OM Digital Solutions(OMDS) OM-1 その1 導入編 

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ishidaが2019年の12月に「OLYMPUS OM-D E-M1 MarkU」を導入した直後に「E-M1 MarkV」が発表になって4年経過しましたが、MarkU→MarkVでのマイナーチェンジでお茶お濁して2年ほど経った2022年3月に伝統のエースナンバーをひっさげて登場したのが完全新作となった新機種「OM-1」でした。
しかし、「OM-1」発表前にはオリンパス株式会社の中のカメラを含む映像事業が、事業再生を担う投資ファンド「日本産業パートナーズ(JIP)」に売却され、最終的に「OM Digital Solutions(OMDS)」という別会社となっています…
コニカミノルタ→SONYとか、PENTAX(旭光学)→PENTAX(HOYA)→PENTAX(RICHO)といった事業の売却の際とはまた違って、カメラ部門が独立した別会社となったにもかかわらず従来の「OLYMPUS」の社名・ブランド名を冠した元会社がそのまま存続しているというややこしい関係となってしまいました。

結果的には、歴史的カメラの機種名を受け継いだ「OM-1」というカメラの軍艦部には商標の許諾を受けたうえで特別に「OLYMPUS」というロゴが入ったのでした。
そんな状況下でエースナンバーを受け継ぎながら新たな会社の初号機となった「OM-1」が登場したわけですが、登場前からかなり革新的なカメラであることを匂わせていました。
実際に登場した「OM-1」は、これまでのE-M1シリーズの小型軽量・防塵防滴性能の高いフィールドカメラといったコンセプトを受け継ぎながら、初代「E-M1」から「E-M1 MarkU」の進化以上の大きな性能・機能的な向上を遂げたカメラでした。
(間には「E-M1X」という性能向上を目指した中間的な機種もありましたが、バッテリーグリップ一体型の大型ボディは小型軽量を標榜するE-M1系とは路線が違う存在ですよね)

またまた前置きが長い…(^^;
「OM-1」の発売は2022年3月となっており、ishidaが2019年末に「E-M1 MarkU」(以降、「E-M1U」と呼称します)を導入した約2年後でしたが、はっきり言って2019年末以降のコロナ禍などの影響で遠征なども出掛けることができず、「E-M1U」の活躍機会がかなり狭まってしまっていた時期と重なってしまいました。
もちろん「モトをとる」という考え方もナンセンスですが、「E-M1U」自体の性能や画質に大きな不満があるわけでもなく、2台体制で使用している「Panasonic G9」についても画質的には捨てがたいものがありました。(「G9」のオートフォーカスについてはやや不満ありますが…)
ということで、ishidaの場合は「OM-1」に魅力を感じつつも、2021年1月にサラリーマンを卒業したという状況もあって、慌てて新機種に飛びつくという状況にはありませんでした。

実際、優先順位として交換レンズ「M.ZD 300mm F4 PRO」の(できれば状態の良い中古品)購入も健闘していたのですが、会社状況や円安など様々な要因が重なった結果の販売価格アップと共に中古価格までアップしたことでちょっとブレーキがかかってしまいました…
(2021年には確定申告による税の還付を受けての「M.ZD 100-400mm F5.0-6.3」の購入もあったので、長焦点域についてはそちらで補えるしね)

そこで満を持して…という訳ではありませんが、2024年1月早々に(キャッシュバックキャンペーンの締め切り間近になって焦って?)「OM-1」を購入することにしました。
当初は「E-M1U」導入時と同様に下取りによる「入れ替え」を予定していましたが、カメラのキタムラで「E-M1U・12-40レンズキット」→「OM-1・12-40レンズキット」での下取り価格を見積もってもらったところ、カメラ・レンズともA評価にもかかわらず諭吉さん6人に満たない買取り価格(初代「E-M1」の時と大差ない下取り額…)でした(T^T)
いったん引き下がり、自宅で再度「価格.com」の最安値などと比較したところ、結局下取りなしでボディのみ買っても支払い額が大差ないと判断しました。
それに、お店によってはLi-ion充電池「BLX-1」がおまけで付く商品も選択可能なことも判明。
注文時にカード会社のセキュリティによって決済が止められてしまったり、注文がダブってしまう(ように見える)トラブルにも見舞われましたが、何とか期限内に入手できるよう手配することができました。
そして、キャッシュバック(ボディ単体なので¥20000分)を待つ中で発表されたのが「OM-1 MarkU」です…キャッシュバック受付終了を待って発表しんだよね(^^;;;;;;;

