アギトアリ
膜翅目(ハチ目) アリ科 体長12mm前後
7月に見付けた働きアリの亡骸で生息を確認しました。
8月の長雨後に探しに出掛けたら、早速見付けました!
歩いているのを見れば見間違いようがない独特のプロポーションです。
多数の亡骸が見られた場所では新女王の亡骸も発見。全体にがっしりしていて各部が太い。
通常の体勢。この状態だと大顎の先まで全長10mmを超えている。
捕食準備の体勢。大顎は大きく180°まで開くことができる。
大顎の内側には6本前後の長い感覚毛が生えていて、獲物に触れると自動的に大顎が閉じる。
大顎の先端は大きく内側・下側に湾曲し、大きな3歯を形成。
正面から見るとちょっとユーモラス。
夜の山道で多数の働きアリが活動中でした。
同類を獲物としている?所属する巣が異なれば同類も獲物にしてしまうのはアリ全般の行動ですね。
→実は捕食行動ではなく、仲間を運んでいるようです。
ハリアリ属は主に小型のものが主ですが本種は体長10mmを超え、日本産としては「クロオオアリ」や「ムネアカオオアリ」などに次ぐ大型の部類のアリです。 また、個体差なのか同種内に2型あるのか、単に使用に伴ってすり減っているのかはよく判りませんが、大顎の先端の2歯がシャープに尖っているものと先が丸みを帯びているものの2タイプがみられました。 本種の本来の自然分布は九州の一部と屋久島、種子島〜海外では中国・東南アジア・インドなどですが、近年は日本各地に分布を広げているとのことです。 以前から「大型なうえに異形でカッコいいアリだな」と思って出会いたかったものの一つでしたが、本来は九州や沖縄(オキナワアギトアリが分布)へ行かなければ見られないものが、地元で見られるのを喜んでよいものかどうか…ちょっと微妙な気持ちです。 -------------------- 2021.10.23 追記 -------------------- その後の観察では、最初に確認したのと同じ山域の別の場所でも生息が確認できたので、少なくとも渥美半島での定着は確実なようです。 -------------------- 2022.9.17 追記 -------------------- 2022年に観察した際、再び同類を運んでいるのを見付けました。 |
右から来た個体が、あまり活動的でない左の個体に後ろから近づいて探ります。
後ろからそっと腹柄節をくわえます。左の個体は特に抵抗することもなく持ち上げられます。
運ばれる側は、脚を広げるようにして運ばれてゆきます。
活動中の女王も見付けた。胸部は大きいが全長は職アリと大差ない感じ。
既に交尾済みなのか、翅を落とそうとするような仕草が見られた。