ishida式の経ヶ岳(中央アルプス)登山
2010年4月4日(日) スキーの筋肉痛もなんのその(?)、でも今回は高望み無しで

残雪の山にはやる気持ちを抑えきれず、いつでも日帰りOKな準備をしたまま(実際には日向山の後、片付けてないだけ?)天候の状態を見て 目的地を物色中でした。
4月第一週の週末は好天の予想、しかし3月末に「テレマークスキー」初体験、超筋肉痛に見舞われて1週間ほど尾を引いた状態です。
4月3日(土)に決行しようと前日には決めていたのですが、右足にまだ違和感があったため、大事をとって4月4日(日)に延期しました。

 

今回の目的地は昨年末に登ろうと思っていた、中央アルプス北端の「経ヶ岳(2296m)」です。
経ヶ岳は、年末に戸倉山に登った際に見たり、スキーの道中に権兵衛街道から見た際にも端正な姿には惹かれまていました。

中央アルプスの最北端に位置する山ですが、主稜線からは権兵衛峠で大きく標高を下げているためほとんど独立峰のイメージで、伊那側から見上げる姿は端正で良い感じです。

 

標高からしても残雪に期待できつつ、この季節ならアプローチには問題無さそうです。
信仰の山でもあり、麓の「仲仙寺」からの登山道が本来登るべきルートと思うのですが、今回はちょっとズルをして大泉川の所ダムからのコ ースを選択しました。(こちらのほうが登山口の標高が100mほど高い。)

 

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これは2月にきそふくしまスキー場から見た経ヶ岳。ほぼ独立峰と言ってよい?

 

土曜日に吹き荒れていた春の風も収まった日曜日の早朝に自宅を出発、東名高速音羽蒲郡ICから中央道伊那ICを目指します。
伊那ICから登山口までは10分ほどと思いますがちょっと行き過ぎて大泉川を渡ってしまったため、間違って左岸のダムの下部に入り込む林道に入ってしまいました。
ちょっと戻って右岸の進入路からダム堰堤脇の登山口駐車場に到着。
3月末にはそれなりの降雪があったと思うのですが、その後の気温の上昇で登山口周辺には全く雪は見られません。
軽く朝食を済ませて準備完了ももどかしく登山開始です。

 

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登山口。後ろは黒沢山。(左) しばらくはアカマツ林。(中) 三合目付近から黒沢山。(右)

 

予定では7:30までに出発しようと思っていたのに、靴紐のお直しなどしているうちにちょっと時間超過。
駐車場からは一旦Uターンするように林道へ入り、暫くは道なりに進みます。
一合目から二合目までは途中で二か所ほどの分岐がありますが、看板の指示通りに林道を進みます。
二合目の看板から沢を渡ると、いよいよ斜面に取り付きますが、周辺は手入れのされたアカマツの林となっていて、これって松茸山なんでしょうか?
小尾根に取り付いて暫くして道が水平になると、すぐ先で仲仙寺からの登山道と合流する地点に出たところが四合目です。
ここからは主稜線から派生して東に延びる尾根の少し南寄りの斜面を登ります。

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四合目付近から中央アルプス。(左)  行く手の尾根を望む。(右)

周囲はカラマツの植林地となっており、落葉した林の向こうに中央アルプスの主峰群がきれいに見えます。
振り返ると、伊那の町と盆地を隔てた東側の南アルプスの峰々も望めますが、逆光に加えて靄がかかっていて鮮明ではありません。
春の日差しの気持ち良いカラマツ林の下は笹の斜面となっているため視界は開けているのですが、行く手は斜面が幾重にも重なっていて目指 す稜線はなかなか見えてきません。
一旦大きく右手に回り込んだ先で五合目に到着です。ここで初めて僅かながら残雪を見ます。

 

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五合目で初めて僅かに残雪。(左) カラマツにシラカバも混じります。(右)

五合目から先は次第に稜線に近付き、それとともに残雪もちらほらと見えてきます。
六合目の手前で支尾根の稜線上に出ると、右手に雪に覆われた北斜面と黒沢山の斜面が見えてきます。
六合目以降は登山道にも雪が現れますが、よくある「登山者の圧雪によって氷化している」ような状況はありません。というか、冬季はほとんど登山者がいなくて踏まれていない??
僅かに踏み跡らしきものがあるのは3月の連休に人が入ったものでしょうか、足跡が融け残って「雪の小判」が残る現象が少しだけ見られます。
一般的には「静かな山」とのはなしですが、それにしても(夏は地元の中学生などによる学校登山などが行われるとありましたが)この季節の 登山者が少ないのには驚きです。
おかげで、登山道の雪の上もさくさくと歩けて具合が良いですね。

