ishida式の能郷白山登山
2012年5月12日(土) 体調の復活を確認のため、以前から行きたかった「能郷白山」へ。

2月以来、所用だけでなく体調不良も続いて、GWも無計画で過ごしました。
久々に計画した登山は、以前から計画倒れで登っていなかった「能郷白山」です。
積雪豊富ですが、どちらかというと標高の低い山なので、本当は4月中に行きたい山だったんですが…

結構、山で会う人がみんな口を揃えて「良い山だ。」と言う能郷白山ですが、数年前の土砂崩れで登山口への林道が車両通行できない状態です。
かなり手前のゲートから1時間以上の林道歩きが必要とのことです。

 

当日はAM3時起床、連休翌週のためか空いていて走り易い高速(東名音羽蒲郡IC〜名神〜東海北陸道各務原IC)と一般道を快調に走って、3時間足らずで林道ゲート前に到着しました。
しかし、岐阜市内から見る奥美濃の山々にだけ雲がかかっていたのが心配だったが、ちょうどこのエリアの山だったようです。
林道ゲートに到着時、どんよりとした空は今にも泣き出しそうな状態です。
先着の車は2台ですが、一人の方は全く違う方向に歩いていった様子だったので山菜採りに来られた方のようです。
もう一人の方が出発した頃から、空からはパラパラと雨粒が…とりあえず朝食をとりながら様子見。
寒気の流入との予報だが周辺の天気予報は晴れだし、小止みになった様子だったので出発すると、非情けにも更に雲が低くなっってくると共に雨足も強くなってきました。
ここまで来て、日帰り山行なのに初めからカッパ着用で歩くのも嫌だなと思い、Uターンしてトボトボと車に戻ります。
ちょうど到着された方がいて、お話しているうちに雨もまた小降りになり、所々雲の切れ間がのぞき始めました。
まあ、せっかくなのでもう一度気を取り直し、カッパのパンツだけを着用(上着は暑くなるので嫌い)して、傘差しで林道を歩くことにしました。


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前山の尾根は雲に隠れてしまいましたが、気を取り直して再出発。(左) 林道の分岐にあるケルン。(右)

 

林道を歩いている途中で、先行していた方が戻ってくるのと出会いました。
膝の調子が悪いのと天候が思わしくないことから、今日は登山を中止して戻ることにしたとのこと。

途中で2箇所ほど渡渉(^^;して、約1時間の歩きで登山口に到着。しかし、雨脚は弱まる気配なし…。
しかし、天候の回復に期待して登山決行します。

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やっと登山口に到着。(左) 急登の途中で前山に突き上げる沢の残雪を見る。(左)

 

登山口から、本日最大の難所(^^;と思われる沢の渡渉(飛び石だけど)をこなすと、のっけから急な登りが続きます。
芽吹きの始まった木々が雨を防いでくれるとはいえ時折り強くなる雨足に、小さな傘ではなかなか辛くなってきたので、林道出会いの少し先でカッパの上も着込みます。
周囲の木々も芽吹き前の状態になってきたのでちょうど良いタイミングだったかも(^^;
でも、上着を着たとたんに蒸し暑くなってしまいますね。
周囲も全く見通しが無く、空を見てもまだまだ好転する気配は見られません。

 

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林道出会いからひと登りで尾根に出る。(左) 右側に切れ落ちた斜面が現れます。(右)

 

急な登山道が続きますが、岩の多い急登を過ぎて傾斜が緩むと、右手の斜面が大きく切れ落ちている様子です。この辺りから、周囲にも雪が見られます。
斜面の左側を巻くように進むと、今回始めて雪の斜面が現れました。
表面はユルユルなのに内部は固い、嫌な感じの雪質ですね。

 

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この日初めての雪上歩行開始。(左) 振り返っても視界はほとんど無し。(右)

 

ここから少しなだらかな斜面が続き、周囲の雪の量も増えてきますが、相変わらず周囲はガスで真っ白で視界はほとんどありません。
その上、雨はみぞれに変わり、雪も混じる状態に右手側からの強い風も加わってかなり厳しい天候となってきました。


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ガスの向こうに浮かぶ見事な枝振りのブナ。(左) 少し下るとやせた尾根に。(右)

