ツマグロオナガバチ

膜翅目(ハチ目) ヒメバチ科  体長25mm前後

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何が起きてるの??と思うくらい、産卵管が関節膜を大きく押し広げてたわんでいます。

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後脚の付け根で保持しながら挿入を始めた段階。産卵管だけを木の中に挿入してゆくと、鞘は左右に分かれます。

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鞘が腹部の左右に分かれ、内部の産卵管だけを穴の奥に挿入していきます。

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翅の後端近くが暗色なのが特徴的。

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ひと仕事終えた後のお掃除。

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後ろ(上側)に見えるのは取り残された産卵管と腹部後端部です。

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クチキヒメバチの一種と競合?でも、特に闘争はありませんでした。

ヒメバチ科のなかでオナガバチ亜科は大型で長い産卵管を持っているのが特徴のグループです。

本種は全体的に黒っぽいということを除けば外見的には「オオホシオナガバチ」によく似ていますが、オオホシオナガバチの属するMegarhyssa属の特徴である前翅の「鏡胞」と呼ぶ間室がありませんから、まったくの別属ということになります。

Infomation station of Parasitoid wasps」を参考にさせていただいところ、確定的ではありませんが「ツマグロオナガバチ」と一致しました。

以前から、オナガバチの産卵管部分を横から見るとずいぶん複雑な形状だなと思っていました。
産卵管を保護する「産卵管鞘」と産卵管の位置が関係あるようで、本種の産卵中の姿を見て、やっと少し(^^;理解できました。
産卵管自体は本来腹節の末端節に付いていると思っていましたが、腹部後端より少し手前から体外に出て、体の後端にある産卵管鞘の中に納まっているようです。
特に本種の場合、木の中に産卵管を差し込む前段階で腹部下面に産卵管鞘をたわませると、腹端近くの関節膜を通して産卵管が背側に大きくはみ出します。
さらに産卵管が木の内部に差し込まれてゆくと、逆に(もともと左右から産卵管を挟みこんでいる)余った鞘の部分は左右に分かれて腹部の両側に弧を描くようにたるみます。
(種によっては左右に分かれないで後ろに向かってたるむものも存在します。)

ちなみに、撮影中は「なんか木から変なものがたくさん突き出してるけど、冬虫夏草かしら?」なんて思っていたもの、実は抜けずに残されたオナガバチの産卵管(と場合によっては腹端部も)でした。
宿主側の抵抗にあったか、それともハチ自身が産卵中に捕食されるなどの災難に遭った名残りなんでしょうか。