ishida式の櫛形山(裸山)登山
2010年1月30日(土) 昔の思い出を訪ねて新しきを知った?

2010年初の登山は、山梨に住む娘の元へ北海道土産を届けるため(^^;に甲府周辺の山として、以前から候補に挙げていた「櫛形山」に決定。


実は二十歳代前半の頃、GWに当時の彼女と二人で裸山まで登った思い出があり、それ以来好印象の山です。(当時、初めて残雪を踏んで大喜びだった彼女は、今はishidaの奥さんです。)


山容も立派で、甲府盆地から見る質量感は南アルプス北部の(前山の)盟主といえます。
好天の予報にも背中を押され、1月29日(金)のうちに「明日は櫛形山へ行ってきます。」と宣言してモチベーションを高めます。

 

AM3:30に起床し、軽く腹ごしらえしつつ4:00には自宅を出発、一路浜松ICを目指します。
国道、高速とも順調に進み、6:00には富士ICから西富士道路に入りました。
西の山の端に満月が沈んでゆくのを横目に、朝霧高原へと登ります。
途中、ダイヤモンド富士狙い(?)の人達がカメラの砲列を敷いているのを横目に、精進口まで進みます。
先行するタンクローリーも甲府方面に曲がったので、(時間調整のため)ここでちょっと寄り道して精進湖からの子抱き富士を見に行くと、やはり何人ものカメラマンが並んでいます。
ちょうど朝日のあたり始めた富士山が湖面に映って綺麗な逆さ富士が見られましたが、5分もしないうちにそよ風で湖面が波立ってしまいました。
本当に自然って気まぐれですね。

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精進湖でちょうど日の出の時間に逆さ富士を見る。

更に先を急ぎ、甲府方面に向けて山を下ります。
曽根丘陵を過ぎ、甲府南ICからバイパスに入って櫛形町に向かいます。
最近開通したこのバイパスのお陰で、櫛形山へのアクセスが非常に便利になりましたね。
道なりに県民の森に到着したのが7:50でした。

簡単に朝食を済ませ、身支度をして林道経由で北尾根登山口を目指して行動開始です。
一部雪の残る林道を20分ほど歩くと、結構広い駐車スペースのある「北尾根登山口」に着きます。

 

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バイパスを櫛形山目指して走る。(左) 県民の森から雪の残る林道を歩く。(右)


登山道に入ると、右側に「私有地につき立ち入り禁止」の看板がやたらと目に付きます。
古い登山道はほぼ尾根通しに付いていますが、現在は北側の植林地との間を行き来しながらジグザグに登っていきます。
葉の落ちた雑木林の中を行くと、富士山の姿が逆光でシルエットとなって見えてきます。
登り始めて1時間ほどで周辺はアセビのトンネルとなり、前回登ったときのイメージが蘇えってきました。
すると、右上に謎の物体が見えてきます。
すぐに林道に出て、謎の物体の正体は「見晴し台」にある「田中澄江の記念碑」のようです。

 

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登山道に入ると富士山の姿が。(左) 南に中尾根のピーク。(右)

 

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途中の林道に見晴らし台と田中澄江の記念碑。後ろは金峰山。(左) 富士山も見えます。(右)

 

林道は冬季の通行止めと聞いていますが、雪の上には割と最近付いたらしいタイヤの跡も見えます。
見晴し台からは、手前の甲府盆地の向こうに八ヶ岳、金峰山〜大菩薩嶺、小金沢連嶺、富士山まで見えます。

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見晴らし台と北東面の山々。金峰山、大菩薩嶺、小金沢連嶺。

ここからはまっすぐアヤメ平へ最短でむかうコースと、北斜面を巻く遊歩道コース、滝巡りコースなどが分かれます。
今回は遊歩道コースをとり、途中の水場で水も補給する予定です。
北斜面に入ると登山道に雪が現れ始めますが、凍結はしてなくて硬く締まって「ザクザク」という感触です。

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林道より上では雪が現れ始めます。(左) クマ出没注意。(右)

 

谷側に回り込んで行くに従って、登山道の雪は増えてきました。
「もみじ平」の道標のある北尾根への分岐から少しそのまま水平に進んで沢の水を補給する予定でしたが、思ったよりも水量がなくて汲むのに一苦労。
「もみじ平」分岐に戻って尾根への登りに入ると、屋根のない登山道部分だけにたくさんの積雪があります。
傾斜が緩くなって尾根上に出ると再び雪は少なくなります。

 

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北斜面では登山道の雪も多い。(左) もみじ平から稜線へ登ると傾斜は緩くなる。(右)

 

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樹形が楽しいカバノキ類。(左) 稜線付近は雪も少なめ。(右)

 

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これはブナ?変わった樹形です。(左) 南側に延びる中尾根の斜面には雪が豊富そう。(右)

 

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富士山もずっと木の間越し。(左) 北尾根直登コースと合流しました。(右)