2年での新型登場はあまりにも早いと思うが、これは「OLYMPUS」ロゴの使用許諾期限切れ対応と思われ、軍艦部のロゴは先行した「OM-5」同様に「OM SYSTEM」となり、バッファの2倍盛りやFW変更レベルの機能アップ・追加がされていますが、そんなに羨ましくないかな…。

で、「OM-1」の話しですが、購入したのが季節的にishidaの撮影対象の端境期ということもあり、まだ本格的に使い込んでいない状態ですが、まずは軽く使ってみた印象を…

【高精細化されたEVF】…評価○
発表当時は最高解像度だった576漫画素OLEDを使用したファインダーはファインダー倍率も0.83倍と高倍率で、スペック上はフラッグシップの名に恥じないものですが、N社やC社のフルサイズ機の広大で自然な見え味のファインダーを覗いた後で見ると、ちょっとギラギラして見劣り感を感じるのは何故…
(Panasonic「G9」も高精細なわりにジャギー感や糸巻き型の歪曲があって褒められた出来じゃなかったので、比較すれば光学系は「OM-1」の方がずっと良いと思う)
もちろんこれまでのE-M1系のファインダーに比べると圧倒的に高精細なのはマクロ時にも有難いだけでなく、単純に嬉しいのも事実です(^^)
地味ですが、アイピースの形状も角が取れた中空構造で、裸眼でも眼鏡でも快適に接眼できる様になりました。(これは「E-M1X」からこんな感じになっているようですね)
接眼センサーの位置がファインダーの下側に位置するようになったのは良いのか悪いのか不明ですが、アイピース部の幅は他社機と同等になった?

【一般的な撮影画質と高感度画質】…評価○
発売当時から「従来機に比べて解像感が大幅アップ」といわれていますが、ちょっと撮っただけでも解像感が高い絵造りとなってるのが判ります。
また、今回は撮像センサーを更新してMFT機初の「裏面照射型」センサーを採用・画像処理エンジンも刷新しただけあって、物理的ハンデから高感度が苦手といわれるMFTとしては格段の高感度画質に感じます。(もちろん良い子はフルサイズとかと比べちゃダメです)
主観的にはJPEG撮って出しで比較して、ISO25600で撮った画像がE-M1UのISO3200と同じノイズ感・解像感に感じるくらい(つまり3段分程度)の高感度耐性があると感じます。
特に従来機では高ISOでなくても光量が低いときに画質劣化が顕著な気がするんですが、本機の場合はけっこう持ちこたえているように見えます。
(あくまで第一印象なので、画質の面については実際にishidaの本業(マクロ撮影)の方で使い込んだ後で詳細レポートを予定しています。)
また、画質とは関係ないですが、被写体認識の精度や追従性について鳥撮りの人たちからは厳しい評価がされているようですが、ishida式の撮影対象の昆虫やクモなどに対してはもともと対応していませんので、普段使い的には大きな期待はしていませんでした。
それでも動物園で試写した限りでは、枝被りや厳しい条件でなければ被写体認識が「鳥」のままでも他の哺乳類の顔は十分認識して追従してくれたので、ishidaの使用範囲であればフィールドで時々現れる鳥や小動物、飛行機などに対してはけっこう便利だなあという印象でした。
(実際には枝の被った野鳥では時折りヘンなところにフォーカスが行ってしまう現象も見受けられたので、その辺は「OM-1 MarkU」で培ったFWのアップデートで対応してほしい…)

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OM-1+M.ZD40-150mm F2.8 PRO+MC-14(210mm) 絞り優先 F5.6 1/400sec ISO2000 JPEG
被写体認識を「鳥」にしたらちゃんと追従して感激!当たり前だけど(^^)

