3月の三連休は長女が引っ越しをするため、甲府に滞在予定でした。 もともと二日間で終わる予定でしたが、せっかくなのでもう1日滞在して最終日に山に登ろうか?と画策していました。 休日出勤も辞退して(^^;甲府に滞在、二日目は娘のアパートに泊めてもらいました。(奥さん共々寝袋で就寝) 家族の迷惑を顧みず(?)朝6時に起床し、軽く朝食を済ませて出発します。 今回の目的地は大菩薩嶺や瑞牆山など色々悩んだ結果、北杜市にある「日向山」に決定。 甲府から1時間程度と近いうえ、コースタイムも3時間ほどですので帰宅時間も含めて時間に余裕があります。 昨年6月に編笠山に登った際に、釜無川の谷を隔てて正面に見える白ザレが目立つ日向山の姿には興味を惹かれました。
甲府市郊外を日向山目指して走ると、正面に甲斐駒。(左) 韮崎からアサヨ峰と甲斐駒。(右)
国道20号線から名水公園方向に曲がり、林道を上がって登山口を目指します。 昨日は下界の晴天とは裏腹に、南アルプス北部の山は午後まで雪雲を被っていたため、新雪に期待できるとはいえ林道の状況も心配でしたが、特にこれといった問題もなく登山口のある矢立石の前まで到達しました。 登山口周辺の落ち葉の上にわずかに昨日の雪の跡がみられる程度で、思っていたような降雪はなかったようです。 登山口手前の最後の500m程は未舗装路で、下回りを気にする車の場合や駐車スペースが一杯の場合は最後の二つのヘアピンカーブの手前に駐車スペースと登り口がありましたので、そこの利用も可能です。 駐車スペースには先客の車が2台あります。 さっそく準備をして朝食を済ませておきます。
登山口。(左) 林道から甲斐駒。(中) 倒木に塞がれた林道。(右)
今回は矢立石から登山道を登るのではなく、分県登山地図山梨版でお薦めの錦滝まで林道を進み、急登の登山道を登って山頂へ向かい、山頂から矢立石に下るコースで回ることにします。 林道は登山口のすぐ先で倒木で塞がっており、ゲートまでは車の通行はできません。 左手には終始、鳳凰三山と甲斐駒ケ岳が見え、好天も手伝って良い気持ですが、林道自体もかなり荒れているだけでなく右手の急斜面からの落石に注意が必要なコースです。 実際、氷柱の落下が引き金でバラバラと小規模な崩落の音が何度も聞こえました。
何度か真新しい倒木を越えて30分ほど歩くと大きく谷側に回り込んだ先が「錦滝」です。 季節がら水量はありませんが、大きな氷柱や滝壺の氷が目を楽しませてくれます。
林道からの甲斐駒はまだ冬の装い。(左) 滲み出した水が木の枝をオブジェに変えています。(右)
甲斐駒をバックに喜ぶishida。(左) 今日の錦滝は水量少なし。(右)
錦滝脇の東屋のある場所から、登山道はいきなり急斜面の登りとなります。 小尾根の狭いリッジ状の部分を進み、所々で手が出てしまうくらいの急な登りがしばらく続くと、背後に富士山も見えてきて心が和みます。
大岩の間を階段でクリア。(左) 昨日の雪が融け残っています。(右)
稜線の向こうに富士山。右は鳳凰三山の地蔵岳。(左) 看板はリョウブに喰込んでいます。(右)
途中の看板には「日向山ハイキングコース」とありますが、急斜面と崩落地が続いて気の抜けないルートです。 愛知県ではこのコースを「ハイキングコース」と言ったら苦情が来そうな雰囲気ですね。 行く手が明るくなると小尾根から離れ、右手に続いていた沢の源頭部に入ります。 雪で真白くなった稜線が木の間に見え隠れ…のように見えますが、実はこれがこの日向山を特徴付ける「雁ヶ原(がんがわら)」と呼ばれる真っ白な斜面です。
沢の源頭部の先に白い斜面が。(左) 手前の沢にはまだ雪が多く残る。(右)
雪と見紛う白い斜面。(左・右)
雁ヶ原は花崗岩の風化した砂礫が堆積した広い崩壊地です。日向山は山体を構成する花崗岩が長年の風化で砂礫になったものが主体となっています。 姿は地味ですが、北西側斜面は小淵沢方面からもはっきりと見え、日向山の存在を主張しているようです。 稜線付近では風化に耐えた花崗岩の岩塔が屹立して独特の景観を見せています。
斜面を登って鞍部に達します。(左) 鞍部から日向山の山頂方向。(右)
鞍部からは富士山と地蔵岳。(左) 午前中の日差しで美しい甲斐駒。(右)
鞍部から山頂稜線に上り、先行の単独行の方とお話。 自分と同じように林道から錦滝経由で登ってみえたそうです。 山や写真の話でひとしきり盛り上がって楽しいひと時を過ごさせていただきました(^^) 広い山頂部(実際の三角点は少し離れた林の中にひっそり)からは釜無川の渓谷を挟んで八ヶ岳が望め、北八ツ、蓼科、車山からわずかに白馬辺りが見えます。 振り返ると南側にはまだまだ真っ白な雪に覆われた甲斐駒ケ岳が遥か上に見えます。 手前の白砂と八ヶ岳の姿はことのほか見応えがありますね。
