アジャスタを緩めてブレーキアーチを開き、両側フォークエンドのホイール固定ボルトを外します。 外した車輪のシャフトを回してみると、ゴロゴロという嫌な感触が伝わってきます…(^^;
前シャフトと玉押し(左) 薄口モンキーで玉押しを固定し、ロックナットを緩めます(右)
シャフトエンドには外側から「固定ナット」「固定ワッシャー」「ロックナット」「スペーサーワッシャ×2」「玉押し」「ダストキャップ」「玉受け」の順番で取り付けられています。 玉押しの平面部を薄口のモンキーかスパナ(13mm)で固定し、ロックナットを緩めて外します。 この自転車の場合は、単なるスペーサーと思われるワッシャが2枚入っています。 ハブスパナを持っていないので、今回はENGINEERブランド(双葉工具)の「コネクタモンキー」を使用しました。 (現在は社名も「エンジニア(株)」となって、「スマートモンキー」と言う名前で販売されています。) 先端の厚さが2mmと薄く出来ているため、ダブルナットや掛かりの薄いロックリングなどに最適です。 ただし、汎用性はありますが、作業性自体は通常の「ハブスパナ」を使った方が良さそうです。
で、玉押しを外し、ボールが落下しないように注意しつつシャフトを抜くと、ボールは見事に光っていました?? あれ?グリスはどこに?? 驚いたことに、グリスはキャラメル状に固まって、玉押しと玉受けにしっかり固着していました。 揮発成分がすべて蒸発してしまったようですね。ここまでなる前に整備しないと…(^^;;;
グリスの痕跡の固形物がついた玉受け(左) こちらもキャラメルで固まって盛り上がった玉押し(右)
固着したガム状物質をヘラなどで落として洗浄します。 当り部分は結構光っていますが、一応玉当りの状態には問題なさそうですね。
洗浄した玉受け(左) と 玉押し(右)
ホイールハブベアリングもBBの場合と同じように、玉受け(ワン)の中にグリスを盛り付け、ボールを並べて更にグリスを盛り付けます。そして、玉押しにもグリスを塗布してシャフトに組み付けていきます。 最後に玉押しで「ガタがなく、スムーズに回転する」塩梅に調整し、ロックナットで固定します。
ちなみに、ありきたりですがフロントホイールのハブベアリング部の構造はこんなふうです。(リア側も基本構造は同じ)
今回も(自称)イラストレーターのI田先生作のイラストで…
ホイールハブ部に圧入されたワン(玉受け)に対して玉押しをねじ込んでいき、玉押し調整します。 ガタなく、スムーズに回る塩梅に調整するコツは、まずはやや渋めになるくらいに締め込んでみて、そこから徐々にスムーズに回転する位置まで緩めてやることです。 調整が上手くいったらロックナットを締め込みます。 この時も、玉押しを固定し、なおかつシャフトまで回ってしまわないように注意してロックナットを締めて下さいね。
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-------------リアホイールハブベアリングのグリスアップ--------------
リアホイールハブベアリングの構造自体はフロント側と同じです。 ただし、ブレーキ系(バンドブレーキなので、ブレーキユニットはリアホイールに付いている)とフリーが余分についているところが異なります。
まずは、ワイヤーの固定ナットを緩め、ブレーキユニットからブレーキワイヤを取り外します。(1) そして、ブレーキユニットの回り止めをチェーンステイの固定部から外してやります。(2)
リアホイールの固定ナットを緩めると、リアホイールが外れます。 リアホイールにブレーキユニットを固定しているナットを外すと、ユニットが外れてきます。
反対側にはフリーがついていて作業しにくいため、ブレーキ側の玉押しを外してシャフトを抜くほうが良いですね。 玉押しのロックナットを緩め、ナットと玉押しを外します。 フロント側ではダストカバーは玉押しに圧入されていましたが、リアの場合は別体でした。 外してみると、構造上カバーされているブレーキ側のほうがグリスは良い状態だったので、やはり雨などが侵入することによってグリスの劣化が進みやすいということですね。 フロントと同じく、古いグリスを清掃してから、新しいグリスを盛ってボールを並べてやります。
