本州から南西諸島を経て台湾や中国南部にかけて広く分布する、スマートで緑色が綺麗なカメムシです。 主にイネ科の植物の実を吸汁するため、夏になると道端のエノコログサなどについているのを良く見かけますが、農家からは稲の害虫として嫌われます。 成虫と齢の違う幼虫が同時に見られることも多く、一年で何世代か世代交代する多化性のようです。 吸汁による田んぼの稲への被害を防ぐために農薬を使うと一時的には本種は減少しますが、同時にクモやカマキリなどの年1化性の天敵も死滅してしまい、周囲のイネ科雑草で繁殖した本種の次世代が再び侵入して被害を与えるというようなことも起きる可能性もあります。(「ツマグロヨコバイ」なども同様)
幼虫は緑色が薄くてコントラストがなく、なんだか冴えない感じです。 (かつお節みたいで可愛い?)
南西諸島以南には本種とそっくりな「タイワンクモヘリカメムシ」も生息しており、一見しても全く違いが判りませんでした。 写真に撮って比べると、本種の場合は複眼前後に黒い帯があって触角の第1節外側まで黒褐色となっており、「タイワン」の方は複眼前後の部分が黒くなくて単なる茶褐色の暗色部・触角は茶褐色となっています。 南西諸島では両種が生息するということになり、本当に生殖隔離しているのか疑問にさえ感じてしまいます。 |