここが迷い尾根?)を越えます。
再び主尾根に向かって登ると旧コースとの合流があり、下山時にそちらに行かないようにロープが張られています。

 

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迷い尾根の先から見た南側の谷は秋真っ盛り。(左) 再び尾根に出るとダケカンバが優先に。(右)

 

道は次第に稜線に近付いてゆき、2415mピーク先の尾根を越えると再び中央アルプスの主稜線側の視界が開けました。
主稜線を眺めながら尾根の北側を進みつつ徐々に高度を上げてゆき、周囲はダケカンバの多い森となってきます。
登山道の周辺には長く発達した霜柱に、秋の名残りの紅葉が色を添えています。

 

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檜尾根の向こうに宝剣が。あれれ、ガスが…(ToT)。

 

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大滝山(右)から熊沢岳へと続く主稜線。

 

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冬の始まりと秋の名残りの競演ですね。(左) 宝剣がちらちらと顔を出します。(右)

 

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ダケカンバ帯に入ります。(左・右)

 

最後に森林限界を超えると同時に尾根上に飛び出すと、(やっと)お待ちかねの空木岳とご対面です。
途中の尾根上にはこのコースのランドマークの「駒石」も姿を現しています。
振り返ると伊那谷を隔てた南アルプスも(雲を纏ってはいるものの)姿を現します。
この超好展望は、ここまでほとんど展望の開けることのないルートを黙々と登ってきたことへの、この上もないご褒美ですね(^^)V。


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背後に南アルプス。

 

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左手奥が今日、初めてご対面の空木岳。中央は駒石。

 

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右奥には木曽駒への主稜線。

 

空木平への分岐から先、素晴らしい展望を堪能しすぎて、ますます歩みが遅くなってしまいます。
分岐から先では、先に登山して下山してくる人とも出会うようになってきます。

長丁場の疲れも吹き飛ばしてくれる絶景を楽しみながら山頂への道を辿ります。


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塩見岳から赤石岳方面と伊那谷の南部、松川方面。

 

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空木岳をアップで。

 

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伊那谷北部、伊那市街から高遠方面。(左) 本日初登場。久し振りの空木岳に大喜び。(右)

 

駒石を過ぎて振り返ると、伊奈谷と南アルプスを従えた駒石の姿がすごい重量感を見せています。
この景色が見たかったんです〜V(^^)V
塩見岳の横からは、真っ白に冠雪した富士山も顔を出しています。(やっぱり富士山が見えると嬉しい。)

 

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木曽駒・宝剣は隠れていますが、山裾に秋の装いの主稜線。

 

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なかなか全景を見せてはくれない南アルプスの主峰群。

 

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重量感のある駒石。(左) 木曽駒方面の雲も目まぐるしく変化します。(右)

 

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空木平と避難小屋を見下ろします。既に秋の装いは過ぎて冬景色?

 

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尾根から見下ろす伊那谷を背景にした駒石の姿は大好きです。

 

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秋の装いは急速に谷を駆け下りてゆきます。(左) もう一度駒石(^^)。(右)

 

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ここにも秋の名残り。(左) 空木岳の北面は大きく切れ落ちています。(右)

 

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たおやかな尾根上は奇岩のプロムナード。

 

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辿って来た尾根と伊那谷を見下ろす。

 

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右奥の塩見岳の左肩に富士山。

 

駒峰ヒュッテの直下、動画で風景を撮っていると、下山してきた登山者を待たせてしまったようです。
あわてて挨拶をすると、その方が「朝、車に乗せていただいた方ですよね?」
ああ、あの時のかたでしたか(^^)
既に登頂とお昼ご飯を済ませ、下山するそうです。
朝ご飯と着替え、林道歩きの差があったとはいえ、今回はペースが上がらなかったのでずいぶん差がついてしまっていたみたい。
実は、山頂で会えるかなと思ってたのに…(^^ゞお互いに道中の無事を祈ってお別れします。

記憶よりも大きくなった駒峰ヒュッテを過ぎると、空木岳の山頂は目と鼻の先です。

 

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駒峰ヒュッテを過ぎて最後の登り。(左) やっと山頂に到着っ!思ったより時間が掛かりました。(右)

 

山頂に着いて時計を見ると、やはりリミットぎりぎりの13:00ちょっと前です。
木曽側からは冷たい風とガスが湧き上がってきていて、期待していた御岳は全く見えません。
南に目を転じると、赤梛岳に向かう稜線にガスがかかって、南駒ケ岳のシルエットがかすかに見え隠れしています。
逆に、これまでガスが湧き上がっていた千畳敷は雲が切れてきています。
期待の360度の展望はありませんが、素晴らしい景色に違いありません。