 

なだらかな稜線をトラバース気味に進むと、再びやせた尾根を通過します。
強風と視界不良が続きますが、大きなブナの根元で風を避けて行動食を頬張りながらこの先の行程について思案します。
寒気の流入で雲が発生することは予想はしていたものの、思った以上の悪天候です。
(それでも、寒気を避ける装備はしてきましたが…)
でも、トレーニングや苦行に来ているわけではないので、悪天候の中で楽しくない登山を続けるのもいかがなもんでしょう?
萎える気持ちと中途半端なプライドが相克しますが、自分の中ではとりあえず(時間か気持ちの)リミットまでは進もうということに(^^;
11時の時点での残り行程と体力を考慮して進退を決定するということにします。
それでも、途中で登山を断念したのはずっと以前のGWに新穂高から双六岳を目指した時くらいだったかしら?
でも、時折りガスが切れて眼下の谷が見渡せたり、うっすらと太陽が見え隠れすることもあり、もう少し進むことにします。

 

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行動食を頬張っていたらガスが少し切れてきました。

 

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あれれ、またガスが…(ToT)。

 

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目指す能郷白山方向か?(左) 雪の豊富な鞍部に出ました。(右)

 

幾度かアップダウンを通過し、左手の谷に向かって大きく雪渓が続く鞍部に出ました。

で、11時の時点で小鞍部で休憩し、少し上ると「標高1450m 山頂まで538m」みたいな看板が現れました。
それに、地図で確認すると実は前山はとっくに過ぎていて、能郷白山への最後の取り付きに差し掛かっていました。
あと少しのような…ううん、それでもまだ標高差200m以上あるって…。(後で考えてみると実際には200m弱でしたが)


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ちょっと気分が萎える看板。(左) 再び視界も無くなります。(右)

 

もう一度雪の鞍部に戻り、足の裏の靴ずれに絆創膏でお手当てしようと思ったら、靴も何だか縫い目が開きかけてるし…
「今日はここまでかな…」と思っていると、急に後ろから声を掛けられてぴっくり。
登山口ですぐ後から続いて出発された単独行の方が追い付いてきていたのでした。
その方は「とりあえずここまで来たので、山頂まで行ってみます。」とのことです。
その方を見送ってから、自分はどうしようか考えながら靴ずれ気味の左足に絆創膏を貼ろうとしたら「イテテテッ!!!!!」またまた(前回の登山に引き続き)足に強い痙攣が…。
順番に左右の足が攣っちゃって、これはもう限界のようです(^^;;;;;;;。

天候も回復しそうにないので、前山の方向に向けてトボトボ登り始めると…急に雲が切れて、山頂の祠が見えました。
「なんだ、本当にすぐそこじゃん!」っていうことで、現金にも急に元気が出て(^^;大急ぎで山頂に向けて再度Uターン。

 

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戻りながら振り返ると、薄日が差してきました。(左) 能郷白山、キタ〜!!(右)

 

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登り始めて振り向くと前山もキタ〜。(左) 景色が見えてくると急に元気に。(右)

 

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能郷白山の山頂も見えます。中央右寄りに祠。

 

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前山も本格的に姿を現します。(左) 山頂直下から徳山ダム方面に続く谷。(右)

 

やっと視界が開けてきた頂上への最後の斜面を登ってゆくと、これまで暗いガスの中に隠れていた周辺の山々も見え始めました。
積雪量の多い越美国境付近の山は独特の雪形のコントラストが見られて良いですね。
しかし、まだらに雪の残る急斜面に取り付くと、やはりキックステップが効き難い嫌な雪質に加え、今回のトレッキングシューズでは(爪先が上がっているため)とってもキックステップがし難いのでした。
山頂直下では、日本海側からの冷たい風で樹氷が発達している場所も現れます。
山頂直下の雪の斜面は谷に向けて強く傾斜していて、とってもスリリング(^^;
強い季節風によって山頂稜線から南東方向の斜面に向かって大きな雪庇が張り出していたようで、上に向かって徐々に傾斜がきつくなる方向に雪が堆積しています。
山頂直下は右(東)寄りに雪の境界付近を登り、頂上稜線に出てから祠の方向に歩きます。

 

