ハマベコムシヒキ

双翅目 ムシヒキアブ科 体長6〜8mm 

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小さいながら、相対的に肢の剛毛が長い。

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砂の上では保護色のため、動かなければ肉眼ではほとんど認識不能です(^^;

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砂の中に頭を突っ込むこの動作は、本種独特の吸水行動のようです。

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チビッコとはいえ立派なプレデターらしい顔付きです。

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顔面の白毛が口吻を覆うように伸びています。

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胸部にうっすらと茶色っぽい色合いがあり、腹部背面に虎縞模様があるのがメスのようです。

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漂着物の周囲で小型のハエを捕食中のメス。

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明らかに小型で体色も違うこちらがオスのようです。交尾器はほとんど目立たない。

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複眼も含めてオスの色合いは渋くて格好良く感じる。

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もう一度メスの写真。

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上とだいたい同縮尺でオスの写真。よく見ると腹端下側に把握片らしきものが見える。

名前の通り海岸の波打ち際に近い場所でに生息する小型のムシヒキアブで、体長は6〜8mm程度しかなく、自分が知っている中では最も小型のムシヒキアブの仲間です。

たまたま海岸でヒラタムシヒキに捕食されているのを見て、「小型のこのヒラタムシヒキ(体長15mmほど)に捕食されている更に小さいムシヒキっぽいこいつって何者?」と思ったのですが、直後に砂の上で活動中のものも見かけました。
その時は遠目に見付けて豆粒サイズの証拠写真しか撮れませんでしたが、ムシヒキアブマニア(?)のishidaの血が騒いだので帰宅後にネットで検索してみたところ、どうやら「ハマベコムシヒキ」というものではないかということが判りました。
後日同じ場所周辺でハンミョウの探索ついでに本種とヒラタムシヒキも同時に探しましたが空振りに終わってしまい、再度別の場所で探索した際にやっと見つけることが出来ました。

最初は草地との境界辺りを歩いて探してもなかなか出会うことが出来ず、やっと見つけてもすぐに逃げてしまってなかなか撮影は困難な状況でした。
実は生息環境は砂浜の後背地の草原ではなく本当に波打ち際が彼らの生活環境のようで、いったん往路を歩いた後で今度は波打ち際に近い辺りを歩いたら、満潮時に波に洗われるような場所の流木や海藻・ごみなどの漂流物周辺の方が多数の本種が見られました。
実際、たくさんいる場所では待っていれば周辺に飛んでくるくらい高密度で見られさえし、一般的には単独行動が主のムシヒキアブとしては例外的な生活様式ですね。
まるで砂漠のような環境の砂浜であっても、漂流物周辺であればハエやトビムシなどの小さな獲物が集まってくるためこのような習性を持つようになったようです。

観察結果や撮影画像から見てもメスの産卵管・オスの交尾器ともほとんど目立たず、やや茶色がかった体色で腹部背面が虎縞になっているのがメスで、小型で地色が黒っぽくて白い体毛が目立つのがオスのようです。