ただし、人の少なさは「何かあった場合」の不安要素でもあります。
自分も単独行ですから、細心の注意を払って行動するよう気を引き締めてかかります。
当然ながら、雪の経験の無い登山者が残雪期に安易に入山するのは危険が伴うということもあり注意が必要です。

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六合目周辺では残雪も豊富。(左) 靄に霞む仙丈岳。(右)

 

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北側斜面は自然林のためブナも見られます。(左・右)

 

尾根上が市町村境界となっているためか、南側がカラマツの植林なのと対照的に北側斜面は自然林となっていてブナやツガなどが見られます。
また、雪の季節限定のお楽しみで、登山道を外れて歩いてもOKなので(ルートファインディングのスキルがあれば)普段は見られない景色も楽しめ、開けた雪の斜面を少し下ると八ヶ岳も意外と近くに望めます。
ただし、この辺りから写真撮影に力が入って、登山道を外して見通しの良い場所へ行ったり来たりでコースタイムは延び気味かも…

 

靴底を斜面に対してフラットに置くといつもの踵痛に苦しめられるので、わざと雪の斜面を選んでキックステップで登ります。
雪は適度に緩んでいるため、キックステップもよく効いて快調。
行く先、樹林越しに見える空がだんだんと広くなってくると1915mの標高点のある七合目の小ピークに到着です。
南向きに延びる尾根との分岐となっていて、西にはこれから向かう八合目のピークが見えます。

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残雪の斜面を登ります。(左) 行く手に空が見えてくると七合目。(右)

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この辺りからは木の曲がりから積雪が多いのがうかがわれます。(左) 七合目に到着。(右)

八合目の北に見えるピークが経ヶ岳の山頂だと思ったのですが、地図で確認すると山頂はもっと西でここからは見えないようです。
しかし、さすがに2000mを越える主稜線上は雪が多く、雪庇が発達しているのがよく見えます。
この山域では、木曽側からの風で雪庇は北東方向に発達するようですね。
振り返ると東側には南アルプスの甲斐駒から仙丈岳も青く霞んで見えています。
ここで小休止としスパッツも装着、今のところアイゼンは不要との判断です。

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八合目のピークと九合目のピーク。(左) 東には甲斐駒ケ岳。(右)

 

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北側斜面より、遠くに見える八ヶ岳。(左) 南側には中央アルプスの主峰群。(右)

 

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主稜線の下部の雪模様。(左) 主稜線が近付きます。(右)

 

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ダケカンバからぶら下がるサルオガセ。(左) サルオガセがびっしり着いたカラマツ。(右)

 

主稜線に向かう道はいったん下ってから再び登りになり、ダケカンバの巨木に出会うとやや右に折れて八合目までの開けたまっすぐな登りになります。
左手側は雪が少ないのですが、右側には雪庇が張り出しています。(既に鈍角になってしぼみ気味)

 

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尾根の屈曲点にあるダケカンバの巨木。(左) 八合目に続く尾根。(右)

 

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明るい稜線ににっこり?。(左) いよいよ八合目。(右)


雪景色を楽しみつつ登ると前方に雪を被った高まりが見えてきたら八合目のピーク(蔵鹿の頭)に到着です。

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八合目に到着っ!。

 

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登ってきた尾根を振り返る。伊那の街と南アルプス。(左) 稜線にはまだ雪庇が残る。(右)

 

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南には中央アルプス。


雪の量もこれまで以上に多く、先にはいよいよ主稜線に連なるピークが間近に見えます。
また、ここには「望郷」と刻まれた石柱があるのですが、ほとんど雪に埋もれてしまっています。
振り返ると、南には権兵衛峠の谷を隔てるようにして中央アルプスの主峰群である麦草岳、駒ケ岳、宝剣岳、伊奈前岳から手前に将棋頭山、 茶臼山が大きく見えます。
西には御岳も見えていますが、昨日あたりにかなり降雪があった様子で、山の裾までかなり白く見えます。
八合目から先の稜線にはこのところの春の日差しでかなり丸くなってはいるものの、東に向かって雪庇がかなり張り出しています。

 

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「望郷」と刻まれた石碑もほとんど埋まっています。(左) 風衝樹と九合目のピーク。(右)

 

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こちらが経ヶ岳のピーク。(左) 一部笹の斜面が出ています。(右)

 

ここで大休止とし、軽く腹ごしらえしながらこの先のルートを確認。
計画では13時までに山頂から下山開始、それより時間が掛かるようならその時点で下山と考えていましたが、ちょうどコースタイム通りにゆけば山頂に到達できそうです。
荷物はここにデポし、ヤッケと行動食、飲料水、地図(とカメラ)を持参して山頂まで往復することにしました。

