ヘリジロツケオグモ

節足動物門 クモ綱 カニグモ科 体長約7mm

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これがスタンダードな待機のポーズ。足場糸や食べかすから、同じ場所に定着しているのが判る。

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観察中、ちょうど目の前に飛んできたハエを捕食しました。

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捕食されている獲物は大小含めてすべてハエでした。

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これは威嚇のポーズ?何だか迫力ある。

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暫くしたら降着して普段のポーズ(?)になりました。

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見た中で一番小さかった個体。最初はオスかなと思ったが、結局小さなメスでした。

南西諸島に生息するカニグモの仲間ですが、ヘンな姿のクモの代表選手のうちの一つにも挙げられるような姿をしています。
近縁種の「カトウツケオグモ」は珍種のクモとして、発見されるとニュースになるような稀産種ですが、本種は特に八重山諸島ではわりと普通に見られるようです。

ずいぶん目立つ色合いであり、植物の葉上で第1・2脚を折りたたんでいる姿は「鳥の糞に擬態している」ともいわれていますが、どちらかといえば脚を大きく広げて獲物を待ち構える体勢で静止していることの方が多いように見受けます。
しかし、同じカニグモの仲間のように葉の影で待ち伏せるとか、花に紛れて訪花する昆虫を捕らえるのに比べると消極的なわりに天敵に襲われるリスクが大きい戦法に見えます。
見たもの全てがクワズイモやハブカズラ、シダなどの葉上で静止しており、「鳥の糞に擬態する」ことで、獲物を待ちながら天敵の目をごまかしているとも考えられます。
しかし見付けた個体の多くが捕食中で、ただ待つだけの消極的に見える狩りの態勢のわりには狩りの成功率は高いようでした。

実際に観察中に運良く目撃した捕食シーンでは、ハエがまるで引き寄せられるかのようにクモの前面に飛んできて、あっという間に捕えられてしましました。
見る限り捕食されている獲物が全てハエであったことと併せると、クモがハエを呼び寄せるための臭い(それもかなり強力な)を使って獲物を誘引しているように思えます。
併せて、一匹見付けるとその周囲で大小の差も含めて決まって腹数の個体が確認でき、また多くの個体が足下に足場糸を張っていたり食べかすが複数あることから(少なくともメスは)生まれた場所からあまり移動せずに生活しているようです。
これも実は臭いを使って積極的に獲物を誘引する狩りの手法を使うため、あまり移動する必要性がないというふうにも考えられます。
しかし、まとまって見られた場所でもオスの姿は全く見付けることが出来ず、オスの場合はバルーニングによる分散なども含めて移動性が高いのかもしれません。
(結局、石垣島で合計20個体前後を確認できたにもかかわらず、オスは見付けることが出来ませんでした…)