ishida式の甲斐駒ケ岳登山
2010年9月20日(月) 初めて行く甲斐駒は蒼白の神の領域。

せっかくの9月の三連休なので、山にも行きたいなと考えていました。
しかし、先回の富士登山の際、高度障害によって今までにない程の不調(視覚異常)に見舞われました。
単なる疲れが原因なのか、それとも何らかの体調不良によるものなのか心配です。
スキーで痛めた肩が五十肩となって夜間も含めて恒常的に痛みを覚えることで睡眠不足なのもあり、富士登山後には少々グロッキー気味。
連休の登山は(好天が予想されてはいましたが)日帰り、前の二日間を体調維持にあて、最終日を山行にあてることにしました。
目的地は、毎回計画倒れになっていた「甲斐駒ケ岳」に決定。
甲斐駒ケ岳は標高2967m、登山口からの標高差も1000mほどと、富士山に比べれば少なめ。
体調不良の兆候があった場合は下山するということにしました。

 

当日は、例によって「遠足前の晩」状態ですぐ目が覚めてしまい、午前一時に自宅を出発、食料買出し後に音羽蒲郡ICから伊那IC経由して登山口の戸台(仙流荘前)を目指します。
ゆっくり行ったはずなのに、始発のバスがAM6:00なのに対して、4:20頃には駐車場に着いてしまいました。
連休最終日だけあって、既に入山した人達のものも含めてかなりの車が停まっています。
朝食用に買った準備したおにぎりをほおばり、のんびりと準備を始めます。
トイレに行きながらバス停を確認すると、既に20人ほどが並んでいる様子。
(切符売り場の前に番号を貼ったベンチがあります)
自分も準備して最後尾に並んで(ザックの上に)腰掛けます。
奥の山影は鋸岳のようで、空には天気予報とは裏腹な雲が広がっています。

5:30頃には早々にチケット売り場も開けてくれて、臨時便として定時前からバスも出してくれました。
自分はちょうど2台目の先頭で乗り込んだお陰で左側一番前の席に座ったため、荷物を余裕のある足下に置くことができました。
(ふつうはみんな膝の上に載せて座っています。)

運転手さんの解説を聞きながらバスに揺られ、50分ほどで登山口の仙水峠に到着です。

 

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トイレも済ませて(^^)出発します。(左) 高度を上げてゆくと背後に仙丈岳。(右)

 

先行のバスの乗客含めて、かなりの割合の人が仙丈ヶ岳へ向かうようで、甲斐駒に向けて登ってゆく人は少なそう。
トイレも済ませ、いよいよ(不安半分で)登山開始です。
静かな針葉樹の森を進んでゆくと徐々に傾斜はきつくなってきますが、足取りは(今のところ?)快調です。

1時間半ほどで森林限界を超え、背後には仙丈ヶ岳、右手には北岳を初めとする北部の重鎮、アサヨ峰と鳳凰三山、左手には中央アルプスと御岳、乗鞍岳、槍・穂高のパノラマが広がります。
双子山の手前のピークは巻き、北側のピークに出ると正面には駒津峰の向こうに甲斐駒ケ岳と摩利支天が姿を現します。
ここまでで、朝ご飯が早かったせいかとっても腹ペコ、軽くパンなどで腹ごしらえ。

 

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やっと稜線が近付きます。(左) 双子山稜線から仙丈。(右)

 

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南東方向には北岳、間ノ岳、塩見岳など。

 

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双子山の正面には駒津峰、背後には甲斐駒と摩利支天。

 

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戸台川の渓谷の向こうに中央アルプス、御岳、乗鞍、槍・穂高。

 

双子山からいったん鞍部に下り、ハイマツと岩礫混じりの緩やかな斜面を駒津峰に向けて登りますが、石がゴロゴロしていて思った以上に歩きにくい登山道です。
駒津峰のピークからは、六方石のある鞍部を隔てて甲斐駒が大きくそびえます。
ピークから先、両側の切れ落ちた岩だらけの急な下りが六方石まで続きます。

 

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歩きにくい駒津峰への道も展望に力付けられます。(左) 駒津峰からは甲斐駒が真正面。(右)

 

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甲斐駒の真っ白な山体は只者でない神々しさを漂わせます。

 

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鳳凰三山の向こうに富士山も見えて嬉しい。

 

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うっすらと秋色の斜面と鋸岳。(左) 六方石に向けて急斜面を下ります。(右)

 

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六方石は東側を巻きます。(左) 摩利支天の斜面はとても急峻。(右)

 

登山道は六方石の先で真っ直ぐ尾根伝いに山頂を目指す「直登コース」と、山腹を巻きながら山頂を目指す「巻き道コース」に分かれますが、ここは予定通り、迷わず「直登コース」に進みます。
直登コースは初っ端から岩をいくつも越え、三点確保の基本が要求(?)されるますが、最初の岩稜帯を超えてしまえば、あとは2本足で歩ける程度です。
いつの間にか尾根は不明瞭になり、直接甲斐駒の山体に取り付いている感じです。
西には鋸岳が赤茶色の激しく崩落した山肌を見せ、甲斐駒の真っ白い岩肌と対照的な姿です。
東には白い砂と岩の中の巻き道を行く人たちの姿と、摩利支天の岩肌、谷を隔てた鳳凰三山の姿、それぞれが美しい眺めです。

 