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OM-1+M.ZD40-150mm F2.8 PRO+MC-14 (130mm)絞り優先 F4 1/320sec ISO200 -0.7EV JPEG
被写体認識は「鳥」のままですが、他の動物でもちゃんと顔に追従していました。

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上の画像を700×700Pixelに切り出し。

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OM-1+M.ZD40-150mm F2.8 PRO+MC-14 (130mm)絞り優先 F4 1/320sec ISO200 -0.7EV JPEG
被写体をフレーム内に収めていればちゃんとフォーカスが追従するのって楽ちんなんですね。

【エルゴノミクス】…評価△
これはishida式ではかなり優先度の高い項目なのでちょっと辛口ですが、グリップを含めた握り心地やホールディング性は従来機に比べても高得点に感じます。
しかし、残念ながらishidaが多用する「前ダイヤル」と「後ダイヤル」の使い勝手が良くない…
E-M1購入時にやや戸惑いのあった「丸出し」タイプのダイヤルは実はグリグリ回しやすく、設定変更時や画像の再生時に非常に使い勝手が良くてお気に入りでした。
併せて、シャッターボタンと同軸配置の前ダイヤルは指の移動量が少なくて済むだけでなく、縦位置などで構えた際にもシャッターボタンの位置がダイヤルぶん盛り上がっているお陰でメリハリがあり、指先の感触で判り易いのも有難かったんです。
「OM-1」のシャッターボタンは、体勢が厳しい状態で縦位置に構え直した時やグローブをした状態では感触が判り辛いし、ブラインドタッチで探しにくいと思うけどなあ…

実際には「E-M1X」から既に「OM-1」のようなシャッター・ダイヤル構成になっていますが、従来の「丸出し」タイプが(ishidaはそう思わないけど)「誤操作で動き易い」という一般的な評価だったようで、誤操作し辛いように他社同様の「埋め込み」タイプとなっています。
今回は特に誤操作し辛さに主眼を置きすぎたのか、ダイヤル下側の出っ張りが大きいため指掛かりが少なすぎ、素手でも前ダイヤルは意識して3クリック・後ダイヤルは2クリックしか動かせない有様で、グローブをしていたらどこにダイヤルがあるかわからないくらいだし、邪魔な出っ張りを一生懸命こすっているような操作感はイマイチすぎる気がするなあ。
ishidaにはここが操作感の中での最大のネックに感じてしまいます。
「OM-1 MarkU」の製品紹介のページを見ると「指がかりが良くなるよう表面にエラストマー加工を施し、ダイヤル操作性を改善しました。」とあり、ダイヤル表面の処理が追加されたらしいけど、操作性を悪くしておいて何じゃそれ…という感じで、エラストマーの耐久性も何となく不安を感じます。

Panasonic製のカメラでも普及機は前ダイヤルなしで後ダイヤルのプッシュで機能切り替えとなっていましたが、2ダイヤルの機種も「G8」はE-M1系ライクなダイヤル丸出しタイプ、「G9」は埋め込みタイプで前ダイヤルはシャッターよりも上面(ishidaはこれはちょっと使いづらい)配置なのが統一性もなくてちょっと疑問でした。
しかしそれ以降のフルサイズ機種「S1」「S1R」などでは埋め込みタイプで前ダイヤルがシャッターよりも下、更には以降の「S5」や「G9U」では再びE-M1系のような丸出しタイプでシャッター同軸の前ダイヤルとなっていて、やっぱり機種・世代ごとの変遷が激しい(^^;
そういえば、E-M1シリーズでも機種ごとに背面のボタン類は専用ボタンが増加する度に位置が変わったりしていますよね。
「E-M1」ではチルト式のモニターだったのが「E-M1U」以降はバリアングル式となり、指掛けのための掘り込みを設けたためボタン配置が変わってしまい、ishidaの場合はファインダーを覗いたままで「再生」ボタンのつもりで「MENU」を押してしまうことも多発します。
今回は「AFセレクタ」や「AF-ON」ボタンが増設されたため「INFO」ボタンが十字キー下に移動、「MENU」ボタンはとうとう接眼部の左側へ移動しました(^^;
(これには「望遠レンズ装着時にMENU操作がやり辛い」という声があったようで、「E-M1 MarkU」ではごみ箱ボタンに「MENU」機能を割り当てられるように対応されています…)
やはり誤操作対応なのか、「再生」や「INFO」ボタン自体もちょっと小さめで周囲を盛り上げて押し込み位置が深くなったように見えますね。

