イネカメムシ

半翅目 カメムシ科  12mm前後

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「なんだか白っぽいシロヘリカメムシだなあ」と思ったら違いました。

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頭部の形状はやや幅狭で、中葉が先端まで延びているため、側葉は接していない。

サイズや一見した印象が「シロヘリカメムシ」にそっくりで、屋外で見ても「なんだか白っぽいシロヘリカメムシだなあ」と思っただけで、本種だと気付いていませんでした(^^;

名前とは裏腹に全体的に黄色味を帯びた「シロヘリカメムシ」に対し、本種のほうが全体的に白っぽく、小楯板の形状や背面の斑点などが(微妙に)異なります。
また、「シロヘリカメムシ」の頭部は「側葉」が「中葉」を取り囲むように伸びて、先端で合わさっているのに対し、本種は頭部の先端位置まで「中葉」が伸びているため、「側葉」は先端で接していません。
本種の特徴は以下。
・頭部の先端では「中葉」が先端まで延び、「側葉」が接していない。
・前胸部前寄りに黒い斑紋がある。
・小楯板付け根に4つの斑紋がある。
・前翅の革質部に白紋がある。
・小楯板がやや細長く、靴べら状に延びる部分は短い。

本種はかつては稲の主要な害虫の一つとして駆除の対象になっており、高度成長期には農薬の普及などでいったん衰退したとのことですが、近年になって再び大きな被害を与えるケースがでてきたそうです。
ネットの受け売りですが、近年は稲の品種として極早生〜超晩生の多品種が栽培されるようになってきたことで、カメムシの発生と稲の生育が重なる時期が広がってきていることも原因の一つとされているようです。
本種のもともとのホスト植物や生活環がはっきり判っておらず、他の稲作食害カメムシ(カスミカメムシやヘリカメムシなど)のように水田周辺のイネ科雑草には寄生しないため、周辺の草刈りなどによる予防的防除も難しいとか、他のカメムシを対象にした農薬散布時期と本種の活動時期がずれていることも関連があるようです。

ishidaが本種の生息を確認した場所は主に山地で、本来は森林に生えるイネ科植物をホストとして生活していたものが、稲作地に入り込んで「より美味しい」食物を発見してしまったということのように思われます。

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「イネカメムシ」(左)と「シロヘリカメムシ」(右)