ishida式の戸倉山登山
2009年12月29日(火) 軽めの山でも中央アルプスの展望は最高

そういえば、2008年は大晦日に恵那山に行っています。2009年の締めくくりとして、スノーハイクなんかどうかな?と考えていました。
中央アルプス周辺で眺めの良い山ということで伊那市と駒ヶ根市の境にあり、伊那富士とも呼ばれる「戸倉山(1681m)」をピックアップしました。
本当は、先日のスキー行きの際に権兵衛街道から見た「経ヶ岳」を第一候補としていたのですが、雪の少ない伊那谷とはいえ標高2300m弱で中央アルプス最北部でもあり、無雪期に行っていないのも不安要素なため今回は見送りました。
戸倉山は標高は低いとはいえ12月後半の冷え込みもあり、それなりの雪も期待(多すぎると心配)できます。トレーニングも兼ねて(?)無駄になりそうな装備も持ち、アイゼンとかんじきを準備しておきます。
週間予報では12/29(火)だけが晴天となっていますので、決行日は自動的に決定。
前日の午前中にかけてはやや荒れた天気だったこともあり、新雪も期待できますが逆に道中や登山口までの雪が心配です。

当日朝はAM3:30起床、朝ご飯をとって4:10頃に自宅を出発して給油、買出しして国道257号線〜国道153線で飯田山本ICを目指します。
長野県に入って根羽村から治部坂峠を目指すと案の定積雪、平谷から先では道路上にも雪が現れました。
未明の空にも周辺の蛇峠山や大川入山にも積雪しているのがはっきりと見えます。
しかし、阿智村に下ってしまうと(これも予想通りですが)周辺には全く雪がありません。
飯田山本ICから中央道に入ると、道端の水溜りは凍結していますが積雪は見られませんでした。
駒ケ岳SA付近で中央アルプスのピークに朝日が当たり始めたのが見えました。
駒ヶ根ICで高速を降り、そのまま東に向かって登山口の戸倉キャンプ場を目指します。
天竜川を渡って振り向くと、朝日に輝く中央アルプスがきれいでした。

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朝日に輝く中央アルプスの山々。

県道49号線を東進して落合のバス停を過ぎてすぐに左手に「駒ヶ根カントリークラブ」と「戸倉キャンプ場」を示す看板があり、左折します。
暫く進むとキャンプ場の看板に従って右折、すぐ左折してまた右折を繰り返して狭い道を登るとキャンプ場前の駐車場に到着です。
ここまでは予想以上に周囲にも雪を見ることなく来てしまい、やや拍子抜けな気がします。
買出ししたパンと牛乳で再び朝食、身支度をして登山開始です。

 

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キャンプ場入り口。(左) 沢沿いの道から植林地の斜面へ。(中) 樹間から中央アルプス。(右)


キャンプ場入り口からキャンプ場の中を直進し、林道に入ったところで登山道は右に分かれます。
いったん沢沿いに進んだ後、砂防堰堤を見たら左側の杉の植林地の斜面を登って支尾根に出ると周囲はカラマツ林となり、背後には中央アルプスが見えてきます。
斜面は急ですが、明るい林間は気持ちよく高度を稼ぐことができ、周辺が雑木林になってくると足元に雪が現れます。
このあたりの高度から上では昨日は雪だったことがうかがえます。
道は支尾根から外れて沢の源流部の急斜面を巻くようにジグザグに高度を上げていきます。
所々に木の間が少し開けて中央アルプスを望める場所があります。

 

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昨日は湿雪が降った?水玉模様。(左) 少し開けて中央アルプスが見えます。(右)

 

周囲にだんだんと雪が多くなってくると、登山道を歩いた動物たちの足跡がよく見えます。
キツネかタヌキの足跡以外にも、蹄の跡はシカとイノシシでしょうか?ヒミズ(小型のモグラ)らしい足跡もあります。
登山道は主稜線の尾根に近付き、反対側から朝日に照らされて輝くアカマツやシラカバに気持ちも高揚してきます。

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踏み固められた登山道だけ雪が残っています。(左) 主稜線に出ると朝日で樹冠が輝きます。(右)

 

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主稜線は明るい尾根道。(左) 暑くなってきたので薄着に(^^;。(右)

 

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木漏れ日が気持ち良い道。(左) カラマツの樹冠が朝日に輝きます。(右)

 

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稜線付近では白樺も見られます。(左) 東屋の前の新雪。(右)

 

シラカバやアカマツの混じる雑木林とカラマツの植林地を縫うように進むと周囲が開けてきて東屋のある広場に出ます。
右手には「金明水」と書かれた水場がしつらえてあります。
喉を潤してしばし休息。ここからは中央アルプスだけでなく、目指す戸倉山の東側に連なる尾根も見えてきました。
写真を撮ったりして遊んでいると、後続の登山者が現れました。