崩壊地の周辺では風と雨による砂の移動が激しいようで、積もった雪を砂が覆っている場所や、周辺の木の根元が砂で埋まっていたり、逆に砂が移動して根上がり状態となっていたりと、不思議な風景が見られます。
日向山を代表する景観の小ピナクル群と八ヶ岳。
ちょうど権現の鞍部に赤岳が重なっています。(左) 振り返ると甲斐駒。(右)
侵食された斜面に立つ木々。(左) 山頂部で憩う登山者。(右)
根元が砂で埋め尽くされた樹林。(左) 広がる砂礫の斜面と八ヶ岳、蓼科。(右)
鞍部の方向を見る。(左) こちらの景色も好き。(右)
もうひとつ違う構図で(^^)。
白砂の稜線と南部に続く稜線。(左) 天気も良くて好い気分。(右)
先ほどの埼玉からの単独行の男性とお別れしたあと、ひとしきり写真撮影など楽しんでから下山にかかります。 下山ルートは尾根伝いのルートをとって矢立石を目指します。 林の中に入りカラマツ林の中を行くと左手に分かれた先にひっそりと三角点があるのが地図上の山頂です。
山頂部を後にして下山にかかります。(左) 北東斜面はカラマツの植林地のようです。(右)
ひっそりとした三等三角点。(左) 自動雨量計のある鞍部。(右)
少し鞍部に下ると自動雨量計が設置されています。 このあたりのほうが雪が多く残っていて、踏み固まった部分は凍結しているためちょっと注意が必要です。 気持ちの良いカラマツ林の中を進み、次第に高度を下げてゆきます。
林道で鹿も見ましたが、ここでも食害?(左) 明るい斜面が続きます。(右)
樹間からアサヨ峰。(左) 同じく甲斐駒。(右)
北が開ける場所から八ヶ岳。(左) 少しやせた尾根を行きます。(右)
痩せた尾根を通過する辺りでは、北側に八ヶ岳が望めます。 途中の石仏に手を合わせ、今日の好天のお礼を… 周辺の森が広葉樹に移り変わってゆくと、矢立石のある登山口はすぐです。
尾根を巻くようになると広葉樹の林。(左) 周りにアカマツが現れると矢立石。(右)
先ほどの埼玉の人と登山口で再会、またまたishidaの長口舌に付き合わせてしまい申し訳ありませんでした(^^;。
ちなみに今回はカーナビご購入後の初の登山でしたが、ポータブルナビなので事前にルート検索して道順を検討できたのも便利でしたし、実際にナビゲーションしてもらうことで林道への進入路などを自信を持って進むことができて助かりました。
帰路は時間もあるので、以前から気になっていた釜無川沿いの断崖を見て帰ろうと思います。 延々と続く崖は「七里岩」と呼ばれ、八ヶ岳の火山活動で噴出した火砕流などが堆積した台地を釜無川が浸食してできたもので、奇岩怪石の宝庫だけでなく武田勝頼が織田・徳川勢の包囲網に対抗するために自然の要害を利用して「新府城」を築いたことでも有名です。(途中に「新府城跡」への看板がありますが、今回は見学はオミット。)
釜無川沿いの浸食崖。(左) 手前の姥婆石と九頭竜社のある岩峰と富士山。(右)
崖に近づくために国道から外れて川沿いに行こうとするのですが、堤防道路のようなものはありません。 護岸自体も河原石を積んだだけの霞堤のようになっているようで、川岸に接近できる場所を探すのにちょっと苦労します。 サイクリングロードのようなものがあれば非常に良いとも思うんですがねえ… 資材置き場やリサイクル工場の敷地になっているところも多く、農道や堤防などをうろうろして(ちょっと不審者?)写真撮影して帰りました。 穴山橋で釜無川を渡り、国道は川と崖の間を走るようになりますが、崖の上の台地上に登る道も各所にあり、高台からの眺めも見れば良かったなと後でちょっと後悔しました。
甲府に戻ると、奥さんと娘はまだ戻っておらず、愛宕山から下ってスーパーに向かっているとのことです。 エブリちゃんでスーパーまで行って合流しましたが、お買い物には付き合わずに鍵だけ預かって徒歩で帰宅、シャワーで汗を流し、おやつに「富士アイス」の「じまんやき(大判焼き)」を買ってきてもらえるのを期待して二人の帰宅を寝転がって(^^;待ちました。 三連休をつぶしてお引越しにつきあったご褒美に、好天の日向山と楽しい出会い、おいしいおやつに満足でした。(思った以上に時間のかかった引っ越しも無事終了できて良かった。)
娘と三人で晩御飯を食べた後、奥さんと二人で自宅へと帰りますが、案の定、西富士道路の電光掲示板では東名高速は渋滞との情報だったので富士ICはスルーして国道一号線を清水ICへと向かいます。 清水ICから高速に乗ろうかどうか迷いましたが、渋滞の距離は4km程のようだし、清水以降は国道バイパスと高速道路が離れてしまうため高速に乗ってしまうことにします。 渋滞といっても完全に止まってしまうこともほとんどなく、日付の変わらないうちに自宅に到着できました。 |