玉押しの長さが違う(ブレーキドラムの長さ分ブレーキ側の玉押しが長い)ため、ちゃんと方向性を合わせてシャフトを組み込んでやります。 玉押し調整も、ブレーキ側で行います。(フリー側は玉押しが少し入り込んでいるため、レンチが掛けられない) ブレーキドラムに油などが着くとブレーキが効かなくなる恐れがあるので、最後にドラムをクリーナで洗浄してからブレーキユニットを取り付けます。
出来上がったら、次の作業のためにホイールは取り付けないでおきます。
またまた(くどい?)I田先生のイラストで後輪周りの構造です。フリーは省略(^^;
-------------ステアリングヘッドベアリングのグリスアップ--------------
次に、ヘッド周りのグリスアップに入ります。 ワンタッチピクニカの (少なくとも我が家の)ハンドル部はちょっと変わっていて、ハンドルとハンドルポストは一体のT字型をしています。(ポスト内にワイヤー錠が内蔵されている) ポストの高さは非常に高く、ワイヤー錠内蔵のために上から下まで空洞になっているため、ワイヤー錠を抜くと上から地面(タイヤ)が見えます。 一般的な「ウス」でハンドルポストを固定するのではなく、ヘッドチューブ(フレーム)のスレッド部をクランプで締め込んで固定する方式となっています。 ちょうど、シートポストをシートクランプで固定するような方式と同じですね。 ここはオリジナルの六角穴付きボルトでクランプを締め込む方式から、クイックシートクランプで固定するように変更してみました。
まず、ハンドルポストを抜くのとフォークを取り外すため、Fブレーキをフォークから外します。 その後、前述のハンドルポスト固定部を外し、ハンドルポストを抜き取ります。
ヘッド部はBBのように切り欠きリングナットで固定されています。 こちらは直径35mmと、ひと回り小さめなので30〜38mmサイズが適合します。
ロックリングを外すと、回り止めも一緒に外すことが出来ます。 回り止めは、スレッド部の切り欠きのDカット部と勘合して、ヘッドの上玉押しが回転するのを防止するためのものです。 (仮にロックリングが緩んでも、回り止めが浮いてしまわない限りは上玉押しが緩むことはない。) フォークが下に抜け落ちないように支えながら上玉押しを外します。 こちらはボールがリテーナ―で保持されるタイプのものが使用されていました。 グリスは残っていますが、けっこう硬くなっているようです。
リテーナ―ごとボールを取り出してみると、状態は特に問題なさそうです。 フォークを取り外して下側のベアリングも取り外します。
下玉押しの状態も問題ないようです。(左) 取り出したフォーク。ヘッド部がとっても長い(^^)(右)
ヘッドチューブ側の上下のワン、上下の玉押し、ボールを洗浄しておきます。 リテーナ―付きのボールは洗浄しにくいため、念入りに古いグリスを洗い流してやり、新しいグリスがリテーナ―の内部まで入り込むように摺り込んでやります。
あとはホイールベアリングなどと同じように、ワンと玉押しにグリスを盛り付けて組み付けます。 玉押し調整は、緩すぎるとハンドル周りにガタが出てしまいますし、硬すぎるとスムーズにセルフステアしないため乗りにくくなってしまいます。ガタがなく、自転車を傾けた時に、スムーズな動きで自然にハンドルが切れる状態がベストです。 最終組付け時に再度確認しましょう。
あとは、逆の順序でハンドル回り、前後ホイールを組み付けます。
-------------最後に各部調整--------------
ブレーキ周りやベルトの張り、後輪の傾きを調整します。 Fブレーキは片当たりにならないよう、固定ボルトの前後の締め込みを調整してやります。 また、Rブレーキの調整の前に後輪の傾きとベルト(一般の自転車の場合はチェーン)の張り調整を行っておく必要もあります。