冷たい風を避け、風景を眺めながら(ちょっと遅い)お昼ご飯をいただきま〜す。
今日はパンとスタンダードなカップヌードルですが、やっぱり温かいものが嬉しい季節ですよね。
山頂周辺には週末の雪が残っていますが、予想していたほどの寒さではなくて良かった。

 

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赤梛岳より向こうは木曽側からのガスでモヤモヤ。(左) 山頂の木曽殿越側はいくつもの岩峰。(右)

 

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伊那側のガスはだんだんとおさまって来ました。

 

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時々切れるガスの向こうに赤梛岳と南駒ケ岳。

 

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山頂から見下ろす空木平。

 

食事を済ませ、後ろ髪を引かれる思いはありますが山頂を後にします。

というか、急いで下山しないとこのままでは日没は必至ですね(^^;;;;;ヘッドランプの用意だけでなく、一応ツェルトも準備はしてありますが…

 

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もう一度、冬景色の空木平。

 

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午後の日差しに山ひだがくっきり。(左) 宝剣ともお別れします。(右)

 

同じ方面に下山する数組の人たちと、抜きつ抜かれつ(?)しながら、急速に高度を下げてゆきます。

とはいえ、長丁場だったこともあって気持ちほどペースは上がらず、傾いてゆく太陽と追いかけっこでもしているような気分。そのうえ、靴の中でいつもとは違うところが痛くなってきたりして、気持ちも萎えそう。

駒峰ヒュッテからずっと前後している若い人たちも、ishidaより歩行ペースは速いものの、経験の差か(^^;地獄の通過などではishidaのほうが早く通過して先行しちゃいます。

マセナギを過ぎ、池山小屋までを遊歩道コースか登山道コースか迷いますが、往路で通った登山道コースを行くことにしました。しかし、下山に使うと思ったよりも岩ゴロがきつくて、ますます足が痛くなってしまった気がします。
薄暗くなってきた中、やっと池山小屋前の分岐に着くと、先ほどの二人組の若い人たちが遊歩道コースから到着したところでした。笹はうるさいが、遊歩道コースのほうがずっと歩き易かったそうです(^^;

ishidaはここで足の痛み対策をすることにして、お二人と別れます。
両足の親指、母指球などに絆創膏を貼っていると、お泊り装備の単独行の方が到着しました。本日は池山小屋泊まりだそうです。

とりあえず泊まらない予定のishidaは、絆創膏の効果か?はたまた休憩の効果か?(単に道がなだらかなだけ?)一気にスピードアップして林道終点、ここから登山道取り付きまでは薄暗い森の中になるので、念のためヘッドランプを点灯して下ります。

 

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林道終点で17:05。南アルプスの稜線に消え行く残照…(^^;


林道終点より暫く下ったら、先ほどの若い人たちに追いつきました。
駐車場への分岐を行くべきか、真っ直ぐ下るか迷っていたそうです。(登る時には林道をそのまま奥に進んで林道終点まで行ったそうです。)

真っ直ぐ下っても時間は大して変わらないことと、駐車場へ直接下るルートは踏まれていないことから、一緒に林道取り付きまで下ります。

 

最後は林道を奥に進み、やっとエブリちゃんの待つ駐車場に到着っ!時間はなんと17時25分でした(^^;;;;;;;
しかし、自分たちよりも後ろを下ってた人たちって…無事を祈る。

 

今回は時間が遅いこともあり、温泉も寄らず、飯田山本ICでも高速から降りず、そのまま高速で自宅を目指して帰りました。

 

---------------------------------本日の行程-----------------------------------------

 

駐車場 6:30 --- 6:40 登山道取り付き --- 7:00 林道終点 --- 7:25 タカウチバ分岐 --- 8:00 池山小屋水場

 

--- 8:20 休憩 8:30 --- 8:40 合流点 --- 9:30大地獄・小地獄9:45 --- 10:25 尾根乗越 --- 10:50 休憩 11:10

 

--- 11:30 空木平分岐 --- 12:00 駒石 --- 12:40 駒峰ヒュッテ --- 12:50 空木岳山頂(昼食)

 

空木岳山頂 13:35 --- 14:10 駒石 --- 14:25 空木平分岐 --- 15:55 分岐点 --- 16:10 池山小屋水場 16:25

 

--- 17:05 林道終点 --- 17:20 林道出会 --- 17:25 駐車場