当初は「コニワハンミョウ」として掲載していましたが、上唇などの特徴から「コハンミョウ」と訂正しました。
大型で代表種の「ハンミョウ」や「ニワハンミョウ」などに比べると体長10mm程度と小型で、「エリザハンミョウ」とほぼ同じサイズです。 体形的には胴体にやや丸みと厚みがあるのが「エリザハンミョウ」とは印象が違うと思うのですが、屋外で見るとあまりの小ささに肉眼では違いは良く判りません(^^;
体の色は銅鋼色で、メスは前翅の中央上近くに黒っぽい紋が一対あり、白い斑紋は外周に沿った部分は不連続です。 また、後脚腿節下面の白毛も多くあり、上唇の毛は4本程度と少なめで、中央とその両側に合計3個の鋸歯があります。 このハンミョウの「直立姿勢」は徹底していて、石ころでも土くれでも、とにかく少しでも高いところに立って周囲を見渡せるようにしているように見えます。
周囲に草地や林がある神社や田んぼの畦、畑などの開けた場所で見られますが、実は我が家の庭でもこのハンミョウは生息していて毎年見られます。 ただし、写真を撮るために四つん這いになっているところを近所の方に見られるのはかなり気恥ずかしい気も…
----------------- 2021.07 追記および写真の追加・入れ替え --------------
ishida式のHPとしてはかなり初期に書かれた内容でしたが、2016年にHPを訪問いただいた黒戌さまより、背面にある一対の紋について教示いただきました。 本種の雌の背面にあり一対の紋を「黒紋」と表現していましたが、専門的には「鏡紋」と呼ばれているとのことでした。 参考にネットで検索したところ、「鏡紋」やハンミョウの前翅の表面構造について「今坂正一とEアシスト」のサイト中で興味深い記述がありました。 また、その中で上述の「直立姿勢」についても関連を連想させる記載がみられ、ハンミョウ類は全般的に開けた砂地などの日当たりの良い環境で活動するため、暑さ対策として地表から高く体を持ち上げているのではないかとのこと。 特に本種の場合はそこが徹底されているのかもしれませんね(^^)
また、ishidaの観察ではオスは鏡紋を目印にしてメスを認識しているように思えます。 メスに近付いたオスはいきなりメスの背中に飛び乗り、大顎でメスの前胸部後端の関節部をくわえて体を固定してマウントします。 その際には攻撃の意思がないことを示すためか、メスを抱え込むことはせずに前脚を左右に広げて「手放し状態」となります。 更には相手を落ち着かせるためなのか、メスの複眼上に自分の触角を重ねるようにして左右に動かしてなでるような行動も見せます。 メスは性成熟していても初めは抵抗し、体の後半を跳ね上げるようにしてオスを振り落とそうとしますが、オスが振り落とされなければ次第に大人しくなって最終的にはオスを受け入れるようです。
幼虫は他のハンミョウ類と同様に地表にほぼ垂直の巣穴を掘り、頭部〜前胸部で蓋をするようにして通りかかる他の小型昆虫などを待ち伏せします。 穴はほぼ真円で周縁はやや擂り鉢状となっており、体の周囲にある感覚毛を壁面に触れて獲物が出す振動を感知しているようです。 背面にあるとげ状の突起で体を固定してS字状に体を曲げてバネのように溜めをとり、獲物が近付くとびっくり箱のように伸びあがって大顎で噛みついて巣穴に引き込むとのことですが、ishidaはこれまで未確認です。 振動を感じる感覚毛以外にも立派な単眼を2対持っていて視力は良いようで、覗き込むとすぐに穴の奥に引っ込んでしまいます。(普通に近付くと相手のほうが先に勘付いて引っ込んでしまうため単なる穴しか確認できませんが、気長に待っているとせり上がってきます。) 我が家の庭では、物干し台の周囲の人が踏みつけて雑草の生えていない、かつ水はけの良い場所に集中して幼虫の巣穴がみられます。 |