他に「E-M1U」で悪化した「Fnレバー」(接眼の右側)は形状がPanasonicのAFモード切替レバーのような形状になって操作性はやや改善されました。(指掛かりは小さすぎるけど)
ishidaの場合、「E-M1」の頃から「Fnレバー」に「AF/MF切り替え」、「AEL/AFLボタン」に「AF-ON」を割り当てていましたが、「E-M1V」では「マルチセレクタ」、「OM-1」ではさらに「AF-ONボタン」が新設されていますので(まだ使い込んでいませんが)MFを多用するishidaとしては使い勝手が向上したと思われます。

そういえば、電源スイッチはバッグの出し入れで意図せずON/OFFしてしまうことがあったが、これはレバー部分を水平にしつつレバー形状を変えることで誤操作と操作性の両立を図っているように見えます。

また、エルゴノミクスとは関係ないけど、ホットシューの固定部は、従来機では金属に黒塗装処理だったのが、今回からはメッキ処理に変わったのも地味に嬉しい。
(従来機は使用しているうちに塗装が剥げてきて見苦しくなってしまったので…)

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前後ダイヤルは埋め込み式となってishida的には操作性が悪いし、上面は殺風景な感じ…(^^;

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ここは「電源レバー」以外は実際にほとんど使っていない(^^;。

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EVFの高精細化に加えて接眼ラバーの形状変更も地味に嬉しい。Fnレバーはちょっとせせこましい?

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エルゴノミクスとは関係ないが、ホットシュー部が黒塗装でなくなったのも嬉しい。

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「MENU」ボタンは左上に移動。再生しようとして誤って押すことが多かったのでこれはこれで良いかも。

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「E-M1 MarkU」の背面。比べてみると「E-M1」とも「OM-1」ともかなり違う。

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「E-M1」はホットシュー下に独自規格の接点があるため背が高く、「ちょんまげ」と呼ばれていた。

【電源・電池】…評価○
電池の持ちの悪さは初代から言われており、改善のために「E-M1U」では新型の「BLH-1」というバッテリーに変わり、「E-M1U」「E-M1V」「E-M1X」と採用されています。
しかし、かなり幅広の形状は他社のカメラと比べてもやや異様なサイズ感で、ishidaとしては収納し辛い形状だなあという印象で、実際に複数の予備電池を持ち歩く際にも収納ケースなどへの収まりは悪く、電池交換の際にも裏表の判別がし辛いものでした。
今回の「OM-1」では再び新型の電池を採用したため、サブ機として「E-M1U」を持ち歩く際には、予備電池も2種類となり、入れ替えも出来ないという状況になってしまいます…
(従来もishidaの場合は「G9」との2台体制だったので、そこは実際には従来と違いません…)
でも、購入時には充電器が付属せず、USBケーブルをボディに接続して充電するのってすごく嫌なんですけど…別売の充電器を買わせようという販売戦略でしょうかね(^^;
付属する充電ケーブル自体もEMC(電磁放射)に配慮したコア付きの太くて硬いケーブルで、コネクタもストレートタイプなのは取り回し悪すぎ。
(従来通り互換電池と一緒に2個同時充電可能な互換充電器も購入したので実害はないけど)
新型電池「BLX-1」自体は容量も大きいし、他社機でよくあるような「枕型」のものになったため挿入時の方向性とかは判別しやすくて良いです。
(ishida個人の環境では「G9」用の電池「BLF-19」とそっくりで紛らわしい気もする…?)

-------------------------- その2に続く---------------------------