Panasonic Lumix GF1 (14〜45mm F3.5〜5.6)

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ここ3年ほど登山のお供は「RICOH GX−100」で、コンパクトカメラとしては高画質、他ではなかなか無い24mm相当からのワイド系ズーム(レンズ性能もなかなか秀逸)がお気に入りです。
外観デザイン、操作性などの使い勝手も本格的(っぽい?)なのも高得点です。

しかし、やはり画質は「コンパクトカメラの範疇」で、同じくらいの値段で買える(^^;入門デジタル一眼と比べたら画質は月とスッポン。
屋久島遠征でも一眼レフとの画質の差は歴然と感じました。
やはりセンサーサイズという物理法則の壁は大と言わざるを得ません。
更に最近GX-100はシャッターボタンのスイッチ部が接触不良となってAFロックが利きにくいことや、本来ゴミに強いはずのコンパクト機ながら光学系のどこかにゴミが乗ったようで、不要な影が映り込むなどの不具合も出てきました。

そこで、次期主力山登り機として、「高画質なコンパクトカメラ」的な要素のある「マイクロフォ-サーズ規格」のカメラはどうかしら?と考えました。
2010年時点ではパナソニックの「G1」というのがモデル末期で価格もこなれてきているだけでなく、144漫画素のEVF・フリーアングル液晶モニタなどの装備も含めて良いかもと思いました。しかし「コンパクト以上の高画質」は期待できますが、サイズ的には前述の「コンパクトカメラ」という定義からは大きく外れています。

オリンパスの「E-P1」は分不相応な高級路線なうえにフラッシュは内蔵していないので候補落ち。(後に出た「E-P2」も同様です。)
パナソニックの「G1」「GH1」はコンパクトでない点と「レンズ内手ブレ補正」であることがマイナスポイントと感じます。

しかし、パナソニックの第三弾「GF1」は「コンパクト」で「フラッシュ内蔵」、かなり心を惹かれます。
考えようによっては「レンズ内手ブレ補正」であることも「レンズ固定のコンパクトカメラ」のつもりで使えば「たまにはレンズ交換もできます」という風に捉える事も可能かと…
しかしこの「GF1」って、「ファッションムービー一眼」とかいう意味不明のキャッチフレーズで、いかにも「女子供向け」みたいなイメージで売っているのはいかがなものかという気もします。
(パナソニックのマイクロフォーサーズ機全般が女子供向けのイメージで売ってますが)
しかも、欲しいと思っていた外付けEVFは「この値段で20漫画素!?」でがっかり。

そこへオリンパスが矢継ぎ早に第三弾、「E-PL1」というのをリリース。
高級路線で一部マニアには好評だが高価格のため売れ行き的には「GF1」に負けていたと思われる前二機種とは別路線で、「フラッシュ内蔵」「E-P2共通の144漫画素外付けEVF」は魅力的。もちろん価格の安さも魅力(^^)です。
しかし、入門向けを前面に押し出したメニュー構成やダイヤルの省略はややマイナスポイント。

実力は如何にということで、「E-PL1」発売と同時に店頭でチェック。
メニューと十字ボタンで露出やフォーカスなどのモードを設定する操作性はイマイチ。慣れの問題かとも思ったので、カメラ店に行くたびにいじくりまわしますが、どうも馴染めない気が…。グリップも見た目はしっかりしている割りに持ちにくい気がします。
操作性などは「E-P1」「E-PL2」が良く出来ているのに対して、ダイヤルや専用ボタンの省略でかなり印象が違います。
とはいえ、カメラ購入資金も調達できたため一気に購入モードに切り替わりました。

2010年4月3日、店頭で再びいじってカスタムセッティングなども試しつつ、EVFなどもチェック。EVFの見え具合は画素数が同じG1よりずっと良い?(が、サイズはデカイ)
でも、やっぱり「E−PL1」の操作性に馴染めません。気が付くと、いつの間にか手元には「GF1」が(^^;
こちらはパッと持った時から操作に違和感なし。

結局、候補を「GF1 14〜45レンズキット」に絞って価格交渉し、予算が足りない分は「中古品」の45〜200mmを加えて達成しました。
(しかし、その場で中古を持っている店舗に電話連絡してくれたにもかかわらず相手先の手違いで他所へ流れてしまい、結果的に返金となりました。)
同等品を探す間、メーカーから貸し出し用の45〜200mmレンズを取り寄せてくれたので3週間ほど借用しました。
しかし、使ってみるとGF1にはちょっと大きすぎでした。
登山メインなら14〜45mm(28〜90mm相当)でも十分なことも判ったので、中古品の探索は取り止めてもらいました。

純正バッテリ1個も注文し、当日はカメラのみお持ち帰り。
早速翌日の登山(中央アルプス・経ヶ岳)に持参してみました。
行動中の撮影もレスポンス良くこなせ(これは非常に大切)、写りも良くて好印象♪
しかし、やはり「物理法則」の壁は如何ともし難く、14〜45mm(F3.5〜5.6)のレンズでは思った以上にボケないことも判りました。(ボケないことで良いこともあるが)
焦点距離的には「広角レンズ」の範疇であり、この口径では風景を撮るとパンフォーカスに近い雰囲気です。(遠近感や奥行き感が出しにくい)
ノイズ感や階調性などの画質は「物理法則」のお陰でコンパクト機より良好なので、言ってみれば全てに渡って「コンパクトとAPS-C一眼レフの中間」的なモノですね。