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巻き道の通る斜面。(左) 直登コースの岩場を越えます。(右)

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難所はほぼ越えました。(左) 摩利支天もだんだん下に見えてきました。(右)

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ナイフリッジの近くを行く下山者。(左) 上から見下ろす摩利支天はかなり異なった表情を見せます。(右)

この辺りから時折り日差しも射し、刻々と表情を変える風景に写真撮影が大忙し(^^)。
特に今回は、テストも兼ねて2台のカメラで交互に撮影しているため時間がかかりますね。
途中で抜いた人たちも追いついてきては離れ、また追い付かれてを繰り返していましたが、最後は先に行ってもらいました。

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越えてきた岩稜と駒津峰、双子山。背後は北沢峠を隔てて仙丈ヶ岳

 

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かなり雲があって富士山頂は隠れてしまいました。

 

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前日泊と思われる登山者たちが次々と巻き道を下ってゆきます。

 

直登コースから巻き道を見ると、前日周辺で宿泊して早朝に登山開始したと思われる登山者たちがぞろぞろと下ってゆくのが見えます。
駒津峰までの間では、いかにもテント泊といった感じの強者(?)の登山者とはすれ違いましたが、ちょうど時間帯的には団体さんとのすれ違いが少なくて(それでも20人ほどの団体とはすれ違ったが)ラッキーだったかも。

写真を撮っている間、後ろでずいぶん人の声がするなと思って少し登ったらすぐ山頂でした。
東側に見える祠や石碑の林立した場所が山頂だと思っていたら、そっちは東のピーク(黒戸尾根側のピーク)だった。

 

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山頂の立派な石造りの祠。(左) 山頂から見る黒戸尾根の上部。(右)

 

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山頂から尾白川渓谷を隔てて北杜市、八ヶ岳。(左) 東のピークから黒戸尾根。(右)

 

山頂からは(生憎の雲はありますが)360度の展望が得られ、登った甲斐が(ここは駄洒落)ありましたね。
そういえば体調不良も無かった(^^)V
三角点のある西のピークで存分に写真撮影した後、人のほとんどいない東のピークでものんびり写真撮影とお食事の時間とします。

 

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東ピークに座す神様。背後が西のピーク。(左) 東のピークからは摩利支天が真下に見えます。(右)

 

北に続く黒戸尾根を眺めると、テント場にテントが一張りあるのが見えます。
またいつか、黒戸尾根もチャレンジしてみたいですね。(心身ともに余裕のあるときに…)

お腹も満足したところで下山にかかります。
今度は六方石まで巻き道を下ります。

 

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東側の切れ落ちたナイフリッジ状の斜面です。

 

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真っ直ぐ下れば摩利支天だと思ったらかなり遠回りでした。(左) 西に直登コースの尾根。(右)

 

真っ直ぐ下れば摩利支天の分岐だと思ったら、意外に遠回りでした。帰りのバスの時間も気になるので今回はオミットして下山とします。(ちょっと山頂でのんびりし過ぎだったかも…)

 

途中、甲斐駒の山体を構成する花崗岩の中に別の岩石が貫入して破線状の模様が出来ている場所があって、山が崩れないように神様が鎖で縛った伝説とかになりそうだな…みたいな連想。

 

ダケカンバの多い林の中を抜け、わずかに尾根に向かって登り返すと六方石に出ます。

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山岳信仰の伝説とかになりそうな岩の中の破線。

 

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岩場で憩う登山者と六方石。

 

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周辺はかなりやせた尾根ですね。(左) 六方石に到着です。(右)

 

六方石から先、急な岩の多い尾根道を駒津峰に向けて登り返します。この辺りからちょっとお疲れ気味で、登りになると息が上がります。
スタンスを見極めて歩く歩行技術はにわか登山者よりはあるとの自信はあるのですが、最近は体力に自信が無いのが恥ずかしい…

やっと駒津峰のピークに立つと、お別れにか再び薄日が射してきて、甲斐駒の姿が真っ白に輝いて見えたような気がしました。

 

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お別れの挨拶をしてくれたかのような真っ白に輝く甲斐駒の姿。

 

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駒津峰から双子山に向けての下り。(左) 樹林帯の中を延々下ります。(右)

 

双子山への歩きにくい下りを過ぎ、双子山を越えると樹林帯の中に入ります。

北沢峠までの長い樹林帯の下りは、先が見えなくてずいぶん疲れた気がします…。

 

1時間ほどの樹林帯の下りを終えて、2:30に北沢峠に到着です。

行きのバスでの説明では、連休中はダイヤに関係なく人が多ければそれに対応して臨時便を出してくれるとのことでした。

戸台行きのバス停に着くと、既にバス1台分弱くらいの待ち人があったため、臨時便のバスを2:45頃出してくれました。お陰で予定よりも早めに下山できました。

 

駐車場のある戸台の仙流荘では入浴も出来るとのことでしたが、明日は仕事だし(^^;なるべく早く帰ろうということで、戸台から真っ直ぐ家路を急ぎます。

しかし、伊那ICから中央道に入ると車は多め、そして「飯田山本〜恵那間渋滞30km」の表示が…

満車表示の駒ケ岳SAに入って早めの夕食、その後は飯田山本ICで下道に降りて山越えで帰宅することに決定。

今回は少しでも疲労を軽減するためにSWIFTちゃんでの移動が功を奏して、山越えもハイスピードで(?)かつ楽ちんでした。