アサヒナカワトンボ 

トンボ目 カワトンボ科  体長66mm前後

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腹部全体に粉を吹いている成熟したオス。

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やや青みが強く見える成熟オス。

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腹部の中央部は白粉を吹かないものが多いのも中部地方の個体群の特徴?

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未成熟なオス。複眼は褐色〜茶褐色で、腹部には青白い粉を纏っていない。

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こちらもまだ成熟しきっていない、やや未成熟なオス。

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未成熟なメス。

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交尾態勢。オスが腹部を曲げてメスの顔面を近付けることで、メスは目視で副性器(貯精巣)を確認しているようです。

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無事に交尾に至りました。

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上とは別のペアですが、こちらも目の前で連結して交尾に至りました。

---------------- 2023年5月 記事更新しました。 -----------------

主に山地寄りの森に囲まれた渓流沿いで見られ、ishidaの行動範囲では「カワトンボ類」の代表選手のひとつです。
体色は主に緑色系のメタリック感が強いのですが、青みの強いものなどの個体差があり、性的に成熟すると青白い粉を纏うようになります。
特にオスは腹部全体から胸部下面にかけてが白い粉に覆われますが、メスの場合はほとんど粉を纏わないか腹部下面にのみうっすらと粉を纏うものがいます。
ハグロトンボが開けた河川などでみられるのに比べると、本種はほぼ森林とその周縁部などの閉鎖的環境でしか見られないかわりに垂直分布は広く、平地近くの丘陵地から標高1000m以上の渓流などでもよく見られます。

カワトンボ類は色彩多型なだけでなく地域によってそれらの出現度合いも異なり、かつてはそれぞれ「ニシカワトンボ」や「ヒガシカワトンボ」「オオカワトンボ」と呼ばれていたもののうち、遺伝子解析等により「ニシカワトンボ」を本種とし、他の2種(一部例外有り)が「ニホンカワトンボ」にまとめられたとのことです。

ishidaの地元愛知県東部で見られるものについては以前は単純に「カワトンボ」としか認識していませんでした(^^;
「日本のトンボ」(文一総合出版)の記載に沿って同定にチャレンジしてみたところでは、本種に比べて「ニホンカワトンボ」は「胸部が大きい」とか「翅の先端がやや尖っている」「縁紋がやや基部寄りにあって細長い」といった相対的な比較ポイントしかありません。
実際には種間雑種も現れるとか、伊豆半島の個体群は中間的な形態であることから両種の雑種由来の可能性があるという説もあるとのことです。
結局、ishidaのストック画像のものはほとんど「アサヒナカワトンボ」的な特徴に見えました…というか、2種あるという目で見ても全く相違点が判らないという状況でした…(^^;

少なくともこれまで東三河の豊川水系やお隣りの静岡県西部天竜川水系で見たものは全てが「無色翅型」ばかりで、過去のフィルムカメラ時代に翅色が濃い個体を撮影した記憶があるのみですが、現在はネガの所在も不明です。(実は「ミヤマカワトンボ」のメスだったりとかいう可能性も…)
2023年になって初めて豊川水系で「橙色翅型」のカワトンボを見付けて撮影することができましたが、これが過去に見た「カワトンボ類」の画像と比べると全く異色な感じなうえにやや体が大きい…実はこれまで「ニホンカワトンボ」を撮影できていなかったということが判明しました。
比較すれば確かに「ニホンカワトンボ」のほうが胸部の高さが高くて胸部が大きく見え、相対的に「小顔」に見えます。
前述の「日本のトンボ」の中の記載でも「無色翅型オス」が成熟して白粉を纏うのは「アサヒナカワトンボ」のみであり、これまで見た「無色翅型オス」は全て「アサヒナカワトンボ」だということが判明しました。
西日本などでは本種にも「橙色翅型」も出現するということなので、いつかは生息地へ遠征して画像に収めるのが楽しみです(^^)