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伊那谷方向にはやや雲が湧く。(左) 雪庇の張り出した斜面を安全確認しつつ行きます。(右)

 

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2000m級の稜線は春爛漫の下界とは別世界です。(左・右)

 

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広い斜面にはダケカンバが多い。(左) 九合目に向けて高度を上げます。(右)

 

九合目のピークへと向かう稜線は安全を確認しつつ雪庇の安全な部分を選んで写真も撮りながら進みます。
ピークの手前で雪に埋もれた道標の頭だけが出ている場所があり、ここが北側の黒沢山への分岐のようです。
稜線上は雪の量もかなり多く、地図とピンクテープでルートを確認しながら進む技術が必要です。
といっても、今日は天候も良くて見通しも利くため、安心感があります。
直下では樹林帯の下が少し氷化している部分がありましたが、特に不安なく通過して石仏のある開けた九合目のピークに出ます。

 

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九合目に佇む石仏。(左) 九合目の先は広い尾根になる。(右)

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春山らしい雪紋です。(左) 明確なピークではないが大泉山の表示が。(右)


ここから少し下ると開けた斜面の先に目指す経ヶ岳のピークが姿を現します。

途中、明確なピークではありませんがカラマツの幹に「大泉山 2252m」の表示がありました。
しばらく広い尾根を進む途中では左に中央アルプス、右には乗鞍や穂高もちらちら見えます。

 

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行く手にはいよいよ経ヶ岳のピーク。

 

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途中の鞍部から中央アルプス。(左) 振り返って見る大泉山のピーク。(右)

 

再び登りとなり、樹林帯の中をしばらく登ると針葉樹に囲まれた山頂にひょっこりと出ました。

 

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頂上すぐ手前のナギ?。(左) 樹林に囲まれた山頂に到着。(右)

 

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山頂南斜面から見る八合目。(左) あまり長居はせず下山にかかります。(右)

 

山頂には信仰の山らしく石碑や十一面観音の石仏などが並びます。
展望がないといわれる暗い森に囲まれた感のある山頂ですが、この季節は南の天然カラマツが葉を落としているため意外にも開けた感じもします。
ここでまた写真撮影にいそしみつつ時計を確認すると、おっと予定時間を少し過ぎていました。
そそくさと八合目に向けて来た道を(好きなところを歩けますが)戻ります。

 

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下山にかかって見る大泉山と九合目、八合目のピーク。(左) 九合目付近から振り返る経ヶ岳のピーク。(右)


八合目手前まで戻って雪庇のほうを見ると、根元に亀裂がはいっているのに気付きました。ishidaの足跡はそれよりも外側を歩いています…
雪庇自体は既にかなり融けて縮小しているため崩落の危険はないとはいえ、安全を確認しながら歩いたつもりだっただけにちょっとショックかしら。
(今日は他の登山者もいなかっただけに何事もなくて良かったですが…)

 

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九〜八合目間の雪庇。(左) よく見たら亀裂が入っています。(右)


八合目に戻り、そそくさと荷物をまとめて下山にかかります。
稜線では木曽側から吹き上げる風で雲も湧きましたが、天候も終始安定していて良い春山日和でした。(春だけに、霞がかかって展望はあいにくの面もありましたが…)

 

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石碑とデポした荷物。アイゼンとかんじきは結局未使用。(左) 一路下界を目指します。(右)


午後の日差しを浴びたカラマツ林を縫って順調に高度を下げて登山口を目指しました。
下山は16:05と、結局はほぼ予定通りの時間に登山口に到着できました。

 

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明るい日の射す四合目手前のカラマツ。(左) 登山口の案内図。(右)


今回は天候に恵まれただけでなく、全く他の登山者に会わない静かな(静か過ぎ?)登山が楽しめました。
人に踏まれていない残雪の上を歩くのも気持ち良かった(^^)…もちろん安全を第一でね。
また、もう少し上質な写真を期待して(腕前の向上より物理的な向上に頼って(^^;)新しいカメラを持参。
これまで使用していたGX-100よりも(画質だけでなく)レスポンス良く撮影ができて、投資の甲斐があったかしら?
カメラのレポートはまた後日。

 

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自宅4:10〜音羽蒲郡IC〜伊那IC〜大泉所ダム登山口7:00

 

登山口7:32--8:30四合目8:42--9:15五合目--9:40六合目--10:10七合目10:20--11:48八合目

 

八合目12:10--12:37九合目--13:12経ヶ岳山頂13:20--13:42九合目--14:00八合目14:20--

 

14:45七合目--14:56六合目--15:10五合目--15:30四合目--15:47二合目--登山口

 

登山口16:25〜伊那IC〜16:45駒ケ岳SA17:30〜飯田山本IC〜治部坂峠〜津具〜新城〜自宅20:30