カノウハエトリ

ハエトリグモ科  体長6mm程度

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最初に見つけたときは、脚がとても長いスマートな体形に、「ハエトリじゃないのかな?」って思いました。

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ちょっと色合いが違うので、オス発見!と思ったら違いました(^^;

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前中眼だけが透明で、特徴的な顔付きです。

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葉の上の水を飲んでいます。

沖縄本島にのみ分布するハエトリグモで,
2017年春の沖縄遠征の際に国頭村の森で見付けました。

国頭村の森の中ではクワズイモの葉上で数個体を見かけたので、生息地での個体数自体はわりと多いのではないでしょうか。

ハエトリグモ特有の大きな前中眼が透明なためほとんど目立たず、逆に前側眼と後側眼が黒く大きく目立って見えるし、プロポーションだけ見るとハエトリグモというよりはフクログモ科のクモのような印象でした。
それにしても非常に特徴的な眼を持っていて、ファインダーで拡大された姿はとても神秘的に見えました。

同じ葉上に大きくて緑色のものとやや小さくてオレンジがかった体色のものがいたので「一気にオスとメス発見♪」と喜びましたが、よく見るとどちらも触肢は細くて、単なる色彩変異だったようです。

結局、滞在中にはオスのカノウハエトリには出会えませんでした。
次回以降の遠征でオスにも出会うぞ〜(^^)

---------------------------- 2023.04 追記・写真追加 ----------------------------

その後の遠征では同じ場所でも出会うことができず、ちょっとスランプかも…と感じていましたが、2019年以降はコロナ禍による遠征自粛を挟んでの2023年の遠征でやっとオスにも出会うことができました。
2023年の遠征では、Facebook友達の「沖縄で一番のハエトリ好き(ishida調べ)Uさん」に現地での同行をお願いして快諾を頂きました。
(実際には同行どころか車まで出していただいてishida単独では行けなかったような場所にも連れて行っていただき、おんぶにだっこで大変お世話になり感謝感激でした(^^))
ハエトリグモの生態にも大変詳しいUさんに、本種が生息するポイントと見付け方まで伝授いただいたお陰で多数の本種と出会うことができました。

UさんがFBで公開している画像も大変素晴らしく、本種の前中眼が見る角度によって黒く見える(偽瞳孔のような構造がある?)ことも投稿を見て知っていたのですが、今回はishidaも挑戦してみましたが、両眼が均等に黒く見える位置は本当にピンポイントで、撮影には困難を極めました(^^;

今回も本種を見付けたのは全て「クワズイモ」でしたが、Uさんによると「葉の裏に群れている白いムシを捕食しているのを見たことがある」とのことでした。
実際に確認したところ、葉裏に異世代コロニーを形成している「クワズイモカスミカメ」というカメムシのことのようです。
実際にこのカメムシに強く依存しているかどうかは判然としませんが、本種がいる場所にはこのカメムシがいて、いない場所では「クワズイモ」が生えている場所でも本種は見られませんでした。
更には「カノウハエトリ」はジャンプせずに素早く走るという動きをとることや、生息地では同じクワズイモの葉に2個体いたり、1枚の葉ごとに1個体が暮らしていたりということが多々あることから移動性が低いように見受けられ、一般的に活発に移動して狩りをする徘徊性の強いハエトリたちとはちょっと違った習性で、これも何となくクワズイモとカメムシへの依存をうかがわせる気がします。

また、「ハエトリグモハンドブック」ではオスの姿は体全体が橙色をしたものが掲載されていますが、今回見付けた成体と思われるオスはメスと同じ体色か、触肢だけが橙色をしているものばかりで、成体オスでも必ずしもそのような体色とは限らないようで、これは毛むくじゃらのハエトリとはちょっと異なる性成熟との関連性もあるように感じます。
(逆に、メスも初回に見たもののように腹部が橙黄色がかったものも見られます。)

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なんとか撮影した「両目が均等に黒い」状態です。前中眼の間に水滴が付いている…。

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住居の中に納まって大人しかったが、これ以上アングルが変えられなかった(^^;

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腹部が明らかに橙黄色のメス。

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クワズイモの葉裏に脱皮殻があった。オス亜成体が成体になったんだと思われます。

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脱皮殻と同じ葉にいた、触肢が膨らんだオス。

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サイズ的にも成体だと思うのに色合いはメスとほとんど差がない。

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この個体は触肢が明瞭に橙色をしている。

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本当にハエトリグモとしては異質な顔つきだと思う。

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色々な世代が一緒に暮らす社会性カメムシの「クワズイモカスミカメ」。