錦藍のハンター「ハンミョウ」とその一族 
※地域変異を全体の特徴としていたり、種の同定自体を間違っている可能性もありますのでご注意ください。

ハンミョウは類縁的には「オサムシ」の仲間に近縁といわれ、実際に体の各パーツはよく似ています。
しかし、足の速い敏捷なハンターであり、独特の顔付きやプロポーションは何とも言えず格好良く感じます。

オサムシやゴミムシの仲間は、言ってみれば隠遁型生活者で、落ち葉の下や地下などを主な生活の場としていることから、前翅を主に「防御や体の保護」に使う方向に進化したと考えられます。オサムシの仲間に関しては、体が大型化した反面、後翅が退化してしまったものや前翅が融合しているものが多くあります。

対してハンミョウの仲間は開けた場所で生活するため、視覚と足の速さ、飛翔力を伸ばす方向に進化しています。
そのために、大きな複眼を持ち、脚は長くて柔軟になっています。そして、「ミチオシエ」と呼ばれる通り、近付くと素早く飛んで逃げることが出来ます。甲虫の多くは前翅を開いてから折り畳まれている後翅を展開するのに時間がかかりますが、彼らは素早く飛び立つことが可能です。KONIWAHANMYOU_9894.JPG - 66,057BYTES

開けた場所でアリなどを捕食する生活から、周囲を見回すために、前肢を一杯に伸ばして身体を目一杯立てる独特のポーズ(いわゆる「ハンミョウポーズ」?)をとるものも多くいます。

彼らの中にも種毎に個性があって、コハンミョウなどは特に直立姿勢を徹底しているように見えます。
ちょっとした土くれや落ち葉まで利用して、ほぼ垂直にまで身体を立てる姿がよく見られます。
(ただし、凸凹の多い畑や畦道といった生息環境がそうさせているという見方もできるかもしれません。)
右の写真は我が家の庭で撮影した「コハンミョウ」です。

そのほかにも、名前とは裏腹に山道などで多く見る「ニワハンミョウ」は、落ち葉の下に逃げ込んだりする行動も見られます。

逆に、身軽な「トウキョウヒメハンミョウ」は、足元から飛び立つ身軽さはまるでハエのように見え、植物の垂直な面にもとまることがあります。

ただし、これまで見かけた5種のハンミョウは全てが開けた裸地で見られ、主に視覚に頼った捕食・生殖行動をとっていると思われます。
しかし、実際に見られた場所からは、やはり棲み分けがされていることが伺えます。

個別のページと重複する部分もありますが、ここでまとめてそれぞれの個性をご紹介します。

 「ハンミョウ」 

代表種であり、大型で最も美麗。大顎も長大なうえに白地に黒い縁取りがあって目立ちます。
大顎を閉じたり開いたりする行動は、同種間での何らかのシグナルのようにも見えます。
前翅の斑紋や色の変異は少なく、前胸部はそれほど毛深くはない。
幼虫で越冬した個体は夏に成虫になり、そのまま越冬して翌年産卵しているようですが、発生のサイクルが足掛け2年となり、夏〜秋に成虫が活動している周辺にも同時に(発生サイクルが1年違う)幼虫が見られます。(ここは最近になって、本で調べてやっと判明)
生息場所は平地から山地の神社やお寺などの境内、林道など。砂利、砂地、赤土、舗装路など。
幼虫は地面に45°くらいの角度をつけて巣穴を掘る。

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「ニワハンミョウ」

ハンミョウよりも生息環境には幅があるが、どちらかというと山地に多くみられます。
春に成虫が現れ、盛んに交尾するところが見られます。ただ、春には同時に幼虫の巣穴が見られることから、ハンミョウ同様、足掛け2年で世代交代しているようです。
体色や前翅の斑紋の変異は大きく、緑色から銅金色、紫色黒色
まで様々のものが同時に見られます。
また、かなり毛深い部類に入り、頭部や前胸背板側面まで白毛がかなり生えています。
生息地は山際の神社やお寺などの境内、山中の山道や広い岩盤上など。砂地から黒土。
幼虫の巣穴は垂直に近く、危険を感じるとすぐに穴に潜ってしまい、なかなか頭を出しません。
また、なるべく目立たないようにする配慮からか、巣穴を掘った土を穴から離れた場所に捨てる徹底振りです。