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40年位前の上等なコンパクトカメラを連想させる外観。装着しているのは今風なレンズですが。

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番外編(^^)昔はこういう味のある(ちょっと上等な)カメラが多くあった。

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フラッシュ内蔵は立派。なかなか凝ったメカで持ち上がります。

----------------------------------個人的見解ですが-------------------------------
「一眼」と呼ばないで!!
※メーカーだけでなく、最近では世間でもマイクロフォーサーズ機を「デジタル一眼レフ」と区別して「デジタル一眼」と呼んでいますが意味不明です。

「ミラーレス一眼はレフレックスではないので一眼レフではなく一眼です」っていう言い方をよく聞きますね。この言い方ではほとんど全てのデジカメが一眼になってしまいます。
だいたい、言葉の定義として「一眼レフ」ではない「一眼」ってナニ?「レフ」のない一眼なんて定義は存在しないはずよ。
(少なくともこれまでは「一眼」とは「一眼レフ」の略称に過ぎません。)
何とかして「デジタル一眼(レフ)人気」にあやかろうという下心?は判らないでもないが、分かり易く「レンズ交換式デジタルカメラ」と呼べば?って思います。
あれ?本題と違う(^^; 
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以下、GF1+14〜45mm(F3.5〜5.6)を使用しての感想です。

使ってみて嬉しいポイント

・余計な出っ張りがなくコンパクトなボディは取り出し・収容性良好。

・スライド式の電源スイッチは操作性良好
 (パナソニックのカメラは皆そうですが、手袋をしていても操作しやすい。)

・オートフォーカスは静かな上に非常に俊敏で、ストレスを感じない。

・一定の条件下なら液晶モニタの視野角は広く、ピント確認含めて見易い。

・背面のダイヤルのプッシュ・回転により露出補正や絞り値の変更が素早く可能。
 (私は主にAモードで使用)

・フォーカスモードの切り替えは専用ボタンからダイレクトに変更可能。

・一日行動して400枚以上撮影しても電池交換なしの省電力。

・レンズ内手ブレ補正(14〜45mm)は初めてだが、カメラシステム全体として手ブレ補正効果は高い印象。

・外装の質感、ボタンやダイヤル類の操作感は大変良い。
(ボタン内部は金属製ダイヤフラムを使用?)


ちょっと気になるポイント

・コンパクトなイメージとクラシカルな雰囲気優先?デザインでグリップ感はイマイチ。

・個人的にダイヤル位置は操作性から、背面ではなく前面が好き。
 (親指を左右に動かすのは苦手なので)

・でかく入っている「LUMIX」のロゴはカッコ悪い気が…。

・屋外の直射日光下では液晶モニターがほとんど見えない。
 (他の機種に比べて悪いわけではないが…)

・内蔵フラッシュの調光範囲が狭いのか、近い距離での日中シンクロ時にオーバーになる確率が高い。

・全体としてラチチュードが広いのは良いが、低コントラストな画像に見える絵造り。

・標準ではややオーバー目の露出に感じる。

・ダイレクト1点AF移動をOFFにしておかないとFnボタンなどの機能が使えない。


個人的な使いこなし上のポイント

・AF/AEロック切り替え設定をAFかAF/AE、AF/AEロック維持をONにしておくと、親指AF的に使える。 (三脚使用時やセルフポートレート時に便利。)

・MF時はピントリングを動かすと自動拡大するが、ピント位置を動かしたくない場合、AFフレーム移動・サイズ変更は十字キーの左ボタン→下ボタンで呼び出し。

・ケースからの取り出し時に「動画ボタン」を触ってしまうので(基本使わないので)メニューから機能OFFにした。

・露出メーター表示をONにして常に絞り値・露出補正値を表示。

・Fnボタンには暗部補正を割り当て。

・フラッシュモードは「強制発光」にしておき、必要なときだけポップアップさせる。

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節度感・形状とも操作性良好なボタン類。操作性の面から、私はダイヤル装備は必須と思う。

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電源SWはスライド式。(左) つまみが突き出しているキャップ。フード装着時に外しやすい。(右)

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左肩のΦマークは主張の現われ?

パナソニックのカメラを買ったのは初めて(実際にはフィルムカメラでは別ブランドだがウェスト電気製のOEM製品を持ってる)ですが、印象は思った以上に「ちゃんとしたカメラ」でした。

こんな言い方は失礼ですが、パナソニックというと家電イメージが強いメーカーなので、どこか感覚的にずれている印象を持っていました(^^;。(EX光学ズームとかまやかしっぽいし)
GF1も宣伝の仕方は(少なくともカメラマニアから見ると)ずれていると思うので、家電メーカー特有のマーケティングがそうさせているんでしょうか?宣伝自体は販売的には貢献しているようだし。
ちなみに、「GF1オーナーズBook」という本を買ったら、開発者インタビューで知り合いが出ていた。なるほど、一応ちゃんとカメラのことを分かった人達が開発してるのね(^^)
ちょっと外れたカメラ開発か続いてシェアが上がらない某S社まで真似を始めたくらいなので、マイクロフォーサーズ機の存在自体は業界としても注目しているといえますね。

5月になって発表されたS社のAPS-Cサイズのミラーレス機、フラッシュ外付け(それもネジ留め併用?)・メニュー主体の操作性、また外したのか…?価格は挑戦的でよろしい(^^)。
S社にはこの後発表予定の中級一眼レフに期待してます。