ハンワグのの4シーズン靴を履いた六十台と思われるその単独行の男性は地元の方のようで、「先週も豊橋から16人の団体さんがみえましたよ。」と言われました。
話によると、冬のシーズンも中央アルプスへよく行かれている様子です。

その方の後を追うように山頂に向けて登り始めましたが、写真を撮ったりしているうちにどんどん離れて見えなくなってしまいました(^^;
東屋から暫くはやや急な登りですが、ほどなく前方が開けて西峰の頂上に到着です。

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西峰のピーク前から中央アルプスの絶景。

山頂には不動明王の石仏や祠などが祭られ、古くから信仰の山だったことがうかがえます。
樹木が刈り払われているため、中央アルプス全体と乗鞍、北アルプス穂高連峰から白馬連峰までが見えます。
東側には逆光に青く霞んだ仙丈岳、北岳などが見え、手前の稜線にはまだ霧氷の残りがわずかに見えます。
また、山頂の北側に回ると、遥か向こうに車山や蓼科山が見えます。

 

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今度は行きたい経ヶ岳。左に乗鞍、右に穂高(左) 稜線を挟んで東北には美和湖。(右)

 

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よく見れば美和湖の向こうに蓼科山。(左) 東には仙丈岳が質量感ある姿を見せます。(右)


絶景をのんびり楽しんだところで東峰に向かうと、中間の鞍部に可愛らしい避難小屋があります。
10人以上は入れそうですが、内部に土間がない避難小屋は初めて見た気がします。
少し登り返すと戸倉山東峰の山頂です。
山頂には東のほうを向いて薬師如来の石像が鎮座しています。十蔵薬師はもともと長谷村(現在は伊那市)にあるということなので、伊那富士の名前通り信仰の中心は伊那市側ということでしょうね。
ちなみに、三角点(1680.7m)も東峰にあります。(しかし、西峰にも「戸倉山 1680.7m 長谷村」の看板があってちょっと紛らわしい)

 

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東峰で、東を向いて鎮座する十蔵薬師(左) 看板の後ろに三角点があります。(右)

 

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甲斐駒ケ岳と鋸岳(左) 尾根の向こうに八ヶ岳。(右)

 

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北西方向には穂高連峰から白馬三山まで見えます。

 

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北に見えるのは霧ケ峰・車山から蓼科山、北横岳。

 

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東に見える南アルプス北部の重鎮たち。鋸岳・甲斐駒ケ岳・仙丈岳・北岳・間ノ岳・農鳥岳。


東峰からは北アルプスから蓼科山、チラッと八ヶ岳(赤岳と権現岳)、南アルプスの鋸岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳までがよく見え、特に一般的には女性的なイメージのある仙丈岳もここからは非常にゴツゴツとした男性的な姿で圧倒的な質量感で迫ります。

ここから少し尾根伝いに南東に向かい、隣のピークから再び遮る物のない仙丈岳の姿を眺めました。足下には中央構造線の谷が南北に長く伸びているのが実感できます。
再び東峰へ戻り、今回は持参した小型三脚でセルフ写真撮影していると、先程から西峰のほうからにぎやかな声を響かせていた4人連れがこちらに向かって登ってきました。

 

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共に仙丈岳を眺めるツーショット。(左) 鞍部に建つ戸倉山避難小屋。(右)

 

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経ヶ岳の姿も魅力的です。(左) 看板の立つ西峰ピーク。(右)

 

二つの頂で展望を十分に堪能したところで下山にかかります。
気温は0度よりも上がっているようで、登山道の雪も滑りやすい状態になってきています。
(凍結が無いのは幸いですが。)
林床にも日が差し込んできて明るい登山道を歩くのも良い気持ちです。

 

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同じ道でも明るいだけで随分印象が違います。(左・右)


途中、20mほど離れたところを突然大きなイノシシとやや小さなイノシシが猛スピードで横切って斜面の下のほうへ消えてゆきました。
こんなに近くで見たのは初めてで、面白い反面、今年もイノシシによる死傷事件もあったので十分な注意が必要ですね。

 

とりあえずお正月も近いですが今回は尻餅も無く下山できました(^^)。
えぐれた場所やぬかるみなど無く、ずっと雪か落ち葉を踏んで歩く気持ちのよい登山道でした。

 

登山口を出発して帰路につきますが、天竜川の堤防道路などで道草して今登ってきた戸倉山、中央アルプスや南アルプスの眺めを撮影しながら帰ります。

 

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天竜川越しに中央アルプス。(左) 北には経ヶ岳。(右)

 

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駒ヶ根市内から見た戸倉山(手前左寄り)と仙丈岳・北岳。

 

帰路も終始雲ひとつ無い好天で、中央アルプスや南アルプスの姿に後ろ髪を引かれる思いでしたが、今年の締めくくりとしては申し分ない山行でした。