 

北尾根直登コースと合流し、尾根のやや南寄りの斜面を登って次第に高度を上げてゆくといよいよ周辺の景色も積雪期の山の雰囲気となってきました。

 

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樹幹に着雪した木々の間から富士山。(左) 先行者は4本足に2本爪アイゼン装着。(右)

 

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先行者(猪?)のトレースをたどるishida。(左) 冬枯れの雑木林は明るくて大好き。(右)


周りにサルオガセをまとった天然のカラマツが現れ始め、平らな稜線に出たところが「アヤメ平」の入り口です。


「サルオガセ」は地衣類の一種で、湿度が高くてやや開けた亜高山帯の森でよく見られます。まるで海草が木にぶら下がっているように見えることから、乗鞍岳などで観光バスのバスガイドさんが「強い季節風で日本海からここまで海草が飛んでくるんです。」みたいな冗談を言って乗客を驚かせるという話も聞いたことがあります(^^)。

周辺は樹木も少なくなって雪の量も一気に増え、踏み跡もなくなってコースがはっきりしません。
樹木の少ない稜線では雪の量も一気に増え、足の沈み込みも増えそうなので、ここでロングスパッツを装着がてら小休止をとります。

 

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下枝の張り出したカラマツ。(左) サルオガセの付着した木。(右)

 

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開けた尾根に出たところが「アヤメ平」です。(左) 雪の量も格段に増えました。(右)


周辺をよく見ると、北側からの丸山登山道との合流があり、西側にはアヤメ平の歩道を示す柵の連なりが見えました。
柵に沿って進むと、表面は3cmほどの厚さでクラストしているものの、踏み抜くと膝まで雪の中に入ってしまいます。
やっぱりロングスパッツの装着は正解でした。

 

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アヤメ平の木々は独特の景観を見せます。(左) わざとらしい?杭は半分くらい埋まっています。(右)

 

少し歩くと可愛らしい「アヤメ平休憩所兼避難小屋」が現れます。
前回は真新しい「休憩所」だった記憶があり、建物の新しさから、この10年前後で建て替えられたものでしょうか?
引き戸を開けて内部に入ると、中央の土間に囲炉裏が切ってあり、綺麗に清掃された清潔な小屋でした。ただ、湿度の高い土地での凍結・溶融の繰り返しなどによるものか、床はかなり凸凹になってしまっています。

小屋の内部は暗いので、外のテラスで昼食とします。
今回はパンだけでなくラーメンも食べて身体を内部から暖めます(?)。
風はほとんどありませんが気温は氷点下なため、ペットボトルの縁に付いた水分はすぐに凍ってしまいました。

 

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アヤメ平休憩所兼避難小屋。(左) テラスでお食事。(右)


食事の後は、アヤメ平の遊歩道を巡ってから裸山に向かうことにします。
しかし、小屋から先の遊歩道は積雪も更に多く、ここは「スーパーかんじき」の出番だろうということで、今回初めて装着っ!
とはいうものの、思った以上に雪の量が多く、かんじきの浮力をもってしても深いところでは膝上まで沈みこんでしまいます。
樹木のない草原は積雪自体が多く、気温も低い(反射率の高い雪面は意外に太陽光によって融けることも少ない)ことから、樹林帯よりも歩行に時間が掛かりました。

 

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「スーパーかんじき」初の出番。(左) 初めのうちは沈み込みも少なくて余裕。(右)

 

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鹿の食害から植生を守る実験用のフェンス。(左)尾根の向こうに北岳。(右)

 

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かんじきがあっても沈み込みは多い?(左) 辻山と鳳凰三山の薬師岳。(右)

 

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北岳と池山尾根。(左) 小屋の裏を回って登山道へ戻る。(右)

 

あまりの雪の多さに、単に写真を撮りながら遊歩道を巡って小屋のすぐ裏まで戻ってくる(だいたい500mくらいの距離?)のに、45分くらいかかってしまいました。
途中、小屋の辺りからは今日はじめての自分以外の登山者の二人連れらしい話し声が聞こえました。
本来の櫛形山や裸山方面に向かう登山道に戻ると、樹林の下では雪も締まり、かんじきの浮力が威力を発揮してくれました。
しかし、正月明けの積雪の後に歩いた登山者はいるようですが、ここ1週間での積雪で踏み後は殆ど見えず、ピンクテープが大いにルートファインディングの助けとなりました。

 

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長くなった影の中を裸山方面へ進みます。(左) 樹林帯の中は雪も締まって歩き易い。(右)

 

一旦登りきったところで主稜線を行くコースと、裸山を経由するコースとの分岐が現れます。
ここからは、展望の期待できる裸山経由のコースへと進みます。
カラマツの樹林帯の下は雪も締まっていて、ルートも判りやすく、歩きやすい道が続きます。
一旦下って登ると、西面が開けた正面に「裸山」のこんもりとしたピークが現れます。

