クビナガギセル
軟体動物門 腹足網 柄眼目 キセルガイ科 殻径約3.5mm 殻長約17mm
この角度だと「首長」感が最もはっきり判る。かなり老成した個体のようで、藻類の付着と殻の摩耗がすごい。
やや老成した右の個体に対して、左は成熟したての若者?(左が本来の色です)
角度的に「首長」感があまり目立ちません。縫合部がしっかりくびれていて菓子パンの「コルネ」みたい。
殻口の手前がしっかりくびれていて襟巻きのように見える。
殻口手前のくびれ部の細さが良く判る角度。よくこれで軟体部全体を殻の中に引き込めるなあと感心(^^)
殻口手前のくびれのため、体層部(巻きの最終層)はかなり小さめに見えます。
上の個体を反対側から撮影したもの。この角度だと意外に普通に見える?
他種に比べて殻口はかなり小さめです。
「イシマキシロマイマイ」と同じく、本種も愛知県東部の石灰岩地帯に生息する固有種で、今のところ石巻山が唯一の産地のようです。 キセルガイ科のカタツムリは「殻の高さを伸ばす方向に進化した」グループです。 本種に限らずキセルガイの名前は、殻口が細長く伸びている形態がタバコを吸う「キセル」に似ていることからの命名ですが本種の場合は特にこの部分が長く伸びていることから「首長」と命名されているとのことです。(キセルガイ科の中でもっとも「キセルらしい」といえないこともない?) キセルガイの仲間はほとんどが左巻きで、大方の種が小型で殻口の部分がくびれているだけでなく、内部に「腔襞(プリカ)」と呼ばれる襞状の構造を持っているのも特徴です。(殻口のくびれと閉弁、腔壁などの構造によって、捕食者の侵入を回避する効果があるらしい) 本種の場合は「石巻山の固有種」でもあり、同所的に同じような殻の特徴を持つものはいないと思われることから「クビナガギセル」と見立てました。 なお、石巻山の上部(概略は旅館街より上)は「石巻山石灰岩地帯植物群落」として国の天然記念物、愛知県の「石巻山多米県立自然公園 第1種特別地域」に指定されており、動植物の採集は現状破壊行為として禁止されています。 |