イボイボナメクジ
軟体動物門 腹足網 収眼目 ホソアシヒダナメクジ科 体長約30mm
やや明るい体色で意外に目立ちます。
はじめはおちょぼ口かと思ったら、小触角が前後に幅広で二股状になっていました。
木の幹を這っていたもの。
マント(外套)の下に幅の狭い腹足があるように見える。
岩の上で縮こまっている?
反対側から見ると、明らかに巻貝を捕食している様子。捕食されている側の貝も種不明です。
小触角は前後に長くて微妙に二又状。大触角(眼丙)は墨汁を垂らしたように黒い。
口先は突出しておらず、口器は普段は浮かせているようです。
こちらは10mm程度の一年生?小触角の形は二股状ではない。
初めて見たときには「なにこれ?」という感じで、やけに細長い体形やざらざらした革質感を感じる体表、真っ黒で短い眼柄、前後に幅広の小触角など、異質な感じのナメクジです。 現地での個体数自体は意外に多いようで、初対面した時でも雨上がりの朝2時間ほどの間に岩の上や木の幹などを活発に這っている5個体を確認しました。 「肉食性のナメクジっているのかな?」と不思議に感じ、帰宅後に「ナメクジ 肉食」とググってみてもくだらない記事(^^;や海外のものしかヒットしません。 いったん知ってしまうと生息地では意外に見掛けることは多く、見た限りでは一般的なカタツムリのように岩や木の表面を舐めるような行動はせずに頭部の下側にある小触角で探りながら活発に動き回って獲物を探しているようにも見えました。 いずれにしても、本種のような(カタツムリ界の)高次捕食者が生息するためには小型の陸貝類が豊富に生息していることが条件になるため、自然度の高い環境が必要ですね。 ------------------------ 2021.07.29 追記 ------------------------ 「イボイボナメクジ」が生息する環境下では、実際に自分が知っている範囲では殻口に蓋のないカタツムリとしては「オオケマイマイ」が最も生息数が多いように感じます。 ishida式では上記に対して以下の二つの説を唱えています。 上記に加えて【説3】「イボイボナメクジ」などの捕食者を撃退する効果も期待できるのかなと思う観察例があったので紹介します。 杉の木の皮上を移動していたイボイボナメクジがオオケマイマイに接触したところ、オオケマイマイが軟体部を縮めて殻のトゲトゲをナメクジに押し当てるようにしたら、イボイボナメクジは嫌がって襲うのを中止したように見えました。 ishidaの活動は自然観察と撮影が主ですので、研究者の方たちのように採集したり実験したりして確認することはしませんが、ちょっと興味深いなあと思ってご紹介(^^) |
杉の幹を這うイボイボナメクジ。カタツムリはめくれて浮き上がった皮のほうにいます。(左)
這い痕の臭いで獲物の位置が判るようで、この後で急に向きを変えて一直線に向かいました。(右)
イボイボナメクジは体を裏返してカタツムリの腹面側に貼り付こうとしています。(左)
カタツムリの軟体部が縮んで側面の毛がナメクジに押し当てられます。(右)
腹足をトゲトゲで押されたイボイボちゃんは、たまらず反転?(左)
かなり強く押し付けられているようで、まだ腹足が引っ掛かっています。(右)
「やれやれ、えらい目に遭ったわ」と言っているように見えました(^^;
小型のオオケマイマイが捕食されているのも見た。