 

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裸山の分岐から奥仙重(櫛形山の最高点)を望みます。

 

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裸山にはおおらかな樹形のダケカンバが散在。

 

「裸山」はその名の通り木の少ない丘状の高まりで、南と西側が開けているため、展望もこれまでで一番良いです。
しかし、以前はアヤメの大群落だった裸山もシカの食害によってアヤメは激減しているようです。
前回来た時は冬枯れの草原に沢山のアヤメの種を落とした後の実が立ち上がっているのが見られましたが、今回は道中も全く見られませんでした。

 

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裸山のピークでは尾根の向こうに富士山が顔を出しました。(左) いつも富士山が見えると嬉しい。(右)

 

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裸山のピーク。(左) 登山道分岐から裸山の高まり。(右)

 

裸山のピークに立つと、南に奥仙重(櫛形山の最高地点。実際の櫛形山山頂の表示とは違う。)、南アルプス南部の山々、白峰三山、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、南東の尾根の向こう側には富士山も頭を出しています。
ひとしきり景色を楽しんだ後、帰りの時間も考えて山頂への往復はオミットすることにして、中尾根登山道経由で下山にかかります。

 

奥仙重との分岐までは、樹林帯の中のなだらかな道を行きながら様々な樹形を楽しみます。

 

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今日の旅の道連れ。(左) エネルギッシュな樹形のカラマツ。(右)

 

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美しい森と様々な樹形を堪能します。(左・右)

 

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奥仙重との分岐。(左) 中尾根登山道はかなり踏まれている。(右)

 

奥仙重との分岐(実際には2箇所ある)から先、登山道は良く踏まれているようで、所々分かりにくい部分もありますがピンクテープを頼りに「祠頭」へと下ります。
平坦で明るい祠頭には避難小屋(ほこら小屋)と広いキャンプ地があり、休憩の適地です。

 

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トイレもある「ほこら小屋」。(左) 小さな祠を抱いたブナと思しき木。(右)

 

キャンプ地の広場を横切り、左寄りの沢筋に向かって更に下ると、道は急斜面をジグザグに横切りながら下って行きますが、時折見える富士山などが道中のアクセントになります。
途中、今日初めて中高年のパーティが大きな荷物を背負って登ってくるのに出会いました。
どこかの山岳会の方でしょうか?今日はほこら小屋で宴会という感じですね。

 

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コース途中で見渡す甲府盆地。

 

あとは時間を確認しながら(^^;息せき切って下る一方。
林道に出たところで娘に電話するも、やはり他の場所同様につながりません。
(道中、甲府の町が見渡せるところでも何故かつながりませんでした。)
メールを送信予約にして先を急ぎます。

 

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木の間から富士山と竜ヶ岳〜雨ヶ岳〜毛無山。(左) 林道手前からは雪も消えてきます。(右)


林道より下では登山道に雪は殆ど見られませんが、道はやがて薄暗い杉林のなかとなり、ちょっと寂しい気持ち。

 

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林道を横切る。(左) 駐車場で佇むエブリちゃん。(右)


眼下に南伊奈ヶ湖の湖面が見えてくると、県民の森はもうすぐです。

駐車場に戻ると、駐車場の氷は朝のままでした。
とりあえず靴を履き替えて娘の待つ(?)甲府に向けてエブリちゃんを走らせます。

 

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甲府へ向かう途中のアヤメ台からの富士の夕景。

 

甲府で娘をピックアップして一緒に晩御飯を食べ、寮に送り届けたあとは一路自宅へと走ります。
精進口への峠道、朝霧高原、東名高速ともに快調に走ってPM10:30自宅に到着(^^)。

 

今回はコース自体は以前訪れた時とほぼ同じ、更に積雪により思った以上に時間が掛かったこともあって、最高地点の山頂(奥仙重)をオミットしたところまで同じでした。

 

甲府方面から見る質量感のある姿と広々した山頂稜線と美しい森など、何となく恵那山と相通じるものを感じてしまいました。

 

------------------------------- 当日の行程 -------------------------------

 

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自宅4:00---5:00浜松IC----6:00富士IC----6:50精進湖7:00----7:50県民の森駐車場


県民の森駐車場8:158:35登山口〜9:35林道出会・見晴台9:45〜遊歩道コース〜もみじ台・水場10:2511:10北尾根登山道合流〜12:00アヤメ平(スパッツ装着)12:2012:35アヤメ平避難小屋13:20〜かんじき装着〜アヤメ平周遊〜14:00縦走路出会〜14:15裸山分岐〜14:30裸山14:5515:15奥仙重分岐〜15:20第2分岐〜15:40祠頭(かんじき外す)15:4516:20林道出会〜17:00森駐車場

駐車場17:15----17:50甲府19:15----20:45富士IC----21:45浜松IC----22:30自宅