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「コハンミョウ」

今までには主に畑と庭、田んぼのあぜ道などで発見していますが写真は不足しています。
体色や前翅の斑紋の変異はほとんどないようですが、前翅の中央前寄りに黒い斑紋が一対あるのが外観上の特徴のようです。(性差があるかも?)
体毛は短めですが、前胸背板側面には白毛が生えています。
また、前の2種に比べて小型で、どちらかというと細面で複眼の突出も顕著です。
幼虫は地面に垂直な穴を掘って暮らしますが、場所の好みからか、けっこう密集して見られます。

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「エリザハンミョウ」

今のところ生息地は1ヵ所しか知りません。成虫は乾いた平坦な砂地に限って生息するようです。
複眼が非常に大きく、全体的なプロポーションはやや細めで、体の厚みも少ないように感じます。
前胸部の背面にまで回り込むように白い長毛が生えているのが特徴的です。
体色は銅金色からわずかに緑色を帯びた程度までの範囲で、斑紋はいわゆる「唐草模様」のようで、個体間の差はほとんどありません。
成虫は6月〜8月頃活動、交尾をしていますが、幼虫はまだ見たことがありません。

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「トウキョウヒメハンミョウ(?)」

林の中の開けた場所や根際の裸地などで見られます。
全体的なプロポーションはやや細めなうえに筒型の体形で、前翅の形も「船型」で厚みがあります。
また、前胸部は他の種類に比べて、より「筒型」に見えてあまり抑揚がありません。
体毛も少ない部類で、前胸部下面にも少ないくらいです。
体色はこげ茶に近い銅金色に緑色を帯びた程度で、個体間の差はあまりなく、前翅は細かい点刻に覆われてるため艶がなく、斑紋は埋もれていて目立ちませんがやはり個体差は少ないようです。
上唇がほぼこげ茶色で大顎も茶色い個体が多いため、ますます正体不明に見えます。
成虫は8月頃活動、交尾をしていますが、幼虫はまだ見たことがありません。

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ハンミョウ各種の顔立ち比較

HANMYOU_1171.JPG - 65,716BYTES「ハンミョウ」

・複眼の突出はやや大きめ
・眉間から上唇のステップはやや深い
・大顎は白色で非常に長く、鋸歯は黒
(大顎全体がほとんど白から、先端部が緑色の金属光沢のものまで様々)
・上唇は白く、中央は峰状に高まって黒い
・上唇の先端突起は5個で周囲は黒い
・上唇の感覚毛は6本

NIWAHANMYOU_4742.JPG - 63,875BYTES「ニワハンミョウ」

・複眼の突出は小さめ
・眉間の隆起が顕著で上唇とのステップは深い
・大顎は薄褐色だが先端部は緑色の金属光沢
・上唇は薄褐色で、前後に幅広で平坦
・上唇の先端突起は中央1個だが目立たない
・上唇の感覚毛は10本程度

KONIWAHANMYOU_8488.JPG - 63,512BYTES「コハンミョウ(?)」

・複眼の突出は大きめで顔は前後に長め
・眉間から上唇のステップは浅い
・大顎は薄褐色だが先端部は緑色の金属光沢
・上唇は薄褐色で左右の幅は狭く中央は僅かに高まる
・上唇の先端突起は3個で前縁は褐色
・上唇の感覚毛は4本


ERIZAHANMYOU_1910.JPG - 63,520BYTES「エリザハンミョウ」

・複眼の突出は大きめで顔は前後に長め
・眉間から上唇のステップは浅い
・大顎は乳白色だが先端部は緑色の金属光沢
・上唇は乳白色で左右の幅は広い
・上唇の先端突起は1個だがほとんど目立たない
・上唇の感覚毛は10本程度


TOUKYOUHIMEHANMYOU_0003.JPG - 60,841BYTES「トウキョウヒメハンミョウ(?)」

・複眼の突出は大きめで顔は前後に長め
・複眼の間には細かい縦ジワが多い
・眉間から上唇のステップはほとんどない
・大顎は乳白色で先端部は濃褐色
・上唇は濃褐色で左右の幅は狭くて前後に長い。中央は僅かに高まる
・上唇の先端突起は1個で左右はくびれている
・上唇の感覚毛は6本か8本?
(図鑑の記載では6本だが8本見えるため(?)付きに)