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GW後でも降雪があるだけあって霧氷も発達。(左) やっと山頂の祠に到着!って、またガスガス…。(右)

 

山頂稜線に立つと、再び巻いてきたガスの中(ToT)に山頂の祠と先ほどの単独行の方のシルエットが見えます。
祠前でお互いに写真を撮り合って、しばしお話。
三角点のある山頂(祠の東側)まで同行していただき、既にお昼も済ませたその方とお別れして、自分は三角点を腰掛けにしてお昼ご飯にします。

 

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先行の方に撮って貰いました。(左) 山頂の祠の周囲にカタクリも見られました。(右)

 

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やっと青空も(時々)見えてきます。

 

福井県側から激しく吹きつける風の中、時折りガスが切れるのを楽しみにしますが、なかなか思うようにはなりません。
何だか山の神様、今日は凄く意地悪な気が…
最後に山頂の雪の斜面から下を見ようとしたら、激しい風に背中を押されて自動的に谷のほうに向けて進んでしまうくらい。
南東方向の谷に向かって雪が豊富で、もう少し早い時期ならずっと下まで(下界は徳山ダムかしら?)スキーで下って行けそう。
時間も押してきそうなので山頂とお別れし、急斜面はグリセード(ただし、格好悪いけどブレーキの効き易い横滑り)で下ります。
途中、草付きの中に「ザゼンソウ」が顔を出しているのを見付けて嬉しい。

 

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今度は(登りとはうって変わって)雄大な景色を眺めながらの下山です。(左) ザゼンソウ。(右)

 

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山頂直下はかなり急な雪の斜面。(左) 三角点のある山頂。時折り青空。(右)

 

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雪が豊富な時期なら滑りたいくらい。(登山口と違う谷だけど)

取り付きの鞍部付近まで来ると、今度は本格的にガスが切れ始めて、ずっと山頂や前山の姿が見えるようになりました。
上空の雲はなかなか消えませんが、帰路はずっと雪と緑のコントラストのきれいな能郷白山や、尾根続きの磯倉などが終始見送ってくれました。

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鞍部から見る尾根続きの磯倉。(左) 再び山頂の祠にお別れ。(右)

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登ってる途中は見えなかったけど、こんな景色だったのね…

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春の日差しに映えるブナの樹形。(右・左)

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磯倉も姿の良い山ですね。

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前山の不明確なピーク周辺から見る磯倉。

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前山から振り返る能郷白山のたおやかな姿。雪のコントラストがきれい。

今回は前山の姿を見ながらの緩やかな登りですが、確かに明確なピークはなくて、登山道も山頂を少しそれたところを通過してしまいます。
前山のピークらしき場所を巻くと、急に谷底に落ち込む急斜面の脇を通ります。
登りでは、ここが前山の斜面だとは気が付きませんでしたね。

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徳山ダムのダム湖。(左) 下り始めてから振り返って見る前山は全く違う表情。(右)

さらにそこからの下りにかかると、眼下には遥かに濃尾平野までが見渡せ、急激に高度を下げる急斜面の登山道、途中の林道出会い、登山口周辺までが見渡せます。
更に東の方向は晴天で、濃尾平野までを見渡すことが出来ます。
ただ、やはり山側は雲が垂れ込めているせいで荒島岳や白山などは雲の中です。


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これから急降下。中央から左に下って林道出会い。さらに谷底が登山口。

 

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能郷の集落、その先に岐阜市街も見えます。

 

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イワウチワ。(左) タムシバ(ティッシュが木に引っ掛かっているかと思った(^^;)(右)

 

急な下りを林道出会いまで下り、さらに沢の渡渉点までひと下りです。
既に沢の飛び石の表面も乾いていて楽々越えます。
すっかり好天の空と、振り返って前山の斜面を眺めながら林道を歩きます

 

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登山口の沢。(左) 周囲はミヤマキケマンが満開。(中) 林道途中から振り返る前山。(右)

 

林道ゲートに着くと思ったよりも車が止まっていますが、皆さん山菜採りのようです。

そそくさと帰り仕度し、「うすずみ温泉」で入浴(850円)し、帰路は東海環状の関広見IC経由で帰りますが、びっくりするくらい空いていて気分よく帰ることが出来ました。