後輪のシャフトには「チェーンアジャスタ」が付いていますので、ベルトの張りが適正になるようにアジャスタで後輪を前後に調整します。この自転車の場合、アジャスタは右にしか付いていないので、後輪が傾かないように注意してシャフトを固定します。
後輪の傾きがなく、ベルトの張りも適正(きつすぎると抵抗になり、緩いと外れや歯飛びの恐れがある)になっていることを確認したら、外していた回り止めに後ブレーキユニットを固定してやります。 次に、ブレーキのアジャスタを締め込んだ状態で、固定ボルトにワイヤーを通して固定します。 そして、アジャスタを使ってブレーキの遊びを調整します。
チェーンアジャスタを調整して固定。(左) 後輪を固定したらリアブレーキの回り止めを固定する。(右)
ブレーキ周りの感触を確かめるため、お庭で試乗してみます。 あれ?ペダリングすると「みしみし」…治ってない(^^;;;;;;;;; とりあえず、ここまでで夕方になってしまったので、先の作業はまた来週にします。 車載状態でBBの調整が出来るよう、ピンスパナ(カニ目レンチ)の手配が必要ですね〜。
実は先日、ファクトリーギア豊橋店にてめぼしい物を探索済みで、エスコのカタログで適合しそうなものを見繕ってありました。早速澤山店長に会社から(^^;メール送信して取り寄せをお願い。 パークツールなどでもラインナップされていますが、エスコのほうが格段にお安いです。(税込み¥1740)
現物こんな感じの物で、一応ドイツ製らしい。コンパスのようにスパンが変えられるようになっています。 パークツールの物は先端のピンが交換できるようになっていますが、こちらは固定です。
エスコ 自在ピンレンチ EA613XR-5(長さ160mm ピン径4mm、スパン11〜60mm)
ところが、実際にはめてみようとすると、ピンの長さがちょっと長すぎて入りません。 少し削ってやりました(^^;
ピンの長さが少し長すぎ。(左) ヤスリで少し短くしてやります。(右)
こんな感じで調整、固定します。
準備で少しつまづきましたが、問題なく使用可能に。 早速調整してみますが、特に緩すぎ、きつすぎということもなく、適正に調整できていると思いますが?? ついでに、前後ホイールの回転も確認すると、後輪はやけに早めに止まってしまいます。 こっちはちょっときつめなんでしょうか?ちゃんと確認したつもりだけど…
で、仕方がないので再度後輪を外して(ブレーキも分解するので、けっこう面倒なんですけど)確認してみると、フリーのプーリーを止めるとすぐに後輪が止まってしまうので、フリーの空転トルクが重いようです。 手で回しても、砂をかんだような「じゃりじゃり」した感触が伝わってきます。 ところが、形からするとハブベアリングとフリーが一体の「フリーハブ」のようですが、フリーを外せるのかどうかも不明…ところで、関係無いけど昔持っていたフリー抜きは今どこに?
仕方がないので、フリーを抜くのは諦めて、まずはフリー内部の汚れを洗い流し、外部からグリスを揉み込んでやることにしました。(良い子は真似しないで下さい)
外部からクリーナーを吹き込んでやると、確かに砂混じりの汚れが流れ出してきます。 「じゃりじゃり感」がなくなるまでしっかりと洗浄し、ワン側からグリスを揉み込みながらフリーを回し、グリスをフリーの内部に押し込んでいきます。 何とかなったかな?ちょっと保証の限りではないですが… 仮組みしてみると、今までとはうって変わって、フリー側を固定してもちゃんとホイールは回り続けてくれます。
さらに、ペダリング時の異音については実はベルトとプーリーの噛み合い音のようです。 前側のチェーンリング(プーリー)は、樹脂で出来ているため、冬場に硬くなったベルトの歯面との間できしみ音が発生しているようです。 試しにアーマオールを付けた布で歯面を拭いてやったら解消(^^;;;;;;;;;;;;;;;; 一応、BBの玉押し調整はもう一度しっかりしておきます。
全ての作業を終え、ポジションも再調整して近所のホームセンターまでお出かけすると、今までよりもかなり軽くて軽快になった気がしますね…なんて単純な私。
なんとなく気分が